床暖房が必要な理由

考察
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はじめに

高気密高断熱住宅に床暖房が必要なのかどうかは非常に悩ましい論点です。暖房方式の前に気密断熱の検討が重要であるため床暖房の有無などで家作りを考えない方が良いと私は思っています。

床暖房を称賛すると気密断熱の前に暖房方式で家作りを考えてしまう人が増えてしまうと思いますから、床暖房が世間では神格化されているが故に家作りの判断を間違う人が多いと感じます。

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私は一条工務店で自宅をI-cube、セカンドハウスをi-smart2で建築していますが、床暖房を使わずに小型エアコン1台による全館暖房で生活しています。

なぜ、こんなことをしているかというと、少しの知識があれば高性能な家は小型エアコン1台で家中が暖かくできますよということを多くの人に知って欲しいからです。

そして、低温水式でヒートポンプが熱源となっている一条工務店の床暖房は非常に優れた暖房設備であると認識しています。本日は電気式の床暖房は対象外として話をいたします。

一般住宅の床が冷たい理由

パッシブハウスジャパンの理事でもある松尾設計室の松尾さんが先日にYouTubeを開設していますが、一般住宅の床がなぜ冷たいのかを解説しています。

動画の最後の方の6:44から一条工務店の床暖房についても触れられています。

この解説を聞くと分かりますが、一条工務店の家は床のフローリングに無垢材を使ってはいませんが、床暖房がなくても暖かい家だということです。

私は無垢材の採用については、床暖房や床下エアコンのように床を温める暖房方式を採用しているか、室温を24℃のように高くしている場合は無垢材である必要はないと思っています。

また、松尾さんは「太陽に素直な家」であるべきだということで、建物の配置の重要性と窓については夏季の日射遮蔽と冬季の日射取得の必要性を述べています。

建物配置と窓の日射制御の重要性、そして建物の形で暖房費用が大きく変わるということについては、そのとおりで、Ua値が良くてもQ値が悪い家があることを知らない人も多いでしょう。

ただ、私が松尾さんの説明でいつも引っかかるのは、土地の安い地域の家作りの話が多いと感じるため、土地が狭く家の日当たりの悪い都市部で家を建てる際の注意点の話もして欲しいです。

地価が高い都市部では建物の配置すら選べない狭小な土地が多いため「太陽に素直な家」は建てられないケースが多いですが、確かに土地の高い地域は高額になる注文住宅は少ないとも言えます。

日当たりの悪い都市部の狭小な土地での家作りは冬季に晴天が見込めない日本海側の家作りに近いと私は思っていますが、都市部のパッシブ設計の難しさは以下をご覧ください。

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はじめに 明けましておめでとうございます。昨年末に発売した私の家作りの本については沢山ご購入いただきましてありがとうございました。 さて、今年のブログは以下を目標を掲げようと思います。 長文はやめる(自分が疲れるし読者も疲...

私の二軒目の家は32坪の土地代が3200万円でしたが、もっと高額な土地もザラにあって本当に満足のできる形状の良い資産価値の高い土地は坪150万円以上はするでしょう。

ただ、予算から見て、通勤時間や駅からの距離、子供の学区などを考えると日当たりの良い土地がほとんどないけれど30坪前後の土地を購入せざるを得ないという状態です。

隣家も含めて30坪程度の土地の場合、建物をどう配置しても冬は一日中、日が当たらない土地や二階に吹抜けを設ければ何とか日射熱が取れる程度でこれでは家は暖かくなりません。

都市部では大きな土地が出ても建売住宅業者が購入して安く狭小住宅として分譲してしまうため、注文住宅を建てる人に良い土地が回ってくることが難しい状態です。

私はセカンドハウスのi-smartを田舎に平屋で建てましたが、土地が広いため容積率や建蔽率、そしてやっかいな防火対応や斜線規制を考えなくて良いため、間取り作りがすごく楽にできました。

それに比べて、都市部は防火対応や日当たりが悪い土地が多いため、その場合は南側の窓も大きくせずに、高効率なヒートポンプを利用した暖房装置に頼るしかないと思っています。

一条工務店の北海道仕様のロスガードは地中熱の利用をしていますが、これが都市部でも採用できれば、都市部の日当たりの悪い家の暖房費用が減らせるのではないかと考えます。

全館暖房は意外と簡単

暖かい空気の熱は上昇します。つまり、一階で暖房器具を連続運転すれば熱が天井を通って二階を含めて家中が暖かくなります。

ただし、家の形状が長細い家やコの字の家ではこれがうまく行かずに暖房器具から遠い部屋は温度が下がります。熱は横方向よりも上方向に向かうからです。

簡単に言えば、気密測定をしている高気密高断熱住宅において、真四角に近い総二階の家では一階のリビングのエアコンを連続運転するだけで普通に全館暖房が可能です。

家の形も全館暖房システムの一部だと理解して家作りに取り組めば、床暖房や床下エアコンなどの特別な設備がなくても、一階リビングのエアコン1台で家中がほぼ均一に暖かくなります。

ただ、それだけでは快適ではなく、玄関から発生するコールドドラフトには注意して、エアコンの向きになどに注意が必要でしょう。

床暖房の場合は、冬季に冷え込む玄関に床暖房の配管が集まるヘッダーボックスを配置したり、エリア分けについては日当たりの良い側とそうでない側で分けると室温調整がしやすいでしょう。

また、なぜ高気密高断熱住宅が必要かというと、石油ストーブのような高温を発生しないエアコンのような省エネ設備では、家が高性能でないと暖まらないからです。

省エネな暖房装置を生かすには家の性能が必要で、性能の低い家では床が冷たいためホットカーペットなどを局所暖房として使って快適性を補う必要が出てしまいます。

床暖房が必要な理由はセールスと設計が楽になるから

床暖房がなくても暖かい一条工務店の家ですが、床暖房を求めるお客さんが多いため床暖房を説明不要な集客装置として用意していると考えるべきでしょう。

販売面を考えても床暖房をオプション設定するより、床暖房を標準化した方がお客さんが入れ食い状態になるので、ムダな労力を掛けずに家を販売できます。

さて、床暖房のライバルとして地場ビルダーが床下エアコンというものを採用している場合があります。基礎断熱をした床下空間にエアコンを設置して温風を床下に送り込む方式です。

床下エアコンについてはエアコン1台だけでコストパフォーマンスが高いと言われますが、私は必ずしもそうではないと思いますし、見よう見まねでは失敗するリスクが高いと思います。

まず、床下エアコンを設置するためのスペースがテレビ台などを兼ねない場合は、床下エアコンを設置するスペースだけ床面積が増え、小さい住宅では間取を考える上で大きな制約になります。

そして、床下に暖気が行き渡るように基礎コンクリートの立ち上がり部分を開放的にする必要があり、地中梁やコラム基礎を採用した場合はコストが上昇します。

エアコンの位置が家の端にある場合、エアコンから遠い位置の床は温度が下がると思いますから、床下エアコンを設計することはノウハウが相当にないと難しいと思います。

床暖房のメリットは家中をムラなく温めることが簡単にできることと、エアコン暖房にみられるようなエアコンのある部屋は室温が高いため相対湿度が下がって乾燥する現象を緩和できます。

このようなことを考えると暖房装置の設置スペースが不要で間取りにとらわれない、温湿度のムラの少ない一条工務店の床暖房どれだけ優れた暖房設備であるか分かると思います。

一条工務店の家は耐震性の観点から間取りの制約が多いと言われますが、床暖房やさらぽか空調といった間取りを問わない空調設備があることは知っておいて欲しいところです。

在来工法なら設計が自由だと思う人は耐震性や空調といった領域まで考慮して、間取りの自由度とは家を建てる工法だけでは決まらないことを知って頂きたいものです。

最後に

床暖房が必要な理由はお客さん受けが良い事と床下エアコンのように間取りに影響が出ないということであり、住み心地だけでなく販売や設計までを含めたスキームとして床暖房を認識すべきです。

床暖房は高気密高断熱住宅には必要ないと思ったり、エアコン暖房の腕自慢をする人は、一条工務店がなぜ躍進しているのか一条工務店の販売戦略をもっと深く理解して欲しいと思います。

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床暖房を使わなくても一条工務店の家は快適です。私は床暖房が標準設置されているにも関わらず、床暖房を使わずに6畳用エアコン1台で全館暖房しています。

エアコンで十分に暖房できる家の性能があるにも関わらず、一条工務店はそれでもエアコン暖房ではなく床暖房を押してくるのは、家を売りやすいからだと私は思います。

ただし、私は床暖房はとても優れた設備であることは認識していて、床暖房を使った際の感想としては、エアコン暖房よりはやはり快適性は一段レベルが上だと感じます。

一条工務店の床暖房はただの集客装置ではなく、最高の快適性という裏付けがあるため、いつまでも集客装置として機能するのです。

これは床が壁や天井よりも暖かいということと、全面に床暖房があるため部屋間の温湿度ムラが少ないということです。床が天井や壁と同じ温度ではなく「床勝ち」の方が当然に快適です。

ただ、私にとっての床暖房は一条ハウスのオマケといった感覚であり、超高断熱、耐震等級3、防蟻処理された木材、そして一条工務店の倒産の可能性の低さに価値があると思っています。

そして、暖房計画よりは冷房計画の方が難しいです。暖かい空気は上昇して冷たい空気は下降するため、冷房装置は家の高い位置(二階建てなら二階)に設置する必要があります。

さらに夏は温度だけでなく除湿まで考慮しないと快適になりませんから、冷房装置からの空気をどうやって各部屋に配分するのかといった検討が必要になります。

一条工務店のさらぽか空調は床冷房とデシカント換気によって、間取りを問わず家中が快適になりますが、急な室温向上に備えて二階の階段ホールに6畳用のエアコンが1台あると良いでしょう。

一軒目の家から全館の冷房計画や結露計算までを出来た人はほとんどいないと思いますが、これが注文住宅は三軒建てないと満足できないと言われるゆえんだと私は思います。

本日は冷暖房計画と省エネ性までを含めて家の形状と間取りの自由度とは何かを考えてみました。

 

本日は以上でございます。

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