本日は我が四代目のi-smartⅡの浴室についてです。
スマートバス1.25坪タイプを採用
浴室はお洒落さを重視してブラックで、浴槽はオプションの半身浴タイプです。浴室は1.25坪タイプですから2.5畳であり洗い場が非常に広々としています。
三代目のi-cubeでは標準の1坪タイプのi-スタンダードの浴室を採用していますが、こちらと比較してどうかと言われるとどちらも良いと思います。
i-スタンダードの浴室の壁はタイル張りでスマートバスは樹脂ですからどっちが豪華かについては人それぞれだと思います。
マンションは0.75坪タイプの浴室が主流だと思いますから、1坪でも十分に広いですが、複数の子供と一緒にお風呂に入りたいなら1.25坪でしょうか。
そして、一条ハウスの特徴とも言える床暖房は浴室までしっかり設置されています。ヒートショックを防止するためには、これは非常に重要なことですね。
窓は小さく
一条ハウスの浴室の窓はかなり大きなものまで用意されていますが、裸になる場所であり防犯面や冬季の暖かさの観点から窓は小さいほうが良いと思います。
寒さ対策という面では、ブラインド入りの窓の場合はペアサッシになってしまうため、トリプルサッシのカスミガラスがお勧めです。
浴室には換気扇があるため換気のための窓はなくても良かったのですが、窓無しができないとのことで我が家は一番小さな窓のサイズにしています。
浴室の換気扇を利用すると空調された空気を排出してしまうことから、私は省エネの観点から浴室換気扇を利用するのは薬品を使った掃除をする時だけです。
浴室のカビを防止するには換気扇を回すよりも、浴室のドアを解放して室内側から乾燥した空気を取り込んだほうが高気密高断熱住宅では正解だと思いますが、夏季にはエアコン全館冷房などで室内を除湿する必要があります。
さて、現在では建物の北側斜線の規制を回避するために設置高さが低い浴室が用意されたそうで、その場合は窓の無い浴室が選択できるそうです。
常識的に考えると浴室に窓があるのは当然ですが、お風呂に入るのは日照のない朝と夜が中心ですし、LED電球によって照明の電気代は安いですから窓は不要とも言えます。
「なんかの時」に窓をあけると考える人が多いと思いますが、湿度がコントロールされた高気密高断熱住宅に8年住んでみて「なんかの時」は無かったです。
ちなみに、高気密住宅では窓開け換気より窓を閉めて換気扇を使った方がしっかり換気できます。イメージとしてはパック飲料にストローを指して吸い出す感じです。
このように、高気密高断熱住宅を設計するときはこれまでの風通しを重視してきた日本家屋の常識を捨てて、本当に何が必要かを考えて設計すると四季を通じて高気密な性能を活用した生活ができると思います。
基礎断熱を改良しました
一条ハウスは玄関土間とユニットバス下が基礎断熱となります。違法ではありませんが、他社で高気密高断熱住宅を建てたことがある私にはこの基礎断熱工法には違和感を感じています。
一条ハウスの基礎断熱の問題点
上記画像のように一条ハウスのユニットバス下は赤線の部分が気密断熱ラインとなる基礎断熱であり、黄色部分が人通口の気密断熱の蓋となります。
また、通常は基礎の立ち上がりのみの断熱で基礎底盤へのスカート断熱が施工がされておらず、基礎天端はコンクリートむき出しで断熱欠損が若干あります。
これは違法ではありませんが、基礎底盤のスカート断熱は省エネ基準解説書においては断熱補強の施工が望ましいと記載されている部分です。
玄関土間とユニットバス下の断熱欠損については、計算するとQ値を5%程度は悪化させているようです。
一方で高性能なEPSの120mm断熱材を基礎立ち上がりに利用しているにも関わらず、基礎底盤と基礎天端には断熱欠損があるという不思議な現象が起きています。
一条工務店は大部分においては高性能な断熱材を使うことで、現場施工に手間のかかる細部の断熱欠損には対応しない方針なのかもしれません。でも断熱マニアには非常に気になる部分なのです。
通常施工ではこのようにユニットバス下に入り込むには人通口に嵌めた気密断熱材の蓋を開けてユニットバスの下に入り込みます。
標準施工だと浴室下の給排水に異常があった場合は、遠くにある床点検口から床下に入り、匍匐前進でここまで来る必要があります。
この標準仕様の場合、漏水や人通口の断熱材がズレて気密が悪化した場合などにメンテナンスすることが大変だと思います。
また、工事中においても脱衣所の洗面台から床下へ向かうホースなどを床面で気密施工する必要があり施工が手間だと思います。
私は一条工務店に三代目の時からこの標準施工は見直して欲しいと訴えていました。
なぜかというと一条工務店の外の世界の高気密高断熱住宅ではもっと簡単な施工方法を実施しているからであり、その施工方法をご紹介します。
脱衣所に点検口を設けました
ユニットバス下の人通口に設けた点検口をやめて、脱衣所に設けた収納の株に点検口を設けてユニットバス下の床下に入れるようにしました。
このように収納の下部に点検口があり、床下に入れるようになっていて、さらに基礎断熱がされていることが分かります。
カンの鋭い方なら、ユニットバス下の人通口が開いたままだと、建物の気密性が崩れてしまうではないかと考えるでしょう。
そこで、私は基礎断熱の範囲を通常のユニットバス下からユニットバス下+脱衣所に変更したのです。
基礎断熱の範囲を変更しました
上記画像の青いラインが新しい気密断熱ラインです。基礎断熱の区画をユニットバス下だけの単体からユニットバス下+脱衣所に変更しました。
脱衣所まで基礎断熱にすることで水回りの配管の工事中の気密施工が簡単になり、かつ何かあればすぐに床下にアクセスできるようになります。
そして、基礎断熱は床下を密閉するとカビが発生しやすくなることから、床の点検口を普段はずらして開けています。
なお、脱衣所は基礎断熱に変更したものの一条工務店の工場の融通の利かなさ(?)により、床にも本来不要なウレタン断熱材が設置されています。
脱衣所の床下に設置した断熱材はフィリピン工場では用意をして貰えず本来は補修用に使う断熱材を監督が現場で調達することで設置が可能となっています。
また、今回は基礎底盤のスカート断熱にはコストの関係から袋入りグラスウールを敷き詰めるという簡易的な方法にしました。
最後に
基礎断熱の範囲変更は稟議であり、コストは非常に高額で、自己責任で行うとしても現場での施工管理が難しいため後輩施主にはマネしないでほしい内容です。
また、基礎断熱の断熱欠損による熱損失は全体の熱損失量からみれば数%程度の問題なので、もっと気にすべきは家の形と必要以上の窓の大きさです。
では、なぜ本件を公開したかというと一条工務店のQ値計算はおかしいと言うプロの方がいるからです。
i-smart2のカタログのQ値は0.51Wですが、私の計算では0.75W程度になります。細かい断熱欠損があることと換気の計算に違和感があります。
一条工務店がQ値の詳細な計算根拠を開示していないため分かりませんが、当然ながら合法な範囲で最も有利に計算しているとは思います。
ただ、私はQ値の計算を事前に自分で行っていたため、実質のi-smart2のQ値が0.75Wであったとしても、十分なコストパフォーマンスだと納得しています。
また、一条はフィリピン工場で高性能なパーツを量産できることから、トリプルサッシやウレタン断熱材などの力技でQ値を下げる傾向があると思います。
その結果、一条と競合して仕事を奪われた同業他社は、内装の仕上げや細かな断熱欠損などを探して粗探しに走っていると感じるのです。
インターネット上には何でも欠陥・施工不良・カビが生えるといった話ばかりが並んでいます。これでは流言飛語に踊らされる初心者の施主が可哀そうです。
このような一部を切り出した問題提起では日本の家作りは前に進みません。日本の家作りはもっと全体を見渡した正しい知識に基づく建設的な会話がなされるべきです。
そして、一条工務店にはこんな部分で同業他社に突っ込まれないように、細かい部分の工法を見直して、粗をなくして頂きたいものです。
以上、浴室でした。