地盤改良は騒音と振動がすごい
一条工務店の地盤改良では、ソイルセメント工法、小口径鋼管杭工法または寒冷地ではPCパイル工法が標準のようです。地盤調査によって、地盤改良が必要なのか判定がでますが、各工法の詳細に関してはここでは割愛します。
我が家は液状化に強いと言われる砕石パイル工法を特別に採用しており、エコジオ工法という商標の地盤改良を実施しました。この改良方法はソイルセメントの代わりとして実施するものであり、5m以上の深い改良には向いていないと思われます。
地盤改良に当たっては、2日前後の工事期間の間、重機の音や振動が凄いのですが、これはどの工法でも程度の差はあれど似たようなものでしょう。近隣の方へのご挨拶等の心使いが重要だと思います。
工事の風景です。このような筒で地面に穴を掘りますので振動が凄いです。筒をそのままにして、掘った穴に砂利を入れてから、筒を回して抜く事で砕石が締固められ柱状になります。
掘った穴から廃土が出てきます。最終的な廃土はかなり多くなるため、この処理費用だけで20万円かかってます。ただ、地盤によっては掘るときに土を圧縮しての廃土なし工法もありますが、隣家と距離が近い場合は隣家に影響するためやらないようです。
砕石パイル工法以外にも、一条工務店には採用されていませんが、「スーパジオ工法」という簡易的な減震工法があったり、iシリーズには用意されていない免震装置については、「UFO-E」や「ゆれなーい」といった簡易な免震工法などがあり、今後採用されると良いですね。
基礎工事は施主には分からない事だらけ
ハウスメーカーから工事の事前説明があると思いますが、実際に現場見学をしてみると初めて家を建てる人は基礎の鉄筋が錆びているけど大丈夫?といった心配をすると思います。しかし、実は問題がない場合が多いのです。
多くのハウスメーカーでは基礎工事の写真を撮影しており、施主にも後で見せるため、テレビに出てくる欠陥住宅の基礎のようなものは悪意が無ければそんな簡単に作れません。
ただ、材料代をケチって強度の低い(水分が多い)コンクリートを使うようなハウスメーカーに関しては、トラブルの原因であるためそもそも契約しない方が良いと思います。契約前に使っているコンクリート強度を確認すると良いでしょう。
強度の高いコンクリートを使ったとしても数万円程度の差ですから、重要な基礎部分の強度に余裕を持たせないハウスメーカーはその他の部分に関しても家作りの姿勢が疑問です。ギリギリの強度設計では施工不良があったときに危ないです。
本稿では指示と違う施工がされている場合であっても、問題がないとか泣き寝入りしようと述べている訳ではございません。何かあった時に施主が不安にならないように問題の程度に応じた考え方や現実的な解決方法を記載しております。
そして、建築基準法との少しの差や一部の瑕疵をもって基礎全体の作り替えを要求する施主もいると思いますが現実的とは思えません。建築裁判では施主側が勝てる可能性は低いため、示談でハウスメーカー側と話し合った方が有利だと思います。
裁判を起こせば実損がどれほどかという事が争点となり、むしろ金額的に低い査定額になると共に家の完成が遅れて自分達の生活が不幸になってしまうでしょう。例えば自動車を購入する場合でも新車に傷があっても代わりの新車に交換はしてもらえません。
もちろん、基礎工事に関しては、新築住宅の基本構造部分の瑕疵担保責任期間が10年間義務付けられている事から、ハウスメーカーも十分に注意して工事をしているはずです。
さて、基礎工事前に熊の絵(一条施主には熊のジョー君と呼ばれています)が入った案内板と柵が設置されるため施主は工事関係者がいないと敷地内に入れなくなります。画像の側溝の割れは地盤改良時に工事車両が乗り入れたためですが、もう40年以上も使っているので工事が終わったら交換します。
コンクリートの強度
コンクリートは強アルカリ性の物質です。長期的には空気中の酸素によって徐々にアルカリから中性化します。そうなると、基礎コンクリートの中に入っている鉄筋は酸化により錆びて膨張することでコンクリートを爆裂させてしまいます。
コンクリートは打設する時期によっても配合が変わり、JISの規格に準拠した配合量で工場で練って、ミキサー車で運ばれてきて、伝票に呼び強度やスランプ(cm)も書いてあります。現場で基礎コンクリート用のコンクリートを練るケースは現在ではないと思いますが、その場合は水分量の多くて強度の弱いシャブコンと言われる状態にならないか懸念されます。
鉄筋コンクリートの標準仕様である日本建築学会の建築標準仕様(表紙のみ)のJASS 5にコンクリートの強度が定められており、呼び強度が短期(30年)18N/mm2、中期(65年)は24N/mm2、長期(100年)は30N/mm2、超長期(200年)は36N/mm2となっていますが、かぶり厚さを増せば低い強度のコンクリートでもトータルの強度は増加します。
私の工事(温暖地:11月中旬)における一条工務店からコンクリート工場への発注書をみると、27・30・33N/mm2の3種類が記載されていている中から、33N/mm2に丸が付いていました。スランプは15cmでした。
コンクリートは外気温によって、固まるまでの時間が変わるため、外気温度10℃未満の寒い時期は温度補正と言って、コンクリートの配分量が多い27N/mm2以上(それ以外の時期は24N/mm2以上)を打設するようにフラット35の技術基準は求めていますが、一条工務店の場合は常時27N/mm2以上で打設しているようです。
コンクリート圧縮強度は上棟に備えて打設から28日目の強度(N/mm2)が規格化されているものです。強度が高い方が早く固まるため、外気温が低いコンクリートが固まりにくい時期は強度の高いコンクリートが要求されています。
一条工務店ではコンクリートの養生期間をかなり長く取っているようです。通常の工法の場合は徐々に建物が出来上がるため、建物の重量の殆どが乗る頃にはコンクリートの強度が出ていると思いますが、iシリーズのようなパネル工法の場合は一気に建物が完成するためにコンクリートの養生期間が長いのだと思います。その分、上棟後の建物が建つのが早いという事になります。
強度の高いコンクリートを使うと価格的にはコストが少し上がる程度ですが、コンクリート強度が高いという事は水分が少なくコンクリートの割合が多いという事ですから、工事の打設時にコンクリートが流れ難くて作業が大変だと思います。
N/mm2(ニュートン・パー・平方ミリメートル)というコンクリートの圧縮強度の単位については、30N/mm2のコンクリート強度の場合、10mcm角のコンクリートが30トンの重さに耐えられる強さということを表します。
見た事はありませんが、日平均気温が4℃より低い場合には、コンクリートの硬化が著しく遅くなるばかりでなく、気温が急に低下する場合にコンクリートが凍結するおそれがあるため、打設に注意が必要であると共に寒中コンクリートという種類のものを使う事が一般的のようです。
これは現場でスランプ強度をテストした残骸です。コンクリートをコーンという筒に入れてコーンを外した時に何センチ沈むかでコンクリートの硬さをテストしています。コンクリートに関しては管理されているためそんなに心配はいらないと思います。
防湿フィルムの破れ
現在では床に地面から湿気が上がってこないように、基礎の地盤面には防湿フィルムを設置する事になっています。これが破れている場合に問題かというと、ベタ基礎の場合はベタ基礎のコンクリート自体が防湿層となるため、あまり防湿フィルムの設置の意味がないという意見もあります。ただ、防湿フィルムがあっても別に問題はないため、防湿フィルムを設置した方が何となく安心感がありますよね。
鉄筋の錆び
現在はユニット鉄筋なので、ある程度出来上がった鉄筋のパーツを現場でつなぎ合わせる場合が多いです。基礎工事のプロから言わせると鉄筋の継ぎ方が本来と違っている場合があるそうですが、建築の専門家は木造二階建て程度の基礎であれば問題ではないとの見解が多いです。外部機関の検査も通りますし、建築基準法の違反ともならないようです。
基礎工事に当たって鉄筋が錆びている場合がありますが、表面の錆びは問題ないと思います。鉄筋はアルカリ性のコンクリートの中に沈むため、鉄筋の酸化が止まるからです。鉄筋は防錆処理をしないため、ある意味表面が錆びておかしくないと言えます。
鉄筋が錆びないように錆止剤を塗る事は鉄筋とコンクリートの付着が弱まるため逆に好ましくありません。これは建築業界でも錆に対する誤解や対応の勘違いがあるようで、本来必要のない錆落としをさせている現場では、業者は発注元から指摘を受けないように気を利かせて事前に鉄筋に防錆剤を掛けている場合があるそうです。
原典の確認はしていませんが、国土交通省から発行されている建築工事監理指針 平成19年版上巻に、「浮いていない赤錆程度のものについては、コンクリートとの付着を阻害することがないので、無理にこれを落とす必要はない」と記載があるようなので興味のある方は確認してみてください。
特殊な防錆剤でない限りはコンクリートと鉄筋が付着し難くなると言われていますから、むしろ多少錆びている鉄筋の方が防錆剤がない事が目視できるため私は安心だと思ってます。
本件は賛否両論で鉄筋は異形鉄筋といわれ、リブという凸凹があるため、丸鋼のようなツルツルしたものでなければ油が掛かっていてもコンクリートからは抜けないという意見もありますが、抜けない事と鉄筋コンクリートの強度は別です。鉄筋とコンクリートが付着して鉄筋コンクリートは力を発揮しますが、鉄筋とコンクリートの付着に関しては以下に詳しく書いてあります。
また、基礎の型枠をコンクリートから外しやすくするために、型枠には剥離剤というものを塗ります。ハケで型枠に先に塗る場合は良いのですが、型枠と鉄筋を組み上げてからスプレーで型枠に剥離剤を吹き付けると鉄筋にも剥離剤がかかり鉄筋にコンクリートの付着が弱まると想定されます。工事では噴霧器ではなくローラー(刷毛)を使っている現場の方が目視で分かりやすいです。
鉄筋の太さ・かぶり厚さ不足
基礎コンクリートは工事には、鉄筋をコンクリートに被せて鉄筋の酸化を遅らせるために、コンクリートがどれぐらい被っているかという「かぶり厚」という言葉が頻繁に出てきます。鉄筋の太さとかぶり厚については建築基準法施行令に記載されています。
要約すると、鉄筋は立上り部分の主筋として径12mm(D12)、補強筋は径9mm(D9)そしてかぶり厚として、基礎の底盤は6センチ、耐力壁の基礎の外周の立上りは4センチ・基礎の内側の立上りは3センチ、耐力壁以外の場合は2センチのコンクリートが鉄筋に被っていれば良いとなってます。そうなると基礎立上りの外周の幅は最低でも、40mm+12mm(D12)+9mm(D9)+40mm=101mmとなります。
昔は105ミリの基礎立上りの幅で基礎を施工していた家もありますが、フラット35の技術基準では基礎立上りの幅は最低120mmを求めている事から、現在は最低120mmが普通だと思います。
一条工務店ではシリーズにもよりますが、iシリーズは主筋がD16、補強筋がD10となっていて、かぶり厚を多めに取るために基礎立上りの幅は16センチでした。
通常の施工では、かぶり厚を確保するために基礎底盤にはサイコロと呼ばれる6センチ角のコンクリートの上に鉄筋を載せていますし、基礎の立上りはスペーサーというドーナツとか風車と言われる器具を設置して、かぶり厚を確保しています。
昔はアンカーボルトをコンクリートを流した後に、手で田植えしていたなんてこともありましたが、田植えは違法ではありませんがアンカーボルトの位置の精度が悪くなると思います。ただ、現在ではホールダウンのアンカーボルトを設置する必要があるため、田植え方式はないと想定されます。
基礎工事前に捨てコンクリートを流して基礎の位置を墨出しをする場合が多いと思います。捨てコンはかぶり厚に含めませんが、実際は基礎立上り部分の下側のかぶり厚に貢献していると思います。
あまり心配は不要だと思いますが、距離の短い基礎の立上りがある場合などの特殊な施工部分は納まりを間違える可能性があるため、どうしても心配な方は型枠を組んだ時点で写真をもらうかご自身で確認してみると良いと思います。
ただ、耐力壁が乗らない部分の基礎はかぶり厚が2センチの規定以下であっても、実際は構造上問題がない可能性がありますが、建築基準法と異なるようであれば瑕疵としてハウスメーカー側は対応せざるを得ないと思います。
もし、かぶり厚不足が発見された場合は、該当部分のレイタンスを除去してコンクリートの接着性を確保した上で、追加のコンクリートを増し打ち等をする事になると思います。
配管穴の空け忘れ
通常は基礎コンクリートに後から穴を空けるのではなく、コンクリートを流す前に所定の場所にボイド管等のスリーブを入れてコンクリートが流れないようにして穴を作ります。型枠を外した段階では穴は見えませんが、スリーブの部分を叩くと穴が出てきます。
私も穴の空け忘れは経験した事がありません。ただ、基礎を打った直後であれば図面と照らし合わせて、鉄筋を切らないでどこに穴を空けられるか分かると思います。また、事後に穴を空ける場合はレントゲンを撮って鉄筋の場所を確認してから穴を空ける事が一般的だと思います。
配管穴の周りには事前に補強筋を入れる事になってますが、後から穴を空ける場合には補強筋が入らなくなります。小さな穴であれば問題ないという見解が一般的ですが、私の様に予備の穴を設けておくと万が一何かがあった場合に対応できると思います。この場合、使わない時の予備穴にはフタをして雨が入らないようにしてください。
ジャンカの発生
ジャンカとは、コンクリートには荒骨材として砂利が入ってますが、コンクリートを型枠に流したあとにバイブレータという機械での締め固め作業が不足した場合などに発生するセメントと砂利が混ざってない状態を現し、強度不足になる現象です。
ジャンカの修復方法に関しては原典がないのですが、日本コンクリート工学協会等の資料において、等級別ジャンカの程度と補修方法というものあり、ジャンカの程度によってA~Eの5段階にレベル分けされ、その補修方法が記載されています。
例えばBレベルの1~3cmの深さのジャンカは「砂利が露出しているが、表層の砂利を叩いても剥落することはなく、はつり取る必要がない程度」で、表面にポリマーセメントを塗って補修との事ですが、通常の工事では発生してもこのレベルまでだと思います。
レイタンス・コールドジョイント
レイタンスとはコンクリートの成分の中のセメントや骨材の微粒分が表面に固まったもので、強度がない脆いものです。基礎底盤を打設し硬化した後に基礎の立上りを打設しますが、この継ぎ目に関してコールドジョイントと呼ばれ、レイタンスによってコンクリートは強固に接着していません。
レイタンスの除去は防水性が問われる部分では必要なようですが、住宅基礎で表面に浮いてきたノロを全部取るなど現実的ではありませんし、実質的に意味のない要望だと思います。防水が目的であれば打継に止水板を入れた方が目的を果たせると思いますが、住宅基礎の防水が必要な場合は地下水位が高い場合だけではないでしょうか。
これは玄関ドアが付く部分の基礎の画像です。赤線の部分は基礎底盤と基礎立上りの継ぎ目(打継)です。ここはコールドジョイントとなっているため、強固にコンクリートは接着しませんから防水や防蟻を気にされる方は止水板を入れると良いと思います。青線の丸はコンパネ板という木の型枠を使った場合に見られるセパレータという器具の跡で、よくコンクリート打ちっ放しの建物で見受けられるものです。コンクリート表面にジャンカは見えませんが、気泡が多少あります。
コンクリートのクラック(ヒビ割れ)
コンクリートは乾燥するときに水分が抜けて収縮するため細かいヒビが若干入るのは材料の特性上、止むを得ないと言えます。ヒビには沢山の種類がありますが、主に乾燥によるヒビと構造上のヒビがあると思います。
どの程度なら問題がないかというと0.3mm未満のヒビはヘアークラックと言われ表面が乾燥収縮によってヒビが入っているだけで問題がないとされ、専用のクラックスケールと言うヒビの幅を測る定規まであります。さらに、ヒビの方向が、縦方向にヒビが入る場合は乾燥によるヒビの可能性が高く、横方向に長くヒビが入る場合は地盤や構造によるヒビである可能性があります。
横方向のヒビでは冬季に水分が多いコンクリートを使った場合にブリージングというコンクリートの骨材など重いものが沈下して水分が上昇する現象による可能性もあります。ブリージングの場合はヒビ割れが進行することは少ないようです。
また、基礎天端を水平にするために用いるレベラーコンクリートやモルタルのような水分の多いものは乾燥収縮しやすいため、主要な構造部分でなく段差調整として利用されているコンクリートやモルタルはヒビがあっても気にする事はないと思います。
夏季に養生不足の場合、基礎天端のレベラーコンクリートが剥離する事があるようなので、その場合は打診棒でコンコン叩いて判定して、接着していない部分をはつり取っての補修が必要でしょう。建物が基礎に乗ってしまった後に発覚した場合は補修材を注入しての対応になるでしょう。
いずれにせよ、ひび割れの補修に関しては「ひび割れ補修工法の分類」というものが日本コンクリート工学協会から示されており、補修方法には基礎を作り直す程のケースは想定されていません。ただし地盤改良に問題がある場合はその限りではないでしょう。
そういえば、一条工務店は品確法の施行によって、基礎コンクリートの換気口を通気パッキンに変更しましたが、これは換気口周辺のヘアークラックが施工不良だと誤解を招く事を回避するためだと言われています。本来は問題がないものまで誤解を招かないように変更した事例と言えましょう。
アンカーボルトの曲がり・設置漏れ
住宅基礎のアンカーボルトには2種類あり、土台と固定する土台用のものと、壁と固定するホールダウンがありますが、アンカーボルトは基礎コンクリートを流すときに傾くと思った方が良いです。なぜかというと、アンカーボルト等は基礎の型枠に上部が器具で固定されていますが、鉄筋に固定する必要がないため、下部が宙ぶらりんな状態だからです。
アンカーボルト等は通常は下部が曲がっていて、コンクリートが固まると引き抜けなくなるようになっています。よって、基礎の鉄筋と結合する必要がないのです。そして、アンカーボルトの設計上の位置で鉄筋と接続しようとすれば、より配筋の設計が複雑になってしまい、木造住宅ではそこまでは通常は行いません。
コンクリートを流す際に傾いたアンカーボルトはコンクリート硬化後に真っ直ぐに修正すれば問題が無いと思いますが、バーナー等で焼いて熱を加えて曲げる事は焼き鈍しによる強度の低下と防錆の表面のメッキが剥がれるため良くないと思います。
アンカーボルトの位置が大きくズレた場合は無理やりズレたアンカーボルトのコンクリートをはつって台直しせずに、間違ったアンカーは切断して防錆剤を塗り、所定の位置に後施工のケミカルアンカーを打ち込んだ方が意味があると思います。また、アンカーボルトの設置漏れに関してもケミカルアンカーの設置が現実的でしょう。
アンカーボルトが指定の位置にないと土台と壁の設計上の決まった位置と接合できないため、曲がっているかどうかよりも構造計算上の正しい位置にあるかが優先する確認ポイントになります。よって、土台の継ぎ手部分などに土台用のアンカーボルトがあっては意味を成しません。
これは土台と接合するアンカーボルトです。打設時に曲がったのは分かりませんが特段修正の跡は見受けられません。表面の凸凹をサンダーで平にしている跡がありますが、これは土台を水平の乗せるためでしょう。
これは、壁とつなげるホールダウン金物用のアンカーボルトです。下部が少し曲がってますので、真っすぐに直した事がわかります。私は最初からコンクリートを流した際に傾くと知っていたので何とも思いませんが、始めて家を建てる方からみれば衝撃的ですよね。
工事中の雨
コンクリート打設中の大雨は良くありません。コンクリートの水分比率が増えて強度が下がってしまうからです。ただ、打設中は晴天より曇りの方が乾燥予防になり、打設して表面が硬化した後の雨は逆に好ましいと言えます。
コンクリートは乾燥によって固まる訳ではなく化学反応によって固まります。そして、化学反応により発生する水和熱による膨張と乾燥収縮からコンクリートのヒビ割れを守るためには保湿され水に浸かっている方が良いとされています。
養生期間中の画像です。雨が降ったためプールの様になってます。プールになるという事は基礎に隙間なくしっかり作られているという事です。日射による乾燥防止のためにブルーシートを被せていますが、土間コンクリートは硬化中にネコが足跡を付ける事が良くあります。
サーモグラフィーで測るとコンクリートが化学反応によって発熱している事がわかります。
基礎ベースの延長
基礎工事が終わるとエコキュートの貯湯タンクや室外機の基礎が設置されます。ぜひ、防蟻の観点から基礎底盤の打設と同時に一体でエコキュートの基礎も打設する事をお薦めします。
特に、玄関ポーチは防蟻の観点から建物の基礎ベースと玄関ポーチのベースを一体にしてコールドジョイントを無くし、地面と接する部分にタイル等を張らずに蟻道を確認できるようにコンクリートを露出する事をお勧めします。
画像はエコキュートの貯湯タンクや室外機の基礎を分離した打設ですが、コンクリートにコールドジョイントが出来るため、コンクリートが接着しているように見えますが強固には接着していません。ただ、最近ベースと一体になったという情報があるためご確認ください。
基礎巾木仕上げ
通常は、引き渡し前に基礎外周に化粧モルタルを施工する工程があります。
通常、基礎の型枠は使いまわしやすい金属の型枠を使っている場合が多いと思いますが、打設したコンクリートの表面をピカピカにするにはコンパネ板を使わないと難しいと思います。ただ、これは標準工事では指定できないです。
コンクリートを打っただけの打ちっぱなしの状態では、画像のように打ちっ放しの状態だと気泡やエクボがあります。工事中は基礎の立上り部分は雨が跳ねて汚れますので、通常は建物引き渡し前にモルタルや塗装をして化粧をしますが、この仕上げ工事に関しては一条工務店では基礎巾木という名称で、基礎巾木を取りやめると2万円程度ですが減額になります。
この基礎巾木が必要かどうかは見た目の問題が大きく絡みますので人それぞれの好みですが、防蟻の観点からはない方が好ましいのです。私は基礎は化粧せずに汚れたままで結構ですとお願いしました。
ただし、一条工務店の基礎巾木はモルタルではなくて樹脂塗装でしたらか塗膜の中までシロアリは入れないはずであり、塗装タイプの化粧については防蟻において問題がないように思います。
基礎巾木に関しては基本的にすべてのハウスメーカーがお客様ニーズに基づいてごく一般的に実施している事であり、一条工務店だけの防蟻がどうのこうのという問題ではありません。詳しくは防蟻の項目で説明いたします。