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エアコン1台全館冷房とは?
一条工務店のi-seriesには、さらぽか空調という全館冷房システムがオプションで用意されています。さらぽか空調はエアコン全館冷房のように間取りの考慮が必要ないことから優れた装備です。
さらぽか空調は除湿能力が高く操作が簡単ですが、建築時の初期費用が坪1.5万円程度であり、デシカント換気扇の電気代が高いことが施主が採用するにあたり経済的に高いハードルとなっています。
しかし、枠組工法・軸組工法ともに高性能な一条ハウスでは設計時に少しの工夫をすれば小型のエアコン1台で家中を少ない電気代で涼しくかつ除湿することが可能です。
世間では夏はエアコンをなるべく使わない生活が健康的で省エネであると誤解されていますが、そのような湿度をコントロールできない時代遅れな住宅情報の蔓延が、掃除や洗濯などの家事を重労働なものとしてしまい、室内での熱中症やダニアレルギーを生み出していると言えます。
一条施主においては冬は全館床暖房を行うため窓を開けることはないと思いますが、それ以外の季節に関しては必要に応じて窓を開け通風を行うこれまでの日本家屋と同じ生活を想定している方が多いと思います。
高気密高断熱住宅では窓を開けて換気をするために網戸を設置するかということがしばしば話題になりますが、私は二軒目の家でエアコン1台での全館冷房に成功してから、窓は全く開けないほうが高気密高断熱住宅の性能を一年を通じて発揮した省エネかつ健康で快適な生活が送れると実感しています。
これから注文住宅を建てようと検討されている方は何千万円もかける家作りですから、風通しを重視したこれまでの日本家屋の設計から脱却して、窓を閉めて家中の湿度をコントロールしてダニやカビを発生させない最先端の健康住宅を検討されてみてはいかがでしょうか。
全館冷房の目的はダニやカビの発生を抑制すること
しばしば、エアコンの連続運転と間欠運転は電気代がどちらが安いかという話に捉えられ勝ちですが、全館冷房の意義はもっと深いところにあります。
なぜなら、全館冷房はダニやカビの発生を抑制するための除湿が主目的であり24時間運転して除湿をしないことには意味がないため電気代だけでは比較できない健康面の対策だからです。
そして、高気密高断熱住宅においては窓の日射制御がしっかりとできていれば、エアコンを24時間利用しても電気代がこれまでの低断熱低気密住宅よりもかからないというメリットがあります。
また、エアコンの連続運転と間欠運転の比較においては、間欠冷房は殆ど冷房を使わない人とたくさん冷房を使う人の両方が含まれているため、電気代の比較においてもあまり意味がないと思います。
ダニは家の中の相対湿度を60%以下に維持すれば発生を抑制できます。ダニの糞や死骸はアレルゲンであり、鼻炎などのダニアレルギーはもとより、アナフィラキシーショックにより最悪は死に至る場合もあります。
夏季に除湿がされていない家では食糧庫に保存している開封したパスタやお好み焼き粉などに2週間ほどでダニが沸くと言われています。
ダニの糞や死骸といったアレルゲンは加熱してもなくなることはなく、ダニに汚染された粉ものを食べたことによって呼吸困難などを起こす場合があり、この現象は海外では「パンケーキシンドローム」と呼ばれています。
高温多湿な日本では古来からダニとカビの発生を抑制するために効果は不十分ではありましたが家の風通しや畳や布団を日干しをする重労働な家事を必要としてきました。
しかし、窓を閉めて家の中の湿度をコントロールすれば、ホコリが室内に入らずダニやカビの発生も抑制できるため、掃除や洗濯は重労働ではなくなります。
窓を閉めて生活することに反対する意見の方は、息苦しいとか、季節や自然を感じられなくなるとか、体がなまるなんてことを言います。
同じような話としては、洗濯に自動洗濯機が導入された当時も自動化に反対する意見はあったようですが、時代と共に自動洗濯機は必需品となっていきました。
つまり、どんな時代も新しいことをすると反対する意見がでますが、いずれ高温多湿な日本において、夏は高気密住宅の窓を閉めて除湿して生活することが最適であることに気が付くでしょう。
風通しだけでは高温多湿な日本においてダニの発生は抑制できません。布団を室外に干して日光に当ててもダニは布団の反対側に逃げるだけで効果がないことを知っている方も多いのではないでしょうか。
レイコップのようなダニを吸引する機械や布団乾燥機でダニを殺すなんて方法は室内のダニを丸ごと駆除できないのであれば焼け石に水と言えるでしょう。
つまり、窓を閉めて家の中すべてを除湿して相対湿度を60%以下に保つという方法だけが唯一ダニに対抗する手段であり、本当の健康住宅の条件なのです。窓を開けない生活は花粉症の方にも画期的な改善策となるでしょう。
高性能な家は小型のエアコン1~2台を使って少ない電気代で全館冷房が可能です。しかし、多くの方が高性能な家に住みながら、一般的な各部屋へのエアコン設置をしています。全館1台運転と各部屋間欠運転と比較すれば、将来の故障を含めたメンテナンス費用はエアコンの数が少ない方が有利なのは明らかです。
ダニとカビの発生を抑制するには常時湿度を60%以下に保つために連続運転が必要になりますが、冷房病を回避するためにエアコンを人から離れた場所に取り付けて運転すると寒くなく湿度の低い快適な空間を作る事ができます。
全館冷房は簡単に言うと、高気密な家の性能を利用して少ない電気代で家中を丸ごと除湿してしまおうという発想です。エアコンは家を丸ごと低コストに除湿できる優れた機械ですから、天気や時間を気にせず洗濯ができて押し入れに除湿剤も防虫剤もいらない生活が送れます。