エアコン1台全館冷房(除湿)

念のためにエアコンの予備穴を空けておこう

エアコン1台での全館冷房は、まず再熱除湿の付いたエアコンを二階の階段ホールか吹き抜けに、一階と二階の両方に冷気が落ちる場所に設置します。平屋の場合はエアコンからの冷気が人に直撃しない開放された空間に設置することになるでしょう。

何れの場合も、エアコンの下にコンセントを設けて、サーキュレーターを置いて冷気を思った方向に動かせるようにしておいた方が良いでしょう。

そして、念のために各部屋にエアコンの穴とコンセントを用意してください。仮に全館冷房が上手く行かなかったとしても、通常の家のように各部屋にエアコンを増設する事ができます。室外機の置き場所もご近所への騒音に十分に配慮してください。

また、二階の階段ホール等に設置する全館冷房用のエアコン1台の位置や向きに自信はない方は、エアコン配管の予備穴をもう1つ付けるぐらいの気持ちが必要だと思います。念には念を入れましょう。

エアコンの予備穴については、さらぽか空調を採用した場合も設計士さんから薦められると思います。数千万円も掛ける家作りですから、保険として数万円の出費を惜しまない方が良いと思います。

エアコンの運転方法

エアコン1台全館冷房のエアコンの運転方法は常識と全く異なります。まず、室内を相対湿度60%以下に保つためにエアコンは24時間稼働する必要があります。

そして、室温が上がる5月から窓の日射制御をします。梅雨に入り室内の相対湿度が60%を超えたら室内が寒くならないようにエアコンをドライ(再熱除湿)で運転します。

外気温が上昇して室内が暑くなる梅雨の中盤からエアコンを電気代の安い冷房運転に切り替えます。

二階の1台のエアコンで全館の室温を27℃にしたいのであれば、冷房運転での設定温度は23℃前後になります。25℃から初めて、各部屋の湿度が60%を切らない場合は設定温度を1℃ずつ落として試してください。

(参考)私は電気代を抑えるために梅雨の最中も再熱除湿を使わずに冷房運転で全館冷房していますが、梅雨の最初は室温が23℃程度まで低下して少し肌寒いため厚手の服を着て過ごしています。そしてなるべくカーテンをあけて窓から日射熱を取り入れて室温を上昇させるようにしています。

冷房運転の場合、風量は「最弱」にしてエアコンの熱交換器を冷やして結露させないと除湿量が足りなくなります。設定温度が高いほど省エネになりますが、温度が上がると伴に、除湿量が減るため相対湿度が上昇するでしょう。

お風呂上り等の暑い時は、短時間だけ他のエアコンを動かすと、そのエアコン内部にカビが生えるため、他のエアコンは使わずに消費電力の少ないDCモーターの扇風機利用をお勧めします。湿度が低い空間では扇風機の風がとても涼しく感じます。

エアコンの電源をOFFにする場合は必ず、エアコン内部のカビ発生防止のために送風運転か暖房運転でエアコン内部の結露水を乾燥させてから電源を落としてください。なお、私は5年間二階のエアコンを冷房と暖房で年間8か月運転していますが、エアコンはカビも生えず調子は良好です。

さらぽか空調は非常に快適だが電気代が高い

一条工務店にはさらぽか空調というオプションがあり、家中の相対湿度を40%台に抑えることができるため非常に快適な装備ですが、デシカントによる除湿方式であることから電気代がエアコン全館冷房の倍以上になります。

経済的に余裕がある方についてはさらぽか空調の採用は良いと思いますが、経済的に苦しい方はエアコン1台の全館冷房を採用すれば各部屋にエアコンを設置しなくて済みますからコスト的には非常にお得です。

そして、各部屋の中にエアコンを設置した場合は、空き部屋をエアコン運転専用ルームとして使うかリフォームでもしない限り全館冷房をする事は困難になりますから、高気密高断熱住宅では各部屋ごとにエアコンの計画をせずに、家を1つの空間として考えてエアコンを設置する必要があります。

1台のエアコンで全館冷房をする場合、設定温度は23℃前後になるため、エアコン周辺は冷えることから、人のいない場所でエアコンを運転する必要があります。

では設定温度を27℃等に挙げて複数のエアコンで全館冷房すれば良いのでは?と考えると思いますが、設定温度が高いとエアコン室内機が冷えないため除湿が進まない(エアコン室内機の中で結露しない)結果になります。

一条施主の中ではエアコンを利用した全館冷房が流行っているようですが、多くの方は相対湿度を60%以下に抑えられない全館冷房モドキになってしまっています。

その理由としてエアコンの設置位置が全館冷房に適していないため、エアコンからの冷風が人に直撃するような位置にあると、エアコンの設定温度が下げられず除湿量が不足するという結果になっています。

また、高性能な住宅では、狭い居室の中でエアコンの運転をすると直ぐにサーモオフにより低温高湿度な空間になります。

断熱性能が良い家では狭い空間でエアコンを冷房運転するとすぐに室温が下がってエアコンの設定温度に到達して、エアコンは除湿を止めてしまうのです。

この時に設定温度を下げ続けると室内が20℃、90%にもなります。多くの方は27℃程度の高い設定温度でエアコンが冷房と送風を繰り返す状態で生活していると思いますが、除湿が継続されていないため室内は湿度が60%を大きく超えてしまいます。

これを解消するには各部屋のエアコンを室温が下がらない方式の再熱除湿機能付きにする案もありますが、機器代が高額である事からすべての部屋に設置するのは難しいです。やはり高性能な住宅の狭い各部屋でエアコンを連続運転する設計は無理があると言えます。

各部屋に再熱のないエアコンを設置した場合は、間欠冷房運転と窓を開けて室温を調整する以外に方法がないと思いますが、その場合は室内の湿度を低く保つ事ができなくなり、ダニの発生の懸念や部屋干しでは洗濯物が乾き難くなるなどの影響がでます。

このように、高気密高断熱住宅はエアコンの機種(再熱除湿の有無)や設置位置が非常に重要なポイントになってきますが、大きな窓をたくさんつけるとエアコンの設置場所が思うように確保できなくなるので、最初からエアコンの位置は意識しながら窓のサイズや間取りを考える必要があるでしょう。

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