改良要望(断熱)

一条工務店への改良要望:断熱(2016年12月現在)

実際にi-cubeの工事を見て、気密施工は充分だと思いましたが、断熱に関しては断熱材が施工されていない断熱欠損が若干ある事がわかりました。全体のQ値から見れば大した問題ではなく、Q値の計算に含める必要はないと思いますが、カタログのQ値が多少の誇大広告になっていますから、カタログに断熱欠損部分が一部にあると注記を入れた方が良いのではないでしょうか。

ただ、仮に断熱欠損の影響がQ値を3%悪化させるとしても、それよりも家の形が長方形になり表面積が増える事の方がQ値への影響が大きいため、断熱マニアの方は断熱欠損の心配よりも家の形を正方形に近づける事に拘った方が良いと思います。

しかし、問題は断熱欠損がコールドドラフトの発生を招き、住み心地に影響するため玄関土間とユニットバス下の断熱欠損はぜひ優先的に改良して欲しいものです。

玄関土間(優先順位:高)

玄関土間は基礎コンクリートの底盤部分と基礎立上りの土間より上が無断熱になってます。底盤はすぐにでも断熱材を入れる事は可能ですが、基礎立上りの上部に断熱材を設置すると玄関土間が狭くなるため、内装の見せ方が悩ましいところです。

一条工務店の寒冷地仕様では玄関土間にも床暖房が入っているようですが、寒冷地や温暖地でも寒い地域では、冬季に玄関土間に結露が発生して玄関土間が結露水でベチャベチャになるそうです。

玄関土間は冬季にコールドドラフトの発生源となり一階リビングに冷気が流れて来る事と、毎日玄関土間が結露してないか気にするのは、精神的に宜しくありません。ぜひ、断熱材の導入を検討して欲しいものです。

ちなみに、スウェーデンハウスでは玄関土間は立上りや底盤にすべて断熱材を入れていて、玄関土間は水洗はNGで雑巾拭きを施主に案内しているそうです。

ユニットバス下の基礎断熱(優先順位:高)

一条工務店はユニットバス下はそこだけ基礎断熱になっています。さらに、一条工務店では浴室の床下にまで床暖房を設置しています。

ただし、基礎断熱の底盤と基礎パッキンと基礎天端の隙間が無断熱になっています。恐らく無断熱部分があるため、床暖房を入れないとユニットバスが冷えるからだと思いますが、根本解決を図ってはどうでしょうか。

ユニットバス下の断熱工法を見て、人通口に断熱された点検口を設置していましたが断熱欠損が多いため、勿体無いと思いました。ユニットバス下だけの基礎断熱だけではなくて脱衣所まで基礎断熱にすると良いと思います。

今回、現場を見学していて床の気密処理が現場では大変だと思いました。ユニットバス下と脱衣所下を一体の独立した基礎断熱にして、点検口は脱衣所の床に設ければサニタリーの気密処理が簡単になりますから、ぜひこれは実施して頂きたいものです。

また、浴室の温度低下対策として、ユニットバスの換気扇を給気タイプに変更して、浴室に隣接する居室の壁にガラリを設置してダクト経由で空気を取り入れ循環させると良いと思います。また、浴室での洗濯物の乾燥やカビ予防にも効果があると思います。この場合、排気換気扇はユニットバスではなく脱衣所に設置する事になります。

天井断熱(現状維持)

iシリーズの天井の断熱は天井根太の2×10材への充填断熱235ミリですが、天井の断熱材が分厚過ぎて断熱材を切り欠かないと配管や配線が取り廻せない状態です。

よって、天井断熱のすべてに断熱材の厚みが235ミリある訳ではありません。ただ、断熱性能は充分であるため、天井を高くして235ミリの断熱材を確保するといった改良をすると建物の高さが高くなってしまい北側斜線や道路斜線をクリアする事が難しくなる可能性があるため、改良は不要だと思います。

新仕様では天井もウレタン断熱材になって断熱性能が大きく上がった事から、ロスガードから各部屋のSAの間のダクトは、断熱材を薄くしてでもダクト径を太く直線的に配管した方が良いと私は思います。もう、天井の断熱性能は必要以上でしょう。

これ以上、天井断熱を強化するには、セゾン等のように桁上にも断熱材を設置する方法もありますが、建物の高さが高くなって道路車線等に引っかかる家も出てくると思います。天井断熱の強化は家の高さと換気ダクトの問題があるので難しいですね。

壁断熱(優先順位:低)

壁パネルの断熱材も天井の断熱材同様に配管や配線部分は3センチほど切り欠かれています。Q値全体に与える影響は軽微であるため、Q値計算に考慮はしなくて良いと思います。

工場で壁パネルに嵌め込んだ断熱材は壁の木材とほんの少しの隙間があり、これは特に問題ではないと思います。ただ、現場で嵌める壁下部の断熱材は現場施工で割れる事を恐れてか、隙間が大きい個体がありました。

他メーカーの発泡系板状断熱材の充填断熱用の製品を見てみると断熱材の形状が少し扇型になっていて、そこにスリットが付いた羽のような形になっていて、壁に押し込むとジャストフィットする製品もあります。

また、隙間の大きい個体に関しては、2ミリ程度の隙間では現場発泡ウレタンが充填できないため、現場で隙間を埋めるバックアップ材やウレタンのシート等を現場に消耗品として支給しておく事も手だと思います。

内部結露計算シートで計算してみると壁の断熱材の隙間があるからと言って壁内で内部結露するといった事はなく、むしろ室内から熱が逃げるため内部結露はし難くなる反面、熱損失が増えるという事になります。

ただ、グラスウール等の繊維系断熱材は防湿に隙間があると結露しますから、それとこの隙間が混同されてしまい兼ねない事を考えると、営業上は隙間を作らない方が誤解を招かず得策かもしれません。

しかし、壁の断熱欠損は住み心地に与える影響は少ないと思いますから、改良の優先順位としては低いと思います。

床断熱(優先順位:中)

床パネルに断熱材を設置している事から土台や大引きの部分には断熱材がない状態になってます。木材の断熱性能は断熱材の5分の1程度ですから、床はかなりの面積に断熱材がないという事になります。

一条工務店は壁や屋根に比べて床の断熱が弱い事を補うために、床暖房を設置しているのだと思いますが、もし改良するならば、いっそ床暖房と床断熱を止めて、全て基礎断熱にした方が断熱欠損が減り気密工事も簡単になります。

床断熱を止めて基礎断熱にすれば、土間や床面の配管の気密処理は不要になりコストダウンと施工が効率的になりますが、防蟻はさらに強化しないといけないため、工法としては基礎内断熱にせざるを得ないと思います。

床暖房があるから床断熱を選択しているという事かも知れませんが、床暖房は長期的にみて設備維持費が掛かるため、床下に壁掛けエアコンを設置した床下暖房が先進的なビルダーでは採用されています。

今後は床暖房と効果が同等で、使用するのはエアコンだけという、初期投資や設備維持費が少ない床下暖房が高気密高断熱住宅の世界では主流になっていくでしょう。YUCACOシステムというものもあります。

床下エアコンを導入する場合は基礎コンクリートの形状をフクビ社のコラムベースの様な形にするか、床下にファンやダクトを設置しないと、温度ムラが出来て、どの家でも床下エアコンが実現できないと思います。

余談ですが、基礎断熱は地熱住宅にも発展していて、基礎外周にスカート断熱している基礎外断熱の家は家の中が地中と同じ温度になりますから、本州では15℃、北海道では10℃程度までは家が勝手に温まるという事になります。シロアリ対策さえできれば地熱住宅は非常に魅力的です。

開口部の断熱性能(優先順位:中)

高性能な家では家の中の温度差に敏感になります。一条工務店は躯体の断熱を強化し過ぎている反面、開口部の断熱が追い付いていないと思います。もちろん、他ハウスメーカーの開口部よりは高性能です。

まず、玄関ドアですがK1.5(U値1.72W)ではもう役不足でしょう。窓のトリプルサッシが単体でU値0.8Wですから、U値1.0を切る玄関ドアが欲しいものですが、スウェドアなど木製のガラスなし玄関ドアは市場に存在しています。

玄関は面積の広い玄関ドアと断熱の弱い玄関土間が相まってコールドドラフトの発生源となります。温暖地の玄関土間にも床暖房を設置する事も手だとは思いますが、それよりは玄関に居室からの排気をファンで通過させる事が簡単な対策だと思います。

窓に関しては準防火地区ではトリプルサッシが使えないため、早く防火対応のトリプルサッシを用意して欲しいです。

ハニカムシェードの結露問題に関してはトリプルサッシの導入によってほぼ解消されますが、露点を意識せずに湿度を高くする施主も多いと思うため、防湿か防カビをハニカムシェードに施工すると良いと思います。

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