床下にカビが生えたけど大丈夫なのか?

家づくり知識

本日は床下のカビについてです。

結論から言いますと建築初年度はカビが生えても全く不思議はなく、そして何の対策もできません。来年になるのを待つだけです。そして、建物の耐久性に特段の影響がないことから建物の外側のカビの発生は心理的な問題だと言えます。

冷静に考えて欲しいのですが、漏水などの特殊な事情でなければ屋外空間である床断熱の床下に発生するカビがハウスメーカーの責任であるはずがありません。そして、屋外のカビの発生までハウスメーカーに説明責任があるのか微妙なところです。

これが我が家の床下に生えたカビです

上記画像は床下パントリーの枠となっている部分の木材です。木材の表面に青カビでしょうか、カビが生えています。

断熱材部分をアップで写した画像です。断熱材の白い部分が光って濡れているように見えますが濡れてはいません。

私は体が大きくて床下に簡単に潜れないため、床下点検口から覗くことしかできませんでしたが、恐らく大引きなどにも同様にカビが生えていると推測しています。

基礎コンクリートの底盤部分は触っても乾いていてカビらしきものは見つけることはできませんでしたが、コンクリートは調湿することと強アルカリ性なので、木材よりはカビが生えにくいのだと思います。

カビと木材腐朽菌は違う

国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所:木材腐朽のメカニズムとその防止から引用させていただくと、以下のように記載されています。

カビ汚染は,木材の表面を汚し,見た目を悪くする点で問題あるものの,その被害は木材のごく表面にとどまり,木材の強度性能にはほとんど影響を与えない。

ナミダダケ事件などのように、木材を崩壊させる木材腐朽菌は同じ菌であってもキノコの仲間であり、青カビや白カビとはまったく異なるものです。

 

木材の含水率が繊維飽和点(含水率約30%)以上になると腐朽の発生や進行の危険性が著しく高まると考えられることから,含水率30%を目安にするとよい。

心配な方は含水率計(廉価なものもあります)を購入されて測定されるとよいでしょう。含水率は腐朽菌繁殖に大きな影響を与え、常時20%を超えているとなると心配ですし30%超は危険だと思います。

 

木材が30%以上の高含水率になるケースとしては,屋外に置かれた部材や,地面に接した部材に加え,屋内であっても設計・施工不良や防水層の経年劣化により雨水が浸入してしまった場合や,結露水が浸入した場合などが考えられる。

通常の床下では考えにくい条件ですし、一条工務店の場合は床下にACQ加圧注入材を使っているため、私はカビが生えたからといって心配はしていません。

ただ、一点だけ懸念されるのは、現場で加圧注入された土台にアンカーボルトの穴あけ施工をしている部分です。一条工務店には今後、あの部分に対しての現場処理の実施を期待したいと思います。

住環境下における木材の含水率については、測定した季節がわかりませんが、長野県の資料がありましたので参考までにどうぞ。

建築初年度の床下の湿度は高い

7月下旬に一週間床下に設置したデータロガーで測定したデータの平均値は以下でした。

  • 床下の湿度(相対湿度) 93%
  • 外気の絶対湿度 19g/m3
  • 床下の絶対湿度 21g/m3
  • 床下の温度 25℃
  • 床下の露点(結露する温度) 23℃

一条工務店のような床断熱工法の場合、ベタ基礎に基礎パッキンでいくら通気しても床下の相対湿度は93%と非常に高くなります。

床下に基礎の通気パッキンから風を通せば乾燥してカビが生えないなんていうのはウソです。ウソというか通気すると床下が結露しにくいという程度で、結露しなければ乾燥していると言っているのでしょうか。

絶対湿度でみると、外気と床下で2g/m3の差があります。これは、建築初年度であるため基礎コンクリートから放湿していると想定されます。この放湿時の蒸発によって気化熱で基礎コンクリートの温度が低下します。

床下の温度は放湿時の気化熱と地熱によって冷やされている影響だと思いますが、外気温が高温になっても、24~25℃で安定していて、露点となる23℃にかなり近いですが、床下は手で触っても乾燥していて濡れていませんでした。

この状態は来年もしくは再来年までかけて基礎コンクリートから水分が抜けるまで続くものと想定されますが、木材の含水率が30%を超えるような条件下にはないと考えています。

床下に木炭や調湿材を設置しても無意味

梅雨から夏にかけて、外気の絶対湿度は膨大な量になります。例えば、エアコン全館冷房の場合においても、一日に室内から20リットル近く除湿しているため、外気の水分量は木炭や乾燥剤などが手に負える量ではありません。

カビが生えている表面をふき取ってアルコール消毒しても、菌糸は完全に死なずにすぐにカビは生えてくるようですから、焼け石に水でしょう。カビは湿度を下げること以外に有効な対策はないと思います。

同じように建築中に雨が降って建物内部の木材にカビが生えた場合においても、アルコール消毒等は見た目の問題であり、対策としてはひたすら乾くのを待つしかないということになります。

住宅に使われる乾燥材は1~2週間で元の含水率に戻ると言われていますから建築中に自然に乾きますが、心配な方は含水率を測ってください。

ただ、構造材へのカビの付着はカビ自体が建物の強度に影響をほぼ与えないということと、最終的に構造材の上に石膏ボードと壁紙が貼られますから室内にカビが戻ることはないだろうと思います。そして、そもそも青カビは室内側のどこにでもいるものです。

結論は待つしかない

一条工務店に限らず多くのハウスメーカーが採用している、床断熱+基礎パッキンによる床下換気においては床下のカビ発生を避けることは難しいと思います。

特に梅雨以降は外気の湿度が上昇するため、地熱により冷えている基礎コンクリートに、湿った外気が通気パッキンから流入すると空気が冷やされて床下の相対湿度が上昇するというメカニズムです。

さらに、建築初年度には基礎コンクリートから水分が蒸発して気化する際に、基礎コンクリートから熱を奪うため床下の温度がさらに下がって相対湿度が上昇するという二重の要因が重なります。

カビの発生を防ぐには基礎コンクリートからの放湿が終わり、基礎コンクリートの温度上昇と湿度が下がるのを待つしかないと思いますが、建築から二年はかかるといわれています。

床下のコンクリートに水が溜まっているような場合は別の要因があると思いますので、それが原因でカビが大量に発生している場合は対策が必要だと思いますが、床下が乾いているのであれば、青カビや白カビが生えたとしても心配はしなくてよいと私は考えています。

さて、床下にカビが発生したとしてもそのカビは室内には入ってきませんが、生活している室内でカビが発生すればダニも発生する健康被害が起きかねません。

生活する上で床下や構造材のカビの心配してもあまり意味がなくて、なぜなら、青カビや白カビのチーズがあるぐらい、この手のカビは日常のどこにでもいます。

さらぽか空調やエアコン全館冷房など、夏は家中を除湿して室内の湿度を60%以下に抑えてカビとダニの予防する方が床下や構造材のカビを心配するより余程重要だと思います。

建築時のカビを気にするのであれば、入居後にも家中を除湿して欲しいところです。

 

本日は以上でございます。

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