建築中のカビ VS 入居後のカビ

家づくり知識

初めて家を建てる方に不安な大雨

今年は台風と重なるという生憎のお盆ですね。家を建築中の方は台風接近により休工中の現場が心配なのではないでしょうか。

台風となると雨漏り、雨漏りとなるとカビの発生が心配ですね。ただ、カビはどこにでも存在して、どのハウスメーカーで建ててもいずれかの場所において発生するでしょう。

私は二軒目の家を在来工法で建てた時に雨で床の一部が濡れたことがあります。ただ、木は水の中では腐らないことと長時間含水率が高い状態でないと腐朽菌は繁殖しないことは知っていました。

そして、三軒目に建てた一条工務店のi-cubeという商品では、入居初年度の夏に床下にカビが発生しました。ただ、これは床断熱を採用しているどのハウスメーカーでも発生することです。

床下にカビが生えたけど大丈夫なのか?
本日は床下のカビについてです。 結論から言いますと建築初年度はカビが生えても全く不思議はなく、そして何の対策もできません。来年になるのを待つだけです。そして、建物の耐久性に特段の影響がないことから建物の外側のカビの発生は心理的な問題だ...

建物内部が雨に濡れることもカビが発生することも、健康上はまったく問題ないと思いますが、初めて家を建てる方にとっては何が大丈夫であるか分からないため心情的に不安になると思います。

枠組工法は建物内部が雨に濡れて当たり前

ツーバイフォー 雨 - Google Search

「ツーバイフォー 雨」とインターネットで検索するとたくさんが画像が出ていきます。

在来工法の家は柱を建てる工法であるため上棟日に通常は屋根の雨仕舞までされます。一方、枠組工法は壁を建てていく工法であるため、本来は屋根が設置されるまで時間がかかります。

ツーバイフォーの発祥地である北米は雨が少ないが日本は雨が多いから在来工法が良いと解説をしているプロがいますが北米という広大な地域が単一の気候であるわけがありません。

枠組工法においては大昔はクレーンなんてなかったと思いますから屋根が設置されるまで建物が何か月も雨に打たれては乾くという状態を繰り返しながら家が完成していったことでしょう。

そのため、枠組工法に用いられる構造用合板には「特類」という、雨にぬれても大丈夫な合板が利用されていて、一条工務店も特類の合板を採用しています。

しかし、一条工務店の枠組工法はパネルの形で工場から搬入され、2~3日で屋根までついてしまうことから、在来の軸組工法の上棟と勘違いする方が後を絶たないようです。

一条工務店の資料においても基礎工事の次の工程は「建て方」という表現をしていて「上棟」とは記載していませんが、一般的には上棟と言うため誤解が起きているようです。

私は二軒目の在来工法の時に若干の雨漏りを経験していますが、軸組工法の場合も雨にぬれてもすぐに乾燥するのであれば特類の合板は利用しなくても良いと思います。

建物内部が雨に濡れてしまったら

基礎コンクリートについては打ち終わった後であれば、雨が降って水につかった方が養生になることは最近の一条施主は理解していると感じます。

ひと昔前は基礎がプールになっていると大騒ぎする人がいましたが、最近はお見受けしませんね。

一番施主が不安なのは、上棟中および上棟後の雨によって建物内部が濡れることでしょう。屋根の防水シートであるルーフィングの設置前に雨が降ると雨漏りというかドバドバ雨が入ってきます。

i-smartなどの一条の枠組工法の家は壁の透湿防水シートは工場出荷時に設置されており、上棟時につなぎ合わされるため、屋根の雨仕舞が終われば雨漏りはなくなる構造になっています。

建築時に建物内部が雨に濡れても、基本的に後で乾かせば問題ないです。これは多くの専門家が述べていますので噂話に惑わされずにインターネットで調べてみてください。

ただ、心情的には初めて家を建てる方に家の雨漏りや雨ざらしなんてことが起きると心配で頭がパニックになって当然でしょう。

私はこれまでに注文住宅を四軒建て色々なトラブルに合っていますが、家の中が冠水するような雨には遭遇していません。そして四軒目の家の上棟の時、前日の天気予報では曇り一時雨でした。

私は雨漏りでショックを受ける施主と気持ちを分け合ってこれから家作りをする人のために「大丈夫だよ」と言いたくて大雨を期待しましたが、幸か不幸か上棟日は晴れてしまいました。

もし、雨漏りに遭遇した場合は含水率計を購入して含水率を測って科学的な安心を得てください。決して噂話やカビ駆除業者の営業トークに惑わされないでください。

一条工務店の床の構造用合板は特類が利用されていますから、そんな簡単に合板内部まで水は浸透しないと思います。長期間雨ざらしになって合板がふやけない限りは問題ないと思います。

いずれにしても、雨漏りは心情的なダメージが大きいため、ハウスメーカー・工務店の方は一刻も早く施主に報告して、水を抜いて早く建物を乾燥させていただきたいと思います。

カビは乾かすと枯れる

建築中に建物にカビが生えた場合、ふき取ったり消毒してもムダだと思います。条件が整えばカビはまた生えるため焼け石に水になるからです。

カビは乾燥させるしか対処方法はなく、乾燥して死滅した後についても色素は残ってしまいます。色素によって柱などが汚れてしまうため心情的にはふき取りたいと考えると思います。

ただ、石膏ボードの中に閉ざされる部分や床下については生活に影響のない場所ですから、ふき取る必要はありません。壁の中にカビの胞子が残りますがカビの胞子はどこにでも存在します。

一般的には雨ざらしになってしまった場合、水を掻き出してから窓をあけて扇風機をかけて乾燥させると思います。

しかし、一条工務店の工法では上棟後すぐに気密測定が可能であるため、空気が乾燥していない時期は、水を掻き出したら窓と玄関を閉めて除湿機を設置して運転した方が効果的だと思います。

家中を機械的に除湿してしまえば、天候に左右されることなく、家を乾燥させることが可能です。

キッチン下のカビについて

濡れたままの食器等を収納にしまう場合はキッチン収納の通気を確保しないとカビが生える可能性があります。上記はドアのストッパーを挟んでキッチン収納の通気を確保している状態です。特に建築初年度は建材の含水率が高いため収納の通気に注意が必要です。

私はキッチン下の収納の棚板にカビが発生する家と発生しない家があることに対しては生活スタイルの違いにあると思っています。なぜなら私は二軒の一条ハウスを建てていますが、どちらもキッチン下にカビは発生していないからです。

根本的な問題は夏に窓を頻繁に開けたりキッチンや浴室の換気扇を長時間回して、外部の湿った空気を大量に取り入れてしまう生活スタイルにあると思いますから、その場合は収納の扉は締め切らずに通気を確保した方が良いでしょう。

工事中に発生したカビについては入居前にふき取って、後は乾燥させれば良いだけです。ふき取るだけでは不十分と考える人もいると思いますが、それはあまり意味がなくて、なぜならカビの菌はどこにでも存在しているからです。

入居後の湿度管理をしていないにも関わらず工事中に発生したカビを欠陥のように思うのはいささか感情的な判断だと思います。もし、カビの発生を問題視するのであれば設計時にさらぽか空調やエアコンでの全館冷房を採用して家中を除湿すべきです。

恐らく、キッチン下のカビの発生については、食品を扱うキッチンということと、新居という新品にキズがあると納得できないという心情の話なのだと思うのですが、住み方によって発生するカビをハウスメーカーの責任にすることは無理があると思います。

もちろん、工事中に発生したカビについては内装に汚れが残っている場合については交換を申し出るべきですし、現場監督さんもそのつもりだと思います。

他のハウスメーカーの方が一条のキッチン下のカビについて誹謗中傷していますが、入居してから相対湿度を60%以下に抑えられないダニとカビが繁殖している家の方が欠陥住宅だと思いますよ。

それに、私が本気で各ハウスメーカーを計算に基づいて叩いたらすごいことになりますよ。

入居後は湿度管理をすべき

(出典:一条工務店

一条工務店の施主の場合は、夏はさらぽか空調かエアコンによる除湿を行うことで高気密住宅の性能を生かして家中を低湿度に保つことが出来ます。

空気中の水蒸気量は勝手には減りません。パーセントで表示される相対湿度は温度が上がると下がるため乾燥したように感じると思いますが除湿しなければ水蒸気の量(絶対湿度)は減りません。

初めて家を建てる方が建築中のカビに敏感になるのは仕方がないことだと思いますが、入居してからの家の中のカビの発生にはあまり神経質ではないような気がします。

恐らく入居後の生活については、これまでの生活で得た経験からカビが生えても影響が想像できるため神経質にならないのではないでしょうか。

ちなみに、家中の相対湿度を60%以下に保てば、洗濯物はいつでも部屋干しで乾きますし、カビやダニが繁殖しずらい環境になりますから掃除の頻度が減ってズボラ家事が可能になります。

相対湿度が低ければ、お風呂のカビ対策として燻煙剤を使ったり、タンスに防虫剤を置いたりする必要もなく、ダニを心配して布団乾燥機を使ったりレイコップを利用する必要もなくなります。

最後に

私には一条施主のカビ問題はポイントが若干ズレていると感じています。実質的に健康に影響ない建築中のカビよりも、入居後に室内で発生するカビに敏感になって欲しいと思います。

また、カビだけでなくダニ対策がとても重要でダニはシックハウス症候群の主たる要因ですからダニ対策としても室内の相対湿度を低く抑えることが重要です。

下の動画は粉ものを常温保存するとダニが増殖するという内容です。パンケーキシンドロームといって加熱しても消えないアレルゲンの経口摂取によって最悪は死に至る場合もあるようです。

家中の湿度を低く抑えてしまえば、開封した粉ものを冷蔵庫に仕舞わなくても良くなります。

 

建築中の雨漏りやカビについては心配ではありますが、噂話に惑わされずに色々な情報を分析して何が本当に問題なのか理解されると心安らに入居まで過ごせると思います。

入居後については湿度をコントロールしてカビやダニの発生を抑制をすれば非常に掃除が楽になります。ズボラな家事をしたい方は家中のドアを開けてエアコン1台で家中を除湿してください。

エアコン1台全館冷房(除湿)
この記事は長文であるため5ページに分割されています。 エアコン1台全館冷房とは? 一条工務店のi-seriesには、さらぽか空調という全館冷房システムがオプションで用意されています。さらぽか空調はエアコン全館冷房のように間取りの考慮が必...

 

 

本日は以上でございます。

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