全館冷房 エアコンのセンサーは全部停止しよう!

全館冷房

はじめに

エアコンはコスパ最強の除湿機です。私が提唱しているエアコン1台による全館冷房は冷房方式ではなく除湿方式だと思って記事を読んで頂ければと思います。

なぜ、私がエアコンの運転にここまで拘るかというと夏季に高温多湿な日本において家の中の湿度を低く保つと良い事がたくさん起きるからです。

家中の相対湿度を60%以下に保つことでカビやダニの発生が防止できます。カビが発生しなければお風呂掃除が楽になり、湿度が低ければ梅雨でも洗濯物が部屋干しで乾きます。

今年初めてエアコン1台による全館冷房に取り組む人にとって最初に立ちはだかる壁は梅雨の除湿不足という問題でしょう。このあたりは間取りによって難易度は異なります。

可愛そうですが、エアコン全館冷房では入居して最初に最大の難関が待っているのです。二年目は上手にエアコンを運転できると思いますが1年目の梅雨時期は思考錯誤が続くでしょう。

きっと、冷房シーズンが終わったころにエアコン1台による全館冷房とはそういうことだったのかと理解ができていると思います。これは経験してみないとわからないことです。

真夏になって外気温が上昇してしまえば冷房運転で家中が簡単に除湿できますが外気温が低い梅雨時期は冷房運転では家が冷え過ぎて設定温度を上げればサーモオフを起こして除湿不足になります。

さらに再熱除湿を使っても除湿不足に陥っている人がいます。この原因はエアコンの周囲が冷えてサーモオフを起こしているか人感センサーが働いてエアコンが休んでしまうことでしょう。

三菱の再熱除湿機能の付いたJXVエアコンだと除湿不足になるという人がいる反面、三菱のエアコンでもしっかり除湿できるという人もいます。

2020.06.26追記 北海道の一条ブロガーである、とりさんがJXVの冷房運転と再熱の自動切換え方法運転について方法を公開されました。除湿だと温度設定できないようですが、冷房・体感「入」にすると、温度と湿度を設定できるようになるそうです。

一方で再熱除湿の本家である日立のエアコンでもしっかり除湿が出来ている人と除湿不足になっている人がいます。

私は過去に小屋裏という狭い空間を使って小屋裏エアコンを成功させているためどんなエアコンでもどんな状況でもどんな間取りでも基本的には家中を除湿することができると思っています。

本日は私がどのようなテクニック(?)を使っているかご紹介します。

まずはエアコンのセンサーを全部停止しよう!

人感センサーが付いているエアコンについては人がいると一生懸命に動き出す反面、人がいないと省エネモードに入って除湿不足を招くと思います。

安定した除湿を期待するエアコン全館冷房では、センサーなどを止めないと除湿が安定しないという結果になる可能性があります。

三菱エアコンでは「ムーブアイ」、日立エアコンでは「くらしカメラ」という人感センサーなどが付いていると思いますが、人感センサー以外にも停止ができるセンサーは全部止めてください。

以下に一条工務店施主が良く設置するエアコンの取説のリンクを記載しておきます。エアコンのセンサーは複数の条件の場合に動くなど難しい制御が入っているため良く取説をお読み下さい。

三菱エアコン JXV 取扱説明書

日立エアコン Vシリーズ 取扱説明書

エアコンのセンサー類は止めて可能な限り自動運転を止めて手動でエアコンを動かしてください。そうしないとエアコンがどのように動いているか理解をすることが出来ないでしょう。

湿度が下がらない場合は問題を切り分ける

二階のエアコンを運転して一階リビングの相対湿度が60%を切らない場合、どんな問題があるのか1つずつ問題を切り分けて行く必要があります。

エアコンは外見からはどのように動いているか分かりません。問題を1つずつ切り分けしていくとエアコンというものが一般的に言われる動きとは全然違う動きをすることに驚くと思います。

まずはエアコンの吹き出し口に絶対湿度が見えるみはりん坊Wを設置して絶対湿度が11グラム以下になっているか確認してください。

冷房運転の場合、風量を最弱にして11グラム以上になっている場合は設定温度を下げてください。エアコン全館冷房を行う場合は吹き出し口へのみはりん坊Wの設置は必須だと思って下さい。

 

また、可能であればエアコンのコンセントプラグにワットチェッカーを設置するとエアコンがどの程度の稼働をしているか分かります。

必ずコンセントプラグの形をみてワットチェッカーを購入してください。三菱のJXVは6畳用と8畳用についてはプラグが一般的なII型であるため普及しているワットチェッカーが使えます。

なお、ワットチェッカーのメーカーによってはエアコンの接続をしないように記載してある場合がありますのでワットチェッカーのご利用は自己責任でご判断ください。

恐らく大型エアコンをワットチェッカーに接続してワットチェッカーが故障する事例があるのだと思います。

ただ、通常のワットチェッカーは1000Wまで利用できますから小型エアコンの場合はそんな大きな消費電力にはなりません。

エアコンは消費電力と吹き出し口の絶対湿度をみるとどのような状態で動いているか明確にわかります。

運転方法 状態 消費電力 吹出し口絶対湿度 除湿状況
再熱除湿 通常時 200W~300W程度 12g/m3以下
除湿不足時 13g/m3程度
サーモオフ時 0W~30W程度 16g/m3程度
冷房運転 晴天時 300W程度 12g/m3以下
夜間 100W~150W程度 13g/m3以下
除湿不足時 13g/m3以上
サーモオフ時 0W~30W程度 16g/m3程度

エアコンは設定温度に到達すると室外機のコンプレッサーを停止して除湿をやめて送風運転になる「サーモオフ」という状態になりますが、極力この状態にならないようにしてください。

運転が上手になるとサーモオフするギリギリの設定温度で省エネな運転をする方法がありますが、若干サーモオフしても家中の相対湿度が60%以下で収まるのであれば問題ありません。

エアコンを24時間連続運転するとエアコンに負荷がかかると考える人が多いと思いますが、6畳用のエアコンの定格消費電力は440W程度ですからそれより低い状態です。

つまり、エアコンは余裕の状態で動いています。Q値が1.0Wの家であれば、Q値が10Wの無暖房住宅を基準に畳数表示されている6畳用のエアコンは60畳(30坪)まで使えるからです。

風量は最弱+必要に応じてフィルターを追加する

除湿量を増やすために風量は最弱にして下さいと申し上げています。この意味を良く考えてみてください。

エアコンを通過する空気の量を減らせばエアコン室内機の熱交換器が冷えて除湿が進む反面、室温が下がり難くなるという意味です。

家庭用のエアコンは熱交換器が1つしかないため、除湿量が増えれば室温が低下せず、反対に室温が低下すれば除湿量が減るというシーソーゲームの関係です。

2011年の東日本大震災以降、エアコンメーカーは再熱除湿は消費電力が大きいとして再熱除湿を廃止するエアコンメーカーが大半になりました。

家の気密断熱性能を上げれば再熱除湿はたいした消費電力にはなりませんが、日本は家の性能を上げずに家電の性能でリカバリーしようとする国民性であると言えるでしょう。

この意味を良く考えて下さい。省エネエアコンと言われるものは消費電力が少なく家を涼しくするには、除湿を軽視して温度を下げているというシーソーゲームの関係に気が付けるはずです。

エアコンが運べる冷房エネルギーの量は以下のように計算から明らかです。

0.35(空気の容積比熱) × 風量 ✕ 温度差

この式をじーっと見て下さい。エアコンには風量と温度の設定しかない事がわかるため、この2つをどのように組み合わせれば温度と湿度が変化するか考えて下さい。

エアコンメーカーが省エネ性の指標であるAPFを向上させる手段は風量を増やして温度を高く設定するという方法であり過去にあったエアコンメーカーの性能偽装は爆風モードの利用でした。

エアコンが吸い込む空気の量が増えてさらに設定温度が高ければ熱交換器はますます冷えなくなり除湿量が減少して消費エネルギーは室温低下に利用されることになります。

エアコンの設定温度を27℃にして風量自動という運転はまさにエアコンメーカーが推奨するAPFの良いエアコンの使い方です。

高気密高断熱住宅では室温を下げることは少ない消費電力でできるため、設定温度が27℃ではすぎに室温が設定温度に到達してサーモオフしてしまうため電気代が安くなるというからくりです。

単純にいうとAPFを良くする省エネなエアコンの運転とは除湿を切り捨てているということです。省エネ競争の弊害が除湿を切り捨てるという状況を招いています。

しかし、高気密高断熱住宅のエアコン全館冷房に必要なものは少しの室温低下と大きな除湿量ですから、省エネエアコンと逆の運転をすれば良いということに私は気が付きました。

必要に応じてエアコンの給気口に市販のエアコンフィルターを増やす方法はエアコンの熱交換器を通過する風量を絞るためです。フィルター追加作戦で除湿不足が解消する場合もあります。

ただ、省エネに反する室温が大きく低下せずに湿度が大きく下がる運転をするには少ない温度低下で家が涼しくなる高気密高断熱住宅が必要なのです。

世間的には省エネではないエアコンの運転をすることで除湿量を増やすわけですが、この常識的には効率が悪いエアコンの運転をカバーするために家の性能と窓の日射制御が必要だということです。

その状態の高気密高断熱住宅はエアコンを間欠運転する一般的な性能の住宅よりも、24時間エアコンを連続運転しているにも関わらず消費電力が少ない状態になります。

常識的なエアコンの運転を効率的に行うという言葉は室温を少ない電気代で下げるという意味だと思いますが、その運転では湿度が下がらないため私からみると効率的ではない運転です。

折角、高気密高断熱住宅に住むのであれば家の性能を冬以外にも使った方が良いと思いますが、多くの方は面倒なことは苦手だと思うので各室エアコンを選択することでしょう。

ただ、家全体を低湿度に保つことはメリットが大き過ぎるため、i-seriesで間取り優先ならさらぽか空調、それ以外であればエアコン1台全館冷房に挑戦してみてはと思います。

風向きは下でなくても良い

基本的にはエアコンの風向きは下にして下さいと申し上げていますが、この理由をよく理解してから各家の間取りの中でどうすべきか考えてみてください。

風向き下についてはエアコン周りの室温を下げないようにするという意味です。エアコンには温度センサーがついていますから周囲の温度が下がったと感じとると運転をやめてしまいます。

広い吹抜けに面した場所にエアコンを設置している場合はエアコン周囲の室温は下がり難いことから、風向きは下にする必要はありません。

ただ、エアコンの周囲が吹抜けほど開放されていない場合は風向きは下にして冷気を床に垂れ流すことでエアコン周り(特に温度センサー周り)の室温を下げないようにしてください。

この冷気をそっと床に垂れ流すということが重要で冷気を掻き混ぜると室温は均一になりますが、エアコン周りが冷えたり、温度差を失って冷気が家の隅々まで広がらなくなります。

エアコンのすぐ前に壁がある時にその壁にエアコンの冷気が当たり跳ね返ってエアコン周りの室温を下げているようであれば、風向きを変えたり整流板を設置するなどの対策をしてください。

どのようなケースであってもエアコン周囲の室温を高くしてエアコンのサーモオフを防止するという観点は変わりませんから、各家に応じてエアコンの風向きをアレンジしてください。

エアコンの設定温度は23℃を基準に寒ければ上げてください。ただし、設定温度を上げ過ぎるとエアコンは設定温度が室温に到達したと判断して運転を止めて送風運転になってしまいます。

エアコン全館冷房の極意はエアコンの周辺の室温を設定温度より高くして、エアコンが常時稼働し続けて除湿を維持する状態を作ることにあります。

サーモオフが収まらない場合はエアコン周りの室温を測ってみることをお勧めします。エアコン周りの室温がエアコンの設定温度より低ければサーモオフします。

再熱除湿の限界

外気温が20℃のような状態では冷房運転では寒いため再熱除湿機能が欲しいところです。

ただ、外気温が20℃を下回る状況やエアコンの周囲が解放されていない場合は再熱除湿運転であってもサーモオフを起こして除湿不足になってしまう場合があるでしょう。

外気温が低い時は室内が寒くても良いなら冷房運転に切り替えて設定温度を23℃以下にすると除湿は可能だと思います。室温を上げるために窓から日射熱を取り入れると良いでしょう。

ただ、この運転方法は省エネではあるものの肌寒くて服を着こむ必要があるためあまりお薦めしません。

その場合は省エネなコンプレッサー式の除湿機をお買い求め下さい。ホース付きの連続排水できる機種がありますから、脱衣所に除湿機を設置して浴室から排水されると良いでしょう。

家の中を低い湿度に維持するために、中には二階のエアコンで除湿しながら床暖房や一階のエアコンを動かす人がいますが、消費電力が増えるのでこれは最後の手段だと思います。

さらぽか空調やダイキンのカライエは消費電力が大きいものの梅雨時期の除湿に苦労しないという大きなメリットがあります。

消費電力で言えば、エアコン冷房運転<エアコン再熱除湿<除湿機<さらぽか空調・カライエとなるでしょう。私にとっては風量を絞った冷房運転と弱冷房(ドライ)は同じものだと思います。

再熱除湿は不要で除湿機があれば良いのではないかと考えると思いますが、除湿機の廃熱が室温を上げてしまうため寒い日以外に除湿機を利用すると家が暑くなってしまいます。

なお、温暖地の自宅では家の中が多少寒くても省エネ優先で再熱除湿も除湿機も基本的には利用していませんが家の中の相対湿度は60%以下に出来ています。

最後に

入居初年度の夏はエアコンという機械の動きを常識的に考えてしまうため、むしろ常識的な考えがエアコンを使いこなす邪魔となってしまうかも知れません。

常識的にはエアコンの設定温度27℃、風量自動、シーリングファンON、浴室換気扇ONといったことが省エネとか効率的と言われていますが、その真逆を行うですから理解に苦しむでしょう。

例えるならば、エアコン全館冷房は高速道路を時速100キロで低回転で運転しているような燃費の良い状態で、常識的なエアコンの運転は街乗りの発停を繰り返す燃費の悪い運転です。

ただ、速度が速い=燃料を沢山消費すると考えてしまう人もいるのではないでしょうか。エアコンでいうならば設定温度が低い=消費電力が増えるという誤解がまさにそれに当たります。

本体の機器代の安い小型のエアコンを使いますから、自動車で言えば軽自動車のようなものでしょう。軽自動車は坂道が苦手ですし急ブレーキ・急加速の運転は燃費が悪化しますよね。

だから、高気密高断熱住宅でのエアコン運転は小型のエアコン利用して24時間低回転で熱交換器をキンキンに冷やして除湿量を増やしながら省エネに連続運転する方法が必要になってきます。

そして、最近のエアコンには人感センサーなどによって運転が自動で変わる余計(?)な制御が入っているため、センサー類は全部止めた方が良いです。

窓を閉めてエアコンを運転している状態の高気密高断熱住宅ではエアコンのお掃除機能などは必要ないです。1シーズンに1回フィルターを手で掃除すれば十分でしょう。

エアコンに絶対湿度計とワットチェッカーを設置すればエアコンが設定温度や風量に応じてどのような動きをするか立体的に見えてきます。

私はエアコンの動きというブラックボックスを自力で解明していったわけですが、絶対湿度の知識とワットチェッカーがなければできなかったでしょう。

今はこのノウハウを全てインターネットに公開していますので私のような苦労はしないと思いますが、私が辿ってきた道を知っていただくことで、より早くゴールに到達できるでしょう。

このノウハウは通常は企業秘密として公開されないレベルのものだと思いますが、この知識は私の二軒目の家を建てた住宅依頼先には当時はノウハウがなく、私が自己責任で行って得た知識です。

ちなみに松尾さんの小屋裏エアコン方式のように家の至るところにエアパスファンがある方式とは違ってファンを使って空気を掻き混ぜずに温度差で家中に冷気を行き渡せる方式です。

エアコンはまったく常識と異なるすごくシンプルな動きをします。なぜこのエアコンの挙動の理解に苦しむかというと先入観があるとシンプルすぎるものは逆に理解が難しいのだと思います。

エアコン1台で全館冷房をしたい方は、新居に入居する前から現自宅のエアコンにみはりん坊Wを設置して、事前に知識を深めておくことをお勧めします。

 

本日は以上でございます。

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