まぼこさんによる平屋全館冷房に対する考察

まぼこさん、全館冷房の成功まずはおめでとうございます。

いま、冬の全館床暖房に匹敵する快適さを手に入れて、一条工務店で家を建ててよかったと感じてらっしゃることと思います。

”http://www.maboko.net/air-conditioning-03/″

 

5月から今まで設定に色々と悩んだことでしょう。平屋で「再熱除湿」ではなく「冷房運転」で全館冷房がよく出来たものだと感心しますし、一条工務店の床暖房に標準で付いてくる「RAYエアコン」を使っての全館冷房ですから、他の施主においても工夫次第で全館冷房は可能であることを示しています。

私は引っ越すたびに家を建てるという習性があるため、結果として今までに注文住宅を3軒建てていますが、実は平屋の経験はないのです。そこで、平屋で全館冷房に取り組んでいたまぼこさんには非常に期待をしていました。

そして、私はわかりやすい文章を書く事が苦手で、私のブログを難解だと感じる方が多いのではないかと思っていますが、まぼこさんがわかりやすい文章で全館冷房の仕組みを解説して下さって大変助かりました。ここにお礼を申し上げます。

さて、今回まぼこさんのブログを拝見していて、平屋の全館冷房のノウハウを学ぶと共に、その成功要因と新しい発見について考察したいと思います。

 

「まぼこ式」平屋全館冷房 三種の神器

「まぼこ式」平屋全館冷房に必要なのは、サーキュレーター、みはりん坊W、エアコンフィルターでしょうか。

全部買っても1万円程度だと思いますので、非常にリーズナブルに全館冷房ができます。私は色々な機器を使って全館冷房の状況をブログで紹介していますが、成功への最短距離はこの装備で十分のようです。

そして、エアコンの吹き出し口に付けた「みはりん坊W」の絶対湿度が12グラム以下になるように設定温度を変えるということだけを守れば家中を除湿する事が可能となる訳です。まぼこさんって、みはりん坊W何個もってるんでしょう。。

 

 

 

エアコンがRAYで良かった

毎年モデルチェンジを繰り返すエアコンは、APF(通年エネルギー消費効率)競争をしていて室温重視で湿度軽視であるため、除湿量が減っているようです。

ある意味、古いタイプのエアコン(=除湿量の多い)であるRAYエアコンがまぼこさんの家のリビングにあったということが全館冷房をする上で良かったと思います。

ご本人は後で振り返ると寝室に設置した燃費の良い日立の小型エアコンをリビングに付ければよかったと後悔されていましたが、私としてはRAYエアコンで成功した方が意義が大きくて、他の一条施主においても工夫次第で全館冷房が可能であることを示してくれました。

ZEHを採用した際のエアコンであるダイキン工業のAXシリーズには再熱除湿機能がないことから、もしかしたらAXシリーズだと相当工夫しないと除湿量が稼げなくて全館冷房は難しいかも知れません。どなたかレポートして下さると助かります。

全館冷房には再熱除湿がついたエアコンが最適だと思います。再熱除湿が付いているメーカーは冷房運転であっても除湿量への配慮をしていると思いますが、そうでないメーカーは温度を基準としたAPF競争にしか興味がないのでしょう。

高気密高断熱住宅用のエアコンはAPFよりも再熱除湿が付いているかで選ぶ必要がありますが、最近は再熱除湿機能が付いたエアコンは、日立、三菱、富士通、長府の上位機種しかないと思います。APF競争でどんどん撤退するメーカーが増えています。

再熱除湿が付いていないエアコンの「ドライ」は燃費の良い冷房運転の改良版であるため、基本的には湿度が大きく下がらず温度を少ない消費電力で下げるセッティングのエアコンが多いでしょう。このように「ドライ」の意味はエアコンの機種によって大きく違います。

日立は再熱の特許を多数抱える本家ともいえる立場なので今後も再熱機能を維持して欲しいですが、他のメーカーが再熱から撤退した場合、室温が下がりやすい高気密高断熱住宅に適したエアコンがなくなりエアコンでの除湿が難しくなります。

幸いにも長府はモデルチェンジを頻繁に繰り返すメーカーではないため、このまま高気密高断熱住宅に合ったエアコンを提供してくれるものと期待しています。みなさん、長府製作所を大事にしましょう。

 

 

RAYエアコンの設定温度が判明した!

今回のまぼこさんの取り組みで全館冷房時における、RAYエアコンの設定温度がわかりました。

私はRAYはやや大型のエアコンなので25℃~26℃程度が室内が冷えすぎずに除湿ができる設定温度かなと思っていましたが、意外と小型エアコンと同じで23℃~24℃が最適な設定温度であることが分かりました。

RAYの冷房性能ではZEHの審査に通らないため、RAYは燃費が悪いというイメージがあります。確かにAPF競争をしているエアコンに比べればそうです。ただ、除湿量÷消費電力という指標がもしあれば、最近のエアコンより優秀であると思います。

家の大きさによっては除湿量を増やすために、さらに設定温度を下げる必要がありますが、まぼこさんは24℃設定だと時折りサーモオフになっているようなので、どの家においても、まぼこさんの設定温度を基準に考えて良いと思います。

また、梅雨の時期に室温低下やサーモオフによる除湿量が不足する場合は遠慮なく「再熱除湿」を使うということはその通りだと思います。やはり、快適性の向上や除湿の必要性は多少のお金に代えがたいメリットがあります。

エアコンの運転方法はエアコンの吹き出し口に「みはりん坊W」を設置して、その絶対湿度が12グラム以下になるように設定温度を変更するだけという、シンプルな方法をされていました。まずは「みはりん坊W」を購入すべしということですね。

RAYエアコンでの全館冷房に際して心配していたのが、200Vのエアコンなのでワットチェッカーが一般に売られていないということでしたが、まぼこさんはワットチェッカーを使わなくても全館冷房ができてしまったようです。

 

 

間取りはどう影響した?

平面図を拝見すると、エアコンの付いているリビングはエアコンの横方向に向かってキッチンがあり、開放された空間が大きく確保されていると感じます。平屋でも横方向が解放されていれば真夏はサーモオフが回避できるという新たな発見がありました。

エアコンの横から暖気が廻り込める間取りの場合、エアコンの下にサーキュレーターを設置せずエアコンの風向きを上にあげてもエアコン周辺が冷えずにサーモオフが防止できるかもしれませんが、まぼこさんの家ではどうなんでしょうか?

ただ、風量を絞ったまま風向きを上にあげてしまうとリビングの人の上に冷気が落ちて寒いのかも知れませんね。この辺りは各家の間取りによって変るわけですが、結果的にエアコンの周辺の温度が下がらず人に冷気が直撃しなければどんな方法でも良いわけです。

そして梅雨は「冷房運転」だと室温が下がり過ぎると書かれていました。二階建ての我が家は梅雨の最中でもなんとかサーモオフせずに「冷房運転」で全館冷房が可能ですが、同様に室温は23℃程度まで下がって少し寒くなります。

また、まぼこさんの記事を読んでいるとサーモオフが起きているなと感じる記述があります。ワットチェッカーを付けていないため、即時で気が付けないですが、エアコン吹き出し口の絶対湿度がたまに14グラム程度になっているという部分です。

エアコンの設定を変更してから、時間が経つと吹き出し口の状態が変わると記述しているのは、アルミフィンが冷えるまでのタイムラグを指していると思いますが、これもワットチェッカーがあると分かります。

ただ、ワットチェッカーがなくても、この動きが分かってしまうというのは、似たような事例としてタコメーターがないマニュアルでもあっても感触で運転はできますから、私がワットチェッカーに頼り過ぎていたということなんでしょうね。

このサーモオフが少し起きるけど、相対湿度が60%に収まっている状況は、消費電力が少ない状態ということを表しているはずなのでベストな状況なのですが、このポイントをエアコンにワットチェッカーを付けずに見つけたということが私には驚きです。

私がブログに書いた「後付けのエアコンフィルター」が功を奏したことには驚きましたが、やはり平屋は室温低下とサーモオフしやすいことから、より工夫が必要なんだと理解ができました。

 

 

平屋の方が二階建てより全館冷房が難しいと思う理由

通常はリビングにエアコンを設置すると思いますが、これが全館冷房では問題を引き起こします。冷気が人に直撃して寒いのです。

二階建ての場合、暖かい空気は勝手に上昇して二階の天井付近に集まりますから、そこにエアコンを付ければ良いという単純な発想ができます。そうなると人がいない階段ホールや吹き抜けといった答えが自ずと出てきます。

二階の高い位置にエアコンを付ければ、エアコンからの冷気が一階と二階の床に沿って流れて、その分の暖かい空気が一階と二階の天井経由で上昇するという「温度差換気」が成り立ちますから、私はサーキュレーター等は利用していません。

私のブログには、エアコンの下に扇風機を置いたり、エアコンにフィルターを被せた画像を載せましたが、過去にやったことがあることを再現しただけで今はやっていません。もしかしたら、まぼこさんがここで躓くのではないかと思って載せた次第です。

平屋は上下に空気が移動する高さが稼げず、室温は床と天井で均一化してサーモオフしやすいため、全館冷房の難易度が高いだろうと心配はしていました。そして、「サーモオフ」と「冷気の人への直撃」は必ず課題となると思っていました。

ただ、ご本人は短期間で課題をクリアしてしまうため「平屋だから簡単だったんだ」と、考えているようですが、ロフトにエアコンがある平屋ならともかく、平屋のリビングのエアコンですから二階建てより難易度は高いはずです。

恐らく一番難易度が高いのは狭小住宅の二階建てにおける、一階リビングに再熱除湿がないエアコンがある、狭い空間でかつ熱が集まらない場所にエアコンがあるパターンですが、それでも工夫すればなんとかなるかも知れません。

そして、まぼこさんはエアコンの下にサーキュレーターを設置して空気を撹拌していましたから、なぜサーモオフにならないのか不思議でしたが、答えはエアコンの横が開放されている空間であるということだと推測しています。

平屋で全館冷房が難しいと思うのは、エアコンの設置場所をどこにするのかという問題ですが、横に開けた空間となるとLDKのどこかになるでしょう。

ただ、キッチンに設置することは難しいでしょうから、必然的にダイニングかリビングということになりますが、ここは人が居住する空間ですから、エアコンからの冷気が人に当たってしまいます。

その回避策をどうするんだろうかと思っていたのですが、まぼこ式では、エアコンの下から冷気をサーキュレーターで撹拌して人への直撃を避け、かつサーモオフ防止のためにエアコンに冷気が戻らない角度とし、さらに横方向からエアコンに暖気が廻り込む方式のようです。

そして、仕上げとして、除湿量を増加させるためにエアコンにフィルターを付けて風量を絞ることで、除湿量を増加しながら冷風の温度を上げている方法のようです。

平屋においても、スペースに余裕があれば人に冷気が直撃しない開放された場所にエアコンを設置すると良いと思いますが、なかなかそんな場所はないですよね。設計段階に冷気が家全体に流せる場所でそんな場所が確保できれば良いのですが。。

一方、二階建ての一階にエアコンがある場合の全館冷房は、一階の床面積が広くない家の場合は冷房運転だと一階が冷えすぎてしまう可能性があり、さらに工夫が必要になる可能性がありますが、一階の床面積が広い場合は問題ないと思います。

エアコンの位置や間取りによっては、どうしても全館冷房ができない場合があると思いますが、多くの方はリフォームなどをせずとも、全館冷房できるのではないかと思う次第です。ぜひ、興味のある方は取り組んでみてください。

 

 

マンションでも全館冷房は可能なはず

「まぼこ式」はある可能性を示しています。それはコンクリート造で気密性能が良いマンションは同じやり方で全館冷房が可能だということです。マンションはいうなれば平屋の集合体なわけです。

一条工務店施主のブログをマンションをお持ちの方が見に来ることはないと思いますが、日本中の多くのマンションが全館冷房できる可能性があるということになります。

エアコン1台を上手に24時間運転する方法を知るだけで、熱中症から救われる人がどれだけいるのかと考えると、テレビで紹介されても良い程の革命的な話なのですが、戸建の技術がマンションに伝わるのは難しいのかも知れませんね。

ただ、床面積が小さいマンションでエアコンを運転すると夜間に室温が下がって難しいと思いますから、ファミリータイプの大きな空間があるマンションであれば、まぼこさん方式で全館冷房が可能となるはずです。

昔、知人のマンションに遊びに行った際に、まぼこさん同様にエアコンを使うとリビングが冷えすぎるという悩みをもっていて、エアコンを掛けながら寒さ防止のために窓を少し開けるという、ビックリするようなエアコンの運転をしている方がいました。

当時の私はエアコンに詳しくなかったので、アドバイスができませんでしたが、そんなことをしなくてもサーキュレーターの利用やエアコンにフィルターを付けるなどすれば室温の低下が緩和できることをまぼこさんが証明してくれました。

エアコンにフィルターを付けるの意味ですが、エアコンを通過する暖かい空気が減らせば、エアコン内部のアルミフィンが冷えるため除湿が進み、除湿側にエネルギーが取られるということは室温が下がらないということになります。

家庭用のエアコンはエネルギーを温度除去か湿度除去かに割り振っている機械なので、片方を増やすと片方が減るという関係にあり、同じ消費電力であれば除湿を増やせば温度は上がるということになります。

 

 

最後に

私がもしもう一軒家を建てる事ができるのであれば、一条工務店で平屋を建てたいと思っています。

ただ、お金がないでしょうから「さらぽか空調」は搭載せず、ほぼ標準装備のままの家になるでしょう。その時にRAYエアコンの「冷房運転」で全館冷房が可能なのかという、悩みがありました。

今回、まぼこさんがそれを実証して下さったので、その点の悩みが解消したことと、私が考えていた全館冷房の仕組みは平屋にも応用が可能であることがわかり、恐らくマンションにも適用できると思います。

もし、全ての高気密な家が再熱除湿で24時間冷房をすると国全体で見れば消費電力が上昇してしまうでしょう。ただ、冷房運転であれば消費電力は大きく変わらずに熱中症を予防できることを示唆しています。

そして、一条工務店で家を建てなければ、私は多くの人に全館冷房のやり方を伝えることができなかったと思います。そういった意味においてもコミュニティの大きい大手ハウスメーカーを選択すると面白い事があるわけです。

本日は以上でございます。

 

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