全館冷房始めました 2020年

全館冷房

はじめに

私は小型エアコン1台での全館冷房のやり方を公開しています。最近はInstagramを中心にエアコン全館冷房に取り組んだ人のレポートとこれから全館冷房に取り組む人が増えています。

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一条工務店の軸組工法にはさらぽか空調の設定がないため、最近増えているグランセゾンユーザーがエアコン1台全館冷房にチャレンジするケースが増えています。

最初に申し上げておきますと、全館冷房の目的は家中の相対湿度を60%以下に抑えてダニやカビの発生を予防することであって、冷房効果はオマケです。

無理に家の中のエアコンを1台にする必要はなく各部屋にエアコンがあっても構いません。家中を低湿度に保っておいて不在の時は各部屋のドアを開けて各部屋を除湿するだけでも結構です。

また、家中の相対湿度を低くすれば梅雨でも夜でも洗濯物が部屋干しで乾くため、天気や時間を気にせずに洗濯ができることから、家事負担の大幅な軽減につながります。

二階建ての場合、二階の階段ホールや吹き抜けに設置するエアコンはコスパ最強の除湿器であって、冷房装置と思わない方が私の提唱する全館冷房を正しく理解できると思います。

つまり、室温調整のために各部屋にエアコンを設置しても構いません。ただ、上手に設計すると結果的に小型のエアコン1台で家中の冷房まで賄えてしまうケースが大半だということです。

エアコン1台全館冷房については多くの方がその目的と実際の効果および運転方法を誤解していると思いますので、本日は実際の運転模様をご紹介したいと思います。

そして、これから家を建てる方が一番興味があると思われるドアを閉めた状態でエアパスファンを利用して在宅勤務を行った際の部屋の温湿度についてレポートします。

冷房運転の運転状況について

梅雨入り前の6月10日における南関東の自宅のi-cubeの状況をレポートします。最近は温暖化で梅雨入り前に軽く冷房運転をすることが当たり前になってきました。

私が小さい頃は昼は水を飲まずに部活動で運動をしたり、夜は窓をあけて風を通せばそれなりに涼しく寝る事ができたものですが、もはやそんな時代ではないようです。

以下の画像は二階階段ホールの6畳用のエアコン1台で冷房運転をしている状態での一階リビングの状況です。室温25.7℃・相対湿度55%に対して外気は32℃・相対湿度は48%の状況です。

エアコンの設定温度は23℃で風量最弱・風向き下です。設定温度が27℃とか風量自動では盛夏には除湿量が足りなくなると思います。

また、室内外の相対湿度を比較して外気の方が乾燥していると考える人は絶対湿度で室内外の湿度を比較することを知ってもらえれば外気の方が湿気が多いことが分かると思います。

この日は福島県の会津若松で36℃まで気温が上昇して梅雨入り前に猛暑日が観測されており、日本は本当に気候が変わったと思いました。

私が発見したエアコンの運転方法をF式(フエッピー式)全館冷房と称しますが、通常は不可能と言われる壁掛けエアコンを使った冷房運転で相対湿度を60%以下にすることが可能です。

細かいのノウハウはブログをよく読んで頂きたいと思いますが、一言で言えばエアコンの原理を理解して風量を絞るということで、必要に応じてエアコンのフィルターを増やすこともあります。

 

以下は二階階段ホールの冷房運転のエアコンの吹き出し口の状況で、絶対湿度が9.3gと表示されています。吹き出し口のみはりん坊Wの絶対湿度が12g以下になっていれば除湿できています。

 

外気が32℃の状態における冷房運転の消費電力は297Wでした。夜間は消費電力が200W以下に減りますが、仮にこのままだとしても0.297kW✕24時間×30日×@27円=5773円/月の電気代です。

 

そして、以下が在宅勤務中の部屋の中です。8畳の部屋で70m3/hの風量のエアパスファンを運転して終日ドアを閉めて在宅勤務をしていましたが、室温は27.3℃・相対湿度は55%でした。

全館冷房は快適過ぎると言われる場合がありますが、ドアを閉めた部屋の中では正直やや熱いぐらいで汗をかきますが、湿度は低いため私は扇風機を併用して過ごしています。

もちろんドアを少し開ければ廊下から涼しい空気が入って来ますが、在宅勤務中でテレビ会議もあるのでこの日はずっとドアをしめて仕事をしてみました。

エアパスファンを135m3/hのものにすれば廊下側から冷気をもっと取り込んで室温が下がることは分かっていますが、風量が大きいとエアパスファンの音も大きくなるので悩ましいところです。

窓の日射遮蔽をしっかり行って不在時はドアを開けて部屋を冷やしておけば、エアパスファンがなくても何とか扇風機でしのげるということがエアコン全館冷房の実態だと思います。

汗を少しかく位が健康的だと思うのであれば涼しい廊下から部屋に通気しなければ良いので、エアコン全館冷房はドアの開閉量とエアパスファンの使い方でお好みの状態を作ることができます。

再熱除湿の運転状況について

高原に建つ私のセカンドハウスであるi-smartでは外気温が低いため梅雨は再熱除湿を使わないと寒くて仕方ありません。高原は湿度が低いなんていうのは俗説で高原は低温高湿度な空間です。

外が涼しければ窓を開ければ良いではないかと思うでしょうけど、窓をあければ室内がダニとカビだらけになるため窓を閉めて除湿をすることが簡単なダニとカビの予防になります。

以下は梅雨入りした6月13日における除湿前の状態です。室温は25.8℃ですが相対湿度が63%になっているため、この先の天気を考慮するともはや限界だと判断してエアコンを運転しました。

 

以下が再熱除湿を利用した状態での室内の状況です。外はどしゃ降りの雨ですが、室内は24.1℃・相対湿度50%というとても快適な状況になりました。再熱除湿はめちゃくちゃ快適です。

 

以下は日立エアコンですが再熱除湿23℃で60%の設定で運転しています。再熱除湿で消費電力を減らすにはヒーターを極力使わないように設定温度を低くすることですね。

 

再熱除湿の状態の消費電力は200Wでした。一ヵ月の電気代で換算すると0.2kW✕24時間×30日×@27円=3,888円/月の電気代です。再熱だからといってとんでもない電気代にはなりませんよ。

外気温が低い時は再熱除湿を利用しないと冷房運転では室温が低下して寒くなってしまいます。ぜひ一条ハウスの性能を信じて電気代にビビらないで梅雨は再熱除湿を使ってみてください。

電気代の安い冷房運転のまま窓のハニカムシェードを上げて日射熱を取り込んで室温を上昇させる手段もありますが天気が悪い日が続くとそうもいきません。

再熱除湿は電気代が高いと思いこんで二階のエアコンを冷房運転して一階のエアコンを暖房運転するようなケースを見かけますが、消費電力を測ってみてください。たぶん、損してます。

また、室温が低すぎる時は再熱除湿でも除湿しきれない場合があるため、比較的電気代の安いコンプレッサー式の除湿器を利用すると除湿器の排熱で室温も上昇するため一石二鳥です。

一般的な除湿器は水捨てが面倒ですが、ホースを使って連続排水できる機種がありますから脱衣所に除湿器を設置して浴室から排水すると良いと思います。

カライエという選択肢

(出典:ダイキン工業

カライエとはダイキン工業が発売している排水不要のデシカント除湿器であり、一時期製造中止になりましたが、久々に名前を変えて再発売されました(設置にはエアコンの穴が必要です)。

カライエ2台で丁度さらぽかの除湿能力と消費電力に匹敵します。実売価格は1台5万円程度なので床冷房を除けばさらぽか空調を入れるよりリーズナブルに家中を除湿できると思います。

さらぽか空調を導入するお金はないけどエアコンで再熱除湿を利用したり除湿器を利用する運用は難しいと思う方は梅雨時期は脱衣所等にカライエを設置して使うのも良いかもしれません。

その場合はコストバランスを取るために、二階の小型エアコンは再熱のない一番安いものにして、一階の脱衣所などにカライエを1台設置すると良いのではないかと思います。

エアコン1台による全館冷房を行うにはエアコン全館冷房に適した間取りと運転についての勉強が必要ですから、それが面倒だと思う人はさらぽか空調の採用ががベストだと思います。

私は興味本位で自宅のi-cubeにさらぽか空調を搭載しましたが、さらぽかは外気温が低くても相対湿度を40%台に出来る優れた全館冷房装置ですが消費電力が若干多いため今は使ってません。

また、さらぽか空調を採用すれば無条件に快適になるというのは間違えで窓の日射遮蔽をしなければ床冷房だけでは特に猛暑日は室温が調整しきれないため、さらぽかを採用した場合も二階の階段ホールに1台エアコンを設置した方が良いと思います。

カライエはデシカント除湿器であり、1日に10リットルの除湿量ですから梅雨は良くても盛夏には2台の運転が必要になりますから盛夏にはエアコンによる除湿に切り替えた方が良いでしょう。

その場合においても二階の階段ホールにエアコンを設置すると良いと思いますから、結局はされぽかでもカライエでも二階の階段ホールにエアコンが1台あると便利だと思います。

各部屋エアコンの弊害

高気密高断熱住宅ではエアコンの間欠運転も連続運転もそれほど電気代が変わらないことが分かっていますが、分かっていても快適な冷房計画を実践するのは難しいものだと思います。

寝室などの各居室のドアを閉めてエアコンを冷房運転する方法は失礼ですが空調設計としては下の下策というか無策な状態です。各部屋エアコンは住み心地としては一番良くないでしょう。

各部屋のドアを閉めてエアコンを運転すると高気密高断熱住宅では室温が下がって相対湿度が上昇する現象が起きますから、寒くて湿った状態になります。

連続運転をしてしっかり除湿しようとすれば部屋が寒くて仕方がないため、エアコンを高い設定温度で運転したり、エアコンをつけたり切ったりする必要が出てきます。

エアコンの間欠運転は除湿が不十分となりカビやダニも発生しやすく、エアコンの電源をつけたり消したりすればエアコン内部がカビだらけになるでしょう。

各居室に高額な再熱除湿エアコンを設置して上記の状況を回避する案もありますが、機器代が高いことと再熱除湿付きエアコンでも狭い部屋ではサーモオフを起こします。

高気密高断熱住宅の各居室にエアコンを設置する方式では家中を低湿度に保ってダニやカビを予防したいと考えても実現できません。

家族の理解が得られなくて階段ホールにエアコンを設置できない場合はエアコンの予備穴だけでも設けておいた方が良いでしょう。

全館冷房にチャレンジしたいと考えて一階と二階のエアコンを27℃設定で動かしている人を見かけますが、外気の絶対湿度が高い盛夏には除湿不足になるでしょう。

まずは各部屋にエアコンの予備穴を設けた上で吹き抜けや階段ホールに設置した小型の再熱エアコン1台で住んでみて、不足があれば各部屋にエアコンを設置してはいかがでしょうか?

カビやダニが発生しても問題ないと考えるのであれば、上記のような家作りは必要ありませんが、せっかく新築で家を建てるのに家全体の湿度管理ができないのは勿体ないなと思います。

ただ、高気密高断熱住宅では暖房計画は簡単でも冷房計画は最難関であるため、冷房計画まで含めた間取りを考えられる人は極めて少数だと思います。

このように難しい冷房計画を解決する1つの手段として私はエアコン1台による全館冷房を提唱しているわけであり、完璧に実現できないとしても個室エアコンよりは格段に快適です。

梅雨から秋にかけて家中を除湿や冷房する必要はないと考える人もまだまだ多いと思いますが、そう考えるのであれば逆に冬季の全館暖房も必要ないのではないでしょうか?

最後に

30坪程度の家なら6畳用のエアコン1台で家中が涼しく除湿されるなんて信じられないという人はプロにも多いと思いますが、それなら一条工務店の断熱気密性能は何のためにあるのでしょうか?

また、みはりん坊Wのような絶対湿度計が普及していない現状ではまだまだ外が涼しい時間に窓を開けて冷気を取り込むといったナイトパージが良いと思われているでしょう。

温暖化が進む現代において湿度まで含めて計算するとナイトパージはごく短期間のみ有効な、ほぼ百害あって一利なしの状態で、体感が快適でもダニやカビの発生させては意味がありません。

高気密高断熱住宅における最難関と言われる冷房計画。C値が0.3というような超高気密が出せる地場工務店でもまだ冷房計画をしっかりできる会社はほぼないと言われています。

全館冷房は各部屋を涼しくするという面と家中を除湿をしてダニやカビを防止するという2つの側面があってこれが冷房計画を難しくしています。

冬に全館暖房の快適さを知ってしまった人はそれ以外の暖房方法は許容できなくなると思いますが、全館冷房も同じで、一旦それを知ってしまうとそれ以外はあり得ないと思えてきます。

空調については暖房も冷房も各自が自由に行えば良く、何が正解ということはありませんが、コストカットをしつつ快適な生活を送りたいのであればエアコン1台全館冷房をお勧めします。

昔のように夜に窓をあければ涼しいという時代でもなく、空気は田舎であっても花粉やPM2.5に汚染されていますから多くの住宅では防犯面を考えても窓を開けない生活が良いと思います。

ただし、それは高気密高断熱住宅のセオリーの1つであって、もし自宅が田舎の景勝地にあったのなら私はセオリーを無視して窓をあけて過ごしているかもしれません。

 

本日は以上でございます。

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