さて、全館冷房を開始して1週間が経ちました。
この記事について、紛らわしいため事前に説明しておきますが、我がi-cubeは実家(新居)でして現自宅は地場工務店で建てた別の高気密高断熱住宅(旧宅)です。ただ、親は仕事を引退しているためローンの関係から家の名義は両方私になっています。
ダイキンのプレミアム冷房を試してみた
我が家のエアコンはダイキン製です。最近のダイキンの上位機種には冷房運転にデシクル制御を用いた「プレミアム冷房」なる機能が採用されていて、設定温度に達しても除湿が継続されると記載されています(再熱除湿ではありません)。
(出展:ダイキン工業)
上記図の左側「従来の制御」が、まさに高気密高断熱住宅で起きているサーモオフによる室内が低温高湿になる現象です。性能が良い家はエアコンを使うとすぐに冷えて室温がエアコンの設定温度に到達してしまい除湿ができない状態になります。
室温だけが下がると空気が収縮して相対湿度は上昇します。さらに、換気装置から高湿度な外気が給気されてくるため、室内の相対湿度はどんどんあがり、90%にも到達するケースもあるようです。
これは一条工務店に限らず全ての高気密高断熱住宅共通の問題であり、窓を開けて風を通せばカビの発生は抑制できますから、家の欠陥とまでは言えないと思います。そして、一条工務店はさらぽか空調という回避策を用意しています。
ただ、窓の日射制御やエアコンのサーモオフなどかなり前から高気密高断熱住宅には問題が指摘されていることと、お金を多く掛けなくても、その回避ができることを多くの方に知って欲しいです。
そして、カビは湿度が80%台から増殖すると言われています。多くの方は窓を開けてこれを回避していると思いますが、窓を開けても外が高湿度な梅雨以降は、ダニが増殖する相対湿度60%以下に抑えることが難しいです。
この状況を「プレミアム冷房」は果たして打破できるか、好奇心旺盛な私は今回試してみることにしました。
結果的には除湿量が不十分でした
こちらは一階リビングです。右から2番目の温湿度計の相対湿度が64%になってます。除湿量が足りてません。
先週末の運転開始時点で、i-cubeのエアコンの設定温度は21℃設定で全館の除湿ができる事が確認できました。そして、22℃に設定変更してもエアコンのドレン管からは、そこそこ水は出ていましたが、全館冷房には足りない除湿量だったようです。なお、我が家のドレン管には気密向上とゴキブリ侵入防止のためにイナバ電工の「おとめちゃん」がついています。
もちろん、冷房運転において27℃や風量自動などの設定は室温に満足しても除湿量が不足します。
設定温度を下げたら湿度が下がった
さっそく、冷房運転のエアコンの設定温度を21℃に戻した結果、除湿が進み相対湿度は60%以下となりました。
右側の湿度計をみると、エアコン吹き出し口の相対湿度が96%になっていて大量に除湿していることを表しています。
この画像の消費電力は186Wですが、しばらくすると安定して130W台になっていました。仮にずっと186Wならスマートライフプランの平均電力単価が24円程度ですから、3200円/月程度ですが、実際はそこまで消費電力は多くならないと思います。
0.186W×24時間×30日×@24円=3,214円
ダイキンのエアコンは低負荷時のCOPが良いですが、「プレミアム冷房」なる新機能は、個室にエアコンをつける場合や低気密住宅向けの機能なのだと思います。全館冷房には除湿量が少ないため合っていないようです。
プレミアム冷房はもしかして少ない消費電力で除湿が大量にできるのかなと淡い期待をしたのですが、やはり熱交換器の温度が低くならないことがわかったので、家全体を除湿するほどの力はないようです。
しかし、ダイキン社の名誉のために言っておくと、そもそも6畳用のエアコンでの全館冷房にプレミアム冷房が使われるなど想定外だと思います。
ついでに自宅も全館冷房開始しました
もう、7回目の全館冷房なので最適な設定温度はわかっていますから簡単に除湿できます。
全館冷房開始前の一階のLDKの相対湿度は66%です。そして、二階のエアコンを風量最低の冷房運転で23℃に設定します。
4時間ほど経過して相対湿度は54%まで下がりました。室温はほぼ変化していませんが、空気が乾いて肌がベトベトしなくなり非常に快適になりました。まさに適温低湿で、洗濯物も部屋干しで良く乾きます。
そして、これが7年目のエアコンの内部です。夏は24時間ずっと結露水が発生しているため、さすがにサビが出ています。
さらにアップの画像です。まったく掃除をしたことがないですが、ほこりやカビは目視できません。
我が家は梅雨から秋に入るまで24時間エアコンを止めません。それは湿度を常に60%以下に抑えてダニの発生を防止したいということと、エアコン内部にカビが発生しないようにエアコン内部を冷やし続けているからです。
エアコンを止めたい場合は送風運転をして、エアコン内部を乾かしてから電源を落とさないと、結露水が内部でカビの発生原因になってしまい、次回にエアコンを使った際にそのカビがエアコンの風で拡散されてしまいます。
最後に
今回、「プレミアム冷房」なる新しい機能を試してみようとして設定温度を上げましたが除湿量不足になりました。
やはり、2011年の東日本大震災以降の電力不足を解消するために新しく登場したエアコンは温度を省エネに下げることが目的になってしまい、湿度管理を重視した再熱除湿を放棄していることを確認できました。
旧宅では23℃までしかエアコンの設定温度を下げたことがなかったのですが、新居にて21℃まで下げたことについては、そこまで下げないとアルミフィンの温度が下がらず除湿が進まない仕様だからです。
ワットチェッカーで消費電力をみていると、プレミアム冷房の場合は21℃まで設定温度を下げないと消費電力が全然上がりませんでした。最近のエアコンは電子制御が働いて除湿が得意ではない機種が増えています。
やはり、エアコンは再熱除湿のついた震災前の除湿機能を維持している日立や三菱などの上位機種を選定し、昔ながらの除湿量の増やし方(冷房運転で風量を絞る)を実践したほうが良いと思います。
意識すべきは単純に吹き出し口に設置した湿度計の相対湿度が90%程度になっているかということです。エアコンの設定温度は常識とは異なり、エアコンの風量は最も弱くして除湿量を増やしましょう。ただ、それだけです。
相対湿度100%で空気中の水分は結露しますから、吹き出し口の相対湿度がそれに近ければエアコン内部で除湿が大量に進んでいます。全館冷房は難しく考えると上手くいかず、単純に考えると上手くいくと思います。
本日は以上でございます。