エアコン1台全館冷房に対応した間取りとは?

全館冷房

はじめに

初めて家を建てる人は間取り集というものをみると思います。

ただし、高気密高断熱住宅はエアコンの設置場所や運転方法はこれまでの家とは全く異なるため、間取の作り方はこれまでの家の間取りとは大きく変えた方が省エネで快適になります。

夏は家中を除湿して相対湿度を60%以下に抑えればダニやカビの発生しない空間が作れますが、それを少ない電気代で作れることが高気密高断熱住宅の特権と言えます。

ただ、高気密高断熱住宅はエアコンをこれまでの家のように各部屋に設置して運転すると以下のように除湿不足若しくは寒くて不快な思いをします。

住み心地 設定温度 風量
除湿不足で高湿度 27℃前後 自動
冷え過ぎて寒い 25℃前後 自動

エアコンはQ値が10Wのような無暖房住宅を基準に畳数が表示されていますから、Q値が1.0W前後の一条ハウスでは簡単にいうと6畳用のエアコンは60畳用(30坪)の能力があることになります。

つまり、図面にエアコンの位置が考慮されず、図面に示されていない間取り図は高気密高断熱住宅では利用できない間取り図ということになるのです。

床暖房やさらぽか空調のように間取りを問わない冷暖房方式の場合は別ですが、冷房および暖房を計画するにおいて、エアコンを快適に使いたければ間取りを変える必要があります。

そこで、高気密高断熱住宅に適した間取りのサンプルを作ってみましたので、本日は高気密高断熱住宅に適した間取りについて解説したいと思います。

高気密高断熱住宅のセオリー

高気密高断熱住宅は窓から熱が大量に出入りします。逆に言えば屋根や外壁などは断熱性能が高いため、あまり熱が出入りしません。

冬季は窓から日射を沢山いれて、それ以外の季節は窓から日射熱を入れないと省エネで快適な生活が送れます。具体的にいうと以下のようにこれまでの家作りと相当に違います。

項目 これまでの設計方法 高気密高断熱住宅のセオリー
建物の形状 コの字や凸凹している 凸凹の少ない真四角か少し長方形
窓の大きさ 全方向の窓を大きくする 南側以外は小さくする
窓の個数 付けられるだけ窓を設置する 南側以外は少なくする
軒や庇 設置しない(軒ゼロ住宅など) 南側は設置する(シェードも可)
エアコンの設置場所 各居室の中 廊下やホールなどの広い場所

エアコン1台全館冷房に適した間取り(参考)

以下に私が間取り作成ソフトで作った、高気密高断熱住宅における小型エアコン1台による全館冷房を計画する際の参考間取り図です。

私は既に家作りにおいて窓を開けた風通しというものは全く考慮しません。風は当てにならないということもありますし、夏は窓を開けても熱風しか入ってこない時代になっているからです。

そして、窓の日射制御が出来ていれば春や秋といった中間期は家の中は暑くならないため窓をあけなくても過ごせます。

窓を開けるかどうかは自由ですが春は花粉症の季節であり、国民の4人に1人が花粉症という実情を考えると窓を閉めても生活できる家を作る必要があると思います。

今回作成した間取りは冬季に日当たりが抜群に良いという条件で作成しましたので、都市部では冬季に日射が当たらない窓を大きくしても暖房費用はむしろ増えてしまいます。

夏季に備えて南側の大きな窓には軒やアウターシェードなので日射遮蔽をしますが、それ以外の方角は窓を極力小さく少なくし、採光が目的の窓は高く設置してください。

それでは、間取り図を例示していきますが、赤い四角の場所がエアコンの設置場所です。念のため各部屋のエアコンの位置も記載してあります。

二階建て

丁度、30坪の住宅です。窓については採光基準に引っかかる場合は適宜追加が必要です。玄関庇としてアーバンルーフを設置したかったのですが、間取り作成ソフトに庇がないみたいです。

 

二階は以下のように階段ホールにエアコンを設置する場所を設け、再熱除湿機能のついた小型エアコンを設置します。エアコンがサーモオフしないようにエアコンの周囲は広くとってください。

 

一階は猛暑日に備えた補助エアコンを設置しますが、再熱除湿がない機種でも結構です。一条工務店の施主の場合は、床暖房付属のRAYエアコンでも良いでしょう。

一階の窓にはバルコニーがない場合は夏季に日射遮蔽のためにシェードを設置する金具(アイプレート)を設置してください。今はアイプレートはオプションに設定されていると聞いています。

 

隠ぺい配管が無料なRAYエアコンですが、RAYエアコンをキャンセルすると4万円の減額になります。持ち込みエアコンは露出配管になるためどちらがお得か計算するよ良いでしょう。

なお、小型のエアコン1台を24時間運転すると負荷がかかってエアコンが壊れやすくなると思うでしょうけど、24時間運転は平らな高速道路を走っているようなものでむしろ負荷は低い状態です。

平屋

26坪の平屋です。平屋の場合は二階てのように人が長居しない階段ホールなどのスペースがないためリビングなどで人が居ない広い空間に向けてエアコンを設置してください。

 

エアコンは再熱除湿付きの小型エアコンとして、冬季の補助冷房としての利用を考えるようであれば、以下のように冬に冷え込む玄関ホールに向けてエアコンを設置してください。

 

隠ぺい配管が無料のRAYはキャンセルすると4万円の減額となります。露出配管での設置となる持ち込みエアコンと比較してどちらがコストメリットがあるか計算すると良いでしょう。

なお、エアコンを24時間運転すると負荷がかかるのではなく、平らな高速道路を走っているようなもので負荷が低い状態での運転であるからこそ消費電力が少なくなるのです。

間取り作りのポイント

間取りを作る前に隣家の影を含めて冬季に購入する土地のどこに陽が当たるか確認してください。日当たり君という無料ソフトがありますので、これを使うとだいたいの日当たりが分かります。

【無料】日当り君
はじめに 明けましておめでとうございます。昨年末に発売した私の家作りの本については沢山ご購入いただきましてありがとうございました。 さて、今年のブログは以下を目標を掲げようと思います。 長文はやめる(自分が疲れるし読者も疲...

真四角で総二階の家は外壁量が少ないため家から逃げる熱が少なくなります。ただ、冬季に一階まで日射がしっかり当たる家は、日射熱と熱損失を天秤にかけて考える必要があります。

暖房代は日当たりが大きく影響しますから日射が長時間あたる場所に窓を配置しますが、冬季に一階まで日射熱がしっかり当たる家は家の形を少し横長にして南側の窓を増やした方が良いです。

冬季に一階まで日射がしっかり当たらない家は、家を凸凹させないようにしてなるべく真四角の総二階の家を目指しましょう。ただ、絶景が見える土地などはその限りではありません。

間取り作りではツーバイ工法のルールには40m2以内で区画された空間の長短比は4以下とあるため、4マス✕10マス=20畳のLDKを軸に家全体を考えると良いと思います。

1部屋の上限が40m2とした場合、5m✕8mを基準に間取りを作るという考え方もありますが、床面積が小さい場合は4マスを基準に間取りを考えた方がデッドスペースが減ると私は思います。

4マスの幅というのは人間の身体的なサイズからみて丁度良く住設や家具などが配置できるサイズです。この間取り作りの感覚は床面積が小さい場合の軸組工法でも有効だと思います。

例えばキッチンの幅は2.7m程度ですが通路を入れると4マスは必要です。浴室と脱衣所は合わせて4マスあるのは標準的です。このように4マスずつで考えると住設がうまくハマります。

また、32坪の家において4マスの倍の8マス✕8マスの総二階の建物は黄金比とも言えるもので、8マスを4分割して間取りを考えると上手に間取りが作れます。

このように4マス単位で間取り作りをしている人はツーバイの設計ルールにも抵抗感がないと思いますが、フリーに間取りを考える人の前には一条ルールが立ちはだかってしまうと思います。

また、階段は二階の真ん中に登るように計画すると、二階の廊下が短くなるため坪数が増えてしまいコスト的に苦しくなっている人は外壁側に階段を寄せない方が良いでしょう。

ハウスメーカーの設計士さんは施主の希望を叶えることが仕事ですから、あまり間取りを押し付けることもないため坪数が増えてしまう傾向にあると思います。

間取りは廊下などのデッドスペースを少なくして建築費用を抑えたい場合と、ゆとりのある廊下などの空間が欲しいという人に分かれます。

私は都市部の狭小地で家作りをしてきたことから、回遊しない廊下が短い間取りを良しと思ってしまいますが、間取り作りは人それぞれで正解はありません。

また、300万円予算が足りずに一条工務店を諦めたなんて言う方がいますが、300万円ぐらいなら間取りを上手に作ったり、仲介手数料をカットするなどすればコストカットできると思います。

最後に

時間に余裕ができたらエアコン1台全館冷房対応の間取り集を電子書籍で出そうと思っているのですが、沢山間取りを作らないといけないため、なかなか気持ちが乗りません(´;ω;`)

ということで、本日はその一部を公開しました。

私はバルコニーは防水のメンテナンスが必要であるし、エアコン全館冷房をすれば家中が低湿度になるため、洗濯物は部屋干しで乾くことからバルコニーは不要だと言ってきました。

そして、最近は換気扇のあるトイレや浴室に窓は不要だと思っていますし、窓がなければ外壁に面してトイレやお風呂を設置する必要がなくなることから、間取りの自由度が上がります。

私はInstagramでエアコンの設置位置について相談を受けていますが、トイレを部屋内に設置されている人を見かけるようになりました。

高気密高断熱住宅は窓をしめて換気扇を回すことで、窓を開けた換気よりもむしろしっかり換気ができることから、南側以外は採光目的以外の窓はもはや必要ないと思います。

ただ、南側以外であっても綺麗な景色が見えるといった場合は例外ですから、その場合は冬季の冷え込みや夏季の日射熱の対策をして間取りを作れば良いと思います。

 

本日は以上でございます。

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