【無料】日当り君

考察
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はじめに

明けましておめでとうございます。昨年末に発売した私の家作りの本については沢山ご購入いただきましてありがとうございました。

さて、今年のブログは以下を目標を掲げようと思います。

  • 長文はやめる(自分が疲れるし読者も疲れる)
  • 出版した本の補足をする
  • 初めて家を建てる方が気が付けないことを書く
  • ズボラ家事の推奨(時間的余裕を楽しむ家作り)

ということで、初回は家の日当たりについてです。土地を買う時に南道路の土地を買えば日当たりが良いと考えると思いますが、それだけでは家の日当たりは確保できないという話です。

私が建てた一軒目の家は自動車を沢山欲しいという若気の至りの発想から駐車場スペースを広くとってしまったため、冬は絶望的な日当たりの家になってしまいました。

南側の隣家との距離は相当に必要

これまで私のブログでは日照計画について南側の二階建ての隣家と必要な距離について以下のように述べてきましたが、画像がないと分かりにくいですよね。

二階建ての隣家との距離 一階の日当たり 二階の日当たり 対応
6m × 吹き抜け南側に大窓を設置
12m

冬季に窓から日射熱が取れる家は暖房費用が安くなりますが、住宅が密集している都市部では一階の窓から冬季に日射を取得することは困難だと言えます。

南道路の土地を買ったとしても、4.5メートル道路や6メートル道路では冬季に自宅一階の窓から日射熱が取得できるか油断ができないところです。

また、窓からの採光と日射熱の取得は少し異なります。北側の吹抜けから採光をとるケースがあるとおり、採光に関してはハイサイドライト(高窓)を採用すれば反射光が取れます。

文書で書いていても伝えにくいため無料で家の日当たりが簡易的に分かる、住宅性能診断士ホームズ君「日当り君」にて解説したいと思います。

有料のソフトの場合は室内側から見た日射のシュミレーションできますが、今回は無料体験版ですから外観からしか分かりません。ただ、これだけも土地選びや間取り作りにお役に立つでしょう。

住宅性能診断士ホームズ君「日当り君」

有名な住宅性能診断士ホームズ君の日当たりバージョンです。無料体験版はメールアドレス以外は特に個人情報の入力は必要なく、登録後のメールにダウンロード用のURLが記載されています。

なお、インストールにあたってWindowsPCが必要ですが、私の場合はディスプレイの解像度を落とさないとインストールエラーが起きてしまいました。

無料版のダウンロードはこちらからどうぞ。

余談ですが最近の家は固定電話がないということは珍しくありませんが、若手の一条施主と会話するとパソコンを持っていないという家が多くスマホだけで生活可能という時代なんですね。

使ってみる

ソフトをインストールしたら右側のメニューバーを操作して建設予定地のシュミレーションをしてみてください。操作は非常に簡単で基本的に以下だけでした。

  1. 方位・気象観測点を選択
  2. 敷地を書く(1マス1m2)
  3. 自宅を書く(自宅ボタンを押すと家の高さを変更できる)
  4. 自宅の屋根形状を選択
  5. 隣地を書く(隣棟ボタンを押すと家の高さを変更できる)
  6. 隣棟の屋根形状を選択
  7. 日当たりシュミレーションを実行

冬季のシュミレーション結果

住宅が密集している都市部では隣家と十分な距離を取ることが難しいことから、土地選びにおいては吹抜けを採用するか二階リビングとする設計方法を基本とした方が良いのかも知れません。

民法上における隣地との外壁後退距離は50センチですが屋根の軒は敷地目いっぱいまで伸ばせることから、住宅密集地では日当たりを取ることが非常に難しい状態です。

南側の隣家との距離が6メートルの場合

住宅密集地では以下のように南側の隣家と6メートル離すことすら難しいと思いますが、これだけ離れていても冬季は二階しか日射がしっかりと当たりません。

 

以下をご覧の通り一階まで日射がしっかり当たっていません。南側にバルコニーがある場合は一階の部屋の日当たりは絶望的だと言えます。

上記のようなケースではバルコニーを設置せずに二階の南側の吹抜けに大きな窓を設けて、一階は床まである掃出し窓よりも腰高窓を選択した方が良いと言えます。

私は家作りにおいて掃出し窓は最低限で良いと考えており、掃出し窓が沢山あると窓から逃げる熱が増えることと、間取りを作成する上でエアコンや家具を設置する場所が減ってしまうからです。

掃出し窓が多い家は壁が少なくなってしまうことから、通行人からのプライバシーの確保が難しです。また、エアコンを設置する壁とソファなどの家具が配置される壁が同一になってしまい、ソファの真上にエアコンが設置されてしまいます。

これがエアコンによる冷房病の始まりで、壁を沢山つくってエアコンを人から離れた場所に配置しないと住み心地が悪化してしまいます。

南側の隣家との距離が12メートルの場合

以下のような家の配置はあり得ないと思いますから南側に道路があるケースだと思って下さい。ただ、住宅街ではこのような距離が取れる広い道路すらないのではないでしょうか。

 

以下のように冬季に一階までしっかりと日射が取れています。ただし、このような状態は都市部では夢物語であり、現実的には道のドン付きにある家でしかありえないと思います。

上記は南側の家が1.5寸勾配の片流れの屋根を採用したケースであり、お近所さんの屋根形状によっても自宅の日当たりの状況は変わってきます。

夏季のシュミレーション結果

夏季は窓から入る日射熱は冷房費用を増加させるため、夏季の窓から入る日射はカットしたいところですが、夏季は太陽角度が高いことから簡単に窓から日射が入ってきます。

以下は自宅の屋根の軒を15センチ程度として隣家と2メートル外壁を離したケースですが、夏至には一階まで日射がしっかり当たってしまっています。

夏季に窓から侵入する日射熱をカットするには屋根の軒を伸ばすことと、一階の窓には窓庇(一条工務店ではアーバンルーフ)かシェードを設置する金物が必要です。

初夏は北側の窓ですら日射が入る

太陽の日射角度は緯度と季節によって変わります。北海道は緯度が高いため日射が低く入ってきます。また、本州以内においても夏至には太陽角度は80°程度とほぼ真上から侵入してきますが、冬至には30°と低い位置から日射が侵入してきます。

夏の朝に駅まで通勤で歩いていると太陽が北東に出ていて南側を向いて歩けば背中側から日射が当たることが体感できます。つまり、南向きに建てた家は北側の窓から日射が入るということです。

西日が強烈であることはご承知の方は多いと思いますが、熱が保温される高気密高断熱住宅では東側からの朝日も北側からの日射についても住み心地を悪化させます。

家作りにおいては季節ごとの太陽角度を理解して冬季は日射を取り入れ夏季は日射をカットするという知識が必要ですが、初めて家を建てる方はここまで考慮することが難しいようです。

都市部のパッシブ設計は破綻している

家作りにおいてはパッシブ設計という考え方があります。それは冬季は窓から日射熱を取り入れて、夏季は日除けした窓を開けて風を取り入れることで冷暖房費を抑えるという設計方法です。

ただ、これは現状の日本の都市部では既に破綻した考え方であり、住宅密集地では冬季に日射をしっかり得られる家は珍しく、夏季においては猛暑日が連日のように続くことから窓を開けて涼を得るという時代は既に終わっています。

最先端の研究と現場では10年以上のタイムラグがあるため未だにパッシブ設計が最先端の技術だと誤解している設計事務所がありますが、エアコンで考えた場合、パッシブ(最低限エアコンを利用する)からアクティブ(積極的にエアコンを利用する)に時代は変わっています。

何千万円もかける家作りですから、都市部では非常に不確実なパッシブ設計による省エネ方法に捉われずに、確実に省エネで快適な家を建てる方法を考えた方が良いと思います。少ししか省エネ効果の得られない家作りを求めて大金を投じるのは勿体ないからです。

そして高気密高断熱住宅では窓を小さくすれば熱損失を減らすことができますから、日当たりの悪い都市部の土地にこそ高気密高断熱住宅が必要だと思います。

これからは24時間少ない消費電力で積極的に空調機器を利用する時代であって、空調の運転時間で省エネを考えずに年間の消費電力で家作りを考えるべき時代であると言えるでしょう。

夏季は窓の日射制御ができている高気密高断熱住宅では6畳用のエアコン1台で省エネに家中を除湿して快適な空間を作れることから、これまでの家作りの常識は通用しないのですが、これを知らないまま家作りをしてしまう人が後を絶ちません。

最後に

高気密高断熱住宅の設計において「野原の一軒家」という笑い話があります。隣家や立ち木のことを考えずに、日射熱の取得や冷暖房費を考えてしまうというパラドクスです。

高気密高断熱住宅にはセオリーがあって、窓の日射制御については以下のような家作りが高気密高断熱住宅の性能を生かす家作りであると言えます。

地域 南側の窓と庇の軒の長さ 南側以外の窓
寒冷地 50cm 少なく小さくする
温暖地 80cm 少なく小さくする

軒や庇の出幅は窓の高さの3分の1程度が妥当だと言われていますが、ゴールデンウイークから暑い温暖地ではもう少し長くて良いと思いますし、寒冷地では春はまだ寒いため軒は少し短めにして日射熱を取り入れた方が良いでしょう。

記事が長くなりますので本日は日当たりのみでやめておきますが、高気密住宅の性能を生かせば劇的に住み心地が改善できます。特に掃除が楽になるのですがそれは今後に書きたいと思います。

 

本日は以上でございます。

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