乗りの悪い人は垂れ壁と耐力壁に悩まされる

考察
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はじめに

一条施主の良くある話として望まない場所に発生する、垂れ壁(たれかべ)と耐力壁(たいりょくへき/たいりょくかべ)を無くしたいという意見です。

俗に言われる一条ルールというものによって間取りの制約が多いと感じる人もいると思いますが、私は一条工務店で二軒の家を建てましたがそう思ったことはありませんね。

この違いは乗りが良い人とそうでない人の違いだと思います。間取り作りにおける乗りとは二階の壁が一階の壁の上に乗っているという意味で専門的には直下率といいます。

家を建てるなら工法の簡単なルールを事前に知っておいた方が良いと思います。以下はツーバイフォー工法ですが、壁で耐力を取っている最近の在来工法はほぼ同じだと思って良いでしょう。

一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会
一般社団法人日本ツーバイフォー建築協会のウェブサイトです。

ハウスメーカーの設計士さんは設計事務所と違って間取りを押し付けてこないと思いますから、施主が考えた間取りは構造を踏まえていないため不必要な位置に垂れ壁や耐力壁が出現する元となっていると思います。

自分が考えた間取りを設計士さんに否定されると納得されない施主も多いことから、クレーム防止の意味を含めてハウスメーカーの設計士さんは踏み込んでこないと思った方が良いでしょう。

垂れ壁と耐力壁の正体を考える

垂れ壁の正体は梁(はり)です。正確にいうと天井を支える部屋の長辺方向の木材が桁(けた)で短辺方向の木材が梁です。

簡単にいうと一階の天井において二階の過重を支えるものが梁です。一条工務店では構造(structure)上の必要な梁が室内の天井に表しになっている状態を、S垂れ壁と言います。

一階の天井に梁(垂れ壁)が出現するということは、一階と二階の壁が揃っていないということです。スパンが長いと構造用の梁がないと二階を支えきれないため垂れ壁が必要になります。

一階と二階の壁が揃うと家の耐震性が良くなります。つまり、一階と二階の間取りを同時に考えると良いのですが、これは非常に難しいことですよね。

極論を言えば一階と二階の外壁と内壁が全部同じ位置にあれば垂れ壁は完全に発生しなくなることになります。

そして、耐力壁についてはツーバイフォー工法では部屋の角(正確には構造区画)の角に90cmの耐力壁が必要になるため、これを意識せずに開口部(窓とドア)を沢山もうけてしまうと耐力壁が不足して見栄えの悪い位置に耐力壁が出現してしまいます。

つまり、垂れ壁は一階の内壁と二階の内壁がズレていると出現し、耐力壁は一階と二階の外壁がズレている若しくは部屋の角に窓やドアのない90cmの壁がないと出現する可能性が増えます。

直下率を上げる

直下率とは二階建ての家の場合、二階の壁が一階の壁の上に乗っている比率のことです。熊本地震の結果からみるとこの割合が60%を超えると良いと言われています。

総二階の家は二階の外壁が一階の外壁に乗っているため、直下率が高く地震に強い家と言われます。いわゆる「二階の乗りが良い家」という状態です。

以下のように二階が赤枠の状態で一階の壁の上に乗っているケースではおかしな場所に垂れ壁は発生しません。

 

しかし、以下のように二階が一階の内壁の上に乗ってない場合は二階の荷重を支えるために青い線の部分が垂れ壁として一階の天井にボコっと出現するでしょう。

一階と二階の間取りをバラバラに考えてしまうと一階の天井に垂れ壁が出てしまうことから、間取りは一階と二階を同時に考える必要があります。

部屋の角の片方は耐力壁とする

これはツーバイフォーのルールの1つなのですが、在来工法でも有効な考え方です。また、一条工務店では部屋の短辺(短い方)は5マスが最大だと思います。

耐力壁とは通常は窓のない90センチの壁のことです。部屋は基本的に四角ですから、それぞれの角の片方に窓やドアといった開口部のない壁を作ってください。

例えば以下のような間取りで緑の枠を各構造区画とした場合、下の方の構造区画では左上の赤丸の部分に90センチの耐力壁がないため構造上のNGとなってしまうでしょう。

ツーバイフォー工法では構造区画の大きさの制限はあるものの、四角の片方に90cmの窓やドアのない壁が必要であるという簡単なルールを守れば普通の家の大きさなら困ることはないでしょう。

ちなみに私の家作りでは部屋の角のすべてを両方とも耐力壁にしています。ただ、冬季の窓の日射取得量を増やしたい場合は部屋の角の全部を耐力壁にすべきか悩ましいところです。

最後に

施主の要望に基づいて設計士さんに間取りを決めてもらった方が施主のためになるのか、施主が自分で考えた間取りを実現した方が施主に寄り添う形になるのか意見が分かれると思います。

設計事務所は間取りが自由という意見についても経験している私は違うと思っています。設計事務所では間取りを設計士さんが決めるため設計士さんにとって自由という意味だと思います。

設計士さんが決めた間取りと相性が良ければ間取りが自由だと感じると思いますし、相性が悪ければ不自由と感じることでしょうから間取りの自由度とは人ぞれぞれの解釈だと思います。

私は在来工法でもツーバイフォー工法においても耐震性を重視した家作りをするため部屋の角にはもともと壁を配置して間取りを考えていました。

在来工法とツーバイフォー工法の両方で耐震等級3を取ったことがある私に言わせると、耐震等級3を取るならどちらの工法でも間取りの制約は発生します。

在来工法でも門型フレームを使わない限りは壁で耐力を取る形になるため、一般的な在来工法で間取りが自由という意味は耐震性の弱い住宅という意味となってしまいます。

建物の耐震性や構造については誤解が多いですが構造塾の佐藤さんの話がとても為になります。耐震と制震の意味の違いなどを解説されています。

構造塾「日本中の木造住宅を地震で倒壊させない!」
「なぜ、木造住宅の構造計算?」 よく、この様な質問をされます。 学生時代漠然と構造を志し、 社会人となり鉄骨造や鉄筋コンクリート造の構造計算を勉強していました。 そんな中、1995年阪神淡路大震災が発生。 現地で見た光景は忘れられません。 構造計算をしていない木造住宅が軒並み倒壊していました。 このとき決めました...

さて、俗にいう一条ルールというものは構造のルールと積算のルールがごちゃ混ぜに理解されていると感じていて、i-seriesの総二階のルールは積算のルールだと私は思います。

私はツーバイ工法のルールと直下率というものをある程度は知っていたため、一条工務店のi-seriesでの家作りにおいても想定しない場所に垂れ壁や耐力壁が出現しませんでした。

ツーバイ工法のルールを知らない人は全てを一条ルールだと誤解してしまうと思いますが、若干それは言い掛かり的な感じもします(・∀・)

ただ今後において一条工務店では内壁をミッドプライウォール化して耐震等級5とも言える耐震性を目指すということですから、これは逆に間取りの自由度が上がることに繋がると思います。

また、垂れ壁は空間を区切る場所に出現した場合はアクセントとなって良い結果をもたらす場合もありますから、垂れ壁がどこに出るか予想できれば良いですね。

私は間取りを作る際に以下の簡単なポイントを心がけています。

  1. 家の形を必要以上に凸凹させない
  2. 一階と二階の壁をできるだけ揃える
  3. 窓の位置を一階と二階で揃える(結果的に壁が揃う)
  4. 部屋の角は壁にする

これだけで想定外の場所に垂れ壁や耐力壁が出現する確率がグッと減るでしょう。

 

本日は以上でございます。

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