Ichijo USAと日本仕様との違い

考察

一条工務店の海外仕様はオシャレ?

一条工務店はグループで保有するフィリピンの経済特区にある生産工場を利用してアメリカとオーストラリアで住宅を建築していますが、特にUSA仕様は日本向け以上にオシャレさを感じます。

Japanese Builder Ichijo Creates Net-Zero Energy Home (15 Photos)
Project in Issaquah Highlands, Issaquah, Washington posted by PlanOmatic

これが一条工務店の家なのかと思うほどオシャレですが、窓をみると日本特有の引違い窓や見慣れたカムラッチがあることから一条ハウスだと分かります。

Instagramを見ているとIchijo USAの投稿を見かけますが、社名の下には「Technological Homes」と記載があり、直訳すれば技術的な家ですが「家は、性能。」のことなのでしょう。

一条工務店では海外大学の学生向けに新卒採用の募集を行っていますが、国内の住宅市場は縮小化に向かっていますから、さらなるグローバル化を進めるのだと思います。

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日本仕様とUSA仕様では壁の構成が違う

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Ichijo USAの仕様をみていると、ハイドロテクトタイル・樹脂サッシ・太陽光パネル・床暖房とお馴染みの設備が採用されているようですが、大きく違いを感じたのは壁の構成です。

充填断熱がFiberglass Insulation(グラスウール)で構造用合板がOSBに変わっています。日本仕様では充填断熱はウレタンフォームと構造用合板の組み合わせです。

そして上記画像には表現されていない部分では、石膏ボードは耐火性を考慮してドライウォール仕上げだと思いますが、その外側に防湿フィルムがあるとみなして計算します。

アメリカとは家作りの考え方が違うと思いますが、国内では室内から発生する水蒸気を通しやすいグラスウールの外側に水蒸気をせき止めるOSBを採用することは壁内結露を恐れて好まれません。

その理由としてグラスウールより室内側に設置される防湿フィルムのみが室内で発生する水蒸気への防波堤となっているため、防湿フィルムが破れた場合は壁内結露は確実だと思うからです。

国内では「透湿抵抗を壁の外に向かって開放する」という言葉の通り水蒸気を壁の中に入れない事よりも水蒸気を壁の外へゆっくりと排出することで結露を防ぐ考えが好まれていると思います。

よって、高気密高断熱住宅が得意な住宅会社では耐力面材に水蒸気を通しやすいハイベストウッド等を採用して万が一の壁内結露を回避する工夫をしています。

この辺りは国によって考え方が違うようですが日本はドイツの家作りを多く参考としているため、水蒸気をせき止めずにゆっくりと壁の外へ排出させる方法を好むのだと思います。

壁構成の考え方

天井や床は通常は水蒸気を通しにくい合板の外側に断熱材が設置されるため、水蒸気は室内の合板にせき止められてゆっくりと屋外に抜けていきます。

一方、外壁については通常は柱の外側に合板が設置され柱の中に断熱材が充填されますから、合板に水蒸気がせき止められて断熱材が結露する現象が起きます。

壁の中の結露を回避するには以下のように3つ方法があり、Ichijo USAは2番の考え方です。

  1. 柱の外側にのみ断熱材を設置する(外張り断熱)
  2. 壁の室内側に水蒸気をせき止めるフィルムや断熱材を設置する(防湿層)
  3. 壁の室内側から外側に向かって水蒸気をゆっくり通過する様に設計する(透湿抵抗比)

最近は壁の中の充填断熱と柱の外側の外張り断熱を併用した付加断熱工法(一条では外内断熱工法)が流行ってますから、どのように壁内結露を防止するかよく考える必要があります。

また、フラット35の借入や長期優良住宅を申請しない場合は、壁内の結露計算(透湿抵抗比)が審査されないことを施主は知っておくと良いでしょう。

日本では室内にビニールクロスを設置すると壁の中の通気性が悪くなると言いますが、通気性が悪い方が室内から発生する水蒸気に対する堤防となるため良いのです。

また、見よう見まねで高気密高断熱住宅に取り組んでいる住宅会社は水蒸気を通しやすい現場発泡ウレタンの外側にOSBや構造用合板を設置してしまっていますが、危険な工法だと言えます。

ちなみに夏場の逆転結露は故、鵜野日出男先生の杞憂であったようで現在は発生しても問題ないレベルと判明していますからタイベックスマートなどの可変透湿気密シートは不要だと思います。

USA仕様の壁内結露を計算してみた

建材の性能は予想で計算していますが、室温20℃湿度40%において、外気温はマイナス27℃(湿度は80%)まで結露しませんでしたから、まったく問題ないと言えます。

上記の計算の通り水蒸気をほぼ通さない防湿フィルムの高い透湿抵抗により室内から発生する水蒸気が壁に侵入することを強烈に遮断しています。

ただ、心配性の日本人は防湿フィルム頼りの壁内結露対策は危ないと考えて、水蒸気が抜けやすい壁構成を好むのは国民性でしょうか。

耐力面材に水蒸気を通しやすいものを採用すれば、防湿層は多少はラフでも大丈夫であると西方先生が仰っているのを拝見したことがあります。

最後に

日本の家は海外に比べて非常に短命だと言われています。その理由として冬季に寒冷乾燥で夏季に高温多湿な日本において、これまでの家作りの考えが不十分若しくは間違っていたからでしょう。

特に壁の中の結露についてはこれまで寒冷地だけの問題と思われてきましたが、柱の外に構造用合板などの耐力面材を設置した住宅においてはどの地域でも考慮する必要があります。

結露計算に興味がある方は以下から内部結露計算シートをダウンロードしてご利用ください。

計算ツール
F式(私ことフエッピー式)の各計算ツールは無償でドドーンとご提供します。その代わりサポートはございませんので自己責任でご利用ください。また、告知なく修正しますので、ご利用の際は最新版をダウンロードしてご利用ください。 ダウンロードを行...

ただ、計算条件が一定な定常計算であるため、色々と温度や湿度の条件を変えて建設地の最低気温や最高湿度など最も悪い条件を踏まえて計算してください。

夏の逆転結露を発生させることがどれだけ難しいか計算から分かります。気温が高ければ相対湿度は下がりますから、気温が35℃で相対湿度が80%などの計算条件は現実にはあり得ないのです。

家作りは耐震性と耐久性を優先すべきで、その次に断熱性能やデザイン等があると思います。日本の家は30年で建て替えられている事から壁内の結露計算は家の耐久性に関わる重要な問題です。

結露計算でNGになる典型例は水蒸気を通しやすいグラスウールや現場発泡ウレタンの外側に耐力面材として構造用合板やOSBを採用しているケースで室内側に防湿フィルムがないと結露します。

ただ、水蒸気を通しやすい断熱材を用いる場合、結露計算では問題がなくても現場の施工が雑で防湿層が大きく破れていたり、気密コンセントカバーを設置していない場合は注意してください。

 

本日は以上でございます。

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