一条工務店の家は過剰装備なのか?
一条工務店の商品はたくさん売れているi-smartを評して床暖房やロスガードは過剰装備であり、また一条工務店の家は外観が似通って個性がないとも言われています。
外観については、セゾンの外観を改良し付加断熱を採用したグランセゾンという新商品が発売されるという未確認情報がありますから、外観の選択肢は増えるかもしれません。
最近では地場工務店によるエアコン1台全館冷暖房の失敗が散見され、特にエアコンでの全館暖房は簡単だか全館冷房は難しいという情報を目にします。
二階の階段ホールや吹き抜けにエアコンを設置する全館冷房は難しくありませんが、屋根断熱の場合の小屋裏空間にエアコンを設置する形の全館冷房は少し難易度が上がります。
そう考えると、一条の全館床暖房やさらぽか空調はシステムですから失敗が少なく、これを過剰装備と考えるか失敗を回避するための必要経費と考えるか人それぞれ判断が分かれるでしょう。
そして、本日はもう1つの一条工務店の過剰装備と言われる第一種全熱交換換気扇であるロスガードについて考えてみたいと思います。
ちなみにロスガードには冷房や除湿の機能はついていないため、夏は室内でエアコンを利用し続けないと効果を発揮しません。結構、誤解している方がいると思います。
ロスガードを止めて三種換気にしてみた
一条施主でありながら冬季に床暖房を利用しないという暴挙に出ている私ですが、さらに一条ハウスの真実を確かめるべく、ロスガードを止めて三種換気に切り替えるという暴挙に出てみました。
使用するロスガードは最近リリースされた水道管からの給水により加湿ができる「うるケア」仕様ではなく、さらぽか空調のデシカント換気扇でもないMAX社製のロスガードです。
場所は標高800mの私の四軒目の家であるi-smart2ですから酷暑の温暖地とは異なりますが、高原においても盛夏の昼は30℃を超えて湿度も高いため全くカラッと涼しくありません。
今回は差圧式給気口の位置が浴室に近いため給気口は開けずに家の隙間からの給気とし、換気量不足だと結果が分かりにくいため、トイレと浴室の換気扇を24時間回して過換気状態にしました。
エアコンは梅雨明けからずっと24時間冷房運転24.5℃で運転しており、数日間三種換気状態にした上で、最高気温が近しい一種換気を終日行っている日と比較してみました。
ロスガード運転中(一種全熱交換換気)
上記の2019年8月13日の最高気温は31℃でした。室温は24℃前後でビシッと安定していて、室内の相対湿度は一日の平均では56%とカビやダニの発生を抑制しています。
室内の相対湿度が夜から朝にかけて60%を超えているのは電気代を抑えるためにエアコンを24.5℃に温度設定して室温の下がる夜間にある程度サーモオフする状態にしています。
我が家の電気は基本料金がなく24時間同一単価のLooopでんきを契約していることから、気温の高い昼間に太陽光発電を利用してお湯を沸かしているため、昼間の消費電力が高くなっています。
お風呂を半身浴にしているため、お湯は200リットルしか沸かしていないことから、昼の12時からエコキュートが動き出しますが、給湯の消費電力は毎日1kWh強です。
そして、昼間は太陽光発電があるため購入している電気は夕方の18時~翌朝6時の12時間の間となっていますから、購入と意味での電気代は一般家庭が想像できない程に安くなります。
ロスガード停止中(三種換気)
上記の8月11日をご覧頂くと室温は24℃程度の平均値ですが室内の相対湿度が59%の平均でした。体感としては三種換気の方が暖かい外気が室内を通過するため少し暖かく感じました。
エアコンの消費電力がロスガードの運転中とあまり変わっていない状態では室内の湿度は若干あがりますが、エアコンは余裕で稼働しているため三種換気でもエアコン1台全館冷房は可能です。
ただし、三種換気の場合は除湿量を稼げるエアコンである必要があり、私がいま利用している日立の再熱エアコンは非常に優秀です。全館冷房にはダイキンエアコンは向いてない気がします。
しばしば吸放湿(調湿)性能のある自然素材などを利用すると室内が低湿度になると言われてますが、吸った湿気が室内に戻るのであれば差し引きゼロであるため効果はないと思います。
三種換気の場合は給気口の位置が良くないと外気が直接各部屋に入ってきますから、エアコンの位置と給気口の位置を良く考えて設計しないと特に冬の住み心地が悪化します。
まとめ
上記のグラフをまとめると以下になります。外気の絶対湿度は両日とも19g/m3でした。
項目 | 単位 | 三種換気 | 一種全熱 |
屋外温度 | ℃/日平均 | 26.20 | 25.50 |
屋外湿度 | %/日平均 | 76.50 | 80.30 |
室内温度 | ℃/日平均 | 24.30 | 24.10 |
室内湿度 | %/日平均 | 58.80 | 56.10 |
消費電力(実測) | kWh/日 | 7.50 | 7.00 |
購入電力(実測) | kWh/日 | 2.40 | 2.70 |
消費電力(想定) | 円/月 | 6,412.50 | 6,156.00 |
購入電力(想定) | 円/月 | 2,052.00 | 2,308.50 |
消費電力は一種換気の方が少ないですが、太陽光発電のない夜間については一種換気の消費電力の大きさが影響して買電では一種換気の方が多い結果となっています。
上記データは人が常時家に人いた場合の比較であり、月間では家を不在にしている時間帯や日があることから、実際に購入する月間の電気代はもう少し減ります。
私が一条ハウスで暮らしている限りは「一条工務店の家より安い電気代の家が建てられます」という、地場工務店がしばしば言うセールストークは使えないと思いますよ(・∀・)
最後に
夏は換気方式の違いによって余り電気代が変わらない結果となりました。ただ、冷暖房を行わない中間期は余剰発電ではない場合は一種換気の方が換気扇の電気代が月に1500円程高くなります。
冬季は全熱交換のお蔭で省エネになりますが、温暖地では一年を通じて考えると一種全熱交換換気は省エネ設備というよりは快適装備だと考えた方が良いと思います。
コストを下げようとすれば、三種換気+エアコン冷暖房という高気密高断熱住宅の建て方もあります。上手に設計すれば一種換気+床暖房に近しい快適性を得られるでしょう。
ただ、三種換気の場合は冬季に冷気が壁の給気口から入ってくるため上手に設計しないとクレームが増えると聞きますから三種換気を選んだばかりに住み心地の悪化を招くことになりかねません。
そういった意味で、ロスガードなどの一種全熱交換換気扇を過剰装備と捉えるのか、家作りの失敗を回避するための必要コストと捉えるのかは人それぞれだと言えます。
本日は以上でございます。