水蒸気は少しの穴でも大量に通過する
(出典:北海道住宅新聞)
上記の画像では2センチ×2センチの穴があると、ひと冬に30リットルの水蒸気が移動するということを現わしています。
これは住宅の気密性能の重要性を表していて、特に断熱材が周囲に施工されているコンセントボックスを気密処理しないと壁内結露の懸念が増加すると考えますよね?
しかし、コンセントボックス周りに気密処理が必要な場合と必要がない場合があります。
そして、大きな隙間があると空気と共に水蒸気が大量に移動してしまうため、断熱材を設置するならば高気密でなければならないのです。
断熱材が設置されている現在では、家を長持ちさせるには中気密ではだめなのです。
一条工務店は2センチ角の家の隙間がどれだけ水蒸気を通過させるのか模型を作って工場見学で説明した方が良いとおもいますよ。
気密工法の種類
建物の気密を取る方法はいくつかあるため、これから家作りを依頼する住宅会社がどの気密工法を採用しているか確認されると良いでしょう。
気密工法 | 気密部材 | 気密ライン | コンセントボックス 気密処理 |
①シート気密 | 防湿フィルム | 石膏ボードの裏側 | 必要 |
②シート気密 | 胴縁+防湿フィルム | 柱の室内側 | 不要 |
③充填断熱 | 現場発泡ウレタン | 断熱材 | 不要 |
④ボード気密 | 耐力面材 | 柱の室外側 | 不要 |
⑤シート気密 | 透湿防水シート | 柱の室外側 | 不要 |
⑥外張り断熱 | 板状発泡断熱材 | 断熱材 | 不要 |
上記をみると①のシート気密工法だけが石膏ボードの裏側で気密を取っていて、それ以外の工法はコンセントボックスよりも外側で気密を取っていることがわかります。
一条工務店は④のボード気密工法であるためコンセントボックス周りの気密処理は不要です。
①の工法は柱の中に耳付きグラスウールや裸のグラスウールを設置した工法であり、もっともコストが安くポピュラーな工法です。大手ハウスメーカーの大半はこの工法です。
なぜか坪単価が高いハウスメーカーが気密処理が難しいローコストなグラスウールを利用していることが日本の家が高気密化しない原因だと思います。
コンセントの気密処理
(出典:マグイソベール)
コンセントボックス周りを気密化するには気密コンセントボックスかコンセントボックスに気密カバーを設置します。漏気カバーと言う場合もありますね。
住宅依頼先がグラスウールを利用している場合コンセントボックスの気密処理をしているか確認した方が良いでしょう。
ただ、温暖地の多くの住宅会社ではコンセントボックスは気密処理していないと思いますから、壁に一生懸命にグラスウールを綺麗に設置してもコンセントボックスから空気が漏れているでしょう。
気密カバーには以下のような後付け型もありますが、これで気密化ができる理由が良く分からなくて、この場合は石膏ボードやクロスが気密層になるのでしょうか?
上記の後付けのコンセントカバーの設置は個人でも出来る簡単な作業ですが、電気工事士の資格が必要になってしまいます。
ただ、C値が1.0以下の家であっても隙間がありますから、キッチンの換気扇を強く回せばコンセントボックスから漏気は発生します。高気密住宅でも隙間がないわけではありません。
最後に
断熱材が設置されているのにも関わらず、冬に寒いという家については、断熱材が性能を発揮していないということになります。
人で例えるなら、ふかふかのセーターを着ていても風を止める上着を羽織らないとセーターの中の暖かい空気は逃げていってしまいます。高断熱は高気密とセットな理由は簡単なのです。
省エネ基準のUa値は0.87Wであり、Ua値が0.5W以下(Q値1.7W程度)であれば全館暖房ができるはずですが、実際にはそうはなっていません。
コンセントボックスの気密化以外にも、在来工法の場合は基本的に壁の上下に隙間があります。この隙間を塞ぐ(気流止め)施工がなされていないと暖かい空気は天井から漏れてしまいます。
冬に暖かい家というと、断熱材が分厚く施工されていたり、窓がトリプルサッシであったり、一種の熱交換換気扇を採用していると想像すると思いますが実は違うのです。
カタログ値であるUa値を比較しているだけでは冬に暖かい家にはたどり着けないでしょう。多くの家は断熱性能は十分にあるのにも関わらず気密施工ができていないだけなのです。
そして気密施工ができていない家は壁内結露の危険性が高まることから、住宅の長寿命化には気密性能が不可欠であると言えます。
高気密低断熱住宅は良くても低気密高断熱住宅は壁内結露が発生するためだめなのです。低気密高断熱ではどんなに頑丈な家を建てても建物が腐ってしまいます。
もし、高気密住宅を希望しない場合は断熱材が設置されていない家を建てるということになり、断熱材がなければ壁の中で結露は発生しませんが、わざわざそんな家を建てたくはないでしょう。
本日は以上でございます。