カリスマ社長が死ねば地場工務店は倒産する

考察

はじめに

私が二軒目の家を設計事務所と地場工務店でローコストに建築したのは2010年頃です。ローコストな高気密高断熱住宅でありながら住み心地が良い自慢の家でした。

今でも関係者を含めて素晴らしい家作りであったと思いますし、当時は防火トリプルサッシがなかったためトリプルサッシが採用できなかったこと以外に関しては先進的な家作りでした。

窓を開けるパッシブ設計の快適性を疑っていた私は窓の日射制御やエアコン1台による全館冷房を計画し、今でも最先端だと思う設計を2010年にはしていました。

Q値計算や結露計算などゴリゴリと家作りの計算で何日も徹夜をした思い出深い家作りでした。人生でこんなに一生懸命になったことがないと思うほどに家作りに没頭しました。

家作りに疲れて帯状疱疹が出たぐらい、もう二度とこんな過酷な家作りはしたくないと思った楽しくも重労働な家作りでしたが、6年後に引っ越しをすることになってしまいました。

私には引っ越す度に注文住宅を建てるという特性があります。ただ、三軒目の家を建てる際に選んだのは一条工務店です。この理由としてしては3点あります。

まず、地場工務店の施主としてブログでエアコン1台による全館冷暖房の情報発信をしていましたが、日本の家作りに影響を及ぼすには至らないという無力感を感じたことです。

なんだかんだ言っても大手ハウスメーカーという大きな壁が存在していて、大手ハウスメーカーの牙城を崩さないことには日本に本当の高気密高断熱住宅は普及しないと痛感しました。

つぎに、断熱材や柱を含めて何でも選べる注文住宅は施主が家の性能の計算までしたいとなると重労働すぎるということです。規格がある程度決まっている住宅の方が良いと判断しました。

そして、将来に家を子供に引き継ぐ際に地場工務店や設計事務所で良いのだろうかと不安に思ったことが要因の1つで、それは北海道の有名な地場工務店の廃業が契機でした。

私はコストパフォーマンスを最大化させる家作りは二軒目の家で経験しているため、現在ではそれを大事にしつつ、家を子供に引きつぐという観点を踏まえて家作りを考えています。

カリスマ社長の地場工務店は危険

このことをブログに書いて良いのかと思いましたが6年が経過したので書かさせて頂きます。

2014年の出来事ですが、新住協の北海道支部の重鎮として名をはせていた勇和建設の齋藤社長が54歳という若さで亡くなられた件に私は衝撃を受けていました。

『お世話になった皆様へ』
今朝、弊社勇和建設社長、齋藤保雄が54年の生涯を終えました。数多い建築会社の中から勇和建設を選んで頂き、施工させて頂いたお客様の皆様・・・家づくりを、共に協力…

従業員の方が再就職できたことは非常によかったと思います。それだけ勇和建設がレベルの高い仕事をしていたということなのでしょう。

勇和建設は非常にレベルの高い高気密高断熱住宅を建築されていて、私の二軒目の家における準防火地域でのアルミ樹脂複層サッシに内窓を設けるという案は齋藤社長の設計を真似たものでした。

勇和建設の齋藤社長を私は非常に尊敬していましたが、余命が短いことを悟って従業員がいながら生前に廃業という選択をされていたことは私にとって非常に衝撃的な出来事でした

『会社は5月で・・・』
まずはご報告をしますね(^▽^;)社長が亡くなって2週間・・5月末をもって、勇和建設株式会社は会社をたたむ事になりました。これは、亡き社長が1月6日に余命宣告…

齋藤社長は自分がいなければ家作りのレベルを維持できないと考え苦渋の決断をされたようです。そして、この事が私の三軒目の家作りを一条工務店に依頼することに向かわせました。

オープン工法なら安心?

ハウスメーカーは型式適合認定制度といって、独自の工法を採用していることから、建築したハウスメーカー以外のリフォームが困難だと言われています。

ただ、これは鉄骨系と木造系では話が違うと私は思っていて、私が建てた一条工務店のi-seriesはそもそも規格が決まっているツーバイ工法の家ですから他社でもリフォームできると思います。

そして、一条工務店の断熱気密工法は非常に明快で水蒸気を通しにくい断熱材を使って防湿シートを施工せずに、気密はボード気密工法を採用している非常にシンプルな工法です。

一方、鉄骨住宅は建てたハウスメーカー以外がリフォームすることは困難であると思います。

日本の高気密高断熱住宅の普及に大きく貢献した新住協はオープン工法を謳っていますが、高気密高断熱住宅が得意な設計者なら木造住宅であればどんな工法でもリフォームできると思います。

ただし、スーパー工務店は自社の近隣しか工事を請けないこともあり、付加断熱や外国製の窓などを採用した場合、他社でも修理できるというのは無理があると思います。

むしろ、木造住宅ならどんな工法でもリフォームできない設計者はレベルが低いと思いますから、鉄骨系の型式認定の住宅以外はオープン工法でなくても問題がないと私は判断しました。

最後に

魅力的な地場工務店や設計事務所を家作りの依頼先に選択されることは良いと思います。

ただし、後継者がしっかりと育成されているかよく確認して家作りの依頼先を選択されると良いでしょう。カリスマ社長が亡くなったら廃業せざる得ないという住宅会社は沢山あると思います。

創業者が営業面を切り盛りしている地域工務店では名ばかりの後継者や組織を作っても、創業者に何かあれば事業継続は難しいでしょう。

私が三軒目以降の家作りにおいて一条工務店を選択した理由の1つは自分が40代に入ったこともあって、住宅依頼先の後継者や経営の安定性を考えたからです。

確かに大手ハウスメーカーだからといって倒産しないという訳ではありませんが、大手ハウスメーカーの顧客はリフォームを目当てに、どこかのハウスメーカーに引き継がれるはずです。

そんな理由から私は一条工務店を選んだわけですが、現在の一条工務店は無借金経営ではありますが油断はできないと思っています。

ただ、住宅展示場で一条工務店の社員さんと会話していると、この会社は(従業員にはケチであるため)ムダ使いなんてしそうにないということは感じました。

本日は以上でございます。

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