はじめに
もう、かれこれ高気密高断熱住宅に住んで10年以上が経ちますが、お風呂の換気扇を回さなくなりました。ホントにまったく回さないです。
浴室は湿気が多いため換気扇を回すと換気扇の掃除が大変だということもあって、換気扇は使わないことにしました。普通に考えると、えー?と思うでしょうけど実はこれ理論的な話なんです。
冬季は室内が暖かいため相対湿度が下がり乾燥気味になることから、浴室は使用後にドアを開けておけばカラカラに乾燥します。
夏は家中を24時間、エアコンかさらぽか空調で除湿しているため、浴室にほぼカビは生えない状態で、油断するとピンクの酵母(ロドトルラ)が発生する程度ですが、これには健康被害はほぼありません。
カビが発生しないためカビキラーなどの塩素系の洗剤を使うことがなくなりましたし、塩素系と酸性の洗剤を併用すると「まぜるな危険」ですから、その手の薬品はもう使ってません。
最近はクエン酸や重曹などを利用したお掃除やオキシクリーンを使いますが、オキシクリーンの泡は酸素であることから換気は特に必要ありませんが、湯気を除去するために換気した方が良いと言う人はいます。
そんなことで我が家ではお風呂の換気扇をまったく使わなくなってしまいました。
浴室換気扇の汚れを見てみましょう
では実際に我が家の換気扇の汚れをみてみましょう。以下のように一度も掃除していないにも関わらず非常に綺麗であることが分かります。
さらに拡大してみてもまったく汚れが見えません。それもそのはずで引き渡し時の動作確認以外は一度も浴室換気扇を利用したことがないからです。
浴室には排気でなく給気が必要
上記のように浴室には室内の暖かい乾燥した空気を送り込むことが浴室のカビ防止に最も効果的な方法です。高気密高断熱では浴室のカビの発生防止は家の性能で解決できます。
我が家は夏などの湿度の高い季節は風呂上りに二時間ほど扇風機を運転して浴室を乾燥させていますが、DCモーターの扇風機なら電気代はたかだか知れています。
必要なのは屋外に空気を排気する換気扇の運転ではなく、浴室に向けて給気をすることが最も重要で空気を動かし続ければカビが生えることなく浴室は乾燥します。
高気密高断熱住宅では浴室乾燥機がなくても室内の暖かい乾いた空気を浴室に送り込めば浴室はカラカラに乾燥します。
私の提唱する家作りではあらゆる掃除の手間が激減するため、もし余暇を楽しみたいとかズボラな家事がしたいという方は私のブログを参考にしてください。
浴室換気扇を回すと損すること
まず、浴室換気扇の掃除が手間だということです。そして、最も大きな問題は空調エネルギーの損失です。冬と夏は冷暖房した空気が浴室換気扇の換気によって家の外に捨てられてしまいます。
浴室換気扇には熱交換機能は付いていませんから浴室換気扇を回すほどに損をしますが、熱交換のない換気システムをご利用の方は計画換気量までは外に空気を捨てても損ではありません。
高気密住宅でない場合についても冬季は外気の水蒸気量が少ないことから、室内は石油ストーブをガンガン利用しない限りは乾燥気味になりますから浴室利用後にドアを開ければ良いでしょう。
しかし、高気密住宅でない場合は夏季は家中の除湿ができないことから浴室換気扇を回して空気を動かすことでカビの発生を予防することになりますが、これは最善ではないものの間違いではありません。
水が蒸発する時は蒸発している物体の周りは高湿度な状態になるため、高湿度な空気を浴室換気扇によって除去することは有効なカビ対策ですが、代わりに室外から高湿度な空気が入ってきます。
ただ、家中が除湿できる高気密住宅では浴室換気扇による湿度の屋外への排出ではなく、エアコンによる除湿を行うことで、高湿度な外気を取り込まなくて済みます。
このように家の気密性能や除湿状況によって浴室換気扇を利用した方が得か利用すると損をするのかが分かれます。
エアコン全館冷房やさらぽか空調を採用している方はもう浴室の換気扇を回す必要はありませんよ。
最後に
浴室の換気扇を回さないということは私が突拍子もなくやっていることではなく、冬は全館暖房+夏は全館除湿をしている設計事務所で建てる高気密高断熱住宅では当たり前になりつつあります。
最近では浴室の天井を居室側と吹抜けにしてしまった高気密高断熱住宅の事例などもあり、これまでの常識は通じなくなってきています。
浴室を乾燥させるには、浴室換気扇で排気するのではなく、暖かい室内の空気を扇風機やファンで浴室に送り込むことが理論的です。
もちろん浴室だけのことを考えれば排気換気扇を使って空気を通過させることも間違いではありませんが、家全体の空調エネルギーを考えるとお得な方法とは言えません。
暖かい空気は飽和水蒸気量が増えますし、水分が気化するときに熱が必要であることから、浴室に暖かい乾燥した空気を送ることが浴室の乾燥にもっとも合理的な手段となります。
その際にヒートポンプを利用した暖房機器で室温を高めることが省エネにつながります。ヒートポンプ式の床暖房やエアコンがお風呂を乾燥させる原動力になるのです。
住宅展示場で知ることができる家作りの知識と設計事務所から得られる家作りの知識は結構違うため、ハウスメーカーで家を建てた人がえー?と思うことも設計事務所での家作りでは当たり前だったりします。
私のような設計事務所で家作りをした後に一条工務店で家を建てる人間もいます。住宅展示場では得られない家作りの知識が世の中には山ほどあるということなんですよ。
本日は以上でございます。