ミサワホーム施主の全館冷房の実例について

考察

はじめに

私が提唱する家中の除湿を目的としたエアコンを利用した全館冷房については一条工務店の施主や高気密高断熱住宅を得意とする地場工務店の施主の取り組みが多いと思います。

今回、大手ハウスメーカーのミサワホーム施主であるシモダエミリィさんが湿度コントロールにチャレンジされている情報がありましたのでご本人の承諾を得てご紹介いたします。

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パネル工法で有名なミサワホームですがエミリィさんは軸組工法であり気密測定を行っています。三階建の延床28坪ということですが地価の高い東京23区内であれば十分な間取りだと思います。

インスタグラムの記事では、ご自身の全館冷房に対する当初の勘違いを赤裸々に記載されていて、とても面白くて参考になる記事だと思いました。

エアコン1~2台を利用した全館冷暖房は自己責任ですし、階段ホールのエアコンは除湿機だと思って各部屋にはエアコン穴を用意したうえで、興味がある人は挑戦して頂ければと思います。

わかりやすい解説

全館冷房(除湿)、取り組み中です。
1週間、いろいろいろいろいろいろいろいろいろいろ試してみて、ようやく基本のキがなるほど~と、分かってきました。

まず「冷気は下に行く」ということ。

そうすると前回私がpostした設定は完全にアホ設定です💦
一番上の階の設定温度が一番高いって…爆〰️💣💥

3階階段ホールのエアコンから出た冷気は、階段を下って2階の部屋の隅々、1階の隅々まで届いてくれます。

1階の隅々に届くのは分かるんだけど、なぜだか2階の隅々には届かないんじゃないかって思ってたんです😣
ごめんね、冷気。あなたを過小評価していました💦

@fueppi4649さんが昔から常々書いてらっしゃることなのにぃ。
いざやるとまったくとんちんかんな私でした。
丁寧にアドバイスいただきありがとうございました。個別に言われてようやく意味がわかりました。←アホ~

わかりやすい図説

 

 

 

 

 

 

冷暖房エネルギーを計算してみる

今回はZHEレベルの断熱性能でC値は1.5という仮定で必要な空調エネルギーを計算してみます。

冷房用のエアコンは4.2kW、暖房用のエアコンは4.0kWと計算され、通常であれば200Vで14畳用のエアコンを3階と1階に各1台設置することになると思います。

しかし、このお宅では三階2.5kWの再熱エアコン、二階2.5kW、一階2.2kWというエアコンを選択されています。これは非常に良い構成だと私は思います。

以下のように冷房負荷を計算した場合、梅雨は外気温からの熱伝導や日射熱による影響は少ないため、温度除去663W+湿度除去1480Wの合計2143Wとなり、三階のエアコン1台で十分です。

梅雨は圧倒的に湿度除去の冷房負荷が大きく、盛夏では温度除去の割合が湿度除去よりも多くなり、特に窓からの日射熱の影響が大きいことからスダレなどの窓の日射遮蔽は最重要となります。

盛夏の冷房負荷は4.2kWと計算されますから、三階の2.5kWと二階の2.5kWを運転すれば余裕で足りると思います(もちろん、窓の日射遮蔽は必要)。

冬季に全館暖房をするには4.0kWの暖房エネルギーが必要ですから、一階の2.2kW+二階2.5kWで足りるため、小型エアコン複数台運転にてCOPの向上が望めます。

全館冷房の誤解

UA値がHEAT20のG2以下でなければならないとか三種換気では相対湿度が60%以下にならないとか、計算や色々な実例をみるとそうではないことがわかります。

吹き抜けのない階段ホールエアコンは難しいという話については空気の温度差による対流を理解すればそんなに難しいことではありません。一条施主を中心に既にたくさんの方が成功しています。

全館冷房が実現するかどうかはエアコンの設置場所と動かし方を理解しているかどうかが重要で、計算や設置をしたことがないのに「そんなの無理です」と説明する住宅会社が多いと思います。

さて、UA値やC値がどの程度あれば全館の除湿ができるかというと、ZEH程度の性能があり床がネダレスで柱の外に合板を設置している家であれば多くの家で可能だと私は思っています。

UA値やC値が特に効果的なのは冬季であり、家の内外の温度差が大きく家の中の温かい冬季は空気が上昇して天井から逃げますから断熱気密性能は高いほど良いです。

一方で、夏季は冷房中の家において冷気は上昇せず家の中に留まります。家の中の空気の量は断熱気密性能に関わらず同じですから家中の除湿が可能となることは当然だといえます。

そして、盛夏になれば天井の断熱や窓の日射遮蔽が弱いと絶対湿度は下げれても部屋は暑くなってしまいますから、特に窓の外にスダレなどを設置することが重要でしょう。

ただし、エアコンを1台運転にすることが目的ではなく家中を除湿することが最優先の目的ですから、暑ければ必要に応じて各居室のエアコンを動かしてもよいわけです。

また、吹き抜けがなくてもファンやダクトを使わなくても最上階の階段ホールにあるエアコン1台で冷気は家中に行き渡ることが今回の記事でもお分かり頂けたと思います。

最後に

私が提唱するエアコン1台による全館冷房は原理が簡単すぎて逆に理解ができず最初は戸惑うケースがあると思います。人間は面白い生き物で簡単すぎるものは理解に苦しむようです。

多くの方が空気をかき混ぜて室温を均一化させることが効率的だと思っているようなのですが、特に平屋以外は夏は空気をかき混ぜると温度差がなくなって空気が上下に動かなくなるのです。

室温の低い冬はコールドドラフト対策として空気をかき混ぜて温度差をなくすことは正しいと思いますが、夏は室温が高いため家の中の空気をかき混ぜると縦方向に空気が対流しなくなります。

私は高気密高断熱住宅や空調に興味がある方であれば、どの住宅会社・ハウスメーカーの方でも空調のご相談に乗っており、どこの住宅会社で家を建てるかはお好みで選択されると良いでしょう。

さて、除湿された空間の良いところは、カビやダニの発生を抑制できる点です。洗濯物が部屋干しで乾き、布団も干す必要がなくなるため重労働な家事から解放されます。

我が家は布団乾燥機は持っていませんし、全館を除湿すれば水とりの除湿剤やタンスの防虫剤などが不要になるのでコスト的にも優れています。

そしてダニの発生はアトピーの主要因となるため、日本の住宅は除湿の重要性についてもっと真剣に考えてもよいのではないかと思います。

少しでも多くの方に家中を除湿するということのメリットについて知ってほしいと思います。ミサワホームの施主の間にも壁掛エアコンで全館の除湿をするという選択肢が広まれば良いですね。

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