【全部タダで公開しています】F式小屋裏エアコン・階段ホールエアコンのノウハウ!

考察

はじめに

私が提唱しているエアコン1台での全館冷房(除湿)は、その独特なエアコンの運転方法について、私ことフエッピーの頭文字をとって「F式」という呼称で広まっているようです。

誤解の無いように申し上げておきますが、エアコンを1台に減らすことが目的ではありません。家中を低コストに24時間除湿することで、カビとダニの発生を防ぎお掃除を楽にするためです。

私はインフルエンサーでも教祖様でもありません。ただただ物理現象の話をしているだけですが、現在ではF式による除湿の効果に驚いてエアコンの運転を楽しんでいる変態施主が増えています。

F式は世間のいう省エネで効率的なエアコン運転とは真逆のエアコン運転方法を行うため理解に苦しむ人は多いと思いますが、SNSではこのように実践している方の情報を見ることができます。

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室温を重視する世間の常識的なエアコン運転と真逆の除湿を重視した省エネ運転に行うには、ある程度の家の性能と窓の日射遮蔽および、エアコンの適切な運転が必要になってきます。

私は現在は一条工務店の家に住んでいますが、F式に国境はありません。大手ハウスメーカー、スーパー工務店、コストを重視した住宅など、F式を採用されている施主は様々です。

F式に成功している家の性能はZEHやG1~G3と非常に幅広く、換気装置も一種全熱と三種の両方の家があります。三種換気においても相対湿度60%以下にしっかり落とせている事例があります。

SNSの情報をみるとF式を採用されている住宅のエアコンの設置場所は階段ホールで吹き抜けのある家とない家・小屋裏・居室と、F式が幅広く利用できることが分かっています。

中には高性能な新居に転居する前の住まいであるマンションや賃貸住宅で入居前にF式をテストしている方がいますが、湿度は下がっても室温までは下げきれない場合があるようです。

どんな性能の家でも家の中の空気量は同じです。冬は暖房された暖かい空気は上昇して抜けていくため断熱気密は重要ですが夏はエアコンで冷やされた空気は上昇せずに家の中に留まります。

これらの情報からエアコンによる全館冷房は窓の日射遮蔽を行いZHEやG1以上の断熱性能と柱の外側に合板がある家(C値2.0~3.0以下程度?)であれば常識的な範囲の電気代で収まるでしょう。

盛夏においては断熱気密性能が良いほどに消費電力は下がりますが太陽光パネルを設置して自家消費をしているかなどの条件によって電気代は変わってきます。

本日の記事は空調マニアな施主のアホな妄想ですから興味がない人はスルーしてください。

F式全館冷房とは?

梅雨を含めた夏季にカビダニの発生を防止するために相対湿度を60%以下に少ない消費電力で保つ運転方法です。エアコンの設置場所は小屋裏でも階段ホールでも吹き抜けでも構いません。

湿度を低くすると非常に快適で家事の楽な生活を送れます。除湿を行う手段は除湿機でもエアコンでも何でも構いませんが、エアコンはコスパ最強の除湿乾燥機だと言えます。

そして、エアコンは連続運転か間欠運転のどちらが省エネかとか、エアコンのサイズは半世紀以上前の無断熱住宅を基準に定められているといった内容の話はもう終わりにしたいところです。

盛夏のように室温が上昇してエアコンに負荷がかかる状態であれば、エアコン1台で簡単に相対湿度は60%以下にすることができますが、問題は梅雨と秋雨時期の湿度コントロールです。

私は温暖地の自宅で再熱除湿は利用していませんが、寒冷地や間取りと体感の違いによっては再熱除湿を利用しないと冷えすぎて寒い場合があり快適性の為に再熱除湿エアコンを推奨しています。

「エアコン1台で全館冷房ができます」といった住宅会社の情報をみると盛夏のようなエアコンに熱負荷のかかる時期以外は相対湿度が60%を超えて除湿不足になっている状態が散見されます。

室温の低下する梅雨や秋雨期間におけるカビダニの発生や洗濯物の生乾きの防止のために、相対湿度を60%以下にコントロールするノウハウを持っている住宅会社は少ないでしょう。

梅雨や秋雨の時期に消費電力を抑えながら相対湿度を60%以下にキープするには、プロと言えども実際に高気密高断熱住宅に何年か住んでエアコンの挙動を学ばないと難しいと思います。

住宅依頼先を選定する際にはUA値やC値、そして耐震等級だけでなく、梅雨を含めた夏季に相対湿度を60%以下に落とす空調のノウハウを持っているか確認した方がよいでしょう。

F式は私の二軒目の家の小屋裏エアコンの運転方法であり、エアコンを床や天井に埋め込んだり、ワイヤードリモコンやダクト・ファンなどを基本的に利用しないシンプルな方式です。

エアコンのサーモオフや冷気のショートサーキットさせないための工夫がいくつかありますが、それらを統合したものが「設定温度23℃前後・風量最小・風向き下」というシンプルな基本形です。

詳細は過去の記事を参考にしてください。空気がどのように動くのか分かるようになれば小屋裏エアコンも階段ホールエアコンも考慮すべきことに大差はありません。

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空気の動きを理解しないまま見よう見まねで小屋裏エアコンに挑戦すると失敗する可能性は高まるため、階段ホールにエアコンを設置してF式の運転を行った方が成功確率は高いと思います。

さて、ここからは一条工務店とは関係がなくなりますが、誰もがエアコンで省エネに全館冷暖房を行う方法について考えてみたいと思います。素人の考察となりますので参考までにご覧ください。

シロアリ対策の必要性

(出典:シロアリ一番

これからの家作りは温暖化により北上する土壌性で獰猛なイエシロアリや輸入家具などから侵入して隣家へ飛来していくアメリカカンザイシロアリのリスクへの対応が重要だと思います。

いまその地域にヤマトシロアリ以外がいないからといって対策を怠ることは時限爆弾を抱えることになってしまいます。耐久性や耐震性に拘っても蟻害にあっては元も子もありません。

空調に関係する部分では基礎断熱の土壌性シロアリリスクと共に、床断熱の場合は床下換気口からアメリカカンザイシロアリが侵入するため床下の木材のすべてに対策が必要になってきます。

基礎断熱の採用や杉板外壁などの外部に木部を出す場合は特別な考慮が必要でしょう。また床断熱の場合は建物の土台や柱以外に床下の合板までACQやホウ酸処理する必要が出てきます。

個人的にはアメリカカンザイシロアリが繁殖する地域で杉板外壁などの木部を露出する行為は慎重な判断が必要だと思います。木板外装と基礎外断熱はリスクを理解した上で採用すべきでしょう。

省エネ性・シロアリリスク・空調の普及性を考えると、天井面は桁上断熱か屋根断熱、床面は基礎で気密をとって床で断熱気密を行う断熱気密ラインが良いのではないかと考えます。

当然、床下を気密化すれば夏季の床下の結露やカビの問題がおきますから夏季は床下点検口を通気できる蓋に変えて家中を除湿するか、床下の換気をする構造にする必要があります。

基礎コンクリート天端については基礎外周は気密パッキンとして基礎内側は通気パッキンとする、通常とは逆の施工が良いと私は思っていますが、こういう工法を見たことがありません。

Q値やUA値の計算では外気に接しない床下は温度差係数が0.7となっていますが床下に通気をしなければ外気の影響をさらに受けなくなるため、実質の温度差係数は改善すると想定します。

また、冬季に冷え込む玄関ホールのコールドドラフト対策として、玄関かまちの下を通気パッキンとして床下への空気の給気口としてもよいでしょう。

省令準耐火対応について

小屋裏エアコンを実施する際に小屋裏のショートサーキット防止のために小屋裏点検口を開けている事例において単体では燃える現場発泡ウレタンがむき出しになっているケースが散見されます。

また、屋根断熱材のグラスウールにビニールの防湿シートを施工して屋根面に石膏ボードを施工していないケースもあると思いますから天井点検口を開放する場合は防火の注意が必要でしょう。

小屋裏エアコンを実施する際は小屋裏を石膏ボードでしっかり覆うか、小屋裏点検口を閉める場合は防火を考慮した給排気グリルをなどを利用して空気を移動させると良いと思います。

また、階間エアコンは省令準耐火対応が難しいという情報がありますし1台のエアコンでは故障時の懸念があるため、一番単純な方法は階段ホールと一階リビングエアコンの2台設置でしょう。

特にローコストな家作りにおいては施主が自分で空調を考えるケースが多いと思いますが、通気のガラリやファンやダクトなどは省令準耐火対応の防火ダンパー付きの製品を選ぶと良いでしょう。

(出典:パナソニックエコシステムベンテック

防火ダンパー付きの給排気グリルは三菱でもあるようです。また、二種の電気工事士は難易度が高い試験ではないため、空調をDIYする施主は電気工事士資格の取得をお勧めします。

F式全館冷暖房の改良版について

さてここからは、シロアリリスクや防火対策を含めたF式全館冷暖房の改良版(F式改)について話をしたいと思います。今後にセルフビルドで建てる予定の小屋の空調の妄想を含んでいます。

簡易なF式全館冷房では各部屋のドアを少しだけ開けておくと各部屋は涼しくなりますが、プライバシーを気にする方にはエアパスファンの設置を紹介しています。

ただ、実際には計画換気のためにドアの下にはアンダーカットがあり、引き戸は隙間だらけですからドアを閉めても音漏れはしますが、一応今回はドアを閉めた状態の空調を検討します。

さて、先に申し上げた通り断熱気密は天井面は桁上か屋根断熱で床面は基礎で気密をとって床で断熱気密とします。床でさらに気密を取る理由は床下換気のための気密性を上げるためです。

よって、F式改は小屋裏エアコンや床下エアコンではなくもっとも簡単な階段ホールと一階リビングへのエアコン設置です。平屋の場合はリビングに冷暖房兼用の1台設置する形となるでしょう。

省エネを目指すなら桁上断熱と床下断熱にすればより冷暖房空間が小さくなりますし、桁上断熱と基礎での気密化は施工性が良いと想定され地場工務店では採用しやすいと思います。

F式の仕組みは機械で換気をしないパッシブ換気の原理と同じであると思っています。よって、F式改はパッシブ換気や最小のファンを使うハイブリッド型のパッシブ換気に近づけたいと思います。

パッシブシステム研究会 | 北海道で誕生したパッシブ換気を開発・推進する団体
換気ファンを使わず、室内外の温度差と風の力を利用して暖房と換気をおこないます。省エネルギーで故障がなく、いつもきれいな空気と快適な室内環境を実現する全館空調システムです。高断熱・高気密住宅を建てる工務店によって北海道を中心に普及しています。

夏の床下の地熱による結露を考えると床下に直接外気を給気をしたいとは思いませんが、温かい空気は上昇して冷たい空気は下降するという物理現象を最大限に利用すべきであると思います。

冬は温度差によって暖気が上昇するためパッシブ換気に都合がよいですが、夏は冷気が上昇することは難しいため、冷房用のエアコンは一番高い階数に設置することが必要でしょう。

そして、ファンの音と暖房の考慮、省令準耐火および基礎の通気口からも侵入するアメリカカンザイシロアリへの対策まで考えると二階建ての場合は以下のような方式が想定されます。

部位 説明 備考
夏エアコン 階段ホールに設置 吹き抜けはなくても可
冬エアコン リビングに設置(基本、玄関に向ける) 玄関等のコールドドラフト考慮
排気 二階の天井から小屋裏に排気 小屋裏換気・透湿ルーフィング考慮
夏の給気 二階エアコンの近くに自然給気口 強制給気でもよい
冬の給気 一階エアコンの近くに自然給気口 強制給気でもよい
一階の涼しさ 二階エアコンと一階リビングが遠い場合 二階の床から一階天井へ冷気を落とす
床下換気 夏は床下点検口を通気できる蓋にする 基礎で気密+床で断熱気密

エアコンは当然ですが、人にエアコンの風が当たらない場所に設置します。特に冷房は人がいない空間にエアコンを設置しないと寒くて24時間運転ができません。

換気方式はパッシブ換気又は三種換気を想定しています。一種であればマーベックスの澄家のように、集中給気で各部屋排気のものが良いと思います。これは階段ホールのエアコンから発生する冷気をドアのアンダーカットから各部屋に吸い込むためです。

二階の各部屋からの排気は天井からでも壁からでも良いと思いますがファンの音を低減するためには、小屋裏やクローゼットの中に排気のファンを設置すると良いと思います。

吹き抜けが無くても全館冷房は可能ですが二階エアコンから一階リビングが遠い場合は冷気が届き難いため、リビング上の二階の床にスノコ床やファンをつけて冷気を落とすと良いでしょう。

気密化された床下の換気については、家中を除湿するのであれば単純に夏季だけ床下点検口を通気できる蓋にすれば良いと思います。

ただし、夏季に家中の除湿をしない家については床下へ室内からの給気口を設けて床下のファンを使って基礎コンクリートの立ち上がりから排気を行って床下換気をしてはと思います。

その際に基礎コンクリート立ち上がりの排気口の近くにエアコンの室外機を設置して熱回収をしたいなと思います。

最後に

本日はF式の全館冷房を採用している施主の情報およびF式の改良版を妄想してみました。興味のない方からみれば何の話だろ?という話だったと思います。

ただ、本日の記事をみて家の性能はZHEやG1で十分だと誤解しないで欲しいと思います。私は断熱気密は重要だと思っていますから予算が許せば家の性能は高いほど良いと考えます。

断熱気密は非常に重要です。それは特に冬季の暖房費用に影響するということと、室内の表面温度やコールドドラフトの発生など住み心地に影響するからです。

ただし、予算の限りのある中での家作りですから断熱気密にお金をあまりかけられない場合は空調でカバーすることも1つの手段でしょう。

G1やG2といった断熱グレードは数値ではなく中身でみると、東京などの6地域ではG1の家に樹脂のペアサッシを設置すればG2ですからG2ギリギリの家は比較的簡単に手に入ると思います。

一方でG2は温暖地では0.46W~0.27Wまでと非常に幅が広く、G1かG2のどちらが良いかという議論はG2の幅の広さを考慮していないケースが多いと感じます。

温暖地では冬季に日当たりが良い家はZEHやG1でも良いと思いますが、冬季に日当たりが望めない都市部の家や日本海側などの住宅はG2以上が良いと思います。

私の二軒目から四軒目の家は付加断熱をしたG3の家ですがG3を人に勧めはしません。ただし、壁の表面温度などの住み心地の違いや長期的な省エネ性などG3は価値があるものだと思っています。

G3を人に勧めない理由は、高性能住宅の量産化と普及を期待する私にとって付加断熱や一種換気などのコストのかかるものは設置しないで済むなら設置しないほうが良いと考えているからです。

しかし、一条工務店のように年間1万棟以上の高性能住宅の量産化をする手段としては建物のパネル化や一種換気・床暖房などの住設を採用していることは合理的な選択であると考えています。

高性能住宅と称する場合、断熱気密や耐震耐久までではなく夏季の除湿まで含めた空調がしっかり考慮されている必要があるでしょう。そして家作りにはもっと考えるべきことがあると思います。

エアコンの容量計算は以下にツールを提供しています。エアコンのサイズは気温だけでなく湿度を考慮すると共にG2の性能を超えると暖房負荷より冷房負荷が大きくなることに留意してください。

計算ツール
F式(私ことフエッピー式)の各計算ツールは無償でドドーンとご提供します。その代わりサポートはございませんので自己責任でご利用ください。また、告知なく修正しますので、ご利用の際は最新版をダウンロードしてご利用ください。 ダウンロードを行...

エアコン1台による全館冷房は自己責任です。興味のある方は補助エアコンの設置や各部屋のエアコンの予備穴を用意するなどしっかりと保険をかけて取り組んでください。

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