洗濯物が乾くメカニズムを考えた家作り

考察
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はじめに

共働きの家庭では洗濯という家事はかなりの重労働だと思います。これまでの生活習慣では洗濯物は太陽が昇っていて雨が降っていない時間に家の外に干して、気温が下がる前に洗濯物を取り込むという生活リズムであり、それに合わせた家作りであったと思います。

ちなみに洗濯機は洗濯から脱水までは電気代が安いことから、わざわざ洗濯を電力単価の高い深夜時間帯に行う必要はありません。

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天候と時間に制限を受ける洗濯という家事から開放されれば、楽な生活が送れるようになるのですが、世間では高気密住宅がいまだ少ないことから、高気密住宅においても以下のような低気密住宅と同様な洗濯から乾燥までの工程が行われていると思います。

  • バルコニーに洗濯物を干す(雨の日は干せない)
  • サンルームを設置して洗濯物を干す(気温の低い梅雨や夜間は乾かない)
  • 浴室に洗濯物を干して、浴室の換気扇を回す(浴室以外に高湿度な空気が取り込まれてしまう)
  • 浴室に洗濯物を干して、浴室乾燥機を利用する(ランニングコストが高い)
  • 洗濯乾燥機を利用する【ヒーター式・ヒートポンプ式・ガス乾燥機】(ランニングコストが高い)

上記のような家作りは高気密な家の性能を利用して家の中をまるごと除湿してしまえば必要がなくなります。本日は洗濯物が乾くメカニズムを理解することで家事を楽にする1年を通じて部屋干しに対応した家作りをしましょうという話です。

洗濯物が乾くメカニズム

洗濯物が乾くメカニズムは非常に簡単で2つの方法しかなく、洗濯物の周辺の空気の温度が高くなる程に洗濯物から周囲の空気へ水蒸気が移動する点と、洗濯物周辺に漂う湿った空気を移動させてより湿度の低い空気と入れ替えることで洗濯物が乾燥するという点に着目してください。

昔ながらの家の外に洗濯物を干す天日干しは太陽光で洗濯物を温めて洗濯物から蒸発した水蒸気を風が移動させてくれるという点で理にかなっていますが、家の外の気温が低い場合や湿度が高い時期は洗濯物が乾かないのです。

洗濯物から水分を効果的に追い出すには難しく言うと飽和水蒸気量を考えましょうということなのですが、難しい話よりも先ずはこれまで行ってきた洗濯物を乾燥させる行為と新しい乾燥方法の置き換えを比較してみましょう。

これまでの方式 新方式
雨を避ける サンルームを設置する 部屋干しスペースを設ける
洗濯物を温める 天日干し・乾燥機利用 高気密高断熱住宅による室温上昇
洗濯物の周辺の湿った空気を追い出す 浴室換気扇・サーキュレーターの利用 サーキュレーターの利用
湿度を下げる 局所的な除湿機の利用 家全体の除湿を実施

繰り返しますが、部屋干しで洗濯物を乾かすには保温性の高い高気密高断熱住宅の性能を利用して洗濯物を温めるということと、洗濯物周辺の湿った空気を追い出すということになります。外の湿度が高い季節は窓を開けても部屋の中の湿度は下がりません。

このことを理解しないまま、単純に部屋干しをしても、生乾きになったり気温の低い時期や夜間には部屋干しでは洗濯物が乾かないという状態になりますが、乾燥のメカニズムを知っていれば、1年を通じて部屋干しで厚い毛布であっても乾燥させることができます。

逆に言えばこの単純なメカニズムを知らないままサンルーム等を採用してしまうと、入居してからサンルームに洗濯物を干しても乾かないというショッキングな体験をすることになると思います。

また、一条施主において、三方を囲まれたバルコニー(=坪単価満額)を設置している方がいますが、私ならバルコニーは設置せずに部屋として部屋干しスペースにします。家中を除湿すればバルコニーに洗濯物を干すよりも部屋干しの方が洗濯物が早く乾くからです。

私の三軒目の家となる二階建てのi-cubeにおいては建築費削減のためにバルコニーは設置しておりません。二軒目の家の時に完全部屋干し移行していたため、10年程度で防水のメンテナンス費用がかかるバルコニーはもはや必要ないと判断しました。

浴室に洗濯物を干して浴室換気扇を回しっぱなしにすることで洗濯物を乾燥させる方法もありますが、家全体で考えると浴室以外の空間に換気扇を回した分だけ外部から湿った空気を取り込むことになりますから、この方法はお勧めしません。

浴室乾燥機や洗濯乾燥機については、部屋干しするスペースが取れない場合や洗濯物が多すぎて短時間で乾かしたいという場合には良いと思いますが、ランニングコストが高いため部屋干しスペースが広めに取れるなら不要だと思います。

日本の四季は3か月ごとではない

結論からいうと、高気密高断熱住宅の冬は部屋干しで洗濯物が乾きますし加湿にもなりますから一石二鳥です。梅雨から秋までの期間については、家中を除湿してしまえば洗濯物の生乾きに悩むこともありません。

家中を除湿するには一条工務店の場合はさらぽか空調を採用するか、再熱除湿機能の付いた6畳用のエアコン1台を2階の廊下ホールなどに設置すれば良く、人から離れた場所にエアコンを設置すれば冷房病になることもありません。

ただ、夏季にエアコンを利用する期間については個人ごとに認識が異なることから、不在時を含めてエアコンを24時間運転することに対しては未だに納得されていない方も多いことでしょう。

この誤解の根本は「日本には3か月ごとの四季がある」と思いこんでいるのではないかと思います。実際には四季は同じ3か月間ではなくて、圧倒的に冷暖房が必要な期間の方が長くて、つまりは現在の日本に四季は存在せずほぼ夏と冬の二季なのです。

この錯覚が抜けないまま、現実には猛暑日や熱帯夜が連発する気候にも関わらず、エアコンを極力利用しない生活を良しとするような時代錯誤の伝統に基づいた家作りが行われていますが、もはやエアコンを積極的かつ快適に利用する家作りが必要な時代なのです。

家作りにおいて、冷暖房に除湿を加えた空調期間を意識している人は少ないと思います。多くの方は冷暖房を考えた家作りをする際に以下の表(アメダスの2018年東京)のように、2か月しかない冷房期間より6か月ある暖房期間を重視する家作りをされると思います。

平均最高気温℃ 平均湿度% 季節 冷暖房期間 除湿期間 空調要否
3 16.9 65

暖房 必要
4 22.1 66 暖房 必要
5 24.6 71 ×不要
6 26.6 80

除湿 必要
7 32.7 77 冷房 除湿 必要
8 32.5 77 冷房 除湿 必要
9 26.6 86

除湿 必要
10 23.0 74 ×不要
11 17.7 72 暖房 必要
12 12.1 61

暖房 必要
1 9.4 54 暖房 必要
2 10.1 56 暖房 必要

上記の表をみると6月や9月は屋外の湿度が高湿度であり、洗濯物を家の外に干しても乾きにくいことがわかります。外に干せば風があるから乾燥するというのは誤解で風自体が湿っている場合は洗濯物は乾かないのです。

そして、部屋干しを意識して家作りを考える場合は上記の冷暖房期間に加えて除湿期間という概念を加える必要がありますから、冷暖房期間に除湿期間を加えた空調期間という考え方をすると、一年の中で空調を必要としない期間は2か月しかないことがわかります。

高気密高断熱住宅において窓を開けて生活するかどうかは自由ですが、一階の窓を開けて換気することは防犯面の懸念があることと、空調が不要な期間は上記のように2か月しかなくその期間の中でも天気が悪い日があることを考えると、窓を開けたり洗濯物を外に干して有利になる日はかなり少ないことが分かります。

たった、それだけの期間のために窓をあけて自然を感じる家作りなどを提案する住宅会社がいることは余りにも感情的な家作りだと思いますし、洗濯という重労働な家事を減らして家族を楽にしてあげたいなら完全部屋干しという家作りを検討されると良いでしょう。

最後に

海外や日本の一部では外観上、洗濯物を外干しすると生活水準が低い地域だとみられるという事例がありますが、私が部屋干しを推奨している理由はそれではございません。

そして、エアコン1台を24時間運転しても夏場では月に4000円前後の電気代が増えるだけですから、普通にエアコンを利用した場合と大差がありません。特に花粉症や空気が綺麗でない地域にお住まいの方には洗濯物の部屋干しはお勧めです。

洗濯物の天日干しの臭いというのも魅力的ではありますが、部屋干しをすることで家事が楽になることと天秤にかけてどちらを採用するかは、人ぞれぞでしょう。そして、部屋干しのために特別な洗剤は必要ありません。

天日干しの場合は洗濯物が色落ちするという問題と、当然ながら干したら取り込んで畳まないといけなため労力が大きいですが、完全部屋干しの場合は干しっぱなしでそこからとって使ったりオールハンガー収納といったズボラ家事が可能となります。

これから家作りをされる方においては、洗濯物の外干し・部屋干しのどちらを選択するとしても、高気密高断熱住宅では6畳用のエアコン1台という低コストな方式で1年を通じて部屋干しが可能だということを知ったうえで家作りをされると良いと思います。

本日は以上でございます。

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「家は、空調。」24時間全館冷房(除湿)by 一条工務店
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