寝室暖房で風邪4分の1 新型肺炎の予防にも効く?

考察

はじめに

(コロナウィルスについて:国立感染症研究所

ご存じの方も多いと思いますが、流行しているコロナウィルス対策として、寝室の暖房が有効ではないかと新聞で報じられています。体を冷やさないことが最も大切だということでしょう。

寝室暖房で風邪4分の1 新型肺炎の予防にも効く? - 日本経済新聞
寝室を暖房で暖めて寝る子どもは、そうでない子どもに比べ、風邪をひく人の割合が4分の1にとどまるとの調査結果を産業医科大(北九州市)の藤野善久教授(疫学)らのチームが28日までにまとめた。藤野教授は、暖かい部屋にいることで免疫の低下を防ぐことができたとみており、「新型コロナウイルスによる肺炎を含む冬の呼吸器感染症の予防に...

一条ハウスのように全館暖房をしていると体の免疫力が高くなって病気になりにくいという話は、私も高気密高断熱住宅に住んで10年が経ちますが、その通りであると実感しています。

家作りの情報に疎い方は高気密高断熱住宅は冬に暖かく夏に涼しいことから体が弱ると言われますが、それは精神論であると言えるでしょう。

上記のように風邪や発熱、そしてインフルエンザまで発症する割合が減っている理由は、冬季に室温が高い環境で生活すると免疫力が高まるということです。

マスクによるウィルスの予防も重要ですが、ウィルスがある環境においても発症しない免疫力の高い状態を保つということが一番大事なことだと思います。

湿度が上がればコロナウウィルスの拡大は収束するのか

インフルエンザのように夏になればコロナウィルスも収束するという考えがあります。気温が上がれば空気が抱えられる水分量である飽和水蒸気量が増えるため湿度は上昇します。

ただ、コロナウィルスをインフルエンザと同様だと考える向きがありますが、インフルエンザは高温多湿な熱帯でも流行することから拡散するメカニズムが良く分かっていません。

日本では温暖な沖縄や鹿児島で夏にインフルエンザが流行することがありますが、なぜ日本の本州では冬季にインフルエンザが流行するのか不明です。

よって、コロナウィルスがインフルエンザと似たような性質を示すという希望的観測については慎重に判断した方が良いと思います。

そして、インフルエンザ対策として室内の加湿が挙げられますが、これ自体が半分間違いだと私は思います。

インフルエンザと相対湿度の関係についてはG.J.ハーパーが1961年に発表した「ウイルスの生存実験」が有名ですが、この研究は60年以上も前になされたものであり再検証が必要でしょう。

他にもエアコンの畳数表示についても60年以上前の基準であるにも関わらず、いまだに利用されていることから、専門家と言われる人の意見の大半は旧態依然なのだと思います。

さて、インフルエンザは空気中の水蒸気量である絶対湿度が感染拡大に影響すると唱える医師がいます。絶対湿度とは空気中に含まれる水蒸気の量を言います。

これは恐らく呼吸によって吸い込んだ空気が人間の体温によって温められて、喉の粘膜を乾燥させた状態になるとインフルエンザが流行すると言っているのだと思います。

人間の口は乾燥を相対湿度で判断していると思います。冬季に家の外に出て、気温が低い相対湿度の高い空気を吸っても口の中は乾燥しませんが、体内の喉は乾燥すると思います。

冬季の外気は1m3当たり4グラム程度の水分しかなく、真夏は20グラム程度の水分量があるため、夏と比較すると非常に乾燥していることがわかります。

家の中では室温が高いため相対湿度が低下することから、呼吸によって口の中の乾燥を感じると思います。

しかし、喉の中は室内の相対湿度に関わらず体温で空気が温められて相対湿度が下がっているのでしょうから、そもそもの室内の水分量である絶対湿度がより重視されるべきでしょう。

つまり、喉の粘膜を乾燥させないためには、相対湿度ではなく絶対湿度(空気中の水分量)で考えることが重要だということです。

私の愛用している、みはりん坊Wという温湿度計は絶対湿度が表示されます。また、みはりん坊Wの取扱説明書にはインフルエンザと絶対湿度についての解説があります。

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エー・アンド・デイ(A&D)

高気密高断熱住宅をコントロールするには絶対湿度の理解が重要だと思いますが、絶対湿度が表示される温湿度計が極めて少ないため、絶対湿度計の普及が必要だと思います。

高気密住宅が本当の健康住宅

家族が複数人居れば各家族の寝室だけを個別暖房することは省エネではないため、小さな熱源で全館暖房が可能な高気密高断熱住宅を選択すると良いでしょう。

ただ、高気密住宅はどうしてこんなに誤解されるのかというぐらい誤解されています。

窓をあけて生活したいから高気密住宅は不要とか、自分は昔ながらの生活をしたいとか、そういうことではなく、高気密住宅が必要な理由は第一に家族の健康のためです。

冬は寒さや、夏の熱帯夜や熱中症によって体力を奪われないことで、ウィルスなどに対する免疫力が高まるということです。

さらに、夏季はエアコンの設置位置を工夫して家中の相対湿度を60%以下に保てばダニやカビの発生が抑制できることから、免疫アレルギーを抑制できます。

現在の大半の新築住宅は高断熱ですから、家を高気密にするだけで健康的な生活が省エネに送れるわけですが、高気密を苦手とするハウスメーカーなどの流す情報がそれを妨害しています。

家を高気密にすることはコストが大きくかかる話ではありません。気密性能を保証したくないというハウスメーカーや地場工務店側のエゴです。

高気密住宅でも窓を開けたければ開ければ良いです。ただし、しっかり窓を閉めて生活すべき季節には高気密住宅として性能を発揮できるように設計すべきでしょう。

ましてや、冬の寝室の室温が低い住宅を提供しているにも関わらず、自然素材は健康的であるといってお勧めしてくるようなアベコベなことを言っている住宅会社は勉強不足だと思います。

家作りに際して、情報が少ないと高気密高断熱住宅かそれ以外かといった視野の狭い家作りをしてしまうことになるかも知れません。

床暖房が必要かどうかとか、太陽光パネルが必要かどうかといった個別論点ではなく、家の基本性能というものを良く知った上で家作りしないと家作りは失敗するでしょう。

そして、家作りはデザインも予算も家の性能もすべて両立させるべきです。私はその中でどうしても外せないのは高気密であり、高気密は家の耐久性と家族の健康問題に関わるからです。

情報弱者という言葉がありますが持っている情報量が多いか少ないかという問題と共に、やむを得ないですが家作りの経験値が少ないと情報をうまく受け取れないという意味もあると思います。

高気密を好まない住宅提供者が流す情報は自社に有利なポジショントークですから、業者のポジショントークに騙されないことが良い家作りへの近道でしょう。

 

本日は以上でございます。

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