はじめに
私も愛用する絶対湿度というものが測れるみはりん坊W。これが世に広まれば感覚的に語られてきた住宅の謎がわかりやすくなるため、多くの方の家作りや住み方に役立つはずです。
一条工務店が入居者にプレゼントしている2個の温湿度計をみはりん坊Wに変えて欲しいと思うのですが、そんなことをいうと現状の温湿度計を作ってるエンペックスさんが困まりますよね。。
みはりん坊Wは私のブログに頻繁に出てくるので、私のブログを読んでくれている一条工務店の社員さんが展示場に(話のネタとして?)みはりん坊Wを置いてくれている場合があります。
私のブログは当然に一条工務店の本社にロックオン?されていて、一条本社の人が事情聴取?に展示場まで来たこともありますし、一条の展示場でも結構な頻度で会話に出てくるそうですよ。
以下は私の旧ブログでみはりん坊Wをご紹介した記事です。4年ほど前はみはりん坊Wがマイナー過ぎたのか、価格がAmazonで3456円でしたが現在は少しお安くなって2200円程度で買えます。
そして、みはりん坊Wは本日の松尾設計室のYoutubeでも10分50秒から紹介されています。どんどん広めていって欲しいところです。それにしても松尾さんは動画上げるのが朝早いですね。
動画の中で壁掛けエアコンでは相対湿度を60%以下にするのは難しいと仰っている部分について、エアコンメーカーと運転方法にもよるのかなと思います。
ただ、最近のエアコンメーカーは再熱除湿機能からの撤退が続くなど、安い電気代で部屋を涼しくするために除湿量を減らして送風機能を強化する方向に舵を切っているのは確かです。
私の方式のエアコンの冷房運転方法では設定温度を下げたうえで風量を絞って除湿量を稼ぐ方法であるため、相対湿度を50%台前半まで下げられている人がInstagramを見ると多く見かけます。
湿度計はバラバラ
私の旧ブログでも記事にしていますが国産の一般的な湿度計はまずズレていると思った方が良いでしょう。高気密高断熱住宅は冬に乾燥する話は本当ですが湿度計のズレによる誤解もあります。
一条工務店から入居時にプレゼントされる温湿度計はすべてではありませんが、湿度がバラバラだと思います。大抵の湿度計は10%程度低くでています。
アナログの湿度計の直し方はこちらを参考にされると良いと思います。
これまでは湿度計の精度を気にする人なんて葉巻を吸う人ぐらいではなかったと思いますが、私も葉巻愛好家が信用しているインクバード社の温湿度計を基準としています。
そして、みはりん坊Wはそのインクバード社の温湿度計とほぼ同じ精度の温湿度を表示するため、かなり信用して良いのではないかと思いますが、複数個を買って確かめた方が良いでしょう。
色々な計算ツールを提供しています
絶対湿度にはみはりん坊Wに表示されている湿り空気1m3の中の水蒸気量を表す容積絶対湿度(g/m3)と乾燥空気1kgの中の水蒸気量を表す重量絶対湿度(g/kg)の2種類があります。
絶対湿度自体が分からないのに、絶対湿度が2種類あるなんて困ったものだと思う方もいるでしょう。ただ、絶対湿度は空気中の水分量という意味なので分かると難しくはありません。
習うより慣れろで、私の提供する計算ツールでは温度と相対湿度を入力すると、容積絶対湿度と重量絶対湿度の両方が計算されますので、興味のある方はご覧ください。
また、気象庁のアメダスのデータがあれば各地域の気温と相対湿度の状況がわかるため、それを元に絶対湿度を計算して求めることができます(湿度が計測されている観測点のみ)。
過去のアメダスの気象情報を貼り付けて一括して過去の気温や絶対湿度を知りたい場合はこちらの計算ツールをご利用ください。全国の絶対湿度を比較すると面白いことがわかります。
一条工務店は北海道だけ窓の網戸が標準仕様になっているため、それがなぜかと計算したことがありますが、絶対湿度を計算すると札幌で冷房や除湿が必要な期間は年間27日間でした。
北海道は本州より絶対湿度は低いですが白樺の花粉症や札幌はヒートアイランド現象があるため、絶対湿度が低いからといって窓を開放すれば快適になるかというとそうとも言えないようです。
絶対湿度と相対湿度の使い分け
過去に絶対湿度と相対湿度の使い分け方法を書いたことがありますが、これを腹落ちするまでには相当に時間がかかると思います。頭を切り替えるのは難しいことですよね。
家を加湿をするかしないかについては、吸った空気が人間の体温で温められることまでを考慮して、喉が乾燥するかしないかを判断するのであれば相対湿度よりも絶対湿度が適しています。
喉などの乾燥感は個人差がありますが、みはりん坊Wがアラートを出す7g/m3や、20℃50%の状態である8.7g/m3(7.3g/kg)以上に保つことなどを判断材料にされると良いでしょう。
みはりん坊Wはインフルエンザ対策として相対湿度ではなく絶対湿度で考えようと提唱していて、これまでの常識における相対湿度は40%以上にしようという話とは大きくことなる考え方です。
みはりん坊Wに付属されているハンドブックには以下のような室温・相対湿度における絶対湿度が記載されていますので、絶対湿度が一目でわかるようになっています。
最後に
絶対湿度と相対湿度の使い分けが難しいという方は、みはりん坊Wを3個設置(リビング、エアコンの吹き出し口、家の外)して以下を注意して生活すれば良いでしょう。
判断項目 | ①リビング | ➁エアコン吹き出し口 | ③家の外 |
全館冷房の開始時期 | 数日間60%超えたら | ー | ー |
全館冷房の期間中 | 60%以下を維持 | 11g/m3以下を維持 | ー |
全館冷房の終了時期 | ー | ー | 14g/m3以下 |
窓を開けて快適な日 | ー | ー | 16g/m3以下 |
冬季の加湿 | 7g/m3~8.2g/m3以下 | ー | ー |
上記の「全館冷房の終了時期の14g/m3以下」とは、言い換えるとエアコンを切って窓を閉めても快適になる日であり、生活廃湿を含めても室内が28℃・60%(16.3g/m3)に収まる想定です。
また、「窓を開けて快適な日の16g/m3以下」とは28℃・60%の状態の絶対湿度のことで、窓を開けてしっかり生活廃湿を排気すれば室内の相対湿度を60%以下に保てることを想定しています。
結局は冬の乾燥時期以外は家の中の相対湿度を60%以下に保つことがダニ予防には重要であり、室温の上限を28℃とすればおのずと家の外の絶対湿度を見れば窓の開け閉めの判断ができます。
ちなみに春の花粉症の時期に窓を開けない人は10月上旬~10月下旬しか窓を開けて快適な日がないと覚えておいてください。そしてその期間においてさえ雨が降れば窓は閉めることになります。
つまり、花粉症の人は1年の内の秋の2週間程度しか窓を開けて快適な日がないため、非常識ですが私は網戸を設置することはコスパが悪いと判断して三軒目の家から網戸は設置していません。
春と秋は窓を開けないと室内が暑いじゃないかと考えると思いますが、南側の窓は日射遮蔽して東西北の窓は少なく小さくするというセオリーを採用すれば春と秋も窓を開けずに過ごせます。
そして、ロスガードは最新のうるケア仕様から水道管直結の無給水加湿機能と共に外気を熱交換せずに取り入れるバイパス換気機能がついたため窓を開けなくても外気を取り入れられます。
このように、みはりん坊Wがあれば高気密高断熱住宅の生活に目安ができます。1個2000円程度で買えて絶対湿度が測れる機器なんて他にはないと思いますから本当に素晴らしい機器です。
何千万円もする家作りですから、数千円の出費を惜しまない方が良いかも知れませんね。
本日は以上でございます。