(祝)APW430防火窓の発売

考察

はじめに

本日は一条工務店と直接関係のない記事ですが、一条工務店以外の家作りを知ることで一条工務店のことがより良く分かると思います

一条工務店は防火トリプルサッシを保有していますが、ついにライバルであるYKKAP社のトリプルサッシであるAPW430にも防火窓が誕生したようです。性能はこちらのブログに載ってました。

「APW430防火窓」いよいよ発売!
速報です!「APW430防火窓」がいよいよ発売されます2/28になったらブログに書いても良いそうなので早速書かせて頂きました(^^)/耐熱ガラスはセンターに入っていますそれをアルミスペーサーで挟んで 火災時に脱落を防止しているんですね価格はいくらになるか不明ですが(まだ積算できないので)売れる価格設定で出してくると思わ...

アルミスペーサーで熱貫流率は1.25Wということですが、APW330の防火ペアサッシが1.55Wでしたから19%ほど高性能になったようです。

また、現物を見た事がないですが一条工務店の防火トリプルサッシも施主の情報をみるとアルミスペーサーのようです。ただ、一条工務店のサッシは一階は防犯ガラスがもう1枚入っています。

いずれにしても、一条工務店以外の住宅ビルダーが準防火地域でトリプルサッシが採用できるようになったことは良かったと思います。

家作りにおいては、気密性能と共にトリプルサッシの採用は住み心地において重要事項であり、室内を十分に加湿したい場合はトリプルサッシでないと冬季に窓が結露してしまいます。

冬季にヒートショックを起こす性能の低い住宅を減らすために高気密高断熱住宅の普及を願う私としては、これでようやく準防火地域での全館暖房の普及に目途がついたと感じています。

早速、標準モデルでQ値を計算してみました

APW430の防火窓を設置した場合の家全体の熱損失の違いをみてみましょう。前回、標準モデルで各社のQ値やUa値を計算していますから、窓を変えるだけでQ値やUa値の計算が可能です。

大手ハウスメーカーのQ値とUa値を一挙に計算してみた
はじめに 前回、標準モデルの間取りで一条工務店のQ値とUa値を計算しました。ということで、今回は標準モデルで大手ハウスメーカーの木造住宅のQ値とUa値を計算してみたいと思います。 簡単に言うとQ値が半分だと暖房費用も半分だと...

では、計算結果です。一条工務店を含めてすべての住宅の窓をAPW430の防火窓に変更し、今回は一条ハウスからはハニカムシェードを外して計算してみました。

ハウスメーカー名 商品・仕様 Q値 Ua値 C値 全館暖房
費用(1月)
積水ハウス シャーウッドHG 1.66W 0.43W 不明 12,351円
セキスイハイム グランツーユーV 1.40W 0.40W 2.00 9,931円
大和ハウス工業 PREMIUM GranWood 1.56W 0.31W 不明 11,446円
ミサワホーム MJ Wood 1.64W 0.45W 不明 12,143円
住友林業 Forest BF 1.61W 0.44W 不明 11,908円
三井ホーム 商品不明 1.52W 0.42W 不明 11,040円
スウェーデンハウス 商品不明 1.35W 0.40W 0.73 9,434円
一条工務店 i-series ウレタン仕様 0.89W 0.25W 0.59 3,752円
EPS仕様 1.02W 0.30W 0.59 6,356円
一条工務店 夢の家 グランセゾン等 1.32W 0.41W 0.59 9,099円
一条工務店 i-smile 規格型 2×4 1.09W 0.33W 0.59 6,988円
参考:一般工法
(現場発泡ウレタン)
2×6 A種3 防火トリプル 1.42W 0.36W 0.50 10,057円
 〃 防火ペアサッシ 1.49W 0.39W 0.50 10,739円
2×4 A種1H 防火トリプル 1.60W 0.43W 0.50 11,796円
 〃 防火ペアサッシ 1.67W 0.46W 0.50 12,478円
3.5寸柱 A種1H 防火トリプル 1.46W 0.38W 0.50 10,458円
 〃 防火ペアサッシ 1.53W 0.40W 0.50 11,140円

都市部でかなりの割合を占める準防火地域のことを考えると樹脂サッシを採用すれば、省エネ基準程度の断熱性能の家においても、全館暖房が狙えることがわかります。

もちろん、気密性能が伴わないと全館暖房の暖房費用が高騰してしまいますから、低気密な大手ハウスメーカーの家では気密性能の向上に努めて頂きたいものです。

ただ、YKKAP社の防火ペアサッシと防火トリプルサッシを比較すると家の熱損失が4%程度変わるだけですからコストメリットがあるのか確認が必要だと思います。

また、一条工務店が公表するUa値は過小評価ではないかと以前に私はブログで書いていますが、カタログのUa値0.25Wは防火トリプルサッシ採用した場合を考慮しているのかも知れません。

一条工務店 Ua値の過小評価疑惑?
はじめに タイトルの過小とはUa値を悪く評価しているのではないかという意味です。通常の性能偽装とは本来の性能より良く評価することですが本日は逆に悪く評価しているのではないかという話です。 一条ハウスのカタログのQ値計算方法には問題が...

最後に

YKKAP社が防火トリプルサッシを開発したことで、ますます一条工務店との争いが激化しそうですが、これが一条工務店以外の住宅ビルダーにとって良いのかどうかわからないところです。

以前に床暖房の有無で家作りを検討するのは一条工務店の差別化戦略にまんまとハマるだけと書きましたが、トリプルサッシを争点に家作りを進めることも得策ではない気がします。

【目を覚ませ】床暖房神話はやめよう
はじめに 本日はあえて全館床暖房を愛している一条施主の反発を食らう記事を書きます。 一条工務店を評して超高断熱であるにも関わらず差別化のために床暖房という過剰装備を搭載していると説明する地場工務店がありますが、これはむしろ一条工務店...

なぜかというと、「家は、性能。」を標榜する一条工務店を刺激するとクワトロ(四重)サッシを開発しかねないと思うからです。こうなってしまうとやぶ蛇ですよね。

一条工務店は常識を覆すことをわざとやるような桁外れなことをする企業であり、過去には在来工法のハウスメーカーであったにも関わらず、突然2×6で超断熱のi-cubeを発売してきました。

一条工務店のi-seriesは当初はEPS断熱材でした。EPSでも圧倒的な性能であったにも関わらず、さらに断熱材をウレタンに変えて性能アップをしたという恐ろしい?企業体質です。

最近では耐水害住宅の実験や蓄電池を激安で提供する「電力革命」、そして過去にダイキンが諦めた水道管直結の無給水加湿機能を「ロスガードうるケア」としてリリースしています。

ロスガードうるケアには課題であった冬季の乾燥対策として加湿機能と共に、中間期のオーバーヒート対策としてバイパス換気機能まで搭載され、ロスガードは無敵の状態へと進化しています。

また、近年の大型台風対策として一条工務店はまだオプションのようですが強化ガラスをトリプルサッシに搭載しています。防犯防火強化ガラストリプルサッシなんて、世界中のどこにもないのではないでしょうか。

一条工務店は他のハウスメーカーとは異なりサッシメーカーでもあるため、フィリピンの工場を使ってローコストにクワトロサッシを製造することは不可能ではないと思います。

私の過去記事でクインティプル(五重)サッシやセクスタプル(六重)サッシの熱貫流率を計算していますが、トリプルサッシに内窓を追加する案はやろうと思えばすぐに実現できると思います。

クインティプル(五重)サッシについて想う
将来、一条工務店がクワトロ(四重:クアドラプル)サッシを開発するのか興味深々な私ですが、もしかしたらクインティプル(五重)サッシも可能かもなんて妄想をしてみたいと思います。 サッシの現状 最近ではトリプルサッシを搭載したハウスメーカーが...

一条工務店以外の住宅ビルダーは今回YKKAPから防火トリプルサッシが発売されたことに浮かれて性能面で一条工務店を正面から刺激するような戦略をとることは得策だとは思えません。

一条工務店は打倒レガリスぐらいは平気でやると思いますから、U値が0.5Wの窓なんてものが一条ハウスに標準搭載されたら設計事務所や地場工務店は手も足もでないことになります。

YKKAP社が「一条工務店にしかできなかった準防火地域でのトリプルサッシが採用できるようになりました」なんてキャンペーンを打てば、一条工務店に火をつけてしまうかも知れません。

私の意見としては、下手な手を打って寝た子を起こすな!ということです。防火トリプルサッシの利用はコストパフォーマンスを含めて冷静に対応した方が良いと思います。

そして、最近の一条工務店はまた何かの防火窓の認定を取っています。恐らく三階建て住宅用の防火窓か耐水害対策用住宅の窓ではないかと私は推測しています。

また一条工務店が防火窓の認定を取っている件
はじめに 以前にご紹介しましたが、一条工務店では標準の防犯トリプルサッシの他にオプションになりますが準防火地域の二階建てまでの家において防火防犯トリプルサッシが採用できます。これはとてもすごいことなのです。 都市部を中心に準...

また、私のブログでは一条ハウスでの窓の日射制御方法や高効率エアコンの利用をご紹介していますが、これは窓の日射制御やエアコン暖房は一条ハウスでも出来ることをあえて示しています。

つまり、窓の日射制御や高効率エアコンの利用といった家作りのノウハウは一条の施主が取り入れてしまうので、設計事務所や地場工務店はどこで勝負するかよく考えて下さいということです。

一条工務店は確かに個々の住宅ごとに窓の日射制御を考慮することは得意ではありませんが、Instagramなどを媒体として施主の間で窓の日射制御は広まって行っています。

そして、さらぽか空調の採用や私のブログで紹介しているエアコン1台による全館冷房を通じて一条施主の夏季の湿度管理については、地場ビルダーの上をいっている状態とも言えます。

私も愛用している絶対湿度が表示される温湿度計である「みはりん坊W」を設置することにより、これまで難しかった絶対湿度を理解した住み方が誰にでもできるようになりました。

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エー・アンド・デイ(A&D)

もはや、地場ビルダーは小屋裏エアコン、床下エアコン、階間エアコン、日射熱の活用などの、温熱環境を前面に出した戦略では一条工務店に対抗できないと思った方が良いでしょう。

では、設計事務所や地場工務店はどこで一条工務店と勝負すべきかということについては、私の個人的な意見ですが、メンテナンスフリーとコストパフォーマンスだと思っています。

超ハイスペックな高気密高断熱住宅を目指す地場ビルダーは別として、そこそこの温熱性能を目指す多くの地場ビルダーの本当のライバルは一条工務店ではないと私は考えます。

地場ビルダーはお客様に丁寧にコストパフォーマンスについて説明して、室内造作が自由で外観デザインに優れたQ値1.4W程度の家をそこそこの価格で提供すると宣言した方が賢い戦略であると思います。

大手ハウスメーカーの家は全体の30%程度のシェアですから、私は地場ビルダーは残りの70%の中で戦い、一条工務店は大手ハウスメーカーの30%を全部取りに行く戦略が良いと考えます。

高性能な家を作っている地場ビルダーの方には自分たちの競合相手が一条工務店なのかよくよく考えて欲しいと思います。私は性能の高い家VS性能の低い家の対立構造が正しいと思っています。

くれぐれも、床暖房の有無やトリプルサッシの有無で一条工務店に対抗しない方が得策であり、一条工務店が仕掛ける差別化戦略に正面から対抗すると消耗戦になってしまうと思いますよ。

これは、過去に設計事務所+地場工務店でローコストに高気密高断熱住宅を建てたことのある私からのアドバイスです。本当に一条工務店は常識を簡単に超えてくるヤバイ会社だと思います。

高気密高断熱住宅の普及を願う私としては、高性能な家同士が過剰な競争をするよりは、殺人住宅と言われる性能の低い家をどうやって減らしていくかという方が重要だと考えています。

今回、YKKKAP社が防火トリプルサッシを発売することは非常によかったと思いますが、大手ハウスメーカーがこれを採用するかどうか見ものですね。

大手ハウスメーカーは型式認定の絡みがあるため、簡単に家の作りを変えることは難しいかもしれませんが、高価格帯な家にも関わらずアルミ樹脂複合サッシが標準なのは問題だと思いますよ。

本日は以上でございます。

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