はじめに
前回、標準モデルの間取りで一条工務店のQ値とUa値を計算しました。ということで、今回は標準モデルで大手ハウスメーカーの木造住宅のQ値とUa値を計算してみたいと思います。
簡単に言うとQ値が半分だと暖房費用も半分だと思って下さい。多くの施主は冬に暖かい家を希望しますが、実際に入居してみると新居が思ったほど暖かくないという体験をしているようです。
それを回避するにはハウスメーカーのカタログ値を比較しているだけでは真実を知ることはできませんから、少し勉強をして自分でQ値やUa値を計算する必要があると思います。
これまでインターネット上においてカタログ値をもとに家作りについて誤解が蔓延してきましたが、施主が自分で計算できれはこの誤解は解消します。
ただし、一から施主がQ値や壁内結露の計算をするにはハードルが高いため、私が作った計算ツールをご利用頂ければと思います。どの部位をどう変えると性能が上がるか分かるようになります。
Ua値に関してはカタログ値と標準モデルが大きく異なるとすれば、カタログ値の計算モデルの窓が小さすぎるのだと思います。Q値に関しては窓の面積と共に家の形の影響を大きく受けます。
家作りにおいてQ値とUa値のどちらを重視すれば良いかというとQ値です。Ua値は家の形や換気の熱損失が考慮されないため、本当にざっくりとした指標であるからです。
計算結果
どこまでを大手ハウスメーカーに含めるかについては色々な意見がありますが、今回は8社会と価格帯が近い、トヨタホーム・一条工務店・スウェーデンハウスを大手とします。
以下に各社の断熱性能の計算結果と1月の温暖地での全館暖房に関わる電気代を計算していますが、家の日当たりが悪い家で家族が4名常時いる状態での暖房費用となりますのでご参考までに。
ハウスメーカー名 | 商品・仕様 | Q値 | Ua値 | C値 | 全館暖房 費用(1月) |
積水ハウス | シャーウッドHG | 1.92W | 0.53W | 不明 | 14,709円 |
セキスイハイム | グランツーユーV | 1.66W | 0.49W | 2.00 | 12,290円 |
大和ハウス工業 | PREMIUM GranWood | 1.50W | 0.29W | 不明 | 10,758円 |
パナソニックホームズ | 鉄骨系が中心であり、木造住宅は情報不足で評価できず。 | ||||
ヘーベルハウス | 鉄骨系が中心であり、木造住宅は商品にないと思います。 | ||||
ミサワホーム | MJ Wood | 1.90W | 0.54W | 不明 | 14,501円 |
住友林業 | Forest BF | 1.87W | 0.54W | 不明 | 14,266円 |
三井ホーム | 商品不明 | 1.78W | 0.52W | 不明 | 13,398円 |
トヨタホーム | 鉄骨系が中心であり、現状は木造住宅は建売のみだと思います。 | ||||
スウェーデンハウス | 商品不明 | 1.44W | 0.43W | 0.73 | 10,155円 |
一条工務店 i-series | ウレタン仕様 | 0.75W | 0.20W | 0.59 | 3,752円 |
EPS仕様 | 0.88W | 0.25W | 0.59 | 5,001円 | |
一条工務店 夢の家 | グランセゾン等 | 1.18W | 0.35W | 0.59 | 7,744円 |
一条工務店 i-smile | 規格型 2×4 | 0.95W | 0.27W | 0.59 | 5,634円 |
参考:一般工法 (現場発泡ウレタン) |
2×6の家 A種3 | 1.33W | 0.33W | 0.50 | 9,262円 |
〃 準防火 | 1.49W | 0.39W | 0.50 | 10,739円 | |
2×4の家 A種1H | 1.52W | 0.40W | 0.50 | 11,000円 | |
〃 準防火 | 1.67W | 0.46W | 0.50 | 12,478円 | |
3.5寸柱の家 A種1H | 1.37W | 0.34W | 0.50 | 9,662円 | |
〃 準防火 | 1.53W | 0.40W | 0.50 | 11,140円 |
一般工法とはローコスト系ハウスメーカーや設計事務所・地場工務店が建築する家のことであり、断熱材には温暖地で人気のある現場発泡ウレタンを利用した家を想定して計算しております。
上記の暖房費用は家の日当たりや気密性能と暖房効率によって大きく変わりますので、あくまで同一条件で計算した場合の暖房費用の目安としてご覧ください。
むしろ、家の性能が高性能化していくと温暖地では暖房費用よりも給湯費用の方が多くなる傾向にあり、高性能な住宅の冬季の電気代の増加は給湯費用の方が大きな問題だと言えます。
<計算条件>
・標準モデルの間取りで計算
・屋根断熱であっても天井断熱とみなして計算しています
・日当たりがものすごい悪い温暖地という設定
・暖房のCOPは床暖房と同じ4.2としています
・C値が不明な場合はツーバイ工法は3cm2/m2、それ以外の工法は5cm2/m2とします
・家族4名が常時在宅な状態で暖房費用を計算(人から発熱が常時加算されている)
・一種換気の熱交換率が不明の場合は一般的な70%の熱交換率としています
・石膏ボードなど断熱にあまり影響のない部分は一条工務店と同じ仕様としています
・ユニットバス下の基礎コンクリートの断熱が不明な場合はEPS50mmとしています
ハウスメーカーごとに計算したデータは以下に置いてありますので、興味があるかたはご覧ください。計算条件のすべてが正確ではありませんが計算結果は大きくずれていないはずです。
※一部、窓の選択間違いがあり再度計算しました(2020/02/24 08:30)
各社への寸評
記事を書くにあたり各ハウスメーカーのホームページを拝見しましたが、一目で家の性能や構成がわからない構造になっていて消費者にとっては迷宮のようです。とにかく分かりにくかったです。
今回は計算対象外となった鉄骨系のハウスメーカーは気密性能が出しにくいことと、鉄骨が熱橋となることから夏に涼しくて冬に暖かい家にすることは難しいため評価の対象から除きました。
大半の大手ハウスメーカーの断熱性能をみると温暖地のZEH基準(Q値2.0W・Ua値0.6W)は標準モデルではクリアするものの、窓が大きいとZEHをクリアできない現状です。
また、ハウスメーカーがアピールしている断熱等性能等級4とは温暖地ではQ値2.7W程度と低いレベルであるため、30年以上住むのであればこの半分のQ値(1.4W以下)にしたいところです。
そして、価格が大手ハウスメーカーより安い高気密高断熱住宅を得意とする設計事務所や地場工務店の家に大手ハウスメーカーの家は暖かさで及ばないという状況であることがわかります。
温暖地において24時間連続運転で全館暖房をする場合、Q値が1.6W(1.4W以下が望ましい)以下であれば、性能の低い一般的な暖房を間欠運転している家と暖房費用が同じ程度になります。
今回、大手ハウスメーカーを一括で評価しますが、素人の私が評価するものであり、あくまで参考としてください。ただし、計算方法自体は公開しておりますし、正しいと思っています。
積水ハウス シャーウッド ハイグレード仕様
- 概要 床断熱、在来工法、気密測定なし、一種熱交換換気
- 断熱材 (HGW16K)天井200mm、壁100mm、床137mm
- 窓 アルミ樹脂複合サッシ(2.33W)
- 断熱性能 ☆
- 家の暖かさ ☆
広告宣伝を盛んに行い良くも悪くも日本の家作りをけん引してきたハウスメーカーであり、長らく販売棟数No1のハウスメーカーでしたが、現在は一条工務店が販売棟数でNo1になっています。
ハイグレード仕様のQ値が1.92WとZEH基準ギリギリのレベルですが、木造住宅でも大引きや天井の吊り木受けなどに軽量鉄骨を利用しているため、実際のQ値はもう少し悪い可能性があります。
気密測定をしない床断熱工法で断熱にグラスウールを利用しているため、冬に寒い家の条件をみたしています。断熱工法的にはあまり特徴がなく普通の在来工法の家といった感じです。
ただ、大工さんの腕が良くて室内の防湿フィルムを丁寧に施工していれば暖かい家になる可能性はありますが、暖かい家を求めるなら難しいハウスメーカーだと思います。
積水ハウスは営業マンのフットワークや設計の提案力で勝負している企業ではないかと思います。
セキスイハイム グランツーユーV
- 概要 床断熱+基礎断熱、2×6、気密測定あり(C値2.0)、一種熱交換換気
- 断熱材 (HGW16K)天井200mm、壁130mm、床130mm
- 窓 アルミ樹脂複合サッシ(2.33W)
- 断熱性能 ☆☆
- 家の暖かさ ☆☆
大手ハウスメーカーの中で気密測定をしている貴重なハウスメーカーです。気密測定の実施および基礎断熱とツーバイ工法を採用しているため暖かい家の条件を満たしています。
セキスイハイムは基礎断熱を採用していますが、同時に床断熱を実施しているため、今回は床断熱として評価していますが、実際は床の断熱性能をもう少し高く評価して良いと思います。
断熱性能はZEHを下回り大手ハウスメーカーの中では良い部類です。工法的に見ても基礎断熱と気密測定により壁内気流が止まっているため、断熱性能以上に暖かい家だと感じると思います。
ちなみに北海道限定でカタログQ値0.99Wのジェダンという軽量鉄骨の商品があります。
ダイワハウス PREMIUM GranWood
- 概要 基礎断熱、在来工法、気密測定不明、三種換気(?)
- 断熱材 天井HGW14K 300mm、壁HGW20K+EPS 90mm、基礎EPS 100mm
- 窓 真空トリプルサッシ(0.99W)
- 断熱性能 ☆☆
- 家の暖かさ ☆☆
鉄骨造が中心ですが、賃貸の集合住宅などを含めると上位の販売棟数を誇るハウスメーカーです。そして、今回の断熱性能計算で一番手間のかかったハウスメーカーです。
外張り断熱工法での住宅シリーズの総称がxevoというようで、その中に鉄骨造と木造がある建て付けでした。ただ、ホームページでは商品ごとの違いが全然わからなかったです。
Q値に比較してUa値が良い理由は窓が他のハウスメーカーに比較して高性能であり、換気の熱損失が計算されないUa値では窓が高性能であると有利に計算されます。
断熱材には板状の発泡断熱材やグラスウールの種類が14K・16K・20Kなど複数の断熱材が利用されていて、なんでこんな複雑な家を作っているのか疑問です。
今回計算した木造のフラッグシップとなるPREMIUM GranWoodという商品については富裕層向けのフルオーダーの注文住宅であり坪100万円以上ということです。
壁の構成は一条工務店を意識してなのか付加断熱で分厚いですが使用しているグラスウール断熱材の性能が低いため、断熱性能は一条工務店ほど高い家ではありませんでした。
大和ハウスの通常顧客が3500万円の家を建てることに対して、PREMIUM GranWoodは6000~8000万円の家だということですから、この家は豪華さが重要なのだと思います。
ミサワホーム MJ Wood
- 概要 床断熱、在来工法、気密測定なし、三種換気
- 断熱材 (HGW16K)天井155mm、壁105mm、床110mm
- 窓 アルミ樹脂複合サッシ(2.33W)
- 断熱性能 ☆
- 家の暖かさ ☆
ミサワホームは2003年に経営破綻し現在はトヨタホームの子会社となっています。そして、トヨタホームはパナソニックホームとの経営統合をして巨大な住宅会社になろうとしています。
ミサワホームの断熱仕様はホームページに詳しく掲載されていて非常に計算がしやすかったです。ただ、積水ハウスと同様に断熱性能についてはオーソドックスな工法の家といった感じです。
ミサワホームで建てるならツーバイ工法系の木質パネルの商品で建築した方が壁の気流が止まって暖かい家になる可能性が高いと思います。
ミサワホームと言えば「蔵のある家」ですが、私は一条工務店で蔵を作ってみました。
間取りの制約が多いと言われる一条工務店のi-smartですが、設計ルールが分かってしまえば色々なことができますよ。
住友林業 Forest BF
- 概要 床断熱、在来工法、気密測定なし、三種換気
- 断熱材 (HGW16K)天井220mm、壁100mm、床EPS 100mm
- 窓 アルミ樹脂複合サッシ(2.33W)
- 断熱性能 ☆
- 家の暖かさ ☆
ビックフレームというラーメン構法により大きな開口部を設けることができますが、今回は通常の在来工法であるマルチバランス工法にて計算します。
ビックフレーム工法を採用した場合は断熱材が入らない太い柱があるため断熱性能的にはマルチバランス工法に比較して若干劣ると思います。
パッシブハウスを作っている秩父の高橋建設がビックフレーム工法の家の断熱性能を調査した情報があります。大開口が魅力の工法ですが木材が多いためヒートブリッジが多いと感じます。
マルチバランス工法の場合は積水ハウスと同様に一般的な在来工法ですから、積水ハウスの計算シートの断熱材の厚みを変更するだけであるため、Q値を計算するのに1分もかかりません。
三井ホーム
- 概要 床断熱、2×6工法、気密測定なし、一種熱交換換気
- 断熱材 天井EPS140mm、壁ロックウール140mm、床EPS 90mm
- 窓 アルミ樹脂複合サッシ(2.33W)
- 断熱性能 ☆
- 家の暖かさ ☆☆
断熱性能自体は他の大手ハウスメーカーとあまり変わりませんが、2×6工法を採用しているため、壁の気流止めの影響から他のハウスメーカーより暖かい家となると思います。
ホームページをみたところ商品が沢山ありすぎてよくわかりませんでしたが、断熱工法は別ページがございましたので、そちらを参考にしています。
屋根断熱なのですが標準モデルが天井断熱であるため今回はダブルシールドパネルの6インチという屋根パネルを天井断熱だとみなして計算しましたから実際はQ値がもう少し悪くなります。
多くの方がスマートブリーズという全館空調を採用されるようですが、熱交換率が不明であったため、別途オプション設定があるPanasonic換気扇を70%の熱交換率として計算しています。
ただ、Q値が2.0W前後の家の場合は換気扇の消費電力が熱交換による省エネ性を上回ってしまう場合が多く、将来の維持費を考えると三種換気+エアコンの方が良いとも言えます。
スウェーデンハウス
- 概要 床断熱、2×4工法、気密測定あり、一種熱交換換気
- 断熱材 HGW24K 天井300mm、壁120mm、床GW16K 200mm
- 窓 木製トリプルサッシ(1.61W)
- 断熱性能 ☆☆
- 家の暖かさ ☆☆☆
私が一条工務店以外で建てるとすればスウェーデンハウスだと思います。ハウスメーカーの中で最高価格帯にあることもあり、独自のブランドを築いています。
実はオプションが盛り盛りな私の四軒目のi-smartであればスウェーデンハウスでも価格的に建てられたのですが、寒冷地であったため断熱性能を重視して一条工務店にしています。
スウェーデンハウスは今では高気密高断熱住宅として突出した性能ではなくなってしまいましたが、昔から高気密高断熱住宅に取り組み木製のトリプルサッシをいち早く導入しています。
今回の記事を書くにあたりブログ村でスウェーデンハウスの施主の記事を拝見しましたが、他社との比較がまるでないため、それだけ施主は独自な世界の住み心地に満足しているのだと思います。
一条工務店の施主も他のハウスメーカーの記事にはあまり興味がないと思いますが、他のハウスメーカーの施主がスウェーデンハウスには絡まないのに一条工務店には絡んでくるのは価格帯が近いことと現在最も人気のある一条工務店に絡んでアクセス数を稼ごうとしているのかも知れません。
一条工務店
普段からブログに色々と書いているので細かい話は割愛しますが、カタログのQ値はいささか一条工務店に有利に計算されているものの、大手ハウスメーカーの中では圧倒的な性能です。
今回は標準モデルの間取りでの計算でしたが、窓をもっと大きくした場合はさらにトリプルサッシを標準とする一条工務店と他の大手ハウスメーカーの断熱性能の差は広がっていきます。
もし、私がもう一度家を建てるなら温暖地であればスウェーデンハウスか一条工務店で建てると思います。寒冷地であれば間違いなく一条工務店で建てます。
自分自身が年齢を重ねて収入が増えたため、ローコスト系で家を建てることはもうないと思いますし、設計事務所や地場工務店は経営が不安定であるため、現在の私にはスウェーデンハウスか一条工務店の二択になっている感があります。
これは各施主が置かれている立場によりますから何が正解ということではありません。
一般工法
参考までに高性能な家を作る設計事務所や地場工務店の家の性能を計算しました。断熱材は温暖地で人気のある現場発泡ウレタンを採用し天井の断熱は壁の2倍の厚さで計算しています。
準防火地域ではYKKAP社のAPW330の防火ペアサッシを採用し、それ以外の地域ではAPW430のトリプルサッシを採用して計算しています。
ローコスト系ハウスメーカーにおいても基礎断熱と現場発泡ウレタンによる気密性能向上と高性能な窓を採用して大手ハウスメーカー以上の性能を出しているところがあります。
ただし、ローコスト住宅は都市部で一条工務店と断熱性能で競ってもまず勝てません。それは準防火地域で使える防火トリプルサッシを一条工務店が持っているからです。
ローコスト住宅は窓の日射制御と高効率なエアコンを利用して一条工務店に対抗してください。電気代では一条工務店の床暖房を贅沢に使う一般的な施主より安い電気代になると思います。
ただ、私のような一条ハウスでエアコン暖房をされてしまうと電気代で勝てることはないですし、一条工務店の低温水式の床暖房に比べてエアコン暖房は住み心地では若干劣ります。
また、ローコスト住宅は柱の外側に設置する耐力面材にノボパンや構造用合板を使っているケースが多く壁内結露を招く透湿抵抗に問題があるケースが多いです。
この改善案として耐力面材には水蒸気を通しやすいダイライトやモイスなどを使ったボード気密工法として、充填断熱材には透湿抵抗値の高いA種1Hの現場発泡ウレタンを利用することをお勧めします。
そうすれば室内側に防湿気密フィルムの設置が不要となり、断熱材の価格は多少上がってもローコスト住宅に最も適した手間の少ない簡単に高気密が出せる工法になると思うからです。
恐らく、この先の温暖地のローコスト系高気密高断熱住宅はこの形に収斂していくと思います。新住協のグラスウール断熱は施工者の育成に時間がかかるため温暖地では定着しないでしょう。
断熱性能についてのまとめ
大半の大手ハウスメーカーの木造住宅は標準仕様としてアルミ樹脂複合サッシを採用していて壁の厚みがほとんど同じであるため、Q値は1.9W・Ua値は0.54W前後に出現します。
そして、カタログ値では何とかZEHをクリアしても実際に建つ家は窓が大きいためZEHをクリアするには窓をアルミ樹脂複合サッシからペア樹脂サッシに変える必要があるでしょう。
樹脂サッシは耐久性がないと言う大手ハウスメーカーの営業マンがいると思いますが、樹脂サッシの日本での歴史は40年以上ありますから証拠を出して欲しいと思います。
また、アルミ樹脂複合サッシのような性能の低いサッシで大開口を顧客にお勧めしてくる大手ハウスメーカーは良心的だとは思えません。最低でも樹脂のペアサッシを標準とすべきでしょう。
アルミ樹脂複合サッシでは温暖地の冬季においても室温が20℃で相対湿度が50%の時に窓が結露してしまいますから、価格の高いハウスメーカーは窓の高性能化を実現して欲しいものです。
グラスウールや三種換気の利用を否定するものではありませんが、大手ハウスメーカーは高価格帯にも関わらず安い建材を使っているいるためボッタクリ感が否めません。
もちろん、大手のハウスメーカーの社員が悪いということではありません。これは経営者の消費者に対する姿勢の問題であって自分の任期を無難に過ごそうとしているのかも知れません。
冬季の日当たりが良くない場合、Q値は1.6W以下(できれば1.4W以下)でなければ暖房代が高額になるでしょう。ただ、日当たりが良ければQ値が2.0W程度でも全館暖房は可能だと思います。
そういった意味では実は多くの新築の注文住宅は全館暖房ができる高断熱住宅だと言えます。しかし、高断熱住宅であるにも関わらず全館暖房ができない理由は気密性能が足りないからです。
また、断熱材についてはグラスウールが悪いというわけではありませんが、高額な住宅である大手ハウスメーカーの家は高性能なフェノールフォームぐらいは使って欲しいなと思います。
今回、断熱性能の計算をして一番工法が複雑だと思ったのは大和ハウスです。壁が分厚い割に性能の低い断熱材を利用していて、さらに10K・14K・20Kと3種類のグラスウールがありました。
高性能グラスウールとは言え、16K未満については地場工務店でも使わない低い性能であり、アルミ樹脂複合サッシが標準であることも考えると高価格な坪単価に見合わないと思います。
大手ハウスメーカーの家は高耐震であり高価格であるためそこに住まう満足感はあると思いますが、家の暖かさで言えば、昔の家よりは寒くはないけれど暖かい家ではないでしょう。
最後に
今回、各ハウスメーカーの性能をホームページから拾い上げることに苦労しました。一条工務店は家の性能の情報ならば公式ホームページや施主の発信する情報で簡単に調べられます。
あえて、大手ハウスメーカーはホームページには大した情報を書いていないと思います。これは資料請求や展示場に行かないと家作りがはじまらないというシステムになっているからでしょう。
日本の家づくりは非常に顧客接点を含めて非生産的であり、Webで家を販売をしているケースもありますが、一条工務店のように性能を公開した方が分かりやすくて顧客が集まるとおもいます。
そして、ハウスメーカーがスポンサーとなっている住宅情報サイトはハウスメーカーに都合の悪い情報は流しませんから住宅情報サイトを情報源とした家作りからは卒業する必要があります。
大手ハウスメーカーはいつまでもイメージ画像だらけで性能などの詳細を記載しないクローズドで分かり難いホームページを作っているとネット時代では消費者が離れていってしまうと思います。
住宅市場は情報公開が遅れています。数値を重視することだけが家作りではありませんが、UA値やC値を公表してから数値以外を考えようと言って欲しいものです。
着工棟数が減る中、性能をオープンにしなかったり気密測定をしないハウスメーカーは消費者に選別されて販売戸数が減っていくかも知れませんね。
本日は以上でございます。