(2020年2月10日追記)本記事では下屋が有料となっていますが、大屋根(一階と二階の屋根が繋がっている状態)に太陽光パネルを搭載した場合、大屋根は無料の可能性があります。詳しくは一条工務店の営業さんにご確認ください。
昨年、一条工務店から新しく発売されたグランセゾンですが、多くの方が設計をしていく中で分かってきたことがあります。
本日は簡単ではありますが、共有しておきたいと思います。
下屋は有料
下屋とは二階の方が一階と比べて床面積が小さい場合に発生する一階の屋根部分のことです。
グランセゾンでは二階が小さい場合、パラペット屋根や標準であり、下屋を採用すると坪単価の半額が必要になるそうです。
完全に確認できたわけではありませんが、単純な下屋が採用できず天井勾配オプションか下屋収納オプションが必要になるために有料なのかもしれません。
標準のパラペット屋根はバルコニー同様にFRP防水であることから防水面から考えると10年程度でのメンテナンスが必要であるという弱点があります。
バルコニーを設置している方からみれば、特に問題ないと考えることもできますが、洗濯物が完全に部屋干しすることが可能な高気密高断熱住宅において私はバルコニーレス住宅をお勧めします。
バルコニーがなければコストカットできますし、防水の弱点が減るため将来のメンテナンス費用を減らすことができるからです。
セゾンやブリアールと違ってグランセゾンは下屋が無料で設置できないことから、グランセゾンには実質的にi-seriesと同じ総二階の積算ルールがあるとも言えます。
これを回避するためには総二階にするという手段がありますが、総二階の場合はi-seriesの方が断熱性能が高い分だけコストパフォーマンスが高いです。
私は下屋が無料であってこその軸組工法のコストパフォーマンスの高さだと思っていたのですが、グランセゾンは高価格帯の商品戦略のようです。
逆に坪単価を上げても良いので下屋を無料にしてくれないかなと思います。間取りの作り方で坪単価の上昇分をカットすることは可能ですし、下屋が無料の方がi-seriesとの差別化が図れて売りやすいと思います。
階段の上に少し床が張れる
天井の高いグランセゾンは階段の登り口の天井に床が多少張れます。i-seriesの階段は完全に吹抜けになっていないといけませんが、軸組工法は違います。
ただ、1マス床が張れるなら利用方法があると思いますが階段の踏板2~3枚となると60cm程度だと思いますから、使い道が難しいですね。
この中途半端なスペースは全館冷房を検討される方のエアコンの設置場所としてグランセゾンユーザーの鉄板な場所になるような気がします。
私はi-cubeとi-smartの設計の打ち合わせをしているときに、色々と稟議の提案をしましたがi-seriesではNGでも軸組ならできるかもと何度も聞いているので耳に残っているのです(笑)
そんな中の1つが階段スペースの活用で、私の二軒目の家は廊下がスノコ床になっていたため、全館冷房の空気循環を考えてもスノコ床があると便利なんですよ。
どなたかグランセゾンでスノコ床にチャレンジして頂けないでしょうか?
エアコン全館冷房が浸透している
さらぽか空調の設定がないグランセゾンではエアコン1台での全館冷房に挑戦する人がi-seriesよりも多いと感じています。
通常は色々と家作りの情報を集めていった最後にエアコン1台による全館冷房に辿り着くのですが、グランセゾンユーザーは若い方が多いのかInstagramからすぐに情報を見つけるようです。
グランセゾンでは総二階にする必要がないことから、吹抜けを採用する人がi-seriesほど多くないため、二階の階段ホールにエアコンを設置している人が多いです。
エアコン1台による全館冷房は仕組みが分ってしまうと非常に簡単なものです。
- 二階の階段ホールに再熱除湿付きのエアコンを設置する(6畳~10畳用)
- 一階と二階の両方に冷気を送れる場所にエアコンを設置する
- 窓の日射制御に注意する
- 二階のエアコンからリビングが遠い場合は一階の補助エアコンの利用頻度が上がる
- 一階の補助エアコンは人への直撃を避けて冬に冷え込む玄関に向ける
ちなみに、エアパスファンを設置する場合は廊下側の冷たい空気を室内側に送ります。エアパスファンの設置方向が分らないという方が多いようです。
エアコン1台全館冷房の仕組みは温度差による換気です。二階のエアコンから発生する冷気を床に流して代わりに天井方向からエアコンに暖かい空気を供給します。
家中に冷気を送る際に、室温を均一化すると空調は効率的になると思いこむ人が多いようですが、空気に温度差をつけないと空気は移動しません。温度差があるから家中の空気が動くのです。
これがどうしても飲み込めない人が多くて吹き抜けにシーリングファンを設置して空気をかき混ぜる人がいますが、それは必要ないです。
詳しくは私のブログか電子書籍をご覧ください。
予算が厳しい方は下屋を設けたブリアールがお勧め
土地の建築規制や間取りにおいて総二階にしても問題がない場合はi-seriesはコスト的にお得になります。ただし、無理やり総二階にするとコストが高いことから軸組工法がお勧めです。
その中でメンテナンスフリーな瓦屋根を採用しているブリアールが最もコストパフォーマンスが高く、下屋のあるブリアールはコンパクトな間取りが実現できるでしょう。
瓦屋根は重量があって地震の時に不利であるとも言えますが、構造計算において瓦屋根の重量まで加味して計算しているはずです。
一条工務店を予算的に諦めたという方の図面をみるとデッドスペースがある場合があって、デッドスペースを削れば一条工務店で建てることができるのにと思うことがあります。
まず、二階の廊下が長い人が多いため、二階廊下の面積を減らしたい場合、階段は外壁側ではなく、家の真ん中に持ってきてください。
「階段は二階のおへそに登る」という言葉がありますが、そうすることで二階の廊下面積が減ります。
一条工務店より300万円やすく建てられますなんていう住宅会社がいると思いますが、ちょっと間取りを変えて床面積を減らせば一条工務店で300万円安く建てられますよ。
最後に
家の性能と坪単価を比較した場合の商品ごとのコストパフォーマンスは以下になると思います。
平屋 | 下屋あり | 吹抜けあり | 総二階 | |
i-cube | ◎ | ー | △ | ◎ |
i-smart | 〇 | ー | △ | 〇 |
グランセゾン | △ | △ | △ | △ |
セゾン/ブリアール | △ | ◎ | △ | △ |
このように見るとグランセゾンはオシャレな反面、価格帯の高さがネックになると思いますが、個人個人が好きな商品で家を建てた方が満足度は高いと思います。
もし、私がもう一軒家を建てることができるならグランセゾンで建ててみたいですね。
本日は以上でございます。