はじめに
最近は家の価格自体が上昇しています。ウッドショックと職人不足に加えて、自然素材の多用や空調などの差別化によって、飛んでもなく高額な見積もりが出ているケースがあるようです。
かつては質素であった高気密高断熱住宅は今や認知度が上がって、これまで高価格帯の大手ハウスメーカーで契約していた客層を奪い、もはや庶民には手が届かないものになっていると感じます。
住宅会社の安定経営という面からみれば付加価値を高めていく路線や施工エリアを狭くしていくなどは理解できますが「誰もが良質な住宅を求められる社会」からは遠のいていきますね。
このような状態では、施主が空調をF式で賄う覚悟があればですが、C値が1.0以下を出せるけれど、差別化路線が強く取れていない住宅会社がコスト的に狙い目になってくると思います。
現在、F式のエアコン全館冷房採用者がどんどん増えている理由は、除湿までしっかりできる全館冷房の提供者が非常に少ないという事と、高気密高断熱住宅の価格高騰が背景にあると思います。
さて、最近は日本のエネルギー政策の失敗による、電気料金の値上げと新電力の新規申し込み停止など、消費者の負担が増えています。もはや自分の身は自分で守るしかありません。
と、いうことで本日は生活における固定費の中で通信費の削減方法について、考えてみたいと思います。家に住んでから発生する支出は住宅ローンだけではないですからね。
固定インターネット回線のコスト見直し
以前に強電波地域はテレビアンテナ工事費用(10万円前後)が、2000円程度に激減できる可能性があるという記事を書きました。
最近は固定電話を持たない家庭も増えてきており、個人のスマホにおいても安いMVNOに変えている人も多いと思いますが、テレビ・電話と来れば残りは固定インターネット回線の見直しですね。
NTT東西が提供するフレッツ光などの光ファイバーでのインターネットがポピュラーだと思いますが、プロパイダー費用と合わせて毎月6000円程度を支払っているのではないでしょうか。
そこで、本日は楽天モバイルの2980円/月(税抜)インターネット無制限利用プランを固定インターネットとして利用した際に、どの程度の実力なのか確認してみたいと思います。
もちろん、楽天モバイルの電波がしっかり入るエリアである必要がありますし、電波強度にも影響されるため、参考までにご覧ください。
(出展:楽天モバイル)
楽天モバイルのデバイスを確認してみる
本体無料で楽天モバイルから到着した携帯用のポケットWIFI機器は、電波を受ける移動通信は4G(5Gは使えない)、電波を発信するWIFIは2.4GHzしかできません(5GHzはない)。
このデバイスのSIMのサイズはMicroSIMで、最近のスマホに利用されているNanoSIMより大きいです。ただ、楽天モバイルのSIM自体はマルチSIMなのでどのサイズにもカットが出来ます。
そして、充電用にUSBのTypeBかTypeCの口があるだけで、有線LAN接続はできないという条件です。5G用のWIFIルーターもありますが、今回はコスト重視で4Gを選択しています。
ただ、楽天のポケットWIFIのまま(WIFIが2.4GHz)では電子レンジ等の利用時に電波干渉を起こして、通信が安定しないため、今回はあえてSIM入りプランにしてSIMを抜き出します。
そして、別途購入した有線LANポートがあるLTEルーターに楽天モバイルのSIMを入れて、そこから家庭内に有線LANか別途の無線機(5GHz)を使えば楽天モバイルの固定回線化は完了です。
この商品の特徴はMicroSIMが入るLTE(4G)ルーターであることと、有線LANポートはありますが、WIFIが2.4GHzしかない(5GHzはない)という点です。
よって、この機器は単純にSIMの通信を有線LANに変換するコンバーターだと思ったほうがいいと思います。楽天モバイル用に開発された専用機器といっても過言ではないですね。
LTE(4G)ルーターの設定方法についてはLTEルータの製造元であるIO-DATAを含めてYouTubeに動画がありますから、非常に簡単です。
なお、宅内で電波の飛ぶ範囲は狭いものの雑音の少なく高速通信ができる5GHzの電波でWIFIをご利用されたい場合は少し機器の値段が高くなりますが、以下の商品があります。
実際に通信速度を測ってみた
同じPCで午前中の11時ぐらいに通信速度を測りましたが、結論からいうと楽天モバイルのSIMは速度はある程度出るけれど、遅延が多い(レイテンシ)ため、利用用途次第だと思いました。
通信サービス | 接続方法 | 下り速度 | レイテンシ | 上り速度 |
フレッツ光 (IPv4) |
有線LAN | 270 | 6 | 420 |
WIFI(5GHz) | 94 | 7 | 110 | |
WIFI(2.4GHz) | 43 | 7 | 43 | |
楽天モバイル (IPv6) |
楽天ポケットWIFI(そのまま) | 53 | 43 | 37 |
LTEルーター(有線LAN) | 46 | 42 | 38 | |
LTEルーターWIFI(2.4GHz) | 44 | 44 | 37 |
楽天モバイルの4Gの通信速度は、光ファイバーには及ばないものの、Youtubeやアマゾンプライムなど、バッファを利用しているストリーミング再生には十分なスピードであると思います。
単純計算で40Mbpsを家族4人で同時利用して分け合ったとして、10Mbpsずつ利用したとしてもネット検索やストリーミング系の利用であれば、それほど問題はないでしょう。
私が最初に家を建てた2000年頃はブロードバンド通信の黎明期で、1Mbpsの速度が出るだけでも感動したものですが、時代は変わりましたね。
ただ、SIM通信は楽天以外も含めてレイテンシが大きく(遅延)、仕事でMicrosoftのTeamsを複数開いた場合は重くなりましたから、即答性を問うオンラインゲーム等には向いてないでしょう。
テレビ会議なども問題なく出来ましたが、光ファイバーの速度に慣れている人からみると、少しだけ回線速度の違いを感じると思いますが、それほど気になるレベルではありませんでした。
通信速度のエビデンスは面倒なので整理せずに以下に貼っておきます。利用する場所によって通信速度は異なりますから、あくまで参考ということでお願いします。
ちなみに、電波強度なのかdocomoSIMのMineoのSIMで試した際は下りが8Mbpsしか出ませんでした。LTEルーターの設定を4Gに固定したり、バンドを固定しても改善しなかったです。
外出時にWIFIルーターを持ち出せる便利さ
固定回線を光ファイバーからポケットWIFIにした場合のメリットとして一番大きいのはこれかもしれません。Home5Gなどのサービスは持ち運びできる機器ではありませんからね。
普段の自宅ではLTEルーターにSIMを入れておいて、家族でドライブに出かけた時などにポケットWIFIにSIMを入れ替えれば、車内で自宅と同様にインターネットを利用することができます。
ただ、それだと自宅でインターネットに接続しているIoT機器等の通信が止まるというデメリットもありますから、必要なら安いSIMを1枚用意しておいて、LTEルータに入れると良いでしょう。
それが面倒という方は、楽天モバイルのデータ通信を2回線契約して、片方を自宅に残して片方を持ち出せるようにしても良いかもしれません。
光ファイバーの利用料が月に6000円程度なら、同額程度でポケットWIFIを2台にするという手段も考えられます。その際はスマホの料金プランの見直しもできるかもしれませんね。
最後に
戸建て住宅の固定インターネットはマンションなどと比較すると高額です。そして、戸建ての場合工事費が2万円程度必要なのと、工事を申し込んでから2か月程度は工事までかかります。
よくある戸建てあるある話として、入居しても光ファイバーの引き込み工事が遅れてしばらくインターネットのない生活を強いられるというものです。
そういう方は本日のような定額制のポケットWIFIを利用して光ファイバーの工事を待つという方法をとってみても良いと思います。
なにせ、現状では楽天のポケットWIFIは実質本体は無料ですし、契約期間の縛りもなく違約金もありませんから、とりあえず試してみて自宅に合わなければ解約することもできます。
世の中には光ファイバーを2年おきに解約して、NTTとauとSoftbankのキャンペーンを利用して光ファイバーを渡り歩く人もいますが、解約月を忘れてしまう私にはこの方法は無理そうです。
本日は知ってる人は知っている話ですが、固定通信がヘビーユーザーではないご家庭においては年間3~4万円程度のコスト削減になる可能性があるため検討してみる価値はあるかもしれません。
当然、各家には光ファイバーを通線できるようにしておいてWIFIルーターが合わなければ、光ファイバーに変更する必要がありますし、楽天モバイルのサービスの改悪があるかも知れません。
余っているスマホを持っている場合、その機種がUSBテザリングに対応していれば、LANアダプターを設置してスマホの有線化が検討できます。
移動通信は5Gの時代に入っています。まだ、格安SIMでの5G提供エリアは狭いですが、そろそろ電柱と各家庭との間のラストワンマイルは「脱、光ファイバー」の時代ですね。