はじめに
現状の一条ハウス(i-series)のリアルなQ値やUa値はどの程度か再計算してみました。
私が三軒目にi-cubeを建てた2016年と比較すると、窓は防火トリプルサッシがリリースされ、断熱材はEPSからウレタンに変わっていますし、玄関ドアはプロセレーネからファノーバに代わって一条ハウスの性能は上がっています。
自宅のQ値やUa値を計算したいという方は以下からExcelシートをダウンロードしてください。
簡易な計算の結果
Ua値は換気の熱損失を含まないため簡易計算は簡単です。天井・壁・床・窓・玄関ドアの性能を評価すれば良いだけです。
以下はリアルに私の三軒目の家の間取りや窓の面積で現状の一条工務店の仕様とした場合のQ値とUa値を簡易計算したもので、各部位の木部の熱橋は加味しています。
換気を一条工務店には設定のない三種換気として計算した場合のQ値は0.91W、Ua値は0.18Wでした。家の形が真四角でないことと床面積が小さいためQ値計算には有利ではない家です。
三種換気を採用した場合の温暖地の標準モデルではQ値とUa値は以下の式で換算することができます。
Q値×0.37-0.13=Ua値
(Ua値+0.13)÷0.37=Q値
0.37は東京などの省エネ地域Ⅳの基準Q値である2.7Wの逆数(1÷2.7)で、0.13は三種換気の熱損失相当ですがUa値ではQ値で考慮されている換気の熱損失を除外してしまっています。
上記の式を使って今回のUa値0.18WからQ値を求めるとQ値は0.84Wとなり計算によるQ値0.91Wと比べるとQ値とUa値の標準換算式は家の性能が良い程に誤差が大きくなることがわかります。
(Ua値0.18W+0.13)÷0.37=Q値0.84W
一条ハウスのUa値0.18Wについては考えれば当たり前で、一条の天井・壁・床の熱貫流率は床以外は0.2Wを下回るため窓の面積が大きくなければHEAT20のG3寒冷地仕様を下回ります。
家の見た目のスペックを重視するのでれば一種熱交換換気は必須となりますが、コストパフォーマンスを求めるのであれば私は三種換気は設計の工夫は必要ですが良いと思います。
正式な計算の結果
省エネ基準に沿った計算をするには、階間部の熱橋・床の温度差係数(×0.7)・基礎や土間の熱損失を考慮し、一種熱交換換気を用いる場合は、見かけの換気回数を計算する必要があります。
私の三軒目の家の二階建ての間取りではQ値は0.76Wと出ました。真四角の家にした場合は0.7W程度で、やはり床面積が86m2しかないため、カタログのQ値を出すには家が小さすぎます。
Ua値は簡易計算でも正式計算でも大して変わりません。そもそもUa値自体が換気の熱損失すら含まない簡易計算方式であるため、私はUa値を次の省エネ基準では廃止すべきだと思います。
定常計算の限界
詳細なQ値と日射熱・内部発熱を勘案すると私の三軒目の家となるi-cubeは温暖地であるため床暖房のCOP4.2で計算した場合、冬季の暖房に関わる月の電気代は2007円と計算されます。
この計算は定常計算といって、外気温を平均気温として室内の温湿度は一定の状態で家の熱損失から暖房費用を求めたものです。
ただ、実際には暖房費用は2000円にはならないのですが、その理由として日中の日射熱が夜間までしっかり繰り越せないからです。
我が家は日当たりが良いため日中は暑いぐらいな無暖房状態になりますが、木造住宅であるためその日射熱が繰り越せないことから朝方や天気の悪い夜間には暖房が必要になってしまいます。
蓄熱量の大きい鉄筋コンクリート住宅を外張り断熱で建築すれば定常計算に近い形の電気代になると思いますが、木造住宅の場合は窓際に蓄熱量の大きい土間でも設けない限りは難しいでしょう。
机上の定常計算では無暖房住宅は設計できても、実際に無暖房住宅を作るとなれば、日中のオーバーヒートが懸念されますから、無暖房住宅より軽暖房住宅の方が住みやすいと思います。
最後に
省エネに拘るのであれば家から逃げる熱を減らすために総二階の真四角な間取りで窓は南側以外は小さく少なくすると良いでしょう。採光のための窓は小さくても高い位置あれば良いのです。
ただ、販売棟数の多い現在の一条施主は多用な価値観の方がいるため、省エネに拘った間取りにする人は少ないと思います。高気密高断熱住宅がマニアな人以外にも浸透してきた証でしょう。
また、一条工務店の施主でありながら床暖房ではなくエアコン暖房を使っているいる私が、床暖房より高効率エアコンの方が燃費が良いと言っても誰もエアコン暖房をしないでしょう。
確かに少し電気代が高くても床暖房の快適性はエアコン暖房を上回ります。これは住んでみて私も理解ができました。電気代に拘るかについては年収の問題もあるので何とも言えないところです。
ただ、一条ハウスのおいて暖房代込みの月の電気代が温暖地のヒートポンプ式床暖房で15000円を超えている方は生活スタイルや家電が古いなど、何かがおかしいと思います。
床暖房は循環液が不足していると燃費が悪化するため、暖房シーズン前に循環液が不足してる場合は補充を忘れないように確認した方がよいでしょう。
また、太陽光パネルを10kW以上載せている方は、東京電力などの地域電力会社と契約していると基本料金が高額になって月の電気代が高くなります。
これは電力会社のスマートメーターが10kW以上は対応していないため、買電と売電のいずれか大きい方の契約アンペア数となってしまうことから基本料金が高くなってしまうためです。
私のセカンドハウスのi-smartは太陽光パネルを沢山乗せているため月に5720円も基本料金がかかっていましたが、Looop電気という完全従量課金の電力会社に変更して電気代が激減しました。
一条施主の電気代はQ値から見ると高いと思う方が多いため、ぜひ電気代の見直しをしてはと思いますが、年収がある人に対しては電気代の節約なんて話をしても響かないと思いました。。
最近、Instagramで話を聞いていて思うのは、省エネについては一条ハウスは十分に達成しているのだから、快適性の方をより重視したいといった意見が多いと感じます。
私のような省エネとか計算に取り組んできた人間にとっては肩身が狭い一条コミュニティになってしまっている気がしますが、それだけ多くの人が高気密高断熱住宅を建てているということです。
そのうち、超快適性重視な若者施主たちに「省エネとかダセェし」と言われるかも。。
本日は以上でございます。