【超裏技】追加費用なしでHEAT20G1の家をG2の性能にする方法

考察

はじめに

本日はHEAT20におけるG1の断熱性能の家を追加コストなしでG2の性能の家にする方法についてです。大半の住宅会社の家はG1の性能ですがUA値のトリックを使えばG2にすることが可能です。

住宅会社は現実にはあり得ない自社に都合の良い間取りでUA値を計算している場合がありますが、本日は実際にあり得る範囲でUA値をG1からG2に化けさせてみたいと思います。

さて、断熱の仕様を変更せずにUA値を小さくする手段は3種類ありますが、どれも窓の面積比率を少なくするという意味では同じです。

  1. 窓の面積を変えずに家を大きくする(非現実的)
  2. 平屋にする(平屋は窓が少なくなる)
  3. 窓の面積を少なくする

1の家を大きくしてUA値を計算する手法は窓の面積はそのままに床面積を50坪にするような間取りなので現実的ではありませんし、家が大きくなれば冷暖房費用はむしろ増えてしまいます。

2の平屋にするは平屋は部屋が重なるため窓の面積が減ってUA値がよくなりますが平屋は建物の形状から熱損失が増えてQ値が悪化するため実際にはUA値は良化しても省エネにはなってません。

3の窓の面積を少なくする方法が唯一、家の熱損失が減るという意味で本当のG2化と言えます。1と2の方法はUA値は小さくなっても実態は省エネになっていない手法です。

UA値を計算するには省エネ計算で利用される標準モデルの間取を利用することがフェアだと思いますので本日はフェアな間取りを使ったUA値の計算でG1の家をG2にしてみたいと思います。

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G1の住宅性能とは?

大半の住宅会社の家はUA値0.56WというHEAT20のG1のレベルにあります。ただ、住宅会社はこれをG2の家に見せかけることに一生懸命なようです。

在来工法で最も多く施工されているのは3.5寸柱(105mm)ですが、3.5寸柱に合った袋入りグラスウールの105mmを設置していくと、HEAT20のG1のUA値である0.56Wになります。

部位 断熱性能 備考
天井 グラスウールH16K210mm 105mm×2枚重ね
グラスウールH16K105mm 105mm充填断熱
グラスウールH16K105mm 105mm充填断熱
アルミ樹脂複合サッシ U値2.33W
玄関ドア K2.0 U値2.33W

上記のようなポピュラーな仕様は大手ハウスメーカーでも一般工務店でも大半の住宅が採用しており、この断熱仕様で窓をAPW330といった樹脂サッシなどに変えるとG2の性能になります。

標準モデルの間取りでのG1の住宅とは

以下が省エネ基準で利用される間取りにおけるHEAT20のG1というUA値0.56Wの性能の家です。南側の窓は大きくそれ以外の方角は適所に小窓が設置されている現実的な間取りです。

G1の性能の家の窓を絞ってG2の性能した住宅

G1の家をG2の性能にするには各居室の窓を採光基準を満たす最低限(床面積の1/7)まで減らすことになります。おおよそG1の家の窓を60%程度減らすとUA値0.46WのG2の家になります。

ただ、居室のある南側以外は窓がなく居室の窓も小さくなり、家全部の窓が5個しかありません。

この家の外観をみてどう思いますか?窓が減ってコストも下がって合理的で良いじゃないかと思う人もいると思いますし、窓が少な過ぎて監獄のようだと感じる人もいると思います。

G1の窓面積28.72m2に比較して11.36m2と窓の面積が60%減になっています。2.33Wのアルミ樹脂複合サッシを使ってG1からG2にするにはここまで窓を絞る必要があります。

この間取りでは良いか悪いかわかりませんが、G2にするために窓を絞りすぎて二階に掃き出し窓が設置できないことから結果的にバルコニーがない間取りになっています。

最近、洗濯物は完全部屋干しでバルコニーを設置しない家、浴室やトイレに窓を設けない家、西日を嫌って西側に窓を設けない家が増えていることからこのプランに近い家もあると思います。

この様に追加費用を払わなくても窓を絞ればG1の家がG2のUA値に化けますが、もし窓を絞りたくなければ樹脂サッシなどの性能の良い窓を採用すれば無理なくG2が達成できます。

最後に

建築基準法の採光基準に違反しますが、省エネ基準の標準モデルの間取りにおけるG1の住宅の窓を全部なくした場合のUA値は0.39Wと計算されます。

よって住宅会社が付加断熱なしの3.5寸柱+アルミ樹脂複合サッシでUA値がG2並みだと言ってきた場合は、平屋でない限りは一般的な間取りではない家でUA値を計算していることになります。

窓なしが0.39WということはG1の性能の家を無理やりG2にしたUA値が0.46Wで窓が5個ある家についてはUA値を0.01下げる毎に窓が1つなくなっていくことになり採光基準を満たせません。

UA値などは家づくりの1つの目安に過ぎないですし、G1とかG2とかどうでもよいと思う人もいるでしょう。私は冬季の日当たりが良ければ温暖地ではZEHやG1の家も良いと思っています。

間取りは好みの問題ですが、無理に窓を絞ってG1の家をG2にせずとも窓から入る日射熱をコントロールしたりエアコンを効率よく利用することで補う方法もあります。

ただ、高性能な窓を使えば間取りが自由になっていくため窓に関しては多くの会社がより高性能な窓を採用することで量産化による価格低下がなされていくことを期待したいものです。

そして、住宅業界に限らず自社に都合の良いセールストークはすると思いますが、UA値は他の家と比較するために存在しているためカタログ値は共通の間取りで計算して欲しいですね。

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