再エネタスクフォース会議における中国企業ロゴ問題

考察

はじめに

本日は2024年3月22日に開催された内閣府の再エネタスクフォース会議において利用された資料に中国の国営企業である電力会社のロゴが入り込んでいたという事件についてです。

(出典:FNNプライムオンライン

再エネTFと言えば断熱上位等級(等級5~7)の制定を提案した住宅の省エネ性能の向上に貢献した内閣府の会議体であるため高気密高断熱住宅界隈ではご存じの方も多いと思います。

ただ、再エネTFを主催する河野太郎規制改革担当相はお父さんの河野洋平元衆院議長を含めて親中派として有名ですから、再エネTFにおいて中国企業の影響がみられるのは問題だと思います。

現在、太陽光パネルの大半は中国製であり、日本の内閣府における会議体で中国企業のロゴが透けている資料が利用されている時点で再エネTFが中国利権と絡んでいないとは思えません。

民間の中国人は良い人も多いと思いますが、国家としての中国は地政学的にも歴史的にも領土を膨張させる野心があることは明白であり、台湾や日本の尖閣諸島の領有を主張しています。

つまり、日本の国家安全保障に大きく影響する中国に対して再エネTFは経済的な便益を図っているという構図になり、上昇し続けている再エネ賦課金は間接的に中国へ利益を還流しています。

再エネタスクフォースと中国利権

再エネTFの構成員である自然エネルギー財団の大林ミカ氏(辞任)の主張としては中国企業のロゴは入り込んでいたものの、資料の内容とは全く関係ないという説明をしています。

再エネタスクフォース会議資料等でのロゴ表示問題について|お知らせ|自然エネルギー財団

ただ、そもそも再エネTFの設置根拠自体が問題視されていて、再エネTFは実は河野大臣の私的諮問機関であって、その決定は内閣府としての決定ではありません。

河野大臣肝入り!再エネタスクフォースの総理大臣への意見具申に疑念 玉木雄一郎が解説

他の政府の有識者会議などの諮問機関は利害関係者が入らないように、参加メンバーは一定の選別がされているようですが、再エネTFのメンバーは河野大臣の推薦のみとなっています。

確かに省エネ住宅の推進が遅々として進まなかった過去においては強引な手段も必要であったかもしれませんが、再エネTFの資料の中に中国企業のロゴが入ってたとなるとこれは問題です。

環境ビジネスの大きな問題点として中国の影響が入り込んでいるということです。太陽光パネルの大半は中国産ですから再エネ推進勢力の主張は中国に都合の良いものが多いと感じます。

これはソ連崩壊後に行き場を失った社会共産系の学者や活動家が環境分野に転籍して活動しているからだといわれてます。理念が先行する共産主義と環境主義は相性が良いのでしょう。

環境活動家が唱える脱炭素・脱原発・脱資本主義という話をひっくり返すと、再エネ・太陽光発電・共産主義となりますから環境活動家の中に中国のスパイがいる可能性が疑われています。

住宅業界では太陽光パネルはエコだとか採算がとれるといった推奨がなされている背景には日本政府の脱炭素政策に中国資本が入り込んでいることが影響している可能性があります。

そうなると再エネTFの主張する地球環境への貢献という主張はまったくウソではないと思いますが、その実態は中国への利益誘導という面が強いとみることもできるでしょう。

一部においては再エネTFは解散すべきという意見も出ています。ただ、これまで遅々として進まなかった住宅断熱性能の底上げに貢献した成果については私は一定の評価をして良いと思います。

【Vlog】再エネタスクフォースは解散せよ

利権しか勝たん

日本人は清廉な国民だと思っている人も多いと思いますが、全て幻想だと思ってよいでしょう。いや、全体をよく見てないだけで本人たちは使命を全うしているつもりなのかも知れません。

例えば住宅ローンに大きく影響する金利について、日銀が金利を少し上昇させると銀行や生保業界が過去最高益になるといったニュースが出ます。

貸出金利ざや、2016年以降で最高 大手銀行の4〜12月最高益 - 日本経済新聞
5大銀行グループの2023年4〜12月期決算が5日、出そろった。合計の連結純利益は前年同期比51%増の2兆8964億円と、05年度に3メガバンク体制となってから、9年ぶりに最高益を更新した。3メガの大企業向けの貸出金利ざやは16年のマイナス金利政策導入後で最も高くなった。米経済の先行き懸念など邦銀の業績には不透明感も残...

これは銀行や生保業界が護送船団方式によって長らく自前でリスクを取らずに政府の国債や金利に頼ってビジネスをしてきたからだと言えます。

まだ、現時点では景気が回復する途中にも関わらず、銀行や生保業界(財務省の天下り先)の利益のために金利を上げた結果、我々の住宅ローン金利は高く誘導されてしまうのです。

同様に国民不在の状況として経済産業省は経済政策、財務省は財政政策を担っていますが、経済産業省は補助金をばら撒くことしか考えず、財務省は増税することしか考えない状況です。

住宅関連では内窓設置などの省エネリフォームなども減税ではなく補助金という手段をつかって業界に対して利益誘導をしているのでしょう。

失われた平成の30年間において先進国の中で経済成長が日本だけ停滞している理由を、国の借金が多いとか少子高齢化などといって国民をだましてきたことに国民は気が付いて良いと思います。

地方がさびれた原因としてマスコミに洗脳されて公共事業の削減などを国民は支持してきた経緯があると思います。今度は脱炭素政策で国民をさらに貧しくしようとしているのでしょうか。

現在の日本は若干円安が進みすぎて(本日は1ドル=154.62 )いますが、国内物価が上昇せず結果、外国から日本の不動産や企業を買い占められる状態は国民が望んだものなのでしょうか。

どれだけ日本の経済成長が遅れたかについては各国のビックマックの価格を比較すると分かるといわれています。また、新卒社員の給与においても30年間あまり上昇していません。

【経済24時】中国、韓国に抜かれた「ビッグマック指数」 安すぎる日本経済への処方箋
世界の「ビッグマック」の値段を円に換算すると、米国685円、中国475円、韓国460円。いずれも日本の390円より高い-。英経済誌が発表した7月の「ビッグマッ…

他の先進国も少子高齢化が進んでいますし、政府と日銀を足した統合政府に財政赤字がない状況でなぜ日本だけ経済成長が遅れるのか。それは利権しか追いかけてこなかったからでしょう。

日銀が金利を下げて通貨量の異次元緩和をしたにも関わらず、財務省はそのお金を利用せずに国の借金が多いからと言って公共投資を削減して増税をするという省益の追求をして来ました。

各省庁や業界団体が自分たちの利益だけを追求して来ただけでなく、地球全体の環境を考えようといったマクロ視点の利権も存在するわけで、結局は自分たちのことしか考えていないでしょう。

予算的に住宅を手に入れることに精一杯の国民がいる中で、再エネTFで利用された資料に中国企業のロゴがあった件はゆゆしき問題ではないかと私は想像しています。

最後に

繰り返しますが、私は高気密高断熱住宅を推奨する立場です。ただ、今回の記事のような内容を発信すると省エネ住宅の普及に反対していると感じる方もいると思います。

太陽光パネルや蓄電池について、私は費用対効果が合えば推奨しますが、環境や再エネのために必要という意味ではなくエネルギー危機や燃料代高騰に備えるという意味でお勧めしています。

しかし、国や経済界ひいては住宅業界が自分たちの利権の話を環境問題にすり替えた結果、家づくりや生活のコストが増加すれば再エネTFは省エネ住宅の普及を遅らせていることになります。

理念と利権はつながりやすいと思います。理想を唱える環境問題の裏に利権が一体となっているとは多くの人は考えないでしょうし、環境活動家本人たちも気が付いていないかも知れません。

私は新住協が理念に掲げる「誰もが良質な住宅を求められる社会」に共感しています。先日公開された鎌田先生の動画はコスト重視の話となっていてスタンスは昔と変わらないなと感じました。

【建築知識ビルダーズ】断熱等級6~7の問題点と新住協のQ1.0住宅

石油発泡系のボード断熱材よりグラスウールを推奨する理由はコストである、断熱等級7への補助金は無駄使い(予算的に等級7を建てられる人は少ない)といった鎌田先生らしい内容でした。

現在と違って、過去の高気密高断熱住宅界隈では、脱炭素や再エネのためのコスト増はやむなしといった話などなかったので、いかに性能を上げつつコストを下げるかだけを考えた時代でした。

やはり、高気密高断熱住宅を学ぶのであれば鎌田先生のような元祖となる一次情報が重要だと思います。二次情報や三次情報はセールストークや脱炭素政策で情報が歪んでいると感じます。

本当に環境を考えるのであれば、多くの人が参加できる取り組みでなければなりません。ただ、その先頭に立つフラッグシップモデルの家を建てる方は人柱として貴重な存在だと思います。

家づくりは人によって土地の価格や優先順位が異なりますから、高気密高断熱住宅を普及しようとすれば断熱に対するコストを抑える・選択することが重要になってきます。

どうやって夏と冬に快適な家を普及させるか苦心してきた先人たちがいる一方で脱炭素や再エネ等の環境問題を持ち出して環境のためにお金をかけようという主張をする人が台頭しています。

一定数は環境のためにお金を使おうという人はいますが、大半の人はそうではないと私は思います。よって、高気密高断熱住宅の普及を願うなら環境問題を主軸に置くのは無理があるでしょう。

ただし、住宅業界は全体では衰退産業であることも事実ですから、各社が生き残りをかけた活動をすることは当然で自社に有利なセールストークを展開していくでしょう。

ビジネスが悪いということではありません。ビジネスに狂信的な環境原理主義が結びついて、断熱等級7でなければダメだといった不寛容な話になることが問題であると私は思います。

私個人は等級7を目指しますが人には等級7を勧めません。建物の高耐久・高耐震化をした上で等級5を超えた以降は空調や意匠等を踏まえて予算配分は人それぞれで良いと思っているからです。

ただし、意味もなく断熱気密は不要といった議論には迎合しません。結露計算や気密測定などやるべきことを検討した上で、その人にあった予算配分のバランス感覚が必要だと思っています。

また、ハウスメーカーと地域工務店のどちらにすべきかといった不寛容な話では、結局は高気密高断熱住宅は一部の人しか採用できない少数派としていつまでも留まり続けることでしょう。

目的と手段が逆になってはならない。「誰もが良質な住宅を求められる社会」にしたいのか、「ごく一部の予算や知識のある人だけが良質な住宅を求められる社会」にしたいのか。

世界の潮流は脱炭素やGX(グリーントランスフォーメーション)などと言って、超省エネ住宅の建設を推奨する動きがありますが、持続可能な社会とは先進国にとっての持続可能な社会です。

地球温暖化により食料が増産できて飢餓問題が解消する可能性があります。また、脱炭素という名目により安価な化石燃料を利用させないことで発展途上国の成長を抑え込んでいるとも言えます。

結局、発展途上国への植民地支配の継続を脱炭素政策と言っているだけで、過去には「文明の劣った植民地に近代文明を伝えることが先進諸国の責務である」といった正当化が図られています。

さすがに現代においては文明の劣った植民地を支配するとは言えないので、環境問題と絡めて「持続可能な社会を目指す」と称しているのでしょう。

かつて、日本においても太平洋戦争時に戦争を美化した大本営発表を流して新聞各社は発行部数を伸ばしてきましたが、また我々は環境や脱炭素という話でマスコミに洗脳されるのでしょうか。

脱炭素や再エネ推進は環境問題への貢献といったように話が美化されて、その裏で先進国の新たな植民地支配や中国による領土拡大などが動いているのもかも知れません。

ただ、自動車業界で言えば環境に優しいと言われていたEV車はドイツでは補助金が打ち切られるなど既に破綻が見えてきているため、脱炭素政策に無理があることが徐々に露呈してきています。

経済が成長して物価が上がるのは良いと思いますが、経済が低成長の中で環境や脱炭素のために建物価格が上昇するのはやむを得ないと思わせるエコハウスという名の錬金術が蔓延しています。

環境などの本来は家づくりと直接関係のない話で住宅コストが上昇していくのであれば、消費者は家づくりの情報および依頼する住宅会社をますます見極めていく必要があると思います。

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