はじめに
以前にも書いたことがあるのですが、そろそろ春が近づいてきて日中に室内がオーバーヒート(暑くてたまらない状態)する日もありますよね。
一条施主のあるあるとして、暑いので床暖房切ったら床が冷たくてやっぱり床暖房を再開したという話があります。
さて、ではいつになったら床暖房を切ったらよいのでしょうか?
ポイントは床下の温度
多くの方は外気温を基準に床暖房を切る時期を判断しているようですが、床暖房を切ったあとに気温が下がる日があると床暖房を再稼働させることが多いと思います。
では、何を基準に床暖房を運転するかというと、地面の温度は外気温のように乱高下しません。そして、一階の床は床下の地面(基礎コンクリート)からの輻射熱の影響を大きく受けます。
ということは、床暖房を切る時期は基礎コンクリートの温度を確認すれば良いことになります。
私は床暖房を切る時期の公式は以下であると考えています。
( 床下温度 + 内部発熱 + 残存日射熱 ) > 22℃
上記の式の意味は床暖房を止めても床の温度が22℃を超える状態なら床暖房を切るべきという意味です。床暖房に慣れた人には床が20℃では寒いという意見が多いため22℃が適切であろうと思います。
内部発熱とは人や電化製品から発生する熱であり、省エネ基準では床面積の平米あたり4.65W発生すると規定されています。
最近は省エネ家電が増えて発熱も少ないという意見もありますが、オール電化の場合はガスほどキッチンの換気扇を回さないため、私の実感としては4.65W/m2で良いと思っています。
i-seriesのQ値はだいたい1.0Wだと思えば、4.65W÷Q値1.0Wが内部発熱となりますから、4.65℃が内部発熱だと思って下さい。
グランセゾンなどの軸組工法の場合はQ値はだいたい1.4W前後なので、4.65W÷Q値1.4Wが内部発熱となりますから、3.32℃が内部発熱だと思って下さい。
残存日射熱と書いているものは日射熱が翌朝までどの程度、持ち越せるかということで、これは3℃程度だと想定しています。
内部発熱と残存日射熱を合計すると暖房がなくても6℃~8℃程度は室温が上昇するということになりますが、真四角で総二階のi-seriesⅡの場合はもっと室温が上がると思います。
家によってQ値はことなるため、具体的なQ値を計算したい方は私の計算ツールをご利用ください。
22℃から6℃~8℃を引くと14℃~16℃ということになり、一条ハウスは床下の温度が14℃~16℃になったら床暖房を切れば良いということになります。
ただ、床下の温度を測るには無線式の以下のような温度計が必要です。
実際の温度を測ってみました
日射熱の影響の少ない朝方に床下の温度と共にオマケで浴室の温度も測ってみました。
我が家は床暖房を使っていないエアコン全館暖房であるため、純粋な一条ハウスの躯体性能が分ると思います。
自宅のi-cube(温暖地)
家の陽当りが良いため3月に入ると天気の良い日は室内が暑いです。夜もエアコン(一階の6畳用のエアコン)を入れていると暑くて眠りにくい日があります。
床下の温度は13.7℃ですからそろそろ暖房を切っても良い時期だとわかります。
室内 23.1℃ 45%(9.32g/m3)
外気 12.4℃ 89%(9.74g/m3)
床下 13.7℃ 84%(9.96g/m3)
小屋裏 12.9℃ 75%(8.47g/m3)
浴室の壁
浴室の天井
浴室の床
セカンドハウスのi-smartⅡ(寒冷地)
セカンドハウスのi-smartも陽当りが良いため、寒冷地ですが天気の良い日中はレースカーテンを閉めてないとオーバーヒートしてしまいます。
床下の温度はまだ10.8℃ですからまだまだ暖房を切る時期ではないことがわかります。
室内 21.7℃ 32%(6.11g/m3)
外気 1.9℃ 81%(4.48g/m3)
床下 10.8℃ 53%(5.25g/m3)
小屋裏 9.7℃ 75%(6.92g/m3)
浴室の壁
浴室天井
浴室の床
浴室温度の違いについて
自宅のi-cubeとセカンドハウスのi-smartを比較すると浴室の床の温度が19.7℃と16.8℃ということで3℃も違います。
これは自宅は温暖地であるという事と自宅の浴室は外気に触れる面が2マスですが、セカンドハウスは北側の角に浴室があるため外気に触れる面積が4.25マスと多いことが原因だと思います。
浴室には床暖房が付いていますが使ってません。お風呂に入るときにお湯を浴室の床によくかけてから入れば狭い空間なのですぐに暖かくなるため、そこまで気になってません。
一条の浴室の窓はペアガラスのブラインドサッシか曇りガラスのトリプルサッシが選択できますが、私は断熱重視ですので最小の窓面積のトリプルサッシを採用しています。
浴室とトイレは部屋内が最適?
最近の一条の施主さんの図面を拝見していると、トイレが外壁に接しておらず部屋内にトイレがある人が増えてます。トイレの匂いは局所換気扇で排出されますから窓はなくても良いわけです。
そもそもはトイレに窓は必要ないと判断した結果だと思いますが、窓がないなら外壁に接する場所にトイレがなくても良いじゃないかと思うことは自然な発想だと思います。
外壁に接しずに部屋内にトイレがあるということは、トイレは外気温の影響を受けにくくなるため暖かいトイレになるでしょう。
浴室については現在では一条でも窓ナシができるようですが、朝や夜などの暗い時間帯に利用することが多い浴室に窓が必要なのかという話題は一条施主の間で最近は良く聞きます。
私はトイレと浴室に窓はなくても良いと思います。そして窓がなければ外壁に接する必要がなくなるため、室温を高くするための部屋内トイレや部屋内浴室という発想もありだと思います。
最後に
住み心地を考えると床暖房を切る時期は温暖地であればGW前が良いと思います。4月に入ると寒の戻りがあるため、床暖房を切らなければ良かったと思うでしょう。
エアコンも床暖房も温度センサーが付いていますから、電源を入れているからといって常に最大出力で運転されている訳ではありません。以下は床暖房のサーミスタ(温度センサー)。
冷たい床は嫌だという方は床下の温度が14℃~16℃になったら、床暖房の設定温度を22℃以下までさげて下さい。そうすれば気温の高い日は床暖房が動かず、気温が低い日は床暖房は稼働します。
恐らく最弱運転でも月の電気代は千円程度かかると思いますが、住み心地にこだわる方にはお薦めです。省エネ希望の方は3月中に床暖房を切ることになるでしょう。
床暖房を切ったら、GW前には南側の窓に日除けのシェードなどを設置しないと春はオーバーヒートしてしまいます。
窓を開けずにシェードなどで日射を遮る事で室内は暖かい状態を維持できますから、高気密高断熱住宅の春はとても快適です。
そして、今度は床暖房を開始する時期はいつからなのかということですが、同じように床下の温度が14℃~16℃を下回ったら床暖房開始ということですね。
本日は以上でございます。