うるケアの加湿機能はダクト内をカビさせるのか?

考察

はじめに

本日は新しく一条工務店の換気装置に採用された「ロスガード うるケア」についてです。お掃除機能の付いた水道管直結の無給水加湿という夢のような換気システムです。

ただ、この換気システムの特徴である加湿機能を使うとダクト内にカビが生えるといったウワサ話をチラホラと見かけます。

昔からダクト式の一種換気装置はダクトの中がカビるという話があります。ダクトレスの三種換気をお勧めする住宅会社はダクト式の一種換気を良くないものと言うでしょう。

まぁ、この手の話は換気や住宅会社側から発信されたセールストークを一般の施主が口コミで話しているのだと思いますから、あまり気にしなくて良いと思います。

一種熱交換ダクト方式か三種ダクトレス方式のどっちが良いの?

一種のダクト式と三種のダクトレスのどちらが良いかと良く言われますが、お金があれば一種熱交換のダクト式で決まりだと私は思います。

理由は簡単で一種の熱交換換気扇は冬季に給気口から供給される空気の冷たさが軽減されるからです。要するに快適性を重視するなら熱交換換気扇が良いということです。

もちろん、一種換気装置を天井裏などに設置した場合はフィルター交換が大変になりますから、一条工務店の様に床設置がメンテナンス面ではお薦めです(換気装置が1マス占有する)。

一種換気はフィルターを交換するとしても一箇所で済みますから三種換気のようにあちこちのフィルターを交換する必要がないことも便利な点です。

そして、一種熱交換換気扇が省エネ設備かと言われると中間期の電気代が高いため省エネ設備ではなく快適装置だと割り切った方が良いでしょう。

お金がなければ三種のダクトレスでも良いですが、その場合はエアコンの下に給気口を設置することをお勧めします。以下は私の二軒目の家の一階リビングの自然給気口の設置方法です。

私は冬季はここ以外の給気口は最小限に閉じて基本的にこの給気口から給気を取り込みこのエアコンだけで全館暖房していました(説明がややこしくなりますが一種熱交換と三種の併用でした)。

三種の場合冬季の冷たい給気をエアコンで温めてしまえば良いと思います。換気の熱交換率とエアコンのCOPの効率を比較すると年間を通じて考えるとエアコンに軍配が上がると思います。

夏は自然素材であっても建材から化学物質が揮発しますから、三種の場合は各部屋の換気量は絞らない方が良いと思います。

私は「一種」か「三種」かという比較ではなく、「一種」か「改良された三種」かという比較をすべきではないかと思います。改良すれば三種換気も良いものですよ。

細かいことを言えば気密性能がC値1.0以上の家は換気をしっかり行うために、ダクト式の換気にした方が良いと思いますが、C値が1.0以下の家であればどちらでも良いと思います。

ダクト内にカビが生えるのか?

基本的にはフィルターを定期的に交換してホコリの目詰まりを防止して換気装置を止めなければホコリが堆積せずにそこにカビも生えないということで良いと思います。

当然に換気装置やダクト自体が断熱されていることが前提条件です。大昔の低気密低断熱住宅に設置された断熱されていないダクトなどは比較の対象ではありません。

問題はダクト内が結露するかしないかということですが、難しく言えばダクト内が露点温度に到達するかどうかということですね。

室内が20℃60の環境になる状態でダクト内が結露するか計算してみます。露点温度の計算は私の計算ツールやインターネット上にあります。

外気 熱交換率 加湿前給気 加湿後給気 露点温度 判定
△20℃ 90% 90%/82% 16℃ 64% 16℃ 86% 11.8℃ 結露せず
△10℃ 90% 17℃ 61% 17℃ 82% 11.8℃
0℃ 90% 18℃ 60% 18℃ 77% 11.9℃
10℃ 90% 19℃ 62% 19℃ 73% 12.0℃
20℃ 90% 20℃ 65% 20℃ 69% 12.0℃

まったく結露しません。感覚的には分かっていましたがここまで露点温度から給気温度が離れていると少し拍子抜けしました。夏季においてもまったく結露しない計算結果になりました。

今回は室内の相対湿度が60%になるように計算しているため過剰に加湿した状態ですが、これはトルプルサッシでも結露しかねない状態であるため、ここまでの加湿は通常しないでしょう。

外気がマイナスの場合は加湿後の給気は相対湿度が80%を超えていますがカビが好む温度ではなくダクト内が常時送風されているため、カビが生えることはないでしょう。

最後に

ということで、新型ロスガードのうるケアのダクト内にカビが生えるかどうかという件については結露しないと計算されました。

そして難しい事は抜きにして考えれば、定期的にフィルターを交換して不在時でもあっても換気扇を止めなければ良いということだけを理解しておけば良いでしょう。

ただ、私からすればもっとカビのリスクが高いのはエアコンです。エアコンにカビが生えるかどうかについてはは皆さんは難しい計算などしなくても身をもって知っていると思います。

夏はエアコンを頻繁にON・OFFする運転方式が一般的です。しかし、通常はエアコン室内機のドレンパン(水受け)には1リットル程度の水が溜まります。

その際にこの大量にあるエアコン内部の水が乾くまで送風運転をしてからエアコンの電源を落としている人はほぼいないと思います。

エアコンをOFFにすれば結露水は室温で温まりカビが発生しやすい条件になってしまうため、小まめなエアコンのON・OFFはエアコン内部にカビが生える環境を作ってしまうことになります。

業者さんに依頼して定期的にエアコンをお掃除するという方法もありますが、簡単なのはエアコンを24時間連続で運転するという方法です。

ただ、そのためにはエアコンが人の近くに設置されていると寒くて仕方ないので設置場所にはノウハウが必要です。興味のある方は私のブログをご覧ください。

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本日は以上でございます。

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