はじめに
住宅業界は、相見積もり無料の「真剣ではなかったお客様を騙してでも家を買わせる住宅会社」と相見積もりお断りの「真剣なお客様しか相手にしたくない住宅会社」に分かれると思います。
まぁ、騙してでも家を買わせるというのは言い過ぎかもしれませんが、知識のない施主に他社を否定して自社の商品の良さを刷り込む営業スタイルと言い換えても良いでしょう。
ただ、人気があって少数精鋭でやっている住宅会社は忙しいため手間とコストのかかる相見積もりは相当本気のお客さんでない限りは受けないと思います。
一方で相見積もりは取られて当たり前だと思っている住宅会社もあると思いますが、そうなると相見積もりは概算で簡単な内容なものになってしまうでしょうね。
何千万円もする一生に一度の家作りですから、相見積もりを取らないと後悔すると考える人と、相見積もりを受ける会社となんて契約しないという方に分かれると思います。
どちらが正しいかという問題ではありませんが、相見積もりを受ける会社はそれだけ営業コストが増えるため、そのコストはその会社で次に家を建てる人が負担することになります。
あなたは相見積もりを取りますか?
色々な考え方があると思いますが、これだけSNSなどが発達していると家の金額や仕様などはある程度わかるため、私は相見積もりは取らない派です。
情報が少ない地場工務店についても、どのような工法を採用しているかで大体の相場はわかります。住宅依頼先ごとの坪単価はだいたい以下のような感じではないかと思います。
大手ハウスメーカー(坪65万円~)、高性能なフランチャイズ系や設計事務所(坪60万円~)、ローコスト系ハウスメーカー(坪50万円~)、独自工法工務店(坪45万円~)。
2010年頃に建てた私の二軒目の家の工務店はC値1.0以下保証で、一番安い商品はQ値2.3W程度で坪45万円でした(設計料別途)。高気密住宅だから高額になるという訳ではないんですよ。
私の住宅依頼先の選定方法はインターネットで良く調査して3社程度まで候補をしぼった後は見学をして、ざっくりのコスト感だけを口頭で聞いたら、1社に絞って本気で家作りを依頼します。
正式なお見積りと仕様を頂いてコストと工法的に合わないということであればお断りして、二番目の候補の別の会社に真剣に家作りを依頼するという手順を私は踏みます。
一方で相見積もりを受ける会社を選定して同時並行で見積もりを貰ってその中から依頼先を絞り込むという人もいると思います。
そうなった場合、相見積もり無料の「真剣ではなかったお客様を騙してでも家を買わせる住宅会社」に依頼することになってしまう可能性が高いのではないかと思います。
ただ、相見積もりをとらないなんて愚かだと思う人もいるでしょうし、自分が信じる1社に絞るならそれだけの家作りの知識を身に着ける必要があると思います。
コストの削減方法はいろいろある
コストカットには相見積もりを取って価格の安い提案を受け入れるという方法や値引きを引き出して安く契約するという方法があるでしょう。
私の場合は家作りにおいて値引きは求めません。値引きは住宅会社の利益率を悪化させてしまい、住宅会社の存続に影響するからです。
価値がある家であれば私は利益をしっかり確保して頂いて結構だと思っています。そして、価値が低いと思う家についてはそもそも契約の候補となりえません。
それに値引きというものが横行するとその値引きは次に家を建てる人が負担することになります。つまり、自分が家を建てるときは前に家を建てた人の値引きを負担していることになります。
自分だけ良い家を安く建てられれば良いという考えもあると思います。正直にいえば、みんな予算が厳しい中で家を建てている訳ですから綺麗ごとだけではないでしょう。
ただ、私は値引きに頼らずだれも苦しまずに安くて良い家を建てたいなと思います。たとえば、間取り作りを勉強して坪数を減らすとか、家のコストカットの方法はたくさんあると思います。
一条工務店の場合は値引きがないため、逆にその明快さが駆け引きを嫌う顧客層にとっては好感が持てるため、販売数を伸ばしている要因の1つになっているのではないかと思いますね。
本気に一社づつ検討すべきなのか?
たとえ話ですけど、結婚相手を求めるときに三人同時に交際してその中から一番良さそうな人を選ぶという考え方をする人もいると思います。
一方で目の前の一人と真剣に交際して、たまたま一人目が自分に合うときもあれば、何人目かの人が自分に合ったという人もいると思います。
家作りについても同じではないかと思います。相見積もりお断りという住宅会社もあれば相見積もりは無料ですと気軽に応じてくれる住宅会社もあります。
自動車のように数年で変わるものに関しては相見積もりを大半の人はすると思いますが、家は一生ものなので相見積もりという行為はどうなんでしょうね。
しかし、一生に一度の家作りであるからこそ相見積もりが必要なんだという考えるの人もいると思います。
もちろん、私は自分が信じた住宅会社だとしても、設計においては失敗を想定して保険は掛けますし、工事中のチェックは自分でも行って、信じたからといって盲信はしないです。
たとえ話になっていたのか良く分かりませんが、なにが賢いのか難しいところですよね。
最後に
コストが発生しない無料サービスなどというものは存在しません。
自分にとって無料なコストは別の誰かが負担しているコストです。そして、自分の家作りは別のだれかの無料となったコストが上乗せされていることになります。
これを悪循環と捉えるようであれば、相見積もりや無料サービスというものに手を出さない方が良いと思います。
よって、私はインターネットが発達した現代であるからこそ、施主はインターネットを沢山調べて相見積もりというコストの増加を減らした方が良いのではないかと考えています。
ただ、経済的にはムダに思えても仕事としてそこに雇用が生まれるからいいじゃないかという意見もあると思いますから、相見積もりを行うことが社会的に無価値ということではないと思います。
家作りは安くて良い家を作ることが目的なのか、雇用を生み出すことが重要なのかで社会的価値が変わってくると思います。
私はどんな単純作業な仕事であって価値のない仕事などないと思っています。そして、プロのサッカーや野球選手なんて真剣に玉遊びをしているだけですごい経済的な価値があるわけです。
世の中にはムダだなぁと思う仕事はありますが、雇用があるということは経済的には良いことなので、何がムダで何が必要なのか一概に言えないところですね。
ただ、家作りは施主にとって人生における最大とも言えるコストですから、安くて良い家という方向に住宅業界全体が向かって欲しいなと思います。
つまり、無料のサービスを受けると結果的に家の価格を上昇させるため、タダなんだから使ってみようという行為は回りまわって自分の家作りのコストを増加させてしまうことになるんですね。
家作りの予算的な重圧の中で自分だけ安く家を建てられれば良いと思う気持ちは綺麗ごとでなく理解ができます。特に収入が少ない若い人は無料なものなら使わなきゃ損だと思うでしょうね。
ただ、相見積もりや無料サービスに応じる会社は営業経費が高くなって結果的に自分の家のコストを押し上げてしまうということは知っておいた方が良いでしょう。
本日は以上でございます。