超誤解!コロナ換気と高気密住宅

考察

はじめに

本日はコロナ禍における窓あけ換気についてです。

上記はここ14日間のコロナウィルスの患者数の増加ですが、丸の大きさを見て分かる通り日本は諸外国と比較するとコロナウィルスの封じ込めにうまくいっていると言われています。

上記は日本におけるコロナウィルス感染者の推移ですが、7月の緊急事態宣言解除後の増加のあとに8月から子供たちが夏休みということもあってか感染者が減少傾向にあります。

まだまだ予断を許さない状況であり、ステイホームと言われる中、窓開け換気の推奨と窓開け中はエアコンをつけっぱなしが良いという情報があります。

コロナ禍における家庭での窓開け換気は科学的根拠に乏しいと言われていますが、私はそれでもこのコロナ禍という事態に対応するために悪いことではないと思っています(私はやりませんが)。

そして、一種換気にしろ三種換気にしろフィルター交換をしっかり行う必要がありますが、意外とこれがやれてないようです。

さて、コロナウィルス対策として以下の三蜜を避けるという基本動作は広く知られるところです。

1.換気の悪い密閉空間
2.多数が集まる密集場所
3.間近で会話や発声をする密接場面

この中で換気の悪い密閉空間=高気密住宅という誤解が起きています。お医者さんまで誤解しているようですが、高気密住宅は換気の良い密閉空間です。

三蜜の前提は以下ですから、そもそも定期的に窓を開けての換気が推奨されているのは各家庭ではありません。

1.換気が悪く
2.人が密に集まって過ごすような空間
3.不特定多数の人が接触するおそれが高い場所

窓の開かないオフィスやスポーツジム、そして学校など不特定多数の人が集まる人口密度の高い場所のことを言っているのにも関わらず、なぜか家庭まで対象だと思われてしまっています。

さらに誤解を招くのはダイキン工業から発信された「窓開け換気時のエアコンは“つけっぱなし”が正解!」という情報です。

「夏場の日中にリビングの窓開け換気をする場合、エアコンの運転はどうしたらいいの?」窓開け換気時のエアコンは“つけっぱなし”が正解! | ニュースリリース | ダイキン工業株式会社
ダイキン工業株式会社は、空気で答えを出す...

各家庭は三蜜の前提条件に合致していないため物凄い誤解を招く情報ですが、このコロナ禍という状況では誤解であっても窓をあけて換気することは悪くないと私は思っています。

ただ、これから家作りをされる方は空調をしている最中に定期的に窓をあけて換気をすれば省エネに反することになるため、どんな誤解があるのか一度考えてみると良いでしょう。

高気密住宅の定義があいまい

高気密住宅は換気の悪い密閉空間と誤解されがちです。そして、大半の住宅会社ではC値を測定していませんが、高気密住宅の定義がないため高気密だと言ったもん勝ちの状況です。

住宅の気密性能は省エネというよりも換気のためにあると言えます。C値が1.0で家の中の空気の50%が機械換気によって換気されると言われているためここが高気密住宅の基準値だと言えます。

C値が良くない三種換気の住宅は機械換気がしっかりなされない反面、家の隙間からの漏気が多いため換気扇の周りで空気がショートサーキットする状態になっています。

つまり、換気扇のある家の端っこの方で空気が循環しているだけで、家の真ん中の空気が換気されない状態になるということです。

C値が1.2だからアウトという訳ではありませんが、大半の家は機械換気があまり機能していないため窓を開けた換気は有効であるということは間違いではありません。

ただ、コロナウィルス対策としてそもそも家庭が三蜜の対象なのかということを考えるとコロナウィルス対策としての各家庭における窓をあけた換気には違和感を覚えます。

少し話がそれますが、UA値とC値を混同している人が多いと感じます。UA値が0.3WでC値0.6の家とUA値が0.6WでC値が0.3の家の省エネ性は同じではありません。

C値は丁寧な施工によって改善は比較的容易ですが、UA値を半分にするには簡単にいうと断熱材は倍の量が必要になるということなのでUA値の改善がいかに難しいかが分かります。

エアコンの運転は24時間連続がお薦め

WEBセミナー「コロナ禍における“熱中症対策”と“上手な換気の方法”」を開催し、動画をYouTubeで公開 | ニュースリリース | ダイキン工業株式会社
ダイキン工業は、夏本番に向けて、会員サイ...

ダイキンが権威ある医師を招いたセミナーでエアコンは連続運転を推奨と紹介しています。日本人はこういう話を鵜吞みにしてしまう人が多いかも知れません。

この話は日本の90%以上の家には当てはまるとしても、C値が1.0以下の高気密住宅にはなじまない考えだと私は思います。

私は省エネの前に家中の除湿とエアコン内部にカビを発生させないためにエアコンを24時間運転をしていまが、結果的に6畳用のエアコン1台で家中が冷房できてしまっています。

既にエアコンの小まめなエアコンのON・OFFよりも連続運転の方が消費電力が低いということは知られてきているため、エアコンを24時間運転されている方は増えていると思います。

もし、エアコンをON・OFFするなら冷房OFFではなくカビが発生しないように冷房を利用しない時間はエアコンをずっと送風状態にしておけば良いと思います。

エアコンのファンだけの運転であれば消費電力はたかが知れています。

エアコンによる除湿は換気効果がある?

エアコンの効果について部屋の匂いが取れるということは余り知られていないと思います(エアコンにカビが発生しないように注意している場合において)。

エアコンが空気の換気をしていると誤解している人もいます(ごく一部機種に若干の換気機能がある)。冷媒管のことをダクトと間違って言っている人もみかけます。

ただ、エアコン室内機で結露した水は室外にドレン管から捨てられていますから、室内の水蒸気を結露させて水として室外に出しています。

部屋の中の水蒸気の中には匂いが含まれるため、これをエアコンで結露させて屋外に排出することはある意味において換気だと私は思っています。

これがコロナウィルス対策に有効なのかわかりませんが、窓を開けた換気も良いと思いますが、エアコンの除湿による水蒸気の排出も換気と捉えて良いのではないかと思っています。

ただ、24時間エアコンを運転するには高気密高断熱住宅ではエアコンの設置場所が部屋の中だと寒くて仕方がないため私は二階の階段ホールにエアコンを設置しています。

エアコン1台全館冷房(除湿)
この記事は長文であるため5ページに分割されています。 エアコン1台全館冷房とは? 一条工務店のi-seriesには、さらぽか空調という全館冷房システムがオプションで用意されています。さらぽか空調はエアコン全館冷房のように間取りの考慮が必...

どこかの研究室で除湿による室内の空気清浄について研究をしてくれないかなーと思っています。

コロナウィルスは人口密度、気温、絶対湿度が影響か?

(出典:名古屋工業大学大学院工学研究科

上記のデータは名古屋工業大学大学院工学研究科の平田教授によるものですが、コロナウィルスは人口密度がもっとも拡大・収束に影響していると結論つけています。

また、空気中の絶対湿度についてもインフルエンザウィルス同様に相関がみられるため、春よりは湿気の多い夏の方がコロナウィルスは拡大しないようです。

誤解がないように申し上げておくと私のように夏は家中を24時間除湿しているとしても春より家の中の絶対湿度は多いです。

この資料は緊急事態宣言解除の前のものですが、感染者数の推移をみても8月の猛暑と夏休みという条件によって感染者数が一旦は減少傾向にあります。

最後に

高気密住宅とは本来は機械換気がしっかりできる家のことですからコロナ禍における窓を開けた換気は必要ないと思います。また、コロナ禍における窓開け換気は人口密度の高い場所での話です。

ただ、各家庭が三蜜の条件に当てはまらないとしても窓を開けた換気をしてはいけないとは思いません。

人口密度が高いかどうかを判断せず取りあえず換気をした方がコロナ禍を乗り切るには良いと思います。人間は器用ではないためゼロか百かという発想になるのは仕方のないことでしょう。

一方で窓をあけた際にエアコンを止めてしまうと熱中症にかかる人が増える可能性があることから、ある意味ステレオタイプですが「エアコンを止めるな」で良いと思います。

よって、ダイキン工業が発信した「窓開け換気時のエアコンは“つけっぱなし”が正解!」については、手段の間違いは多いけれど多くの人に良い結果をもたらすと思います。

ただし、いつかはこの手段の間違いには気が付いて欲しいと思います。特にこれから家作りをされる方はには換気と空調は誤解が多いということについては気が付いて欲しいですね。

例えば、春に部屋が暑い時に窓をあけるのか窓から入る日射熱を減らすのかという家作りの議論については、夏の冷房費用はどちらが多いのかと考えると分かりやすいと思います。

また、これまで住宅の換気や高気密住宅についての誤解が今回のコロナ禍においてもさらに誤解を招く結果になっていると思います。

高気密高断熱住宅を推奨する人は猛暑日をみて住宅の性能の必要性を説くと思いますし、高気密高断熱住宅を必要と思わない人はコロナ禍をみて高気密住宅住宅を批評するでしょう。

これを価値観の違いだと捉える人もいると思いますが、こんなのはすべて気密施工を嫌がる住宅業者の都合に消費者が感化されて巻き込まれているのだと思います。

気密性を高めるのにコストは大してかかりません。住宅はC値が1.0以下の高気密高断熱住宅にして必要な時に窓をあけて換気ができる家にすれば両者の価値観は対立しないはずです。

なんでこんな消費者のためにならない不毛な話が延々とされているか、住宅業界は本当に摩訶不思議な世界だと思います。

本日は以上でございます。

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