コロナ対策で注目の二酸化炭素濃度について

考察

はじめに

(出典:朝日新聞

上記は少し前に行われたイベントで、ライブなど人が集まる場所での換気状況を確認するには二酸化炭素濃度が有効であるということを示しているイベントの模様です。

そして、最近は家庭用のCO2測定器は非常に安くて4000円もしないで購入できるようです。

 

こちらは表示が中国語ですが比較的早く入手できるようです。一条施主で買われた人がいますが精度はおかしくなかったです。

 

こちらは中国からの出荷になるようで到着まで時間がかかるようです。私はすでに2個の空気質モニターを持っていますがどんなものか買ってみることにしました。

 

CO2については空気全体の汚染の目安に過ぎないため、基準値を超えたからすぐに窓をあけるなどの換気をしないと健康を害するというものではないと思います。

また、外気が乾燥した季節では窓開け換気をすれば室内の絶対湿度が下がって人の気管が乾燥するという現象が起きますから、換気は省エネも含まって家作りではかなり難しい論点です。

コロナ対策は間違いだらけ?

少し家作りの話から脱線しますが、コロナ対策は経済活動と裏表の関係にあり、失業率と自殺者数は相関関係が高いことから、自粛一辺倒では自殺者の増加を招きます。

また、医療関係者の奮闘によりワクチンのない現在においても、ほぼ高齢者以外は重症化せず死亡者が出ない状態まで対応ができています。

(出典:東洋経済オンライン

コロナ第三波の感染拡大の原因は多様だと思いますが、空気が乾燥する季節になった・外国人の入国規制を緩和した・ハロウィン・GoToキャンペーンなど色々とあると思います。

ただ、換気の悪い状況でマスクをしない不特定多数の人が会話をするような会食などが感染拡大の主たる原因であることは認識が一致していると思います。

つまり、GoToEatの自粛はある程度はやむを得ないもののGoToトラベルは規制しなくて良かったのではないかと私は思います。

そして、感染者のいない自宅での窓開け換気は不要だと思います。換気を沢山すれば今度は室温低下と室内の空気が乾燥するため二次災害が起きる可能性があるからです。

GoToEatの再開については飛沫感染対策と並行して、二酸化炭素濃度などで換気がしっかりできていることをキャンペーン対象の条件とするなど、今後の検討が必要だと思います。

コロナウイルス感染による直接的な死亡者の抑制も必要ですが、経済や心理面でのコロナによる自殺者を出さないような政策を期待したいところです。

独り歩きする数値

家作りではUA値などの分かりやすい数値は独り歩きするものです。ただ、UA値は家の形や日射取得などは考慮されていないため、建物の性能を比較するための粗々な目安でしかありません。

ただ、だからといって数値を軽視してはいけないと思います。安心や快適性は数値で得られるものと数値では得られないものの両方が揃って初めてバランスが良いと言えます。

問題なのは、数値を部分的に切り取って情報発信したり理解することにあると思います。現在注目されて来ている絶対湿度や二酸化炭素濃度も今後においてさらに独り歩きするかもしれません。

そもそも国が定めている各基準はCO2の基準値だけを定めているわけではないためCO2だけを見ても仕方がないのです。以下は代表的な基準値です。

基準 室温 相対湿度 CO2濃度
建築物環境衛生管理基準 17℃以上28℃以下 40%以上70%以下 1000ppm以下
学校環境衛生基準 17℃以上28℃以下 30%以上80%以下 1500ppm以下

例えば、家の廊下や北側の部屋の室温が冬季に10℃にもなってしまう寒い家は相対湿度やC02濃度が基準値を下回ることを敏感に意識するよりも室温を気にした方が良いと思います。

CO2濃度については換気状況などを示す空気汚染全体の目安として利用されているだけであり、CO2濃度が低いからといって化学物質の濃度が高ければ良くありません。

複数名で1つの部屋に就寝すればCO2濃度は3000ppmを超えることもあるでしょう。そして、大気の二酸化炭素濃度が年々上昇しているためCO2濃度の基準値も見直しが必要だと思います。

最適な換気回数は?

夏は0.5回/h若しくは1人30m3/hと建築基準法に定められていますがこれは最適だと思いません。特に冬季の日本の家は換気のし過ぎで乾燥しています。

換気量を減らせば冷暖房費が減りますし、冬季に換気量を減らせば室内から加湿器が必要なくなりますから、これは非常に魅力的な話です。

一方で換気量が少ないと空気が汚れ、窓の断熱が弱いと冬季は窓が結露します。冬季は0.3回が良いのではないかと昔から言われいますが家族数によっては0.3回では高湿度になる場合もあります。

冬は露点温度が低いため高湿度な家は窓が結露してカビが発生したり洗濯物が部屋干しで乾かないなどの現象が起き、これはヨーロッパで問題となっている冬のカビダニの問題と同じです。

窓の性能にもよりますが、私はTVOC(総揮発性有機化合物)とCO2濃度が基準値以下なら換気量を減らしても良いと思っています。現状ではもちろん自己責任となります。

冬に家が寒いからといって気合で換気量を減らすのは良くないと思うので換気量を減らす場合は空気質を測定した方が良いと思います。

また、パッシブ換気のようなWB工法といった機械換気なしの工法やデマンド換気方式といったCO2や湿度などを検知して各部屋の換気量を制御するシステムもあります。

現状では空気質モニターが安く買えるため各家庭にモニターを設置することは難しくありません。一定の精度をクリアした空気質モニターを設置した住宅は換気回数を選択させて欲しいものです。

ただ、一条工務店のロスガードは施主が風量の調整をできないのでそこが課題ですね。将来、子供が家を離れて家族数が減った時に換気量を減らせるようにして欲しいところです。

三種換気の家では家の中に温度差があると二階の給気口から空気が排気されてしまう現象が起きますが、空気質が良好であればそれはそれでありだと思います。

最適な換気方法は?

一種換気か三種換気かという単純比較は意味がないのかなと思います。

良くある話は一種はフィルター交換が大変だからとかダクトが汚れるとか設備の更新費用にお金がかかるといった話です。

一種換気については、これまでは冬以外の消費電力の大きさを考えると温暖地では通年では省エネではないと言われてきましたが、夏の猛暑日増加によって省エネ性が見直されています。

フィルター交換については、換気扇の天井設置型ではなく一条工務店のロスガードのような床設置やマーベックスの澄家のような床下設置をされるとフィルターの交換作業が楽だと思います。

フィルターの交換が1ヵ所のダクト式の一種換気で天井付け以外の設置方法であればメンテナンスが簡単であるため、このような換気装置が望ましいと思っています。

三種換気についてはそのままでは冬季に給気口から冷気が入ってきますが、給気口をエアコンの付近に設置したり、押し入れの中に設置するなど昔から工夫している人はいます。

また、三種換気は給気口を夏と冬でエアコン付近の各1ヶ所に限定して各部屋には低騒音で小排気量の排気換気扇から排気をするということを汎用品で実現している家もあります。

給気口を外壁を貫通させずに通気層から給気する方法は騒音が大きい場所や強風地域で用いられますが寒冷地では給気口が排気として機能すると水蒸気により凍害の恐れがあると言われています。

換気については予算があればフィルターの交換しやすい設置方法を行った一種換気(全熱交換)、予算がなければエアコン付近に主たる給気口を設けた三種換気が良いと思います。

換気や空調は汎用品を使えば安く済みますし、三種換気を標準採用する住宅会社でもエアコンと組み合わせればアイデア次第で格安に全館空調を実現できる方法はあると思いますよ。

最後に

本日はコロナ感染を踏まえた二酸化炭素濃度からの換気の話になりましたが、私が二軒目の家を建てた2010年頃にも換気方式や換気回数については同じ話は既にされていました。

そして、家作りではCO2濃度やエアコンの適正サイズを含めて半世紀以上も前に定められたルールが存在しますから、現在の生活に当てはまるのか、もう一度考えた方が良いと思います。

注目されている絶対湿度については部屋の中の相対湿度よりも人間が空気を吸った際の気管の中の相対湿度を重視して部屋の絶対湿度から最適解を逆算して考えようという意味でしょう。

ただ、冬季は乾燥対策の前にまずは暖房をしっかり使って室温をWHOが推奨する18℃以上にすることと、飛沫感染対策が重要でしょう。

この理由として私は冬季に加湿をせず相対湿度40%前後の高気密高断熱住宅に10年は住んでいますが、家族がインフルエンザにかからないという不思議な現象を体験しているからです。

個人差はあるでしょうけれど私は加湿をしなくても、手洗いうがいをしっかりしていれば冬季は家の室温が高いためなのか風邪を引かなくなりました。

もちろん加湿をしたい人は加湿をした方が良いと思います。飛沫感染に注意して暖かい部屋で過ごし、その上でさらに湿度管理をすれば万全でしょう。

そして、お医者さんは湿度を60%にしてくださいと言いますが、窓が結露だらけになるためそれも難しいので、窓の性能にもよりますが加湿をするとしても50%程度までが良いと思います。

室温18℃は寒いので21℃は欲しいですがその場合、絶対湿度が7グラムで相対湿度は40%程度、9グラムで50%程度となりアルミ樹脂複合サッシでは50%だと窓の結露が増えると計算されます。

さて、コロナウィルスの感染者がいない住宅という条件の場合は室温を下げてまで窓開け換気をする必要があるとは私は思いません。

オフィスにおいても、私は職場のオフィスビルにも空気質モニターとみはりん坊Wを置いてますが、コロナ前でもCO2は常時600ppm程度で非常に空気質は綺麗な状態でした。

これは測定して初めてわかることなので、家やオフィスなどどこで窓開け換気が必要なのかCO2測定器が安く手に入る時代ですから試してみると面白いと思います。

さすがにCO2濃度が5000ppmなどになると体調不良になる人も増えるようですが、一時的に3000ppmになったからと私は健康を害したことはありません。

CO2濃度といった1つの数値だけで判断せずに健康な生活を送るには飛沫感染対策、室温や湿度、そして窓の結露とカビダニの発生までを含めて考えた方が良いと思います。

 

本日は以上でございます。

タイトルとURLをコピーしました