寒冷地の夏は涼しくない

考察

夏の寒冷地の温湿度

画像は標高800mを超え、省エネ地域区分Ⅱ(3)地域に建つi-smart2の温湿度の模様です。室内はエアコン1台で全館冷房を実施しておりますが、外気温は32℃程度まで上昇しています。

本日は東京などの温暖地では外気温が37℃前後の猛暑日になったようで、標高が100m上昇すると0.6℃気温が下がると言われていますから、ちょうど計算の通り都心と5℃の気温差です。

屋外にあるガレージの中で作業をしていると風通しを良くしても暑くて仕方がないです。当然ながら自宅については窓を開けて、この気温と湿度の高い熱風を取り入れようとは思いません。

高気密高断熱住宅の大御所たちは未だに省エネ地域区分1~3地域までは夜間の涼しい時間に窓を開けて通風しておけば日中も涼しいと言っていますが、それはもう無理でしょう。

寒冷地においてもエアコンを極力利用しないことを良しとする価値観から、エアコンをしっかり利用しても省エネで冷房病にならない住宅を作る時代に既に入っていると思います。

高原や北海道に来る観光客のことを考えると大きな声で寒冷地の夏は暑いとは言えないのかも知れませんが、もはや隠しようのない暑さだとおもいます。

寒冷地の夏は涼しいというのはウソ

(出典:気象庁

本日15時の東北地方の模様です。赤いブロックの地点は長時間のエアコンの運転が必要な地域です。酷暑の紫の地点は熱帯夜になると想定され夜間のエアコンの運転が必要でしょう。

 

同時刻の北海道の模様です。本日は沖縄の那覇より北海道の札幌が暑いという状況でした。札幌においては数日前に熱帯夜が3日間続いていました。

もはや、湿度を無視して気温だけを見ても北海道の太平洋側の海沿いや本州においても山沿いの標高が1000mを超える場所以外はエアコンの常時運転を考えた家作りが必要だと思います。

高原の湿度は?

高原の定義は色々ありますが、標高が600m以上の場合を一般的には高原というようです。

軽井沢に代表される高原は夏は涼しいと一般的に言われますが、それは気温の涼しさであって相対湿度はむしろ低地よりも高い傾向にあり高原はカラッとした涼しさではありません。

人間の涼しさに対する感覚は複数あって、湿度が高くても気温が低い場合も快適に感じます。ただ、湿度が高いとカビに悩まされますから、寒冷地や高原においても除湿が必要でしょう。

本日、13時の外気の容積絶対湿度は17.4グラム、除湿している室内は11.8グラムでしたから、100m2の床面積の家であれば一日の除湿量は16リットル程度が必要です。

(17.4-11.8)×天井高さ2.4m×床面積×100m2×換気回数0.5回/h×24時間≒16リットル

温暖地のように外気の絶対湿度が20グラムを超えるような場合は、一日に必要な除湿量は24リットルにもなります。これだけ除湿するからこそ室内で洗濯物が乾くという訳です。

エアコンの運転方法は?

上記は平屋の全館冷房において、24.5℃の設定温度で風量最弱の風向き下で冷房運転をしている状況です。エアコンの吹き出し口は10.7グラムと除湿された空気が出ていることが分かります。

今年は寒冷地の夏に生まれて初めてエアコンを本格的に運転しましたが、温暖地に比べると少しエアコンの運転が難しかったです。

それは外気温が低いことから室温が上昇しないため、梅雨が明けるまでは室温を下げ過ぎないために室温の下がりにくい再熱除湿運転をする必要があったからです。

何とか消費電力の低い冷房運転だけで梅雨を乗り切ろうと色々試しましたが、冷房運転では寒くて仕方がないため梅雨が明けるまで再熱除湿運転をしていました。

エアコン1台全館冷房と一般的なエアコン運転方法は大きくことなり、全館冷房では1台のエアコンの設定温度を25℃以下にしてエアコンの風向きを下にして風量を一番少なくして運転します。

家の中の複数台のエアコンを動かしても構いませんが、除湿を担う1台のエアコンについては設定温度を下げて熱交換器をキンキンに冷やして室温低下よりも除湿量を稼ぐ方向に振り向けます。

エアコンを24時間運転するにはエアコンの冷気が人に直撃しない解放された広い空間に設置する必要がありますから、二階建ての場合は二階の階段ホール等に設置することになるでしょう。

一般的に推奨されるエアコンの運転は27℃前後のエアコンの設定温度、風量自動、風向き水平ですがそれは室温の省エネ性を重視した運転であり除湿量は稼げない運転だと言えます。

全館冷房の消費電力は多くない

冷房運転で日中は200W、夜間は140W程度でエアコンは稼働しています。少し快適過ぎるのですが、これ以上室温を上げるとサーモオフしてしまうため24.5℃の設定で運転しています。

梅雨時期の再熱除湿は常時200Wであったため、冷房運転に切り替えた盛夏の方が消費電力が下がる結果になると思います。

仮にずっと200Wの消費電力だった場合の月の電気代は4千円程度ですが、太陽光発電が余剰売電であるため、この半分程度が買電金額になると思います。

0.2kW×24時間×30日×@28.5円/kW=4104円/月

同様にさらぽか空調の電気代についても月に1万円程度と想定されますが、余剰売電の場合は半額程度の空調費用となるでしょう。

温湿度計の誤差

上記の奥の白い温湿度計は一条工務店から入居時に頂くアナログ温湿度計で湿度が低く出る傾向にあり、手前の黒い温湿度計は個体ごとの精度のバラつきが少ないものです。

相対湿度を比較すると奥の温湿度計は38%程度、手間の温湿度計は54%ということで、16%も相対湿度が異なっています。

温湿度計のズレは個体差がありますが一条工務店から頂く温湿度計をみて湿度を判断すると除湿量の判断を誤る可能性がありますから、ぜひ正確な湿度計を購入されることをお勧めします。

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エー・アンド・デイ(A&D)

ダニは室内の相対湿度を60%以下に保てば繁殖しないと言われていますし、実際に私はずっとこの環境で生活していますが、ダニをみたことがありません。

最後に

冬はマイナス10℃程度まで冷え込む時がある寒冷地の夏はもう少し涼しいのかと思っていましたが、外気温が32℃まで上昇すると特別に温暖地と変わらない夏の住み方が必要でした。

また、夜間は23℃程度まで気温がさがりますが、湿度の低いカラッとした涼しさではなくて、朝露が常に発生するという湿った涼しさですから、除湿が必要なことは温暖地と変わりません。

このような寒冷地においてどのような家作りが良いかと設計段階から色々と考えて来ましたが、四季を過ごした感想から申し上げると温暖地と何も変わらない家作りで良いと思います。

それは、日本の家作りの終着点とも言える四季全てが快適な住み心地の家であり、完成度の高い高気密高断熱住宅は温暖地でも寒冷地でもどんな季節でも通用するという意味です。

私は温暖地を含めて注文住宅を四軒建てていますが、窓を閉めて温湿度をコントロールする家が夏に高温多湿で冬に寒冷乾燥な日本の家作りに一番適していると確信しています。

採光と日射制御のために南側以外の窓は小さく少なく高く設置して、南側の窓は大きくして窓の日除けと日射取得を行い、夏はエアコン1台などで家中を除湿する家作りです。

南側の窓の大きさの考慮については温暖地においての市街地の日当たりと日本海側の冬季の日射量の少なさなどがありますが、どちらも冬季に日射量が取れる窓であれば大きくするだけです。

これまでの家作りには「除湿」という概念がなかったため、「風通し」という家のメンテナンス方法が採用されてきましたが、「風通し」ではもはや対応できない日本の気候になっています。

家の中で自然や四季を感じる家作りは住む人の健康を願うなら賛成しません。空調が不要な期間は年間で2か月程度しかない事から、自然や四季は窓越しに外を見て楽しむものだと思います。

地域に応じた家作りという言葉がありますが、私は北海道から九州まで高気密高断熱住宅の設計は緯度の違いによる日射角度の考慮を除いては、最終的には同じになると考えています。

ただし、沖縄に関しては絶対湿度が高いため、夏型結露を考えるとグラスウール断熱は向いておらず、石油系の板状発砲断熱材による外張り断熱が適していると思います。

一条工務店の商品は寒冷地の窓ガラスがLow-E断熱ガラスである点や北海道で地中熱を利用したロスガードを利用している点以外は全国大きな違いはありません。

これまでの一条ハウスは窓の日射制御が弱いと言われていましたが、施主の間で流行っていたスダレを掛けるためのアイプレートがオプションとして正式採用されたようです。

これによって一条ハウスの課題であった窓の日射制御と夏季の除湿という両方に対応が可能となることから、完成度の高い高気密高断熱住宅を全国で手に入れることが出来るようになりました。

各地域の地場の住宅会社は地域ごとの家作りが必要だと言いますが、それは自分たちの商売のために言っているのでしょう。完成度の高い高気密高断熱住宅は全国どこでも通用すると思います。

 

本日は以上でございます。

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