住宅系Youtubeを見るだけでは大半の人が救われない現実

考察

はじめに

関東もようやく梅雨が明け猛暑日が連発する夏が到来します。在宅勤務が増えて猛暑日が連発する環境下では家の性能については嫌でも考えざるを得ないと思います。

家は家族の状況やお好みに応じた住宅を建てれば良いと思いますが、最近は耐震性と温熱性を重視した住宅系のYoutuberの登場によって家の性能というものが理解しやすくなりました。

既に入居済みで耐震性や温熱について高性能な住宅を選択しなかった人のポジショントークは相変わらずありますが、大きな窓や風通しを良しとしてきた家作り以外についても広く語られる時代が来たと思います。

ただ、予算が少ない人は住宅系Youtuberが言っているような高性能な住宅を建てることは難しいですし、住宅供給量的にも多くの人に温熱に優れた家は行き渡らないという現実があります。

せっかく家作りの知識は身についたけど、予算が少ない人は依頼したい住宅依頼先が見つからないという現実が待っているでしょう。私はこれまでもこの点を繰り返し述べています。

先日ラクジュの本橋さんが性能に応じた住宅の価格をYoutubeで放映されていました。誤解を恐れずにここまで正直に言う本橋さんはすごい人だと思います。

【土地探しからの家づくり】ハウスメーカー・工務店の比較法&選び方!でも本当は??あなたは選ばれないカモ!!

その中で注文住宅のおおよその総額(建物本体ではない)の坪単価を示していました(7分30秒付近)。

  1. 坪70万円以下、超ローコスト
  2. 坪90万円以下、G2
  3. 坪120万円以下、G3近し
  4. 坪140万円、パッシブハウス

住宅依頼先を探す指標は以下のように示していました(9分30秒付近)。

  1. 耐震等級3(耐震等級3相当ではない)
  2. 省令準耐火構造
  3. UA値0.46W以下
  4. C値1.0以下
  5. 劣化・維持管理(≒長期優良住宅認定)

上記の性能については大手ハウスメーカーのほとんどが気密性能で脱落してしまいますが、メジャーなハウスメーカーでは一条工務店やスウェーデンハウスなどが該当しています。

戸建てとマンションを合わせた新築戸数は年間60万棟程度ですが、耐震性と温熱性能が良い優良工務店の住宅供給量は年間5000棟程度、一部の性能の良いハウスメーカーを含めても2~3万棟程度しか戸建ての住宅供給能力が日本にはないと本橋さんは述べていました。

新築をする全員が高気密高断熱住宅を望むわけではありませんが、供給量からみればたった5%の人しか耐震性と温熱性能に優れた家に住めないということになります。

全館暖房については一階のリビングのエアコンを運転すればだいたい実現できますが、この5%の中からエアコンの機種と配置まで考えた全館冷房まで実現できる人はさらに少ないでしょう。

これが現実です。家は三軒建てないと満足できないという言葉は本来は長い暮らしの中での住まい方に応じた家作りの話ですが、最初から満足できる家を建てられた人は奇跡だと思います。

家作りはタイミングが重要であり入居予定日を基準に住宅会社を選ぶケースでは行列をなしている高性能な住宅を作っている住宅会社を選択することは難しいでしょう。

木造住宅の上限は坪120万円まで?

私は木造住宅にかける金額は総額ベースで坪120万円程度が上限だとおもっています。つまり、HEAT20のG3程度までという意味です。

もちろん、家作りは性能に囚われることなく性能を使いこなしてナンボですし、デザインや外構は重要であり、何より関係者との信頼のもとに家族で家作り自体を楽しむことは前提条件です。

一条工務店は現状の主力商品は坪70万円程度です。オプション次第ですがそれに1.3~1.4倍程度をかけた金額が総額になる傾向にありますから建物総額ベースでは坪98万円程度となります。

G3程度の性能がある一条工務店の坪98万円に対してスーパー工務店のG3は坪120万円程度ですから一条の方が安いです。これは実際に相見積もりを取った人の情報からも確認ができます。

一条工務店で家を建てるとオプションをどれだけ採用するかにもよりますが、i-seriesであればG2の予算で太陽光パネルと蓄電池がついたG3に近い家が建つと思えば良いでしょう。

ちなみに一条工務店のi-seriesで南側以外の窓を小さくすればG3は余裕でクリアします。私のセカンドハウスのi-smartⅡは南側に12尺の大窓がありますがUA値を計算すると0.18Wでした。

パッシブハウス級の木造住宅が坪140万円だとした場合、鉄筋コンクリート造の外断熱住宅(RC外断熱住宅)が同じぐらいの価格だと思いますから、私ならRC外断熱住宅を検討すると思います。

大手ハウスメーカーに多い鉄骨住宅は気密を取ることが難しく構造自体が鉄という熱伝導率の高い材質のため、温暖地においても断熱気密を重視する私には向いていない住宅だと考えています。

それに対してRC造は構造がコンクリートですから気密性能が良く、建物の堅牢性は鉄骨住宅以上であり、火災にも強いというまさに最強の住宅であると言えますがなにせ価格が高すぎます。

また、木造住宅では冬に南側の大窓から大量に日射熱を取り入れるとオーバーヒートしてしまいますが、外断熱のRC住宅であれば木造住宅では実現できない蓄熱性能を期待することができます。

ただ、RC造は財務体質が強固な大手ハウスメーカーは手掛けていない点と建物が重たいため地盤改良が必要な場合に費用がかかる点がネックだと思います。

税務上の法定対応年数をみても木造は短く、鉄骨住宅より鉄筋コンクリート造の方が堅牢であることがわかりますが、その分固定資産税も多くなります。

住宅の構造 法定耐用年数
木造 22年
軽量鉄骨プレハブ造(骨格材肉厚3mm以下) 19年
軽量鉄骨プレハブ造(骨格材肉厚3mm超4mm以下) 27年
重量鉄骨造(骨格材肉厚4mm超) 34年
鉄筋コンクリート造 47年

最もコストパフォーマンスに優れる木造ですが、防蟻処理・劣化対策・気密性確保などをしっかり行わないと30年で建て替えられる家になってしまうと思います。

予算が少ない人はどうしたらいいの?

住宅系Youtuberが述べている家作りはかなり予算がある人しか実現できないでしょう。では、予算が少ない人はどうしたらいいのでしょうか?

注文住宅に耐震性と温熱環境を期待する人にとっての現実解としては高価格帯で家を小さく建てるか、ものすごく家作りの勉強をして低価格帯で高性能住宅を実現するしかないでしょう。

私の二軒目の家はローコスト工務店でありながらQ値1.0Wでエアコンによる全館冷暖房を実現しましたが、燃え尽きるほどに勉強をして疲れ果てて帯状疱疹が出たというトラウマがあります。

耐震等級3は取得するのにそれ程の費用は必要ないことと、気密性能はC値1.0以下は欲しいですが、断熱性能については家の日当たりが良ければG1グレード(≒ZEH)でも良いと思います。

ローコスト系住宅の建物本体が坪60万円程度だとすれば総額ベースでは坪80万円ぐらいです。この価格帯あたりだと性能はG2の手前ぐらいであり多くの人が手が届く価格だと思います。

G2未満、C値1.0以下、耐震等級3という住宅が普及版の高性能住宅であると言えます。予算が少ない人は時間はかかると思いますが冬に日当たりが良い土地を手に入れると良いでしょう。

私が最近出した電子書籍は一条工務店で建てたいけれど予算が苦しいという方に向けて坪数を小さくしてさらにエアコン1台での全館冷房によるコストカットの方法をご紹介したものです。

高性能住宅を小さく建てて豊かに暮らす
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予算不足の方・ミニマリストの方は必見!これまでにない小さな全館冷房対応住宅の間取り集です。ご購入もしくは無料体験にてお読みいただけます!

建物本体価格でいうとローコスト系住宅の30坪の家で坪60万円であれば1800万円ですが、一条工務店の坪70万円であれば25.7坪の家にすれば総額では同じになるということです。

しかし、予算は少ないけど建物は大きくしたいという方についてはローコスト系の住宅会社で暖かい家を探すと良いと思いますが、そのような住宅会社を見分ける方法は意外と簡単です。

C値1.0以下が保証されるかを確認すると手っ取り早いですが、気密測定をしていない住宅会社においては基礎断熱+屋根断熱+現場発泡ウレタンという構造の建物は冬に暖かいと思います。

細かい説明は省きますが壁の気流が止まっているため暖かい家になりやすいのです。ただ、A種3の透湿抵抗の低い現場発泡ウレタンに透湿抵抗の高い面材を利用している場合は注意してください。

防湿シートは時限爆弾?
はじめに 本日は夏型逆転結露というマニアックな話題です。文章の中に防湿シート(結露防止のために室内側に設置するビニールシート)や透湿抵抗(水蒸気の通しにくさ)という言葉が出てきます。 今回の記事の内容には日本の住宅の大半で使われてい...

また、スーパー工務店以外では冷暖房の計画は施主の自己責任ですから、エアコンだけで全館冷暖房をしたいと思う方は私のブログの記事をご覧ください。

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ローコスト系住宅においてはエアコンを利用して全館暖房までは実現できる人はいますが、再熱除湿エアコンの設置場所までを含めた全館冷房の実現まで到達できる人は少ないと思います。

建物本体が坪60万円程度でC値が1.0以下の住宅は、住宅展示場に出店しているような中堅のローコスト系住宅メーカーや一部の地場工務店で手に入ると思います。

ただ、どの住宅会社もある程度有名になってくると基本性能をアップしていくことからローコスト系住宅はいずれローコストではなくなってしまう傾向にあると思います。

企業というものは有名になるとステータスや利益率をあげようとするため、一条工務店のように生産工場を海外に持たない企業は結局は中途半端に高額で高性能な家になって行きます。

最後に

本日は住宅系YouTubeで家作りの知識を蓄えることは良いけれども、現実的には高性能住宅の供給量を増やすことを消費者側も考える必要があるという話でした。

予算がある人は住宅会社を選ぶ知識だけあれば良いですが、予算が少ない人は相当に家作りの勉強をして断熱気密や空調の経験が少ない住宅会社と二人三脚で家作りをすることになるでしょう。

高気密高断熱住宅を寒冷地に必要なものとして捉える人も多いと思いますが私の自宅がある南関東でも昔の実家は冬にとても寒かったため温暖地でも高気密高断熱住宅は必要だと私は思います。

また、高気密高断熱住宅を夏の暑さ冬の寒さ対策だと捉えてしまう人が多いと思いますが、気密性能は換気とカビやダニの発生条件となる湿度をコントロールするために有益なものです。

つまり、耐震性などと同じで気密性能はどれほど良くても困るものではないため気密性能は必要ないという意見は耐震性は重要ではないと言っていることと同じように聞こえてしまいます。

住宅系Youtuberの方は、そのような誤解を解消して温暖地においても耐震性を備えた高気密高断熱住宅の普及を願っているのだと思います。

耐震性や断熱気密を重視するとデザインや家作りが窮屈になると言う設計士がいるとすればそれは設計士の能力不足だと私は思います。そんな無能な設計士に家作りを頼む必要はないでしょう。

設計事務所やスーパー工務店のYoutuber以外では、予算の少ない建売住宅においてもC値1.0以下の住宅を提供しようと頑張っている工務店もあります。

建売住宅でもC値1.0以下が登場か?
はじめに高気密高断熱住宅は必要なのか?世間ではまだ賛否両論ですね。ただ、私が二軒目の家を建てた2010年頃に比べると相当に消費者の中で高気密高断熱住宅を求める人は増えたと感じます。まだ、大手ハウスメーカーを含めて大半の住宅会社は気...

皆さん、素晴らしい取り組みですね。半ば利益度外視で情熱を傾けている人もいると感じます。

私は一般の施主ですが微力ながら同じ想いでいます。まず、私が一条工務店を選択したこと自体が高気密高断熱住宅を日本に広く普及させるにはどうすべきかと考えた結果なのです。

一条工務店の凄さは断熱気密性能やハイテク設備ではなく、その量産化技術です。つまり全国どこでも断熱気密が良い家が建てられるという戦略レベルの優位性が販売が好調な要因でしょう。

他のハウスメーカーは戦略レベルの不利に対応せずに床暖房が必要かどうかとかハイテク装備は維持費がかかるといった戦術レベルの対応をしているから一条工務店が一人勝ちしてしまうのです。

大手ハウスメーカーはこのままでは販売棟数が減っていってしまうと思いますので、ぜひ本気で高気密高断熱に取り組んで欲しいと思いますが工法的にはかなり難しそうです。

床断熱+グラスウール+天井断熱では安定してC値を1.0以下を出すこと自体が難しいと思いますから、ローコスト系住宅と同様に現場発泡ウレタンにしてしまった方が良いと思います。

また、住宅のプロや初めて家を建てた人が発信する情報だけでは家作りの誤解の解消は難しいと思いますから注文住宅を何軒も建てた私の情報は何かの役に立つかもしれません。

ブログやInstagramなどを見ると一条工務店の情報が圧倒的に多いです。メジャーなハウスメーカーの力を借りなければ高気密高断熱住宅を普及させることはできないと私は考えました。

二軒目の家で小屋裏エアコンを実現するスキルを私は身に着けていましたが、もし三軒目の家を一条工務店で建てていなければ多くの人に私の持つ空調の知識が伝わることもなかったでしょう。

#全館冷房 hashtag on Instagram • Photos and Videos
828 Posts - See Instagram photos and videos from ‘全館冷房’ hashtag

高気密高断熱住宅の情報が増えていく中で一条工務店やそれ以外の住宅会社の家の性能や住み心地が良くなっていったらいいなと思っています。どこで家を建てるかは問題ではありません。

どんな家を建てるかは人ぞれぞれですし断熱性能はご予算次第で良いと思いますが、耐震等級3とC値1.0以下はどこの住宅会社で家を建てても当たり前に備わっていて欲しいと思います。

 

本日は以上でございます。

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