一条工務店 2倍耐震等級住宅(耐震等級5?)

考察

はじめに

住宅系Youtubeが盛り上がってきましたが、一条工務店もYoutubeの配信を始めたようで、一条ラボ大阪(完全予約制ショールーム)が開設したライブ配信チャンネルです(閲覧は数日間限定)。

一条ラボ生配信①二倍耐震住宅編

一条工務店による異次元の家作り

今回の動画はキャンペーン告知に近いものがありますが、一条工務店は耐震等級3を上回る超高耐震住宅に着手するとのことです(最初は各エリアごとに30棟の販売)。

そして、すべての地震による損壊の補償を30年補償で全額補償するというのです。通常の地震保険は半額補償ですから外構などを除く建物本体部分の地震保険は減額して良いと言えます。

ただ、耐震性を向上させると、1階の窓サイズが小さくなると想像されますがそれをどう乗り越えるのでしょうか。

現状ではパッシブ設計を行うと南側以外の窓は小さくて構わないため、南側の窓のサイズおよび日射制御をどうするかが一条工務店の課題だと思います。

2020/05/24追記 一条工務店はミッドプライ・ウォールシステムを採用するようです。恐らくこれによって、窓の大きさは従来と変わらずに耐震強度を上昇できるものと思います。

一条工務店では温暖地は南側でも遮熱Low-Eガラスであるため、軒や庇を設置した上での南側は断熱Low-Eガラスをこれを機に採用できたらいいなと思います。

窓のサイズが小さくなったとしても、真空ガラスを用いるなどして日射取得率をあげてみるなどの方法があると思います。一条工務店は何でもやる企業なので期待したいことろですね。

また、一条工務店ではスリットスライダーなどのアウトセット引戸が少なく、通常の引き戸は2マスの開口が必要になるため、1階の間取りに制限が生まれる点は改善を期待したいです。

そして、一条工務店の耐震等級3は型式認定ではなく構造計算による耐震等級である点は他のハウスメーカーと一線を画すところです。

東海地方に本社がある一条工務店は、軸組工法については免振装置を提供していましたが、i-smart・i-cubeといった枠組壁工法は、耐震等級5(法律では3まで)を目指すようです。

もしかしたら一条工務店の次のターゲットは耐震性を重視して鉄骨住宅を検討している消費者なのかもしれません。一条工務店は将来的に門型フレームを開発してくる可能性もあると思います。

一条工務店の家は年々進化を続けていて、耐水害住宅電力革命(圧倒的に低価格な蓄電池の提供:蓄電池付き太陽光パネル13.75kWの場合、16.8万円/kW)と恐ろしい家作りをしています。

他にも太陽光パネルに鋼板を設置したり、換気装置であるロスガードに水道管直結の無給水加湿機能や外気を直接取り入れるバイパス換気が搭載されたなど、着々と改良を行っています。

一条工務店の坪単価は上昇していますが、ここまで性能が向上してくるとむしろ安いとさえ思えてきます。一条工務店は想定を簡単に超えてくる良い意味でクレイジーなハウスメーカーです。

恐らく他社はオーバースペックだと批評してくると思いますが、逆に一条工務店を宣伝することに繋がると思います。床暖房は不要と言えばいう程、床暖房の宣伝になることと同じでしょう。

ここまで性能に拘ると昔ながらの家作りを希望する人はアレルギーを起こす人もいると思いますが、Instagramで話をする若い人は昔ながらの家づくりへの拘りはないように私は感じます。

最後に

今回、耐震等級5とも言える2倍耐震等級住宅の発表によって鉄骨住宅を検討している消費者の相当数が一条工務店を検討すると思います。これは鉄骨ハウスメーカー潰しとも言える戦略です。

さて、一条工務店の家作りはオーバースペックとも思える性能によって、建築条件を問わず、力業で住み心地や安全性を上げてくる手法だと思います。

家は日当たりが悪かろうが、夏の窓の日射遮蔽が不十分であろうが、家の性能で強引にカバーしてくるため、売りやすい家にするために家の性能を上げているとも言えます。

確かに年間10,000棟以上の販売をする関係から個別の家の設計に時間を掛けられないということを考慮すると、高気密高断熱住宅の量産化を願う私にはそれで良いと思っています。

どんなに良い家を作っても少量しか提供できなければ日本全体の家作りの改善は難しいため、やはり大手ハウスメーカーである一条工務店の力が日本の家作りの改善には必要だと思います。

私の認識では一条工務店の家はそのまま住んでもそれなりに快適であるが、少し施主がいじるとさらに快適性と省エネ性が得られる住宅だと思っています。

一条ハウスはせっかく家の性能が良いため、私は一条ハウスをパッシブ設計しないのは勿体ないと思っていますから、一条ハウスは施主がパッシブ設計をしてしまえば良いと考えています。

地場ビルダーで高気密高断熱住宅を建てた私が一条工務店で家を建てた理由は、全国どこでも手に入る一条ハウスをベースにパッシブ設計を普及させることが日本の家作りに影響を与えると思ったからです。

ただし、都市部に多い3階建て住宅に囲まれている狭小地では冬季に窓から日射取得はほとんど望めないことから、そういった場合は採光を意識しながら南側の窓を含めて小さくすべきでしょう。

そして、一条ハウスでは窓の日射制御をすれば小型のエアコン1台で家中の除湿ができてしまうということを、私はブログで発信しています。

家作りの初心者がパッシブ設計や冷房計画までできるスーパー工務店を探すことは困難であり、そして受け皿として小さすぎるため私の現実解は一条ハウスをパッシブ設計してしまうことでした。

私は日当たりの悪そうな施主から全館冷房の相談がきた場合は無料アプリの「日当たり君」などを使って、施主に冬季の日射取得シュミレーションをするように促しています。

【無料】日当り君
はじめに 明けましておめでとうございます。昨年末に発売した私の家作りの本については沢山ご購入いただきましてありがとうございました。 さて、今年のブログは以下を目標を掲げようと思います。 長文はやめる(自分が疲れるし読者も疲...

その内、パッシブ設計を盛り込んだ全館冷房対応の間取り集を電子書籍で出そうかと思っていますがパッシブ設計の普及には大手ハウスメーカー施主のコミュニティの力が必要だと考えます。

一条工務店はやはり、業界の異端児です。設計事務所や地場工務店にも良い家を作っていってもらいたいと思いますが、ハウスメーカー側にも頑張って欲しいものです。

 

本日は以上でございます。

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