三菱電機直伝?エアコンの臭いを取る方法

考察

エアコンが臭うときの対応方法

秋の気配が漂い温暖地においてもエアコンの電源を切ったという方が多いと思いますが、外気の絶対湿度が12g/m3以下になればエアコンによる除湿を止めても室内の相対湿度は60%以下になるでしょう。

エアコンの電源を落とす時は内部をよく乾かしてカビが発生しないように送風や暖房運転をしてください。ただ、エアコンの電源をON・OFFするような間欠運転をしているご家庭については、既にエアコンから生乾きのような臭いがする場合があると思います。

そこで本日はエアコンの臭いを取る方法についてです。

エアコン 臭い取り 16℃ - Google 検索

インターネットを検索するとエアコンの臭いを取るには窓全開でエアコン16℃冷房運転と出てきます。そこまでエアコンの設定温度が下げられるのか疑問ですし、本当かどうかわかりませんがこの方法は三菱電機のサポート窓口からの直伝だというのです。

エアコンの風がにおう | 三菱電機 よくあるご質問 FAQ
  【ニオイの主な原因】 ●エアコンを運転すると、室内の空気と一緒に壁やじゅうたん、家具、衣類などにしみこんだニオイの成分をエアコン内部に吸込みます。室内のニオイの成分がエアコンに吸い込まれ熱交

確かに上記の三菱電機のサイトには「エアコンの風がにおう」場合の対処方法が以下のように記載されています。

【対処方法】

●窓を開けて1時間程度冷房運転すると、熱交換器やドレンパンに付着して残ったニオイ成分が結露水に溶け込み洗い流されて、ニオイが軽減されることがあります。

<作業の際の注意>
屋外が高湿度(80%以上)のときに窓を開けて長時間(1時間以上)運転すると、室内機に露が付き、滴下して家財や床などをぬらし、汚損の原因になることがありますので、室内機の下にビニールシートなどを設置して防水対策をしてください。

●その他のニオイ原因として、ドレンホースの室外側先端が排水溝などに入っていると、ドレンホース内部を排水溝のニオイが伝わり室内に侵入することが有ります。周辺環境の確認も合わせてお願いします。

なぜ、エアコンを低い温度で運転するとエアコンの臭いが取れるのかについては簡単な原理だと思います。この原理を考えると窓は開けなくても良いと思いますが、エアコンの冷房運転には臭いを取る効果があると私も思います。

換気の誤解

現代の住宅には24時間換気装置が設置されています。特に高気密住宅では換気経路に沿って空気が整然と移動していると考える方がいると思いますが、これは大きな誤解で計画換気の風量などよりもっと大きな空気の動きが家の中にはあるのです。

例えば香りの強い料理を作りると匂いはすべての部屋に行き渡りませんか?つまり、計画換気の通り空気が動いていれば風上側に料理の匂いはこないはずですが現実はそうはなっていません。

考えれば簡単に分かることなのに人間には思い込みがあって空気が換気経路に沿って整然と動いていると思い込んでしまうのですが、実際には計画換気よりも大きな空気の動きが家の中にはあり、臭いを含む水蒸気も拡散していることを表しています。

このような錯覚が家の空調設計を失敗させる理由だとは気が付ないと思いますが、例えばエアコン1台で全館冷房する際の空気の動きについても誤解が多く、家の中をサーキュレーター等でかき回すと家中が均一な温度になって効率的と思われがちです。

効率的とは空気をかき混ぜることによって家の中の温度差が減ることが良いことだ思っているのかも知れませんが、冬季は家の中の温度差があると不快ですが夏季においては室温が高いため数℃の温度差の空気は不快ではありません。

むしろ、省エネに家中の空気を動かしたいのであれば、二階のエアコンから発生する冷気はかき混ぜたら温度差を失って対流による移動をしなくなるため、かき混ぜない方が空気が家の中を循環するのです。

なんだか不思議な話に聞こえると思いますがエアコン全館冷房が上手く行かない場合は空気の動きが足りないのだと思います。実は空気の動きはファンによる換気よりも温度差による対流の方が強くて、対流を意図的に利用するほうが部屋の臭いを確実に取れるでしょう。

換気方法は空気の入替だけではない

窓を開けて換気するよりも高気密住宅では換気装置を運転した方が臭いがしっかり取れることをご存じな方は増えていると思います。そして、計画換気よりも大きな風量である家の中の対流を利用すれば換気はさらに促進します。

エアコンの冷房運転を利用した空気の対流を家の中で起こしても家の外に空気は排出されないから換気にならないと考えるでしょう。いえいえ、エアコンは冷房運転をすれば結露した水を屋外に排出できますから、水を排出するという換気方法があるのです。

臭いは部屋の中の水蒸気の中に溶け込んでいますから、室内の水蒸気をエアコンで結露させて屋外にドレンホースから結露水を排出させることは広い意味での換気なのです。また、エアコンは弱風でも200m3程度の空気を送風していると言われています。

つまり、三菱電機直伝と言われるエアコンを最低温度で冷房運転することでエアコンの臭いを取る方法は、結露を大量に発生させてエアコンの熱交換器についた雑菌による臭いを屋外に洗い流して排出するという行為だと思います。

ということは、24時間サーモオフをさせずにエアコンを運転し続けるエアコン1台全館冷房はエアコンの熱交換器を常に結露水で洗い流すことでお部屋の中の臭いを屋外に排出すると共にお部屋の中の臭いの元となるカビや生乾きの発生を防止する効果があるのです。

夏の不在時は換気は止めてもエアコン止めるな

夏に家を不在にするときはロスガードは止めないがエアコンを停止する方が多いと思いますが、私は逆が良いと思います。二酸化炭素濃度が高いときはロスガードは止めない方がいいですが、長期間不在にする時はむしろエアコンを止めない方が良いでしょう。

家の中にカビやダニを発生させないためには、部屋の中の相対湿度を60%以下に保つ必要がありますが、さらぽか空調がない家については、エアコンを止めれば室外の高湿度な空気が換気装置から入ってくるため室内の湿度は上昇していきます。

逆にロスガードを止めれば外からの高湿度な空気の流入が減ることで、室内ではエアコンの除湿が省エネに進み、なおかつカビやダニの発生を抑制できます。それに加えて室内の臭いがエアコンから排出する結露水によって屋外に出ていきますから臭いも籠りません。

消費電力では、ロスガードはカタログ値が90Wでエアコンの冷房運転は150~200W程度の消費電力ですが、不在時にエアコンを止めた場合は窓から入る日射熱を建物が蓄熱するため、帰宅してから窓を開けても涼しくならなければこの熱はエアコンで除去することになります。

実験はしていませんが、エアコンを止めても止めなくても冷房コストは同じ程度だと思いますから、カビやダニの発生や臭いの抑制を考えると、不在時は換気装置を止めてエアコンを運転し続けた方が省エネな気がします。

最後に

化学物質や二酸化炭素の排出には空気の入替という意味の換気が必要ですが、エアコンの冷房運転による室内の水蒸気の排出の方が室内の湿度の上昇を招かないため臭いの排出と言う意味では有効でしょう。

大事なことは漠然と換気をせずに何を換気しようとしているか目的をハッキリさせることでしょう。二酸化炭素なのか臭いなのかによって最適な換気方法は変わるからです。

夏季はエアコンを運転するのであれば、エアコンが臭わないように24時間連続運転をすることをお勧めします。ただ、高気密高断熱住宅ではエアコンを連続運転すると部屋が冷えすぎるといった現象が起きます。

家庭用の壁掛エアコンには熱交換器が1つしかないため、業務用のエアコンと違って温度と湿度のどちらを下げるか細かく設定できませんが、この対応方法としてエアコンの設定温度を低くして風量を絞ると室温があまり下がらず湿度が大きく下がります。

空気の中の熱には顕熱(温度)と潜熱(湿度)があってこの両方を足すと全熱となりますが、家庭用のエアコンは熱交換器が1つしかないことから、温度を下げると湿度があまり下がらず、湿度を下げると温度があまり下がらないという特性があります。

簡単にいうと、小型のエアコンの設定温度を低くして熱交換器をキンキンに冷やすと室温があまり下がらずに湿度が大きく下がっていきます。ただ、小型のエアコンですら気温の低い梅雨には室内が冷えすぎることから再熱除湿機能が必要になるわけです。

Q値に優れる一条ハウスだから小型のエアコンで全館冷房が出来ると思うのは間違えで、冬季に比べて室内外の温度差の少ない夏はある程度の屋根の断熱と窓の日射制御が重要であり大型エアコンは必要ありません。一条の超断熱は冬にこそ威力を発揮します。

小型エアコン1台による全館冷房の理論は非常に単純でして今では完全に明確になっています。ただ、この理論はこれまでエアコンを28℃で運転したり扇風機を使って省エネを図ってきた人からみるとエアコンがそんな動きをするのか?と理解に苦しむのでしょうね。

本日は色々と話が脱線しましたが以上でございます。

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