冬季に加湿をせずに湿度50%を保てるのか?

考察

はじめに

先日、高気密高断熱住宅のトップランナーであるウェルネストホームの記事を書きましたが、ウェルネストホームの素晴らしいところは湿度を通年50%~60%に保っていることです。

ウェルネストホームの性能を計算してみた
はじめに 私は自分が建てたことがない住宅会社は正確な情報を持っていないためブログには余り書いてませんが、本日は高気密高断熱住宅のトップランナーであるウェルネストホームの記事です。 ラクジュさん、松尾設計室など住宅系Youtubeが盛...

冬季に加湿器を使わず、梅雨に再熱除湿を利用せずにこの湿度をキープしているというのは、どういう理屈なのか不思議ですよね。

本日はウェルネストホームがどうやって湿度コントロールをしているのかということをインターネットの情報を元に妄想してみますので、内容は間違っていると思ってご覧ください。

冬季に加湿器を使わなくて良い理由

加湿器を使わなくて良い理由は何となくわかります。単純にいうと外壁に通気層を設けずに透湿抵抗を高くしていることと換気量を最低限にしているのだと思います。

ご存知の通り、計画換気は0.5回/hですが、別の基準として人に対して30m3/hというものがあります。恐らくウェルネストホームは後者を採用しているのではないでしょうか。

通常の家庭では生活排湿が日に10リットル/程度ありますから、この湿度を使って相対湿度50%を保てるように計算し尽くした家作りをしているのだと思います。

計画換気は0.5回/hは核家族化が進んだ現在では過換気状態ですから、換気量が増えれば室温も下がるため暖房代が増えて相対湿度は下がるという乾燥状態になります。

一条工務店のような大手ハウスメーカーは各家族構成に合わせた換気量設定は行わないため、新型ロスガードには水道管直結の無給水加湿機能を搭載して対応しています。

ウェルネストホームの壁の仕様は冬季は可変調湿シートのタイベックスマートが強烈な防湿層となることから、生活排湿を漏らさずに加湿として利用しているのだと思います。

また、必要最低限の換気を行うためにダクトレスの一種換気を各部屋に設置していると想定します。

しっくいなどの調湿建材が湿度調整に働いているというのは湿度管理のノウハウをバレないようにするためのフェイクトークだと私は思っています。

私は二軒目の家でタイベックスマートと石膏ボードには調湿機能のあるタイガーのハイクリンスカットボードを使い、壁紙は透湿クロスを使いましたが冬は30%台まで湿度は下がりました。

これは現在住んでいる一条ハウスと全く変わりません。通常の高気密高断熱住宅は加湿器を使わなければ冬季は乾燥しますから調湿建材はセールストークでしかないことを私は分かっています。

壁のセルロースファイバーはタイベックスマートの外にありますし、防湿層から室内側の漆喰などの調湿建材が冬季を通じて加湿できるほどの水分を抱え込めるわけがないですよね。

ただ、通気層を設けない外壁であるため水蒸気を抜けにくくしていると思います。そしてセルロースファイバーに水蒸気を蓄えるようにしているのでしょう。

セルロースファイバーは蓄熱容量があるため、体感温度を上げる効果があると思いますから、室温を20℃程度にして相対湿度を高くすることを可能としているのだと思います。

ウェルネストホームの加湿器なしの湿度管理は実は種も仕掛けもなくて、しっかりとした防湿層と換気量を人に合わせて最適化して生活排湿で水分を賄っていると私は思います(妄想です)。

高気密高断熱のマニアな考察

ここでは少し高気密高断熱住宅をマニアックに考察してみたいと思います。三種換気と一種換気の比較、基礎断熱と床断熱の比較、C値は0.3以下が必要なのかといった論点です。

三種換気の家においては風圧の弱いプロペラファンはファンの汚れなどによりファンが空回りしている場合は換気量が減って部屋の中は暖かく乾燥せず電気代も安くなるでしょう。

一説には三種換気のプロペラファンは超高気密住宅では空気を押し出せずに空回りして換気量が減るとも言われていますが、これは一種換気メーカーのポジショントークかも知れません。

綺麗な空気を求めるなら一種換気が有利ですし、C値を0.1のような極限まで良くするという意見は一種換気を採用した場合は暖房費用にあまり影響がないため私は意味がないと思います。

冬に加湿せずに乾燥しない高気密高断熱住宅とは種も仕掛けもなく換気量を減らしている(若しくは換気量の最適化)のだと思います。湿度管理に魔法は存在しないでしょう。

ウェルネストホームのように加湿器を使わずに湿度を50%にしたいといった場合は建物の構成を含めて一般的な地場工務店が述べる高気密住宅の知識では到達できない領域だと思います。

また、ウェルネストホームは床断熱でC値0.3以下を出している事は凄いと思います。同じ床断熱の一条工務店ではたまにC値が0.2のような人をみますが、平均は0.6程度ですからね。

C値は床断熱の0.3と基礎断熱の0.3では価値が少し違うと思っていて、やはり床断熱で低いC値が出せるという方が技術力は高いと思います。ユニットバス下はどちらも基礎断熱ですけど。

基礎全体を基礎断熱にすれば気密性能は上がりますがシロアリリスクが増えますし、基礎断熱でC値を良くしても暖房空間が広がって省エネにはならないでしょう(冷房負荷は違うと思います)。

基礎断熱を使ったC値が0.3の家と床断熱でC値0.7の家のどちらがを良い家だと思うのかは人それぞれですが、省エネ性はたいして変わらないとしてもシロアリリスクは違います。

ただ、それを承知で床下エアコンをやる場合は基礎断熱を選択することになりますが基礎断熱を使った住宅の高気密化は基礎内断熱だとしてもシロアリ対策を万全に行った方が良いでしょう。

梅雨に再熱除湿を利用しなくて良い理由

超高断熱住宅では外気温の低い梅雨時期に冷房運転をすると家が寒くて仕方なくなります。一般的にはエアコンの再熱除湿機能で室温の低下の対応をします。

私は梅雨時期の除湿は省エネのために再熱除湿を使わずに冷房運転だけでエアコン1台による全館冷房をしていますが、梅雨時期は寒いので長袖の服を着ています。

ただ、再熱除湿機能を使ったからといって電気代が倍になるわけではありませんから、再熱除湿機能を使った方が住み心地がよくなるため、遠慮せずに使った方が良いでしょう。

ウェルネストホームは梅雨も夏も冷房27℃運転で風量は大きい運転をしているようです。これで湿度が60%以下を保てる理由は1つは換気量の最適化でしょう。

私のエアコン運転方法は除湿量を最大化するものですが、ウェルネストホームは換気量を絞って外部から湿度を室内に入れないことで必要な除湿量を減らす方針なのだと推測します。

ウェルネストホームは家の気密性能が高いため漏気がほぼないことで、梅雨にエアコンの除湿量が少ない運転方法であっても帳尻があうのだと思います。

そして、ウェルネストホームの特徴は窓からの日射取得が大きいことで軒を大きく出さず庇を設置しないで、断熱ガラスと外部ブラインドによって日射熱が取りやすい家になっています。

恐らく、梅雨時期は外部ブラインドを上げて日射熱を入れて再熱除湿のような熱を窓から取り入れているのだと推測します(妄想です)。

もしかしたら、冷房で部屋の中が寒い場合は単純に一階のエアコンを暖房運転して帳尻を合わせているのかもしれません。

壁の透湿抵抗を計算すると、タイベックスマートは夏は防湿層とならなため、室外から室内に水分量が非常にゆっくりと動く壁構成です。

きっと、水蒸気圧を計算して壁内結露を防止しながら室外から室内に水蒸気が速いスピードで入らないように透湿抵抗比を熟知して計算しているのだと思います。

盛夏の湿度管理

盛夏はエアコンを冷房運転するだけで相対湿度は下げることができます。また、換気量の最適化によって除湿量を多くしない運転でも対応ができるのだと思います。

まぁ、盛夏の全館冷房はエアコンの設置位置がよければ難しくないので、説明は割愛します。

最後に

本日は全部私の妄想です。まったく事実と異なると思います。ただ、ウェルネストホームの湿度管理は素晴らしいなと思ってそれを想像してみたいと思って記事を書きました。

そして、仮にウェルネストホームの湿度管理の種明かしが出来たとしても誰も真似ができないと思いますし、透湿抵抗と換気量を考慮した夏と冬の湿度の動きを想像するのは難しいでしょう。

ウェルネストホームの加湿器なし再熱除湿なしの家作りは一棟一棟の設計に手間と時間を掛ける必要があるため量産化には向かない家作りだと思いますが、大変素晴らしいです。

これまでの高気密高断熱住宅の常識を覆す家作りをしていることは非常に画期的なことだと思いますし、私の推測が正しければよくここまで考えたなと思います。

ただ、一条工務店は全国でウェルネストホームの同等の断熱性能をウェルネストホームより相当安く手に入れられ、無借金経営という財務体質に強みがあります。

格安の蓄電池、無給水加湿機能のついた新型ロスガードといった装備がついて価格が低い一条ハウスとウェルネストホームを比較すると、どちらを選ぶか悩ましいと思います。

私は微力な施主ではありますが一条ハウスを安く建てる方法やエアコンのような安い設備で湿度コントロールする方法を広めてさらに高い次元での勝負の手助けをしたい思っています。

思想や手段が違いますが、今後もウェルネストホームと一条工務店は良きライバルであってほしいなと思います。

 

本日は以上でございます。

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