高気密高断熱住宅の謎はすべて解明済?

考察

はじめに

まず、なぜ住宅の高気密高断熱化が必要かについて考えてみます。

日本の家は殺人住宅だと言われており、その要因として熱中症とヒートショックそしてシックハウスが挙げられ、家の浴室で溺死する人が交通事故の死亡者数の4倍と言われています。

冬季において老人が浴室でヒートショックを起こして溺死するという話は家の中の温度差で語られてきましたが、最近は熱いお湯に長時間浸かることによる熱中症が主要因とも言われています。

ただ、死因がヒートショックなのか熱中症なのかは別として、家の中が寒いから死亡事故が発生するという本質的な問題は変わらないと思いますから住宅の高気密高断熱化は必要です。

最近の夏はスコールのような局所的な大雨があり、猛暑日が連発することから熱中症による死亡事故も増えていて、冬だけでなく夏を考えた家作りも重要になっています。

この様な状況において、どのような家作りをすべきか悩ましいところですが、その前に世間的には高気密高断熱住宅への誤解や謎がまだ解けていないと思います。

しかし、実は10年ぐらい前にはその答えを一部の設計者が既にほぼ解明していたのです。

高気密高断熱住宅のバージョン

高気密高断熱住宅を理解するには進化の程度の理解が必要だと思います。私は以下のように高気密高断熱住宅は5段階の分類があると思っていて進化の程度を数字のバージョンで表してみました。

  • 高気密高断熱住宅 0.0(事件が起きた黎明期の高気密高断熱住宅)
    • ナミダダケ事件(寒冷地で床が結露で腐る)
    • 氷柱事件(寒冷地で壁のグラスウールが結露で凍る)
    • 超オーバーヒート住宅(温暖地で遮熱ガラスを用いない軒ゼロ住宅)
  • 高気密高断熱住宅 0.5(自称:高気密高断熱住宅)
    • 気密測定なし
    • 気流止めなし
    • 燃費の悪い大型空調設備
  • 高気密高断熱住宅 1.0(冬に快適な高気密高断熱住宅)
    • 気密測定の実施
    • 内部結露の克服(透湿抵抗比の理解)
    • 燃費の良い全館暖房の実現
  • 高気密高断熱住宅 1.5(春・秋・冬が快適な高気密高断熱住宅)
    • 窓の日射制御を実施している家(オーバーヒート予防)
    • 冷房負荷を下げるため夜間等に窓を開ける家
  • 高気密高断熱住宅 2.0(四季が快適な高気密高断熱住宅)
    • 燃費の良い24時間空調を行う熱中症や熱帯夜のない家
    • 家中を低湿度に保ちカビやダニに対するックハウス対策を実現した家

バージョン0.0の黎明期では床や壁が結露するなど事件を起こしていて、これを教訓に通気層が開発され、水蒸気を通しにくいウレタン断熱材を採用したFPの家が誕生しています。

また、北海道は積雪の関係から軒のない高気密高断熱住宅が発達しましたが、それを真似て遮熱ガラスを用いない軒ゼロ住宅を温暖地で建築した超オーバーヒート住宅が建つ事件が起きました。

そんな家を建てたら外出している時に窓から入る日射熱が蓄熱されてとても人が住める家にはならなと誰でも分かると思います。

バージョン0.5は自称高気密高断熱住宅であり多くの大手ハウスメーカーがこの段階です。断熱性能は省エネ基準を超えますが気密測定はなされずに壁の上下の気流が止まっていない寒い家です。

バージョン1.0では壁内結露等を克服して冬に暖かい全館暖房が実現可能な高気密高断熱住宅が建設されるようになりました。大半の高気密高断熱住宅はこの段階にあると考えています。

この段階の高気密高断熱住宅は冬以外の住み方が明確ではなく、窓が大きい家は春からオーバーヒートしますし、冬以外は窓を開けるのか開けないのか賛否両論な状態です。

そして、最新のバージョン2.0と1.0の間に中間となる1.5が存在していると考えていて、高気密高断熱住宅を普及させてきた新住協が提案している住宅はこの段階にあると思います。

最新のバージョン2.0は高気密高断熱住宅が得意な設計事務所が熱心に取り組んでいますが、超気密な住宅を作っている設計者でも冷房面では成功しないこともあります。

高気密高断熱住宅の大御所である鎌田先生の最近の著書では、関西の夏は窓を開けて生活できないと記載され、西方先生の最近の著書では関東の夏も窓を開けて快適ではないと記載されています。

つまり、新住協の関係者においてもバージョン1.5から2.0へのシフトが温暖地では進みつつあり、寒冷地出身の新住協の設計者が温暖地で設計する機会が増えたことから認識を改めています。

猛暑日が連発する温暖地で高気密高断熱住宅に住んできた私としては、世間の認識がやっと追い付いてきたと感じますが、最新の高気密高断熱住宅設計者の情報にもまだ古さを感じています。

そして、住宅情報は自社製品をアピールしている場合は信じない方が良くて、グラスウールはダメだとか自然素材が良いとか商売が絡んでいる情報はとにかく偏った内容が多いです。

今回の高気密高断熱住宅のバージョン分けは簡単にいうと日本には四季がありますから、冬に快適な家は1.0、春・秋・冬に快適な家は1.5、四季すべてに快適な家は2.0という分類です。

ただ、私の考えるバージョン1.0~バージョン2.0の間はどれが正解という話ではなく、ライフスタイルに合わせてお好みで選択されると良いでしょう。

夏涼しく冬暖かい高気密高断熱住宅

これは誤解です。気密の良い家は冬は暖かいですが無暖房は無理ですし、無暖房住宅なんて建てたら少し気温が高い日はオーバーヒートしてしまうため危ないと思います。

パッシブハウスを無暖房住宅と訳したことが間違いの始まりだと思いますが、パッシブハウスは軽暖房住宅と訳することが正解だと思います。

窓の日除けが不足すれば夏の高気密高断熱住宅は暑いです。特に日中にエアコンを切ってしまうと窓から侵入した日射熱が建物に蓄えられて、帰宅後に窓を開けて換気をしても涼しくなりません。

高気密高断熱住宅は魔法瓶住宅と言われますが、気密性によって空気が保温していると誤解している人が多いと思いますが、家の石膏ボードなどの構造体が熱を蓄えてしまうのです。

夏は高気密高断熱住宅の性能を生かして窓の日射制御を行った上で、小型のエアコンを24時間二階で運転していれば、建物への蓄熱を省エネに抑えることが可能です。

また、太陽の角度は季節に応じて変わりますから、それに応じた窓の日除けを実施しないと、窓から侵入した日射熱で夏はもとより春から二階が熱帯夜になってしまいます。

私は二軒目の家を建てる際に無冷房住宅を構想しましたが、実際に入居して窓をあけて過ごしてみると熱帯夜の日が多いですし、外気の湿度が高くで不快であったためすぐに無冷房は諦めました。

冷房について

高気密高断熱住宅では小型エアコン1台で家中を冷房できるということは本当ですが、冷たい空気は上昇しないため夏季においては二階のエアコンを運転すると家中が涼しくなります。

ただ、高気密高断熱住宅では外気温が低い時はエアコン1台の運転で家中が冷えて寒くなってしまいますから、室温が下がりにくい再熱除湿機能のついたエアコンが1台は必要です。

温度を重視するか湿度を重視するかでエアコンの運転方法は変わってきます。エアコンの設定温度が27℃等では室温に満足できても除湿量が足りないと思います。

湿度に満足したい人はエアコンを人がいない場所に設置して設定温度を23℃前後まで落とし風量を最小限にして下さい。そうすることでエアコンの熱交換器が冷えて除湿量が増えていきます。

私はエアコンは冷房装置というよりは除湿機だと思っていて、エアコンを極力利用しない方が健康的だと思っている人とはエアコンに対する認識が全然違うのです。

さらぽか空調やエアコン1台全館冷房を採用して相対湿度を60%以下に保てばダニやカビの発生しにくい環境が作れるため、布団を外に干す必要が無くなり洗濯物は部屋干しで乾きます。

換気について

一種換気が良いとか三種が良いといった議論がありますが、これは施主の予算によって判断が変わると思います。一種換気装置はメンテナンス費用を含めて高くなるからです。

私はご予算に応じて換気装置は一種でも三種でもどちらでも良いと思っていて、つまりは冬季に給気口から入る冷気がうまく処理できれば良いということです。

また、ダクトレスかダクトを用いるかという以外にも壁内を換気経路として利用する手段もありますし、エアコンの下に給気口を設置して給気した空気を温めるという手段もあります。

三種換気は家の中の温度差が大きい場合は対流によって二階の給気口が排気口となってしまうことを給気不足と考える方がいますが、そもそもC値が1.0の家でも換気量の半分は家の隙間からです。

一時間に0.5回の法定換気回数では過換気過ぎて冬に乾燥してしまうことが高気密高断熱住宅の問題であり、二酸化炭素濃度は寝室などでは1000ppmを超えておかしくありません。

換気回数は夏に揮発しやすい化学物質の排出を目的に0.5回/hと設定されており、これに基づいて冬の換気について一種が良いとかダクトレスが良いといった話をしてもピンときません。

本質的な話をするのであれば、換気装置に夏とそれ以外の季節を分けて換気量を設定できるように、強・弱の設定を義務付けすべきだと思います。

また、トイレや浴室などの空気が居室側に流れてしまう件については、換気方法の問題というよりは間取りの問題だと思います。

ハウスメーカーでは0.5回/の換気量、冬季の給気口からの冷気の侵入、臭いの逆流、換気量等クレーム防止のために一種ダクト換気を採用すると思いますが、これが正しい訳ではないでしょう。

断熱性能はどれだけ必要なの?

省エネ基準並みのQ値が2.7W(Ua値0.87W)程度の家では24時間暖房を利用すると光熱費は一般家庭より高くなります。これは大手ハウスメーカー等の一般的な家の性能です。

Q値が1.6W(Ua値0.46W)以下の家であれば全館暖房と個別暖房の暖房費用が変わらなくなる水準ですから、省エネを考えるともう少し断熱性能が欲しいところです。

私としては温暖地ではQ値は1.4W(Ua値0.40W)以下は欲しいところで、予算に余裕があればHEAT20 G3レベルの1.15W(Ua値0.27W)程度まで落としたいですね。

「最高の断熱・エコハウスをつくる方法 令和の大改訂版」を読んで
はじめに高気密高断熱住宅の設計者として尊敬する秋田県の西方里見先生の本が改訂されたので買ってみました。西方先生は北海道を発祥の地とする新住協の理事も勤めてらっしゃいます。「外断熱が危ない」という西方先生の本を買ったのは、かれこれ1...

このあたりは西方先生の最新の本を読まれると良いでしょう。また、Q値やUa値を自分で計算してみたいという方は以下の計算ツールをご利用ください。

計算ツール
F式(私ことフエッピー式)の各計算ツールは無償でドドーンとご提供します。その代わりサポートはございませんので自己責任でご利用ください。また、告知なく修正しますので、ご利用の際は最新版をダウンロードしてご利用ください。 ダウンロードを行...

断熱材は何がよいの?

コストを含めて完璧な断熱材は存在しません。グラスウールは安くて良い断熱材ですが、防湿シートを設置する必要があります。断熱材はお好みで選ぶと良いでしょう。

結局、断熱材は何が良いの?
初めて家を建てる時にはどの程度の断熱性能が必要か、壁の中で結露しないか、など悩みますよね。断熱は壁だけでなく天井や床にも必要ですが、今回は壁内の結露について考察します。 壁の構成の確認 上記の画像は一条工務店のウレタン断熱材を使...

気密性能はどれだけ必要なの?

私は0.7cm2/m2程度で良いと思います。有識者の中には1.0cm2/m2以下で良いという方もいます。なぜかというとある程度まで高気密になれば家の燃費にあまり影響しないからです。

最近では0.2cm2/m2前後の超気密を出す工務店なども増えていて、一条工務店でもそれぐらい出る人がいるようです。とても良いことだと思います。

超気密ブーム?
超気密は万能ではない 最近は地場工務店を中心に超気密ブームというか、C値が0.2cm2/m2前後の家が施工されていて、一条工務店においてもC値が0.2cm2/m2まで低く出ている家がありました。 恐らく一部の地場工務店は一条工務店に...

どのハウスメーカーで建てれば良いの?

暖かい家を見分ける方法は以外と簡単です。暖かい家と家の価格はあまり関係はなく、ローコスト系住宅よりもむしろ大手ハウスメーカーの方が断熱性能がチープな場合があります。

よくわからない人は一条工務店で建てると良いと思いますが、最近の一条工務店は価格が上昇していて怪しからんので、家を安く建てる方法を併せてご覧ください。

注文住宅を660万円安く建てる方法
まだまだコストカットは可能です 注文住宅の依頼先の選定はご予算が最も重要だと思いますが、多くの方は候補となる複数の依頼先から出された見積もりを比較するだけで依頼先を決めてしまってないでしょうか。 実は一般にはあまり知られていないコス...

夏型逆転結露について

透湿抵抗比の計算が普及していないことから、住宅関係のプロにおいても計算根拠なく「それは結露する」と話す人が多いでしょう。ここはしっかり結露計算して話をしてほしいと思います。

過去においては、故・鵜野日出男さんが建築中の建物において日射の当たる面の木材が蒸し返されて防湿シートの部分において結露する現象を報告していました。

ただ、有識者の間では非定常計算では一時的な結露は乾燥すると計算されたため、夏型結露は実際には発生せず杞憂に過ぎないと思われてきました。

しかし、温暖化が進む現在では真夏の外気の絶対湿度が東京などにおいても25g/m3を超える日が増えているなど、過去とは条件が違ってきているようです。

実際に床が夏型結露の被害にあっている住宅が発生するなど、夏型結露の問題は改めて検討が必要だと思います。

特に冬型結露対策としてグラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材や現場発泡ウレタンA種3など、水蒸気を通しやすい断熱材への防湿層の設置は夏型結露の考慮が必要になります。

具体的には繊維系断熱材は調湿タイプの防湿シートを利用し、現場発泡ウレタンでは寒冷地ではない場合、防湿シートを設置せず面材にダイライトなどの透湿抵抗の低いものを用いる方法があります。

今後にさらに温暖化が進み、外気の絶対湿度が26グラムを超えてくるような状況が常態化すれば防湿シートを設置している住宅の壁内は夏に結露されると計算されます。

結露計算について興味がある方は以下をご利用ください。

計算ツール
F式(私ことフエッピー式)の各計算ツールは無償でドドーンとご提供します。その代わりサポートはございませんので自己責任でご利用ください。また、告知なく修正しますので、ご利用の際は最新版をダウンロードしてご利用ください。 ダウンロードを行...

自然素材の調湿機能

これは過大評価で、自然素材を売りとしている住宅業者の誇大広告です。

珪藻土やエコカラットなどの調湿建材は湿度の変化を緩やかにすることは事実だと思いますが、実験室のデータは設定が現実と大きく異なります。

夏は外気の水蒸気量が膨大であるため、自然素材は吸った湿気を排出することができず飽和してしまいます。吸放湿については夏に吸湿したら乾燥する秋まで放湿はできないでしょう。

それに家中をさらぽか空調やエアコン1台全館冷房で除湿してしまえば、そもそも調湿建材は必要なくなります。

私は二軒目の家において、湿気を吸収するタイガーのハイクリンスカッドボートと透湿性の壁紙を家中に採用しましたが、冬季は乾燥しますし夏は除湿をしなければ家の中は高湿度でした。

色々な測定機器を持っている私はビニールクロスを採用している一条ハウスと調湿建材を利用した家の住み心地を比較していますが、空気質や湿度は何も変わらないです。

つまり、ほとんどの方は家作りが一生に一回であるため違いがわからないのでしょう。自然素材の採用については気分的な面を含めたインテリアだと思った方がよいでしょう。

カビで家が腐る?

腐りません。カビが生える条件と建物に腐朽菌が発生する条件は違います。正直、このネタはもう面倒です。

建築中のカビ VS 入居後のカビ
初めて家を建てる方に不安な大雨 今年は台風と重なるという生憎のお盆ですね。家を建築中の方は台風接近により休工中の現場が心配なのではないでしょうか。 台風となると雨漏り、雨漏りとなるとカビの発生が心配ですね。ただ、カビはどこにでも存在...

シックハウス対策

厚生労働省のシックハウス対策のホームページには、カビ・ダニ対策と化学物質対策が記載されています。

シックハウス対策というと化学物質対策という話が主にされ、合板などの新建材を利用せずに自然素材を利用しようといった話になることが多いです。

自然素材の利用については反対しませんが、それが無垢材や珪藻土を売りとしている住宅業者のセールストークに利用されていることには違和感を覚えます。

また、シックハウス対策について化学物質だけを問題視して、カビやダニ対策としての家の中を低湿度に保つことが可能な家作りができないようであればシックハウス対策として片手落ちです。

良く言われることは、気密は不要といっている町の工務店がいまは熱心に高気密高断熱住宅を学んでいるというような話で彼らの主義主張は営業的な側面が強いのではないかと思います。

まだ、未規制の化学物質はありますが、むしろ現状の実態ではF4の新建材ではVOCの使用が減っていることから、フローリングなどでキクイムシが発生しています。

また、ヒバやヒノキなどの自然素材にも化学物質が含まれ、特に針葉樹を内装に多様するとシックハウスになる場合があるようです。

ちなみに、新建材とビニールクロスを採用している一条ハウスにおいて、海外製の環境モニターを設置しておりますが夏においても化学物質は高く検出されません。

個人住宅向けでは規制物質以外にも業界による建材の自主規制がありますが、空気質の環境測定モニターは個人でも買える値段になっていますから数値を測って議論すべきでしょう。

また、公舎や学校の改装ではベンゼンが基準値を超えて検出されており、引き渡し40日後の測定で基準値以下になるという報告もありますが、引き続き注視が必要です。

自然素材を積極的に使うこと自体は悪くないと思いますが、だからといって数値を測らずに合板などの新建材を否定する住宅業者の言い分はどうなのかなと思います。

インフルエンザと湿度の関係

最近では絶対湿度がインフルエンザと関係していると言われています。これは人間が空気を体内に取り入れた際の湿度を示唆しているのだと思います。

ただ、沖縄や鹿児島では夏にインフルエンザが流行りますし、年中高湿度な東南アジアにおいてもインフルエンザが流行します。

インフルエンザは40%以上の湿度があれば流行しないという説はまったく当てはまりません。

もし、湿度がインフルエンザの流行に影響するのであれば、冬季に乾燥する高気密高断熱住宅ではインフルエンザが蔓延しているはずですが現実にはそうなっていないでしょう。

そして、みはりん坊Wの取説に絶対湿度がインフルエンザに関係していると記載されていますが、それも上記の現状を説明できていません。

インフルエンザと湿度管理
インフルエンザと湿度は関係ない? インフルエンザ対策として冬季における室内の相対湿度(%)は60%程度を世間では推奨されていると思いますが、室温が高い家の場合、60%まで加湿すると、トリプルサッシと言えども窓が結露する可能性が高まります。...

私は高気密高断熱住宅では体調が良くなることから免疫力が向上すると言われており、インフルエンザと湿度の関係性は相関関係は強くないのではないかと考えています。

重要なことは、室温を高くして免疫力を高めて風邪を引かないことと、マスクなどの飛沫感染防止対策であり、湿度はそれほど関係していないのではないでしょうか。

もちろん、高気密高断熱住宅に住んでいてもインフルエンザに罹る人はいますが、私は長年高気密高断熱住宅に住んできてインフルエンザに家族が罹病しない現実を見て全く納得できないのです。

何をおかしなことを言っているのか?と思うでしょうけど、6畳用のエアコン1台で家中を冷房している人間を世間では誰も信じてくれない事と同じではないかと思います。

遮熱シートの有効性

外壁にダイベックシルバーなどの遮熱機能を持った透湿防水シートをもって断熱効果を謳っているハウスメーカーがあります。

これについては意味がないことが分かっています。簡単にいうとそもそも断熱材が熱の侵入を防いでいるため、断熱材が設置されている部位に遮熱材を設置しても意味がないのです。

ただ、天井断熱の場合のように断熱材の設置されない屋根の野地板の上に遮熱シートを設置することについては、効果があると思います。

屋根の断熱塗料のように断熱材の設置されない部分への遮熱材の利用は有効であるが、断熱材の上に設置しても室内側への効果はぼほなしということになります。

なお、遮熱シートの断熱効果を高気密高断熱住宅の専門家に質問すると、またその話かとうんざりされるそうです。

基礎断熱と床断熱

どちらでも良いと思います。シロアリの危険性を回避したければ床断熱の方が良いですし、床下空間を空調や収納に利用したければ、基礎断熱が良いでしょう。

しかし、基礎外断熱工法についてはシロアリの侵入を完璧に止める技術が必要で、私はいい家を作る会のMP工法しか該当はないと思います。

床断熱の場合は夏に基礎コンクリートが結露する恐れがありますが、木材が腐るような状態にはならないため問題ではありませんが、基礎断熱の場合は床下と通気しなければカビが生えます。

私の二軒目の家においては基礎断熱でしたが、小屋裏の空気を床下に循環させて一階の居室の床のガラリから排出していたため、床下がカビるなんてことはありません。

このようなことはずっと前からわかっていて、今さら何言ってるのかな?と思うような話ですが、床断熱と基礎断熱の区別がそもそもついてない人が多いようです。

全館床暖房や全館冷房は必要ない?

必要かどうかは施主の予算の問題だと思います。仮にお金が沢山あったら皆さんどんな家を建てますか?

将来のメンテナンス費用も十分にあるというご家庭については、きっと全館冷暖房で湿度をコントロールできる家を建てると思います。

私はお金に余裕があれば、一条工務店の床暖房とさらぽか空調の採用をお勧めします。誰にでも簡単に操作ができて、どんな間取りの家にも適応する失敗のないシステムだからです。

一方、お金がない人にはエアコンを利用した全館冷暖房をお勧めしますが、この場合は間取り等の考慮が難しくなりますから、全館暖房は成功しても全館冷房はノウハウがないと難しいです。

また、最近では床暖房や床下エアコンを否定する高気密高断熱住宅の設計者がいて、冬季の浴室の室温は26℃、居室は24℃の室温という、かなり高い室温が必要だと唱えています。

ある意味、理にかなっている話で屋根断熱や基礎断熱をせずに暖房空間を狭くしてその分のエネルギーで室温を高くすることで、居室のエアコン暖房だけで快適になるという話です。

暖房面積の極小化で削減したエネルギーを居室側で最大限に利用するといった面白い高気密高断熱住宅の考え方もあるんだなと感心しました。

窓は開けない?

窓は開けても開けなくてもどちらでも結構です。論点はそこではなくて、窓を開けないと室温調整ができない家は作らないようにしましょうという話です。

大人が不在の時に老人や子供そしてペットがいるご家庭では、窓を開けないと室温調整ができない家では熱中症の危険性が高まります。

昔の日本家屋では家の外部と内部をどこまで1つの空間として調和するかという意識がありますが、高気密高断熱住宅の登場によって、窓を開けるか開けないかという話が良くされます。

窓を開けるかどうかの話は説明が大変ですから、高気密高断熱住宅の設計者は「窓は必要に応じてあけて下さい」とか「しっかり閉めてしっかり開けられる家を作りましょう」と言うでしょう。

ただ、日本の天候は年々不順になっていて、夏はスコールのような大雨と猛暑日が頻発するようになりましたから、窓を開けて自然を感じる家作りは中々難しくなっています。

そんなこともあって、私の家は体を休めることを最優先に空調をしっかり計画していて、二束三文で手に入れた山の土地で自然を楽しみたいときは楽しんでいます。

なお、新住協が未だに寒冷地においては夜間に窓をあけて室温を下げることが有効であるという、ナイトパージを取り下げていませんが、全熱を計算すれば間違いであることに気づくでしょう。

シロアリ対策

まずシロアリが湿気を好むという点についてはどんな昆虫でも湿度が高い方を好みます。床下にカビが生えると家が腐るとかシロアリが寄ってくるという話は無茶苦茶だと思います。

なぜなら夏季の外気の相対湿度は80%程度あるため、湿気が少ない状態などどこにも存在しないからです。こんな状態で床下に乾燥材などおいても無意味だと思います。

特に日が当たらず地熱で冷やされる床下については、相対湿度が90%前後まで上昇することから、一時的に床下が結露する可能性はあります。

ただ、木が腐るような腐朽菌が繁殖するような状態は含水率が30%程度の状態であるため、通常は発生しません。心配な方は展示場の住宅の床下の木材の含水率を計ってください。

昔は地面に設置されていた浴室にシロアリが寄ってきたことからシロアリ=湿気という風に誤解が生まれたと思いますが、現在では玄関框などがシロアリ被害が多い箇所です。

つまり、シロアリは人目につかない地面からアクセスしやすい場所に侵入してくるというだけで、湿気が好きかどうかは普通の昆虫として好きなのだと思います。

床下が乾燥しているかどうかという判断基準についても、結露しているかしていないかが判断基準になっていると思いますが、夏の床下は常に高湿度です。

夏の床下は常に高湿度であるにも関わらず、目視して濡れてなければ乾燥していると言ってる人が多いと思いますが、床下は全然乾燥なんてしていません。

次に防蟻処理についてですが、多くのハウスメーカーではシックハウスを恐れて5年程度で効果がなくなる防蟻剤の現場塗布を行っていますが、これは時限爆弾となるでしょう。

先日、近所を歩いていたら住友林業のビックフレームの施工現場を拝見しましたが、防蟻処理が5年しか持たない現場塗布であり頑丈な構造なのに勿体ないなと思いましたね。

確認したところオプションで基礎コンクリート周りに防蟻剤を浸透させるタームガードシステムを採用しているようですが、これを採用している人はどれほどいるのかと心配になりました。

日本では無垢材を良しとする文化があることから、加圧注入材の利用や海外で主流のホウ酸などを使った防蟻処理もあまり浸透していません。どのハウスメーカーもシロアリ対策は弱いですね。

シロアリについては以下にまとめてございます。

防蟻システム
シロアリ被害に遭う家は結構多い 国土交通省補助事業のシロアリ被害実態調査報告書によると、建築後10年~14年経過においては6~11%程度の家がシロアリ被害に遭うようで結構多いなという印象です。築30~40年では半数近くの家がシロアリ被害に...

最後に

住宅の販売ではそれぞれの業者が自社に有利なセールストークを展開していますから、何が真実か現実をみて考えた方が良いでしょう。

例えば、シロアリは湿気が好きという割にはベタ基礎の住宅の玄関框が食害に合う現状とは乖離があり、おかしいということは少し調べればわかることばかりです。

また、換気装置や冷暖房装置のように施主の収入によって何が正しいのか大きく判断が変わる問題については、ご自身のご予算で判断された方が良いでしょう。

私の発信する情報は初めて家を建てる方が失敗しない家作りができるように両立が難しい問題については安全側に寄せて情報発信しています。

例えば、窓を開けるか開けないかという話については窓を開けなくても暑くなく過ごせる家作りをお勧めしており、窓を開けてはいけないという意味ではありません。

網戸は無くて良いという表現は網戸がなければ窓から入る日射熱を抑えるために、屋根の軒を伸ばしたり、シェードをつける金物を設置したりと、日射制御の工夫をするしかなくなるからです。

暑ければ窓を開ければ良いという発想で家作りを行えば、窓を閉めている不在時に熱を蓄積してしまう家になってしまうということです。

本日は徒然なるままになぶり書きになってしまいましたが、以上でございまます。

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